後日書きます…けど、笑い話をひとつ。

「鋼」と書くべきところ、ついつい表紙に気を取られて「炎」なんて打っちゃいまして…(笑)

勿論、レビューは出ませんでした。
が、そこでふと気がついた。
今までは、一箇所ぐらい間違っていても、レビューに出てきた本って…結構あるよなァ。

ふ〜ん。出ないんだ。
ふ〜ん。

とにもかくにも、噂の「イシュヴァール殲滅戦」です。
感想は後で。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

迫力ですね。
人はなんで戦争をするのか。?

…それどころじゃない。

大総統の本質と邪悪さ。
徹底的に打ちのめされ、それ故に生まれ変わらざるを得ず、そしてトップに立とうと歩き出した人と、それ支えようとする人たち。
その意思の固まった原因は、この、イシュバールの、どうしようもない、虐殺。

ひとつの民族を殲滅するなんてことは無理。
それこそ、地球ごとふっとばすしかないでしょ。
ヒトラーだってやれなかったこと。

その裏に何があるか…それが明るみに出てくるその歩みを、止めずに見続けることが出来るのか。

人間存在すら問いかける、ハードな漫画だ。(遊びの余裕がなくなった感じ)

ISBN:4757518129 コミック 荒川 弘 スクウェア・エニックス ¥410

家守綺譚

2006年11月21日 読書
まず最初に「いえもり」を「やもり」と読みました。
なんの抵抗もなく…ごめんね。
でも、読んでいくうちにそう間違ってもいなかったのだなぁと一安心。

学生時代に早世した友人の家を預かることとなった主人公の職業が売れない作家でる。
おっとその前に、彼らの時代が今から100年前であることを断っておかねばならない。

時間が逆行す、その舞台は、と言えば。
たぶん京都の東南のはずれか、滋賀県との県境、或いは滋賀県にはいっているか?
そのあたりである。

疏水に、猿。
それがはっきりと示しているのだから仕方がない。

学校学校と言われるのも、多分京大のことであろうから。

その時代で、その場所で、妖かしに気に入られ「いろんなものを見てしまい触れてしまい関わってしまう」主人公は、結構忙しい。
でも、京都は結構田舎だ。
そういう経験譚が珍しいわけではない。

私の大学の恩師は、丑の刻参りに遭遇したし、勤める会社の先々代あたりは、狸に化かされて道を失った(ぐるぐるお寺の白塀のまわりを回っていた)という小僧さんの話など、ごく普通の会話に出ていた。

朝ごはんを食べていて、ふと視線に気が付けば、台所の窓越しに(たぶん、比叡山の)猿が物欲しそうにじと眺めている…なんてのはただ今現在の話でもある。

だから、べつに珍しくは…ない?(笑)

いろんな怨念と、それを封じ込めるたくさんの行事と封印とが渦巻いている場所なのだから、少々摩訶不思議なことが起こってもそれはそう、と受け入れるしかないでしょう。

掛け軸の中と外を行ったり来たりする鷺。
そしてときたまどしーん!と舟をぶつけてくるドジな友人が微笑ましいですね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ちなみに。
宇治市が創設した「紫式部大賞」の受賞作ってこれのことだろうか?
プロ・アマ関係無しでの募集だった…ああ確かに、そうだった。
でも、こんなのが出てきたらそーしよーもない。
だから、ちょっぴり、ずるい、と思わないでもない。
勝てないでしょ?

ISBN:4101253374 文庫 梨木 香歩 新潮社 ¥380

空想工房

2006年11月21日 読書
有名な絵本作家さん。
一時は某銀行のキャラクターデザインをされていた。
銀行の良く使う手では在るが、さぞかし新規申し込みが増えただろう、と推測する。(私はし損ねた)

画家ゆえの視点で色んな事象に目を凝らす。
絵が、あれだから、もっとラフで簡単で読み飛ばせると踏んだのが甘かった。

かなり頭を使うので、もう少し落ち着いてから、続きを読もうかな…と思っている(笑)根性無しの私である。

ISBN:4167380021 文庫 安野 光雅 文藝春秋 ¥441
詩を愉しむ  「六甲山房記」より
短い言葉の中に、大宇宙が秘められている。

詩を詠むことは、宇宙を作ること。

そしてその宇宙に、我が身を委ねるのもまた楽しい。

羅浮山下四時春   羅浮(らふ)山下、四時の春
盧橘楊梅次第新   盧橘(ろきつ)楊梅、次第に新たなり
日啖茘支三百顆   日に茘支(れいし)を啖(く)らうこと、三百顆
不妨長作嶺南人   妨げず、長(とこし)えに嶺南の人と作(な)ることを

