これもまた友人からのレンタル品だ。
だが、つい写真って処に魅かれてずるずると…こっちを先に読み進めてしまった。

著者はその名前からも明らかなとおり、慶喜公の直系の曾孫である。
高松宮妃喜久子殿下は伯母上に当たるという。

そして、そういうことを頭に入れて写真を見る。
"著者近影"
…………
そこらにいる、陽気なおじさんにしか見えん。
ニッポンチャレンジのキャプテンを務めた故南波さんに似てるんじゃないかな?
などと思いつつ、見る。

職業はカメラマン。
そして慶喜公は、ミーハーであられた。
それも単なるミーハーではなく、とことん突き詰める・極めるまで熱中した。
勿論舶来渡りのカメラにも。

今では貴重な江戸文化の証拠写真と成る写真を、たくさん撮っているのが慶喜公であった。
勿論、将軍職を引退してからのこと。

ここぞ!という構図をちゃんと選ぶのはセンス?
いやはやたいしたカメラマンであった、元将軍様は。

たいしたものだと感心する著者はプロのカメラマン。
決して身贔屓ではないと仰るが、まあひーじーちゃんのことである。
ちょっとぐらい誉めてあげてもよかろうってもんよ。

維新後の社会を興味深くファインダーに収めた最後の将軍は、意外に進歩的で明るく、いいヤツだったのかもしれない。

大村益次郎の銅像の写真を嬉しそうに撮ってるぐらいだから……。
嗚呼。

それでも、有名人を身内にもつ利点は…。
特にご先祖にもって得なのは、業績・事績がわかりやすいって事か。
普通、先祖の記録や家系図なんかを書こうとしたら、大変だって。
意外に知らされてなかったり、覚えてなかったりで、年寄りが死ぬ前に話を聞きだそうと四苦八苦するらしい。

そんなことしなくても、皆、知っているし、それ以上に暴き立てようっていう研究者も存在する。


ISBN:4047100234 新書 徳川 慶朝 角川書店 2007/04 ¥760
友人から速攻レンタル!
どれぐらい早いかと言うと、このレビューに画像が出てこないくらいに早い。

あいも変わらず笑わせてもらってますが……気のせいだろうか?
今回はちょいと薄いぞ。本が(笑)
ネタは無くなって…なんかいないだろう?(笑)

もう引退しちゃって旅に出た、木枯らし門次郎・ナカータが出てきているのが時代を感じるというか、懐かしいというか……。
彼に対しては「その年で自分がわからないのか…」なんていう批判も聞いたけど、まあそれが許されるだけの環境を、彼は自分で作り上げたんだから、いいんじゃないのか、とも思った私。
ただ、羨ましいというか。
その年で悩んでいられる余裕を持てる、というのが羨ましくて、それが昂じれば嫉妬、批判に繋がるのかもね。

さて。
サッカーについては、私はそれほど入れ込んではいない。
普通にスポーツを愛する程度で愛している。
国際試合とか、これは見所、とおもった試合の中継は見る。
そして地元チーム(サンガ)の試合のチケットが手に入りそうだったら入るように努力をして、平日のアフター5でも、少しぐらいの疲れなら、まあなんとか出かけてゆく。
本物の試合はそりゃぁ迫力が違うしね。

その程度かな?

そうして入手したチケットが、実は現在2枚あるというのも真実。

つまり、きっちり試合とか勝敗表とかを追いかけてはいないくちだけど、それでも面白く読めるんだからすごいよなぁ。

このまま続けて欲しい一冊である。
…つうか、これがきっかけでサッカーを好きになる人って絶対いる、って思うけどな(笑)
いないか?(笑)

ISBN:4930942837 ムック 村山 文夫 日本スポーツ企画出版社 2007/04 ¥840
売れ行き上々でベスト○に入っているそうな、この本。
タダでさえ黄色い表紙で目に付いて、それでまた目に付いて、内容をぱらぱらと立ち読みしてぷっと噴出して購入。

決して裁判官諸氏を揶揄しからかっているのではありません。

真面目に、「こういう言葉が発せられている」ということを、裁判所とはとんと縁のない我々庶民にも教えてくれる優しい手引書(みたいな)本である。

説諭、とかこういうこともいえる、言っている、言ってもかまわないんだ裁判官は…ということ。
そしてまた、裁判官が3人いると誰が一番偉いのか?とか夫々の立場(順位)はどうなのか?とか判決の意見が対立した時はどうなるのか?ナドナド…誰でもふと気になることを判りやすく解説。
何しろ著者は7年間、司法試験に挑戦し続けた人。
詳しいのは当たり前で…ついでに言うと、辛らつでもある。
十五年以上も司法試験に挑戦し続けている人は、信じられないことに、2707人(受験者の全体の1割以上)なのだそうだ。
そんな彼らのことを、
「経済的・時間的資源を食いつぶすだけ」
と嘗て司法浪人(?)だった著者も容赦なく言い捨てる。
たしかに、一生をそれだけに使うわけ?と思うと他人の私が見ても勿体無いと思う。
一度きりの人生なのに。

そして量刑の問題。
これだけの犯罪を起こしているのに、たったそれだけの懲役?とか思うのはしばしば有ること。
あれは前例に照らして"順当な"と思える量刑を選ぶからだそうだ。(ちなみに検察の求刑の8割が妥当とされるセンらしい…検察もそれを見越して2割り増しで求刑している、という悪い噂も…あるのか?)
いかに残虐でも、特出して懲役が長かったりすると、問題らしい……けれど、被害者や遺族はそんな話では納得するまい。

そのなかで、勇気をもって大胆な判決をする裁判官もいるのだという。
検察側の求刑よりも、思い量刑を科した裁判官もいるのだと。
すごい勇気がいることらしい。
それに司法は行政や立法からは独立していると憲法では謳っている。
でないと公正な判断は出来ないから。
でもでも、良識と善意と人間としてのけじめと…で前向きな判決を下さした裁判官は、大抵昇進がストップしたりわけのわからない異動(これって左遷だよね?)をさせられたりするのが現実なんだそうだ。
日本の政治って……。

我々素人が裁判に関わる日も、やがて来る。
嫌だといっても必ず来る。
人の人生を左右する問題。
アメリカの陪審員制を見ても、というか、見るたびに「あやしい〜」「いい加減〜」「あぶね〜」と思っている身には、ものすごい重責以外のなんでもないのだけど。

…*…*…*…*…*…*…

どんな凶悪事件でも、だいたいは理性的に読んでゆくこの本なんだけれど、身近でおこった殺人事件の裁判の話が出て、そのときだけはどきっとした。
殺害されたその当日、うちの会社に来られていた取引先の方なんだけどね。
仕事の後、宴を張ったのはうちの会社。
その帰り道…の出来事。

誰とは特定できなