車に酔う私には、宇宙飛行士は到底無理な相談だ。

…それでも昔に比べれば、ずっと強くはなったのだけど。

何か大きなことを、困難なことをしようとする前に女は髪を切る。
なぜならば。
髪に構う時間がなくなるから。

汚い髪をしたままでいるぐらいなら、いっそばっさりと切っちゃうほうが綺麗だろう。
それは判る。
うん。

覚悟を決めた時、女は強い。
もしかしたら、男よりも強い。

                 ……かも。



ISBN:4840104905 コミック 柳沼 行 メディアファクトリー ¥540
未来を信じて前を見つめる瞳。

それは何よりも力を感じる。
真正面からぶつかってゆける勇気は、10代の子供たちのもの。

その力と勇気のあるうちに、一所懸命生きておいてほしいね。

ISBN:4840104689 コミック 柳沼 行 メディアファクトリー ¥540
極々普通の楽園ものでも書いていそうな絵柄で、宇宙開発だとか宇宙船だとか出てくる意外性が面白いね。

友情・競争。そして夢。
若者が夢を追う姿はいつ見ても気持ちよいものである。

私だってまだまだ夢は諦めてはいないし(笑)

ISBN:4840104409 コミック 柳沼 行 メディアファクトリー ¥540
宇宙へ行くことを夢みる少女、アスミ。
彼女は幼い頃、日本初の宇宙船の事故(打ち上げ直後の宇宙船「獅子号」が市街地に墜落)で母親が被害にあい、その後まともに言葉も視線も交わすことなく分かれている。
父親はロケット技師を辞めて日雇いをしながら娘を育てるが、生活は決して楽ではない。
そんななか、彼女は東京の宇宙学校の入学試験を受けるが…。
そこにはとんでもない課題が!

どこかで聞いたような題名だなーと思って読み始めた漫画。
友人からの借り物だけど、そうか、アニメになってましたか!

スピカは連星なんだけど、とんでもない速さでぐるぐる回っているの、地球からはひとつの星にしか見えない、というシロモノ。
だから二つのスピカ。

そして、遠い宇宙にあるものは、地数か無いと、自分の目で確かめないとその本当の姿はわかりません、という教訓も含んでいる。
人間だって、近づいて知りあわないと、その人の本質は分からない。

ISBN:484010428X コミック 柳沼 行 メディアファクトリー ¥540

パーム (29)

2007年1月21日 読書
友人からお借りしました。
久々!
探偵篇はこれにて終了…だけど、今までもやっていることは随分きな臭かったり環境保護運動で良く分からない芳香に突っ走ったりと、必ずしも探偵業に固執していない無いようだったような…?

まあ一応終わりらしい。

アーサー・ネガット死す。
J・Bの伯父であり、父では無いかと思われた、マフィアのボスがとうとうお亡くなりに…。

そしてジェイムズの出生の秘密が明かされることと成る。
カーターの妹、ジョゼを伴ってカナダへ旅行する一行。
だが、その行く手には暗雲が。

11歳から21歳まですべてが不都合だったその反動が、今になってすべてが好都合に動き出しているんだよ。

な〜んて。

ま、人生は最後に帳尻合せがある、と、申します。
そうでも思わなきゃ、生きている甲斐もないわな。

探偵変は終了し、父の莫大な遺産を継いだジェイムズは、今度は"若き実業家篇"とかで出てくるのかな?

ちなみに、表紙にも出ている、男らしいハリー(FBIの女性捜査官)。
やはり一番格好いいなぁ♪

ISBN:4403618499 コミック 獣木野生 新書館 ¥557
地球連邦とジオン公国の戦いが始まった。
最高司令官レビルは捕えられたが、政治的なはからいで無事脱出。
しかし戦争をやめさせたい、と願うデギン・ザビの想いは裏切られ、戦争はますます激しさを増し、長期戦へと突入する気配を見せる。

「所詮、人間は戦争が好き」

なんてバカな生き物だろうか。
だけど、本当のこと。
でも、同時に、人間は他人を愛せる。
だから、平和を望む事だって出来る。
その望みを捨てられない。

デギンとギレンとキシリアと。
ザビ一族は本当に複雑というか恐ろしいというか、欲が深い。
ここまで(欲しいものへの)情熱を持ち続けるのも、すっごくしんどいことだと思うのだが…。

単純なドズルとガルマが可愛らしく思えるほどにだ。

ISBN:4047138835 コミック 富野 由悠季 角川書店 ¥588

僕僕先生

2007年1月21日 読書
2006年度日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

舞台が中国で唐代なのも、作者が仕事で中国で暮らした経験がある、ということが大きいのかな?