                      -蘇軾-

あの、高価な、茘支がおなか一杯食べられるなら、ここ(左遷先なんだけど)の人間になってもいい!
…という詩だけれど、茘支の食べすぎは糖尿病になりますぜ。

葡萄の娘への弔辞(ナーメタージーア)を書けば
友みな睫より流す血の涙
酒肆の門は閉じられても神よご安心を
虚偽(タズウイール)と偽善(リャー)の店の門が開かれますから

           ー14世紀・ハーフィズー
    (ムヴァーリッズ・ウッディーンの酒場閉鎖令発布に対して詠んだ詩)

よき晨(あさ) 我が耳に届きたるふしぎの声
シャー・シュジャーの世ぞ、酒は遠慮無用
識見ある人 千万の言葉を呑み
口とざし世にかくれし時代は終わりぬ

               -ハーフィズ-
           (酒場解禁令の発布に対して詠んだ詩)

イスラームでも、歴史上はいろいろ…そしてこの開放感は、戦後の言論と発言の自由がもたらされた時と同じだろうと著者・陳舜臣氏は語るのであった。

   葡萄の娘への弔辞(ナーメタージーア)を書けば
   友みな睫より流す血の涙

……そうですか。
血の涙を流したんですね?
凄まじいですねー。
同じ禁酒令でも、アメリカ人はどんなふうに心情を吐露したんだろうか?(ピストルと機関銃以外で)

六甲山房記

2006年11月19日 読書
神戸の六甲山に住み…といっても、狐狸妖怪の類ではない。
神戸を愛する作家・陳 舜臣氏。
氏は、震災のあとすぐに、「神戸よ!」と言うエッセイを書いている。
そこに、神戸への深い愛情を感じることが出来る。

彼の文章は結構好き。
なので、友人のUさんがこの本をプレゼントしてくれたのは、とっても嬉しかった。

日本だけではなく、中国までその筆は及んでいる。
…というか、今回は中国オンリー?

さぁ、楽しみな旅に出ようか。


ISBN:400260005X 新書 陳 舜臣 岩波書店 ¥734
この人の絵のように。
この人が花を草木を愛するように。
その命を不自由な体で表現するように。

私も写真に写し撮れたら…などと、不遜なことを考える。

美しい詩画集です。

こんな素敵な本をくれた友人に感謝。

ほんま、うっとりしながら眺めていられる。
人間の真価というのは、どういうときにどこに現れるやら分かったもんじゃない…。
この本を眺めて、作者の身に起こったことを考えて、いろいろと考えます。

ISBN:4039632907 大型本 星野 富弘 偕成社 ¥1,470
今、世界で一番、世紀末アングラが盛り上がっているのはアムステルダム(オランダの首都)や!
と聞いていそいそと、遠路はるばるアムステルダムに来たのはいいけれど。

そこで待っていたのは、ご飯を貰うたびに踊りまくる犬(パトラッシュと命名)(笑)と、妖しげな風体のくせに中身はしごくまともな常識人ばかり。

路上で墨をすり、筆で似顔絵を書きまくる著者をアムステルダムの人は温かく迎えてくれた。

一種の旅行記と言うかエッセイというものだ。
が、ここまでお気楽でのほほんとしたんは初めてだ。
人間、どこでも生きてゆける!という変な自信も持たせてくれるだろう。

肩肘張らず鼻歌でも歌いながら読んでゆける希少な本。
クイーンズ・ディ(女王様の誕生日)の大騒ぎと人ごみの描写は面白かった。

「八坂神社の初詣×30」…っていうのが、関西人らしくてヨイ♪(よそさんにはわからへんやろー、と突っ込みを入れたくなる)(笑)

…で、結局、アムステルダムで一番アングラやってたのは、自分だった、というオチでした。
はっはっは。
何でもオチをつけたがる、そこはそれ、関西人だから。

ISBN:4062069636 単行本 いしい しんじ 講談社 ¥1,020
五日市 剛さんの ツキを呼ぶ魔法の言葉  講演筆録
友人からレンタル本である。

言葉とは不思議なもので、日本では言(こと)の葉(は)とも言う。
口から音として発せられたそれは、呪(しゅ)の力を持つものであり、その言葉によって人は運命を支配される…とも考えられた。

それは日本固有の思想ではなく、古代ケルトなどでは、真名(まことな:本名)は隠し、通称を呼び合うことで、呪によって誰かに(運命を)支配されることを嫌った、避けたと言われている。