なんとな〜く気になって、しばらくそのまま置いといて、とうとう購入した一冊。

ちょっとづつ読んでみようかと…。


ISBN:4103030518 単行本 仁木 英之 新潮社 ¥1,470
地元の近く、しかも会社の出張で利用する(私じゃないけど)路線と列車が舞台なので、ちょっと興味を引いた推理小説。
久々に、時刻表合せがちらりと出てきて、ああ、西村さんだな、と思う。

往時に比べれば、時刻合せといってもたいしたこっちゃ無いけど…。(犯人逃亡のルートを確定しただけ)

天橋立って京都府なんだけどな…イメージ的には大阪から特急で、のイメージなんだろうか?
京都といえば、戦後の引き上げや、それ以前には日露戦争時の東郷平八郎長官が勤務した舞鶴があるんだけど、どうも、京都が海に面している、というイメージ自体が薄い。
もちろん、私らも薄い(笑)
だって、京都市は南の端のほうに偏って存在しているのだから仕方が無い。
平等院や源氏物語で舞台になった宇治も、市よりももっと南だし。
交通の至便性からも、どうしても南の開発が早くて、北のほうは置いてきぼりになってしまった。
だから、海に面している京都府の各地域は、存在感が薄い。

天橋立も、超高級蟹で有名な間人(たいざ)も、京都府なんだけどなー。

京都駅からも、もちろん、城崎や天橋立行きの特急列車は出ている。
大阪発に比べると本数も少なくて、ごっつー便利悪ーですが(笑)
くそっ(笑)この辺が、如実に物語っているのかなー。

さて、内容である。
警察出身者の、自衛隊出身者の、ふつーとは思えない殺人。
しかも"殺し屋"としての仕事。

なんだかなー。
こういうものが普通に推理小説に出てくるということは、実生活でも奇異ではない、ということなんだよね。
そういう時代になってしまったか。

小説に出てくる城崎温泉の西村屋旅館。
高級旅館で一度は泊りたいものだが…、高いぞ〜(笑)

……何はともあれ、早く読んで母に廻さねば。

ISBN:4408504793 新書 西村 京太郎 実業之日本社 ¥860
漫画文庫なのにやたら分厚いぞ400ページ弱。
そう思えばこの値段はやはり安いのか…。

さてさて。
続けて読んでいたのが洋物だったので、いきなり明治〜大正の日本、しかも幽霊だの妖怪だの妖しいものたちが跋扈する話になるとちょっとリズムが狂いまするな。

正体不明(人間かどうかすらも怪しい…もしかして狐か?誰かさんみたいに)の女性から生まれた青之介はもとは秋月藩主の息子。
しかし、腹違いの姉の心配を他所に、この世のものではないものを見てしまう、話せてしまう。
やはり異界の住人なのだろうか?

この体質が幸い(?)して、妖しげな出来事にどんどん巻き込まれてゆく。
ちょんまげ時代から側つきだった藤言(とうげん)の苦労やいかに。

洋物に比べると、哀話が増えるのはいかんともしがたし。



ISBN:4592883357 文庫 波津 彬子 白泉社 ¥630

お目にかかれて

2007年1月21日 読書
不器用な孫のためにこの世に幽霊となって居残り、孫を指導する(主に恋愛問題)じーさま。
じーさまを観ることが出来るのは、血の繋がった孫と彼に憧れる秘書のミルドレッドのみ。
怖がりのミルドレッドだったが、好きな彼のおじーさまは怖くない。(恋は盲目?ちょっと違うか?)
で、
「お目にかかれて光栄ですわ」
となるわけ。