人間の考えることは同じだということだ。

で、この冊子は、その言葉の魔力を身をもって経験したという企業家・五日市 剛氏の講演テープを文字に起こしたものであるが、身内に頒布したところ、大変な反響が来たとのことだ。

別に新興宗教というわけではない。
何かを買えとか、信心しろとか、そういうことでは、ぜんぜん、ない。
言っていることは単純明快。

汚い言葉を使うな。
人を呪うな。

何があっても前向きに、前向きな言葉を使え。
「ありがとう」
「ツイてます」

例えば、交通事故にあった絵も、相手を罵れば相手も反抗し、醜い言い争いはやがて法廷闘争にまで悪化するかもしれない。
でも、
(このぐらいですんで)「ツイている」と考えられれば、相手にも「大丈夫ですか?」「ああ、(怪我がなくて)良かったですね」と声を掛けられるし、そうなれば、相手も人間だから「ごめんなさい」と素直に謝ることも出来るというものだ。

そういうことの繰り返しで、人はツキを本当に呼ぶことが出来る。
彼はそう明言する。
仕事でも。
家庭でも。

実際に彼がそういう考え方に遭遇したのは、イスラエルで出会った老婆の言葉からであるという。
見も知らぬ異国人の彼に、自分の家を宿として差し出した老婆。
その老婆の言葉だけではなく、態度物腰が、彼女が信じているものの確かさを直接彼に伝えたのだ。

人間は、直接触れ合わねば、分かり合えない。
否、触れ合ってこそ分かり合える動物なのだ。
ネットでしか触れ合えない人間は、社会から自分を隔絶して心地好いと誤解している。
そもそもマンモスを狩っていた時代から、社会で、集団でしか生きられない動物なのである、人間は。
社会方自分を隔絶して、楽しいわけがない。
安心するわけがない。
本当は。

五日市さんは、そんな状況(相手の不注意による交通事故)でも「ありがとう」と思った、と仰っている。
私はそこまでは思えないが、「これぐらいでよかった」「ツイている」なら、できる、と思った。

気は心。
やはり、生きてゆくためには、人は明るい光を見て、歩んで行くしかないのだから。

発行所:とやの健康ヴィレッジ(有限会社 新潟エネルギー研究書)
?:025-281-8282
URL:http//:www.h3.dion.ne.jp/~energy

黒猫の三角

2006年11月19日 読書
原作:森博嗣氏
漫画:皇(すめらぎ)なつき氏

…の、推理小説漫画である。

もともと皇さんは中国の歴史モノが得意な漫画家。
でも出ビュー作は室町〜戦国時代の時代物。
  …という漫画家さんである。

墨絵のような独特の画風で、ファンも多い。
(私もまた画集をもっている)

阿漕(あこぎ)荘という、ぼろアパートに住む住人3人と彼らと縁の深い、もと華族だかナンダカの、紅子おじょーさまの4人が巻き込まれた連続殺人事件。
それがこの「黒猫の三角(デルタ)」である。
(ほか、短編ひとつを収録している)

瀬在丸(せざいまる) 紅子おじょーさまは、飛んでいる。
何を考えているのか理解に苦しむが、一番哲学しているのは彼女である。
それは確かだ。
つまり…観念的であり、簡単に言えば、理屈っぽい(笑)
おまけに落ちぶれて金持ちの離れに居候する身で、おじょーさまなどと呼ばれている、魅力たっぷりの20代女性であるが、小学生の息子もいたりする。
「親ばかで〜♪」なんて、その容姿・見てくれからは、似合わない科白を言ったりする。

阿漕荘の面々は、半分探偵・半分何でも屋のような、保呂草(ほろくさ)潤平、理系の男子学生で女装しっぱなし(しかも嘗てのふりふりぴらぴらの、KANEKOさん時代のPH系衣裳:見る人が見れば分かる(笑))の小鳥遊 練無(たかなし ねりな)、文系学生だけど大学生であることを忘れるぐらい大学に行ってない、香具山 紫子(かぐやま・むらさきこ)。

彼らが探偵役となり、ぞろ目殺人事件を解決しようとするのだ、が?
ぞろ目というのは…年に一度、7月7日に11歳、翌年の7月7日に22歳、その次は6月6日に33歳の女性が、同じ手口で絞殺されているからだ。
そしてまた、今年も44歳の女性が…。

殺人犯の目的は何なのか?
4人は見事、犯人を突き止めることが出来るのか?

というわけで、最後の謎解きには、かなり、驚いた作品。
いや〜パターンとしてはあるだろうけど、動機がね。

ありえるだろうけれど…。
それを文章にするのは難しかろう。

数字(数学?)解説で、「ダヴィンチコード」のDVDのおまけの謎解きを…思い出してしまった。
嗚呼、わっかんないんだよ〜あれ。

ISBN:4048535307 コミック 皇 なつき 角川書店 ¥714
1977年から少年誌に掲載された作品で、とにかくテーマがでっかいのと登場人物が超有名人なのでびっくらこいた作品。

でも、単なる一学生にはその深遠なる思想もなにもわかったもんではなく、ただただ難解で、哲学書を読むような印象だったことだけ覚えている。

当時は大ヒットした作品だけど、皆、本当に意味がわかって読んでいたのかどうかは非常にアヤシイ(笑)

原作者の光瀬龍氏が1999年に亡くなっていたとはしらなんだ。

阿修羅王。
シッダールタ(釈迦)。
ナザレのイエス。
ユダ。
プラトン。

イエスは番人であり、アトランティスの唯一の生き残りは長い時空を旅して真実を追い求める。

人は、文明は、宗教は。

一体、なんなのだ?

友人から譲り受けた本セット(1箱)に入っていたのが嬉しくて、狂喜して、○十年ぶりに再読です。

ISBN:4253170021 文庫 萩尾 望都 秋田書店 ¥740

口は身を滅ぼす

2006年11月18日 読書
「絶海の訪問者」読了。

…で、身に沁みた教訓。

「口には気をつけよう」

「口は身を滅ぼす」

人間。
言葉で人を殺すことも出来るんですね。

それにしても、危機的状況を何だと思って喧嘩に走るのか良く分からない登場人物たちであった。
力をあわせないと助からない、というときに、一体なにを考えているのだろう……。

子供じゃあるまいし。

燕雀庵夜咄

2006年11月18日 読書
大正風幻想浪漫集と銘打たれた一冊。
作者は和風妖怪(?)漫画が得意らしく、この本でもわが子の行く末が心配で成仏できない幽霊とか、亡霊のようなもの(人間の執着とか妄想によるものだけど)を描くのが非常に上手い。

そして、20年と少し前の、同人誌掲載の作品などはお姉さんで早世した漫画家・花伊悠紀子を彷彿とさせるタッチが見られて懐かしい気分だった。
初期の作品の構成は、お姉さんに似ているかも。
人間の業や執着、哀しい性を見事に描くのである。

純洋館に住む、和服のマダァム…なんて設定も、大正風で素敵だね。
たとえ出てくるのが皆、亡霊でもね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

友人からの0頂き物でです。
たっくさんの本を貰ってしまいました…。

有難う、Uさま♪


ISBN:4257901071 単行本 波津 彬子 朝日ソノラマ ¥816

絶海の訪問者

2006年11月18日 読書
友人Kさんよりの拝借本。

海というのは…はっきり言って怖い。
何が怖いって、ヨットなんかで夜の海を航海しているとき、ひょいと何かの気配を感じたら。怖くないですか?
周りは海。
どこまでも海。

そんなところに現れるのは……そう、でっかい蛸とか烏賊のオバケとか……。(失礼しました…)

マリーセレスト号じゃないけれど、船の乗務員だけが消えている、なんて話も昔から一杯ある。
周期を決めて決まった場所に決まった時間に律儀に現れる幽霊船もある。
海の怪談は種が尽きない。

と、いうことで。
絶海なのに、訪問者?!
というところでまずビビってしまった私。

海のまっただなかで、偶然人と出会うなんて、そんな妖しさバクハツ!なこと…嗚呼怖い。

怖い怖いといいながら、今から読み始めです。

ISBN:4594030009 文庫 矢口 誠 扶桑社 ¥740
母の読みかけの本を取り上げて先に読んでしまった。
読み出したら止らない。
これは、そういう本だ。

気がつけば、本屋の店頭目立つところに、似たような本がずらずらと並んでいる。
何事かと思っていたら、近々公開の映画で、第二次世界大戦での、硫黄島での戦いを扱った映画があるので、その宣伝とブームに乗ろうという、本屋の経営戦略であった。

映画では、
「アメリカから見た硫黄島攻略戦」
と、
「日本からみた硫黄島守備戦」
に分けて二本、上映するとのこと。
ふぅむ、なるほどね。
監督はクリント・イーストウッド…。
西部のガンマンがどんな映画を作ったのやら。