短編集なのでほかにもいろいろ作品が入っているのだけれど、表題の作品が一番面白かったなー。

戦場特派員として留守にした間に彼女に逃げられていた男の話とか、レジスタンスでともに戦った女性に再会したのに気がつかず、道化役を続ける男とか。
逆に、自分は金持ちの男と結婚する気にはなれず(単純に口惜しいから)、かといって破産した男は自分のプライドから金持ちの自分との結婚を望まない(金目当てと思われるから)。
ならば、とわざと親に勘当させて、一文無しの男の下へ転がり込む、意地っ張りな大富豪の後とり娘の話などなど。

ひとくせふたくせある人間の話が非常に面白い。

しかしこの作者は、洋物も和物も、ノスタルジーの香りで溢れているなぁ。

ISBN:4091913326 文庫 波津 彬子 小学館 ¥590

空中楼閣の住人

2007年1月21日 読書
うるわしの…シリーズの第三弾。
おお、やっと画像が…!(笑)


貿易商のマクラウドさんちに引き取られてきたのは、親戚中をたらいまわしにされていたヴィクター少年である。

主人が留守勝ち(仕事が忙しいのだ)のこの屋敷は、怪異現象が次々と起こるのだが……。

妖精の取替えっ子。
取り替えられた美しい少女は人間と恋に落ち、年に数度の逢瀬だけを楽しみに生きている。
まるで天の川の伝説ですな…。
一年に一度じゃないだけマシ?

取り替えられた妖精、つまり、人間世界に置いてきぼりにされた妖精の子供のほうは、「家事が好きで好きでたまらんのじゃ〜」「あっちの世界には帰りとうはない」と、執事ならぬハウスキーパーをこなす有能な人間、もとえ妖精(とんがり耳と尻尾あり)だし…。

そんなホーンテットなお屋敷とはつゆしらず、引き取られた少年は、一人ぼっちが多かった為に空想好き、ときている…あいすぎる符号。
奇奇怪怪な出来事が次々と…いとをかし(笑)

妖精の世界と人間の世界。
そして、許されざる恋と別れの哀しみ。
作者のお姉さんが良く描いたテーマでもある。
お姉さんの場合は、だいたいが悲恋だったけどね。
波津さんのはハッピーエンドだ。
だから安心して読める。


執事、じゃないや、ハウスキーパーの妖精がいいなぁ。
因みに彼の名前はバナールという。

ISBN:4091387837 コミック 波津 彬子 小学館 ¥840
表紙絵が綺麗なのに、尽く出ないでやんの…ちっ。

うるわしの英国シリーズ第二段である。(表題には出てないな…)

ヴィルヘルムとコーネリアスさんちのメイドさんたちのお話とか、どうもこのチェシャ猫みたいなヤツがらみの話が一番面白いと思ってしまう…。
お口直しの短編みたいなのばかなんだけどね。

幽霊が猫になって愛する人のもとへ帰って来る話とか、小説家の書くファンタジーの登場人物がそのまま表われて彼を連れ去ってしまいそうになる話とか、よくありそうでちょっとひねって有るのが良い。

でも一番面白かったのは、アメリカの富豪一家が英国貴族の城館を買い取り、幽霊が出ないかとわくわくしながら待っている、という話。

所謂成金で、この時代によくあったように、娘を貧乏貴族に嫁がせて"格"をゲットしようとしているのだけど、ぜんぜん暗さが無いというか厭味が無いというか、可愛らしいと言うか。
自分達が成金だということも素直に認めて、英国の上流階級に馴染まなきゃ!と"素直に"努力する姿が…なんというか。

幽霊に遭遇したメイドを羨ましがり(「ラッキーだわ、あなた」なんていってるし)、家鳴りやラップ音を、湿気と建築法のせい(或いは舘が古いせい)だと即断して反省(
「まあ、私たち、合理的に考えすぎてますわ!」だって。)している。
でもって、そこにもともと住んでいた貴族の本物の幽霊が出現!
悲鳴をあげながら、口元は(幽霊に会えたのが嬉しくて)笑っているようなのが年頃の娘だし。