この本は、日本の守備隊(陸・海軍)から見た戦線の有様を、遺族や生存者(負傷して捕虜となってしまった)から聞き取り調査をしてまとめられたものである。
日本側からの映画が「硫黄島からの手紙」と題するように、守備隊の最高指揮官である栗林忠道将軍はこまめに家に手紙を書いた人である。
空襲への注意、家庭生活への細かい差配や家族への温かい心配りなどなど…一人の夫として、父として、最後まで心は本土へ向いていた。
従って、自分の部下にも手紙を書けと奨励した人だった。
それはいずれ遺書代わりになるのだと、彼は承知していたからだ。
現実にそうなったのだ。
家族の写真や、家族に当てて書いたものの出せないままに身につけて果てた手紙が、多くの遺骨から見つかったという。(そして米軍はそーゆーものを回収しているのだ。そういうものも資料にするんだろうね。後になって差し出して、遺族探しをしてはいるが…遺族が名乗り出ないままの手紙=遺書もあるという。)

しかし、なんと言うか…あの時代でも、目のある人はちゃんといたのだなぁ。
アメリカと戦争をしてはならぬと最初から訴える人がいた。
だが、大本営は失敗を教訓にすることもなく、同じ過ちを何度も何度も繰り返し、戦場に無駄に命を散らせている。

硫黄島の陥落は昭和20年の3月26日。
栗林将軍の戦死をもってその日とする。

硫黄臭の地熱で蒸れる地下に迷路を掘り、ゲリラ戦を敢行し、最後まで生き抜いて米軍を悩ませれば【和平交渉に有利である】と信じ、また、硫黄島が制圧されればBー29は日本本土への空襲がやり易くなる。
それを妨げる為に、本土の民間人を守るために、軍人である自分達がここで戦うのだと、最後まで戦うのだと、だから無駄な突撃や自殺行為は絶対にしては成らぬと、そういって部下を励ました人だった。
その部下は、戦争も末期になって徴兵されているのだから、40歳をとうに越した、家族もちの所帯主であったり、15〜7歳の学徒動員であったりしたという。
つまり訓練の行き届いた職業軍人ではなかったということだ。
家族の写真や手紙を…大事に抱いたまま、散っていったのは、そういう人たちだったのだ。
だが、彼らは猛者ぞろいの米国海兵隊をして【イオウジマ】と畏れられる程の激戦を展開した。
すべてはこれ、本土の家族を思ってのことであると。(つまり、よくある、"天皇陛下のおんため"でないところが特徴である)

硫黄島は、米軍が考えたより遥かに悲惨な犠牲をささげ、そうして落ちた。

地獄の島、とアメリカ海兵隊が畏怖と敬意をもって呼んだのはその由縁である。
あのブッシュ現アメリカ大統領が、イラク戦の始まりに言った言葉で、この戦いがどれぐらい重要で厳しくて、だが勝てば官軍…じゃなくて偉大な勝利を手にすることが出来るか、みたいなことを滔滔と述べたその時に、引き合いに出されたのが、【ノルマンディー上陸作戦】と、この【硫黄島攻略戦】であったという。
それぐらい、アメリカ人の頭の中、否、DNAの中まで、硫黄島の単語は畏怖を伴ってインプットされているようなのだ。
…だけど、日本人は知らない。
何も知らない。

日本では、戦争は封印されている。
だから、栗林将軍がどのような人であり、どのように戦ったか。
それは知らされない。
反して、米軍を徹底的に苦しめた栗林の名前は、米国軍では知らぬものがなかったという。

捕虜になった者達も、「イオウジマ・ソルジャー」と呼ばれ、米軍の、彼らを見る目が違ったという。

…というのが、大雑把な、日本側での戦いであろうか。
そして一方、その苦しい戦いを戦い抜いた米軍の、6人の兵士がやたらでかい星条旗(理由もこの本に書かれていた)を掲揚しようとしている写真…のドラマ。それがアメリカ側の戦いである。
なにか、謎が、あるんですってよ。

現在、硫黄島は民間人は立ち入り禁止。(遺族等関係者の訪問は許されている)
自衛隊の施設があるだけである。

そして。
軍事同盟の相手である米軍も、勿論、訓練に同島を利用している。

水のない、灼熱の島で苦しみながら戦った、彼らの遺骨の上で。

ISBN:4104774014 単行本 梯 久美子 新潮社 ¥1,575
言うまでもない。
現在NHKで放送中の朝ドラ。
その主役である作家・田辺聖子氏の今までの作品から、テーマごとに抜粋した文章をまとめたもの、である。

つまり美味しいとこだけつまみ食い…というわけで(笑)
ホッホッホ…。

大阪弁で、やんわりと、(そう、大阪弁は汚くも怖くもないのよ。よそさん。そこんとこ、お間違えなく!)やんわりと、話すように書いている。

そうなんやー。
田辺さんってこういう書き方する人ねんやなー。

と、思いながら読んでます。

厳しい言葉はないけれどね、ときどきドキリとすること、グサっと心に刺さること、ありますねー。
人の一生は<神サン>からの借りものなので<神サン>に、<そない不足が多いのやったら、即、返してもらおか>といわれても仕方なし、人は不承不承に<神サン>の仕打ちを甘受しなければいけない。人生は順風満帆というときほど、人はあやうい。<神サン>は寝首をかく大家。(大爆笑:翠雲注)、だということを忘れてはいけない。かつ、自分の方針や見識、実力が成功をもたらしたとうぬぼれてはいけない。『人生は、だましだまし』

学者の先生がおっしゃるところによりますと、活断層の上にものを建てたら、それはもうどんなに堅固に建ててもだめだそうです。これはえらいことだと思いました。それじゃ、永久に、日本では安心できるところに住めないじゃないかと、どこに住んでも火宅ではないかと怖くなります。でも活断層の上であっても、また生き直せるというふうな発想を私達は育てなければいけない。…(略)…それは自分だけが助かろうというのではなく、みんなで手をさしのべあって生きてゆく、という思想です。(勝ち組負け組と分ける現代と正反対!:翠雲注)
…(略)…震災では反対に外から肉親、友人を案じて、水と食料を背負った人が、続々と阪神間や神戸をさしてやってきました。寸断された道路を歩きつづけ、瓦礫をふみこえて焦土に入ってきました、知人や身内のいない人も「おにぎりあります」と背中に書いて歩きました。それを思えば人間の原型はここにあると思います。活断層の上でも生きられる。理由です。『ナンギやけれど…』

…とまぁ、いろいろ。

そうか…神サンは"寝首をかく大家"か。
なるほど。
納得できてしまうところがなんとも。

裏切られ、裏切られ…でも人間は神を信じて頼るのね?

活断層の上でのうのうと(?)暮らす、いや、暮らせる日本人。
なんだか誉められてるみたいー(な、わけないでしょうが)

端的(短いが、ずばりそのもの!)で、面白い。

お口直し
イイ人間、というのでないと、医者はつとまらない。『ラーメン煮えたもご存じない』

人生には結構、<生きていて良かった>という日が、星屑のようにばらまかれているものだ。『田辺写真館が見た"昭和"』

若い人よ、多く深く本をお読み下さい。(略)あとで読もうと思っても果せぬことが多い。人間の読書の手持ち時間は、意外に少ないのである。『楽老抄 ゆめのしずく』


ISBN:4166605380 新書 田辺 聖子 文藝春秋 ¥788
友人Wさんよりのレンタル本です。

古き良き、イスラームの世界。

王の依頼(命令)で作られ描かれる細密画。
その職人がひとり。

…ある時、殺害された。

犯人は誰なのか?
細密画工房を巡る人と人が物語る。
人以外のものも語ろうとする。
                 たとえば木が。
                 そう、木までが。

どいつもこいつもおしゃべりである。

言葉は次から次へと語り継がれ、読み手は犯人に行きつくのだろうか?

…ということなので、

?登場人物が多くて、油断すると人間関係が分からなくなる。

?各登場人物がそれぞれ一人称で語るので、誰が誰だか気を引き締めていないと…やはり、わからなくなる。

?どのみちぼぅっと読んでいるので遠からず、分からなくなる。

さて、どれでしょう?

笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑。

とりあえず、(細密)画に具体的な絵を描いていいのか、イスラームなのに!?
とそっちに驚きつつ…。
描いて良いのも悪いのも、きっとなにか細かい差異(理由)があるんだろうね。(私が知らないだけで)
偶像崇拝禁止のイスラームは、幾何学模様しか許さないはずだから。

ま、そんなこんなで、じっくりゆっくり読んでます。

Wさん、時間かかるけど、許してね?