このドタバタ幽霊譚は、とっても楽しい喜劇だった。


ISBN:4091387829 コミック 波津 彬子 小学館 ¥840
先に最新刊「花々のゆううつ」を読んでしまったけれど、一話読みきりなのでまあいいでしょ、ってことで。
うるわしの英国、となんとも魅力的(笑)な副題のついたシリーズを買ってみることにしたのだった。

シリーズ第一巻がこれ。
幽霊か、と思えば現実の人。
人間かと思えば幻想世界の住人と、どんでん返しが愛らしくまた優しい。

"普通じゃない猫"ヴィルヘルムを、コーネリアス(このシリーズで、彼だけは満遍なく顔を出す)が飼う羽目になったいきさつ(「クレア嬢のお相手」)など収録。

鉄仮面(鉄面皮?)の執事もいい味を出してるな〜♪

ISBN:4091387810 コミック 波津 彬子 小学館 ¥840
昨年の夏に射殺(暗殺)されたロシアの女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤ氏の著書。
以前読んだ、プーチンのロシアについての本(「プーチニズム 報道されないロシアの現実」⇒ http://diarynote.jp/d/34813/20061202.html )よりも、前の作品になる。

何故チェチェンとの戦いがこうも続くのか。
しかも余りにも残虐で余りにも容赦がなく…。

その歴史を紐解くところから、彼女は語り始める。


最後の解説(あとがき?)をちらりと読んだ。
(こんなことを書いていて)「彼女はまだ生きているの?!」と驚くロシア市民………

怖い。

ISBN:4140808918 単行本 三浦 みどり NHK出版 ¥2,520

武士道

2007年1月19日 読書
武士道
新渡戸 稲造著のこの本は、訳書(外人向けに書いたため、英語で書かれているから)・解説書・研究書、といっぱい出すぎていて、私が購入した単なる訳書はレビューがない!?

…ので、仕方が無い。

「論語読みの論語知らず」
沢山本を読んでも、それが自分のなかに生かされなければ、なんの意味も無い。
少ししか読まぬ者は少し衒学くさく、多く読む者はそれだけより衒学くさくなる。両者ともども不愉快なものである(三浦梅園)

このように、学問は、臭いの強い野菜と同じなのだそうだ。

「知識と言うものは、それが学習者の心に同化し、かつその人の性質に表われるときのも真の知識となる」

なんか、読んでいてどきどきしてしまった……。

「武士道」
を説くというのは、なにも切腹の作法を、武家の心得を広めようというものではない。
諸外国では、宗教が道徳の規範となる。
ゆえに学校に上がるか上がらないかの子供たちでも、家庭で宗教教育をして道徳を身につけさせるのだ。
それに対し、はたして日本はどうだろうか?
そう自問した時、見つけた答えが、武士道であったと、すでに明治は明けて久しかったけれど、それでも生活の、道徳の規範は武士道だったと、新渡戸 稲造氏は思ったわけである。

外国人に言わせると、宗教なくしてどうして道徳教育をするのか、それが不思議でたまらないらしい。

日本人は逆に、何でもかんでも宗教がらみであることへのアレルギー(?)とまではいかなくても、敬遠したがるところをもっているのとは好対照である。
日本人の場合は、やはり敗戦が大きかったんだろうけれど。

君臣(対皇室)、親子、姉妹、夫婦、朋友との関係は勿論武士道でも大きな要素だけど、それは儒教から入ってきたものである。
宗教を利用しちゃったからなー。
ナチスのゲルマン民族賛歌とどっちが傷が深いのか……。

花々のゆううつ

2007年1月17日 読書
腹痛と風邪の引きかけで休んだ今日の朝。
夜中に寝られず、明けて、ようやく痛みが収まって、うとうとし始めた午前9時過ぎ。
    ……届きました。

起こされました。
配達のおにーちゃんがおつりを捜す間、ひゅーひゅーと冷たい風が玄関から吹き込んできました。

書店にもなく。
ネットでもなく。
どこもかしこも"在庫切れ"でハネられたこの一冊。
最終的にとあるネット通販で在庫を見つけたこの一冊。

そんなこんなの思い入れをたっぷり入れて…読む。

波津 彬子という漫画家さんは、私はてっきり日本の近代、明治から昭和初期のなんとなくあやしい、大正時代のモボやモガが跳梁跋扈しているような話を書く人だと思いこんでいたのだが。
ボースンさまのご指摘で、古きよき英国(ビクトリア時代〜)のお話もお得意、と知って驚いたものだった。

確かに。
この漫画はビクトリアン後期、あるいはその直後のエドワード朝の英国(の上流階級)が舞台である。
短編集のまとまったものだが、なかには同じ登場人物が出てくるものがふたつ。
そして、薔薇が…とにかく沢山絡んで出てくる話が多い。
英国といえば薔薇だからなぁ。
それはそれでお似合いだ。

だが何よりいい味を出しているのは、表紙を飾る猫。
名前はヴィルヘルム……。
なんでドイツ風?

他の作品に出てくる(可愛い女の子が飼っている)犬は、アレキサンダー。

いかにも英国の、ええところのお猫様、お犬様、らしい名前ではあるか。

掌編
「秘密の温室」
「招かれざる客」
「空想科学猫」
は、それぞれヴィルヘルムを主役にした、"猫とファンタジー""猫とホラー""猫とSF"をテーマにした、逸品である。

ISBN:4091307949 コミック 波津 彬子 小学館 ¥840
無意味ではなかった
死を覚悟して敵前に身をさらし、爆弾や鉄砲弾による直撃壇などで戦死する者の多くは「天皇陛下万歳!」と一声上げて果てた。重傷を負った後、自決、あるいは他決で死んでいくものは「おっかさん」と絶叫した。負傷や病で苦しみぬいて死んだ者からは「バカヤロー!」という叫びをよく聞いた。「こんな戦争だれが始めた」と怒鳴る者もいた。
壕内では、たいがい「おっかさん」と「バカヤロー」であった。地下壕の中での生活は、人間界の極限に挑戦しており、いかなる文字を並べてもその実情に迫ることは不可能である。

「バカヤロー」
「こんな戦争だれが始めた」
と、我々が叫ぶような未来が来て欲しくは無い。
わざわざそういうのは、また、こういう書籍が増えてくるのは、野性の(?)勘で、本能で、私たち人間が、日本人が、"何かやばいもの"を感じ始めているからだ。

「死んでね…。意味があるんでしょうかねえ。どうでしょうねえ。だけど、無意味にしたんじゃ、かわいそうですよね。それはできないでしょう。"おめえ、新で、意味なかったなあ…"っていうのでは、酷いですよね。家族に対してもね。そして、どんな意味があったかというと…これは難しいんじゃないですか?
まあ、(死んだ戦友たちに対しては)俺はこういう生き方しかできなかったんだ。勘弁してくれって言うだけです。これで許してくれ。これで精一杯なんだ、と」(NHKスペシャル【硫黄島玉砕戦ー生還者61年目の証言】に登場した著者・秋草氏の言葉)

「どんな意味があったか、それは難しい。でもあの戦争からこちら六十年、この国は戦争をしないですんだのだから、おめえの死は無意味じゃねえ、と言ってやりたい」(同、放送されなかった続きの言葉より)

「バカヤロー」
「こんな戦争だれが始めた」
そう叫んだあとは、私たちはもう、涙を流すしか、泣くぐらいしか術は無いのである。
去年の誕生日に友人・Mさんから貰った一冊。(実はリクエストなんだけどサ)

18世紀から19世紀にかけて、かの戦争の天才ナポレオンをドーバーの向こうに押し留めたのはなにもネルソン一人の手柄ではない。
多くの将兵が、そして英国国民が、この最大の危機に一致団結して戦ったからである。

…けれど。
歴史は英雄を好む。
人も好む。

だから、1805年10月にトラファルガー沖の海戦で戦死したネルソン提督に注目と敬愛とが集まるのも致し方が無いことなのだ。

…というわけで。
帆船と海洋小説が大好きな私は、勿論、この手の本も大好き♪

ISBN:4562039426 単行本 山本 史郎 原書房 ¥12,600

十七歳の硫黄島

2007年1月12日 読書
映画でちょっと有名になってしまった硫黄島。
だが、栗林中将が戦死して戦は終わったと思われたその後も、島じゅうにありの巣のように張り巡らされた塹壕や"穴"の中で、数百否千人を越える日本兵が生きていた。