ISBN:4894344092 単行本 和久井 路子 藤原書店 ¥3,885
日本で大学で教授として働く中国人女性が、なんで日本(人)と中国(人)は、こんなに分かり合えないのか?、すれ違うのか?、を自分なりに考察した一冊。

てっきり男性だと思い込んでいた…顔写真を見て女性だと気がついたぐらい。
中国人男性にしては、遠慮した物言いをしているなぁとは思っていたんだけど。

いや。
中国人女性が大人しいとか引っ込み思案なんてことはとてもとても言えませんがね。(夫婦喧嘩は大抵奥さんが勝つような国だ)

一言で言えば、
?日本は、感性の国。
 死んだら皆、仏。
 生前の善悪は関係なし。
 ましてや、祖先の行為を子孫に償わせるというのは、やりすぎ。

?中国・韓国は理性(儒教)の国。
 善か悪か、ただそれだけ。
 例えば…村人を人質に取られて、海賊の頭領の手当てをしたチャングムは、その後役人に逮捕された。なぜなら、海賊(=悪)を助けたから。理由は関係ない。やったことだけを処罰する。

 また、太平洋戦争当時に日本軍に味方した"裏切り者"を いぶりだして 調査して、本人が亡くなっていたとしてもその家族から財産一切を没収するという法を定め、現在、もう動き出しているとのこと。(おそろし〜)

こんな両国だから。
国際的に、手を取り合うのは難しい。
確かにね。

韓国は中国の<よき生徒>だそうで、儒教に関してはそのまんま受け継いで、キビシク社会を律しているそうだ。(最近の若者を見ていると、? だけどね)
だが、儒教は宗教ではない。
あくまでも、社会倫理である。
共産党の高級幹部を育てる北京の大学では、四書五経が必須科目になっているという…。
そうか、そうやって、儒教倫理で日本を攻撃してくるわけであるな。

日本人の特性である判官びいきも、中国・韓国の儒教思想では考えられないそうだ。
善か。
悪か。
その人が、どうだったか。
それだけ。
だから、自国を侵略しようとした敵である元寇の慰霊碑を、鎌倉幕府が建てたというのも理解しがたいのだそうだ。
さもありなん。

ああでも、同時に、沖縄に立っている戦没者慰霊碑は、<日本人><強制連行された中国人・韓国人など><攻撃側のアメリカ人>が並んで慰霊されているという。
それはいいんだって。
すべてを、恨みを忘れて、皆平等に扱う。奉り、拝む。
………それは、いいのか。

日本人の私は、理性=儒教、と断じて正しいとするその思想の方が相容れない。
逆に、そのほうがおかしいとすら感じる。
中国・韓国の儒教思想は、西洋の合理的思想とほぼ同じである。
では、日本だけがおかしいってことに(笑)なるわけだけど、そもそも、世の中には、世界には、善か悪しかない、という考え方こそが、狭量ではないかと思う。
その間…ああ、そこが、外国の方が言うところの、<玉虫色>とか<グレーゾ−ン>とか、そういわれるところなんだろうね。

著者曰く、それは日本人が自然のなかに生きているから。
自然を、動物たちを、他の生き物すら、自分達と同じであると感じているから。
だから時世の句も自然を詠む。
親への考が足りませんで云々…という詩(遺書・遺作)にはならない、日本人は。
中国人なら親や国家に対する忠孝が云々…という詩になるという。

たとえば、禅の悟りも、"自分の内面で悟る"もの。
つまり、自分が自然のなかに身と心を置いて、自分だけで悟るものだからだという。
だから日本でここまで発展したのだと言う。

ただし、この本は、
日本という国は実に変わっている。
特異性がある。
だから、直しなさいよね、というのではない。

こんなに考え方が違うのよ。
だから食い違うのも尤もなのよ。
両方とも、そこんとこ考えないと、話はつかないわよ。

……そういいたいのだ。

ああだけど。
違うなら、どっちが歩み寄るか、妥協するか、それを強く押し付けるのも、またこれ民族性というか、特異性ということになるんだろうね。
相手に変わる(変身する、そして、変心する)ことばかり要求する。
強く言うほうが勝つ。

そういうのが、どうもねぇ…。
西洋式に外交をするなら、そうあるべし!というのも、なんだかなぁ。

それに。
今や、カネカネカネ…で自分の足元を見ていないのは、日本だけじゃないしなぁ(笑)
それも、自分が恥じることをしていない…で金儲けをしているんだから、善なのだろうか。
貧乏(人)なのは悪なのだろうか。

いまいち、納得のいかない読後感であった。
別にいいけど。
ひとそれぞれだし。
国それぞれだし。

それに、そんなに摩訶不思議で変わった考え方であり風土であり国民性であるというのなら。
いっそ"世界遺産"とか、完全なる保護をしたらどうよ?
O氏が言うところの「憲法第九条を世界遺産に!」と込みでさ(笑)

なんだか、冗談ですまなさそうだけど……
地球上の孤児・日本人?