名無しの兵士達の"生"を伝えたいと、生き残った著者(通信兵)が語る。

(映画を)見るたび(本を)読むたび、悲惨な戦場のことを思い知らされる。

映画やドラマなどでひとつのことが話題にでると、それ関連の資料が、今までは絶版だったものでも再販したりして、次々と出てくる。
それはそれで、助かる。
だがもたもたしていると、あっという間に飽きられて、資料は跡形もなく消えてしまうから急がねばならない。

それにしてもこの本(エッセイ)も、現実にあったことを本人が描いているから、凄くリアルで怖い。
細かいところまでしっかりと尾の得ているというのは、それだけ受けた衝撃が強かった、酷かったということなのだろうな。

良心が生きている間は、ノート(の記録)を白日の下に出せなかったというから、著者の心遣い(戦争に行った子供の地獄にいるかのような、いつ死ぬとも知れぬ恐怖で過ごした日々の経験談を聞きたい親はいるまい)を感じる。

ISBN:4166605445 新書 秋草 鶴次 文藝春秋 ¥840
ボースンどのからのレンタル本。
なつかしのアンジェリク。
大々々ロマンスの華麗なる物語。

A&S・ゴロン原作の本も面白かった(これもボースンさまからのレンタル本)けど、やはり綺羅綺羅しい木原としえ(当時は敏江と漢字表記)の漫画がよろしいかと存じまする。

や。
原作ってさ、やたら込み入っていて、NHKの大河ドラマみたいなんで、読み込むには最高♪なんですよ。
カソリックとプロテスタントの対立とか、歴史背景もしっかりと書き込まれているしね。
ただし長いのと、ただただロマンスだけでは済まないのが…興ざめかも?

「アンジェリク♪」
「ジョフレ♪♪」

だけでは話が進まないので、結構シビアな話の展開になっている。
男女関係も現実に近い(?)ので、一途な恋心を抱き続けて、というのでは決して無い。
ここまであからさまだと、思春期の娘さんたちは引くだろう、きっと引くだろう、と思わせる内容なのである。
嗚呼でも、長編小説としてはすばらしいので、そこんとこは誤解なきように。
シビアに時代と人間ドラマを追及したい人はどうぞ…新大陸に渡ってからでもうんとこさ苦労している様が描かれているので、なが〜く楽しめること請け合い。

全5巻。
ルイ14世、のちの太陽王を暗殺しようとした陰謀に巻き込まれた、アンジェリクと、その婚約者で男前で大金持ちで博識…こんな男がいて良いのか?と思うようなペイラック伯爵。

伯爵は冤罪で火刑となり、一人残されたアンジェリクはささやかな(?)復讐に走る。
ペイラック家の散逸した財産を取り戻すこと。
そして、幼馴染のニコラが実はペイラック伯爵の血縁者であることを知り、彼とともにパリの下町で生きようとするのだが。

じゃ〜ん!
美形はおいそれとは死なないのだ!
 を、地で行くストーリー。

ハンサムな伯爵は火の鳥のように蘇り、フランスとルイ14世に復讐を…ってそこまで過激ではないけど、企む。
王弟を人質にし、王を脅迫し…って過激ですかな?やはり。

伯爵とアンジェリク、そしてニコラの三角関係はいかに?
彼らは女癖の悪いルイ14世の魔手を(笑)逃れられるのか?

火刑直前の伯爵が、アンジェリクにだけ聞かせるために唄った恋歌。そして自分を貶めた修道士を呪う場面がとってもすばらしい(語弊あり?)
「いずれ神の前で会おう」

これって、テンプル騎士団の最後の総長が、自分を殺した王たちを呪った場面に似ていると思う。
彼は、一年以内におまえ達は死ぬであろう、とそういって火刑に処せられたのだ。
そしてその予言は的中した(多分、騎士団の誰彼が、予言どおりに暗殺をしたのだろうが)

なんにせよ、劇的な一幕である。

やはり良いな、この作品は。

この漫画、実は私ももっていた。
昔は。

始末しなきゃ良かったな〜。

ISBN:B00007CGB4 コミック 木原敏江 秋田書店

< 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 >

 

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