ISBN:4022731087 新書 王 敏 朝日新聞社 ¥756

月亮忘記了

2006年11月13日 読書
月亮忘記了
これもまた、「ターンレフト・ターンライト」の作者・幾米の絵本である。
定価15.80元……何が違う?ページ数か?

内容は、簡単に言えば、"夢落ち"であろう。
ベランダに座っていた(←危ないに決まっている!)とある男(主人公)が、ひょんな拍子で落っこちる!

そして、その後、世界からお月さんがいなくなって……

一人の子供がお月さんをゲットするところから、お月さんが空に帰るまで。
夜空に月をなくした人間世界がやったことは?
そしてその結末は?

この絵本のなかには、ストーリーと関係があるのかどうか…所所々に少年とお月さんを見守るように、鼠(?)や兎やキリン(首の長い方・中国の霊獣ではない)や鳥の雛…の超特大バージョンが寄り添っている。
それこそ、影のようにそっと…。
それがなんだろうか、怖くはないのだ。
何を暗示しているのだろうか?

ちゃんと正面から、たよえ簡体字でも面倒くさがらずに、きちんと、文章を読めば分かるんだろうけど〜えへへへ(笑)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これは中華人民共和国で出版された絵本だけど、絵本ということで、ふと、中華民国(台湾)で本を探したときのことを思い出した。

私はそのとき、『白蛇伝』という本を探したのだ。

あーちなみに、それは、昔、東映がアニメで作ったヤツです。
小柳さん主演のお色気映画ではなく(笑)

…で、店員さんがもってきてくれたのは、(↑)の本。
違いますってば。
原作日本で、なんで日本人の私が台湾でその本を探しますかってば。
それに、それは『白蛇抄』ですがな、その本の題名は!
私が捜しているのは『白蛇伝』!

…という細かい突っ込みは私の語力では出来ず。
その次に、それでは、ともってきてくれたのが『白蛇伝』の絵本でありました。
絵本はイラナイ…とお返ししたんですが、ぜーはーと息を切らしながら捜してくれた若い店員さん(捜したのはデパート内の本屋だった)が印象的だったなぁ。
今更だけど、ありがとう&買わないでゴメン。
向左走・向右走
先にレビューであげた、「君のいる場所」…の原作本。

中身は勿論一緒だけど、表記が中国語になっている。
そう。
これは中華人民講和国で出版された絵本である。
だから…簡体字が…なのね(笑)

まだ漢文ならなんとか、しかし現代中国語は簡体字になっているのでなかなか読めない。やだな〜と思いつつも、ま、所詮は絵本だし、とぱらぱらめくって主に(ほとんど)絵を見てました(笑)

定価16元…が高いんだが安いんだか。

…いや!
昔、上海の路上(ほんまです。路上に布とか敷いてその上に本を並べて売っていたりするのです)で絵本を買ったとき、妙〜に高かったぞ。
あれはたぶん、ボられたんだろうとは、思うんだけど、それでも薄っぺらい絵本一冊で、日本円で千円近くした覚えがある…きっと、10倍ぐらいになってたんだろうなぁ。
アイスクリームなんか、一個100円もしなかったくせに!(左様、私達は路上の商品ばかり漁っていたのであった。中国人に混じって…)
嗚呼、誠実で正直な中国人(1984当時)はどこへ行ってしまったんだろう…。

で、翻訳本とどちらで読むのがいいか、と問われれば、中身をじっくり吟味したいのなら、そして中国語(或いは現代中国漢字)が苦手なら、翻訳本を読むことをお薦めする。
なにも無理してきばって原作を読まんでも…と私は思うのだ。

HORST PORTRAITS

2006年11月13日 読書
HORST PORTRAITS
同じくレンタル本…異国の写真集である。

こっちも中身は凄いけど、迫力があると思ったのは、

Tallulah Bankhead…の横顔。
額が秀でていて顔がごつごつ(と言ってはいけないのか。この場合は、凹凸がはっきりしているというのかな?)していて、高く髷を結い上げて、決して清楚な美女、って感じではない。
だからこそ、迫力がある。
忘れられない魅力がある。
……というか、怖くて忘れがたい(笑)というか。
怖い美女って、こういうのを言うのかな?

こちらには、有名雑誌・VOGUEの表紙写真もあり、従ってカラーが多くて華やかである。

マレーネ・デートリッヒの眉とかは、あれはこの時代の流行なんだろうけど、ダリの口ひげが……やめてくれ〜笑える〜(笑)
あんたは、コメディアンですかい?!
と突っ込みを入れたくなるデキの写真があった。

面白い。
ほんま、面白いよ。
写真集。

< 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 >

 

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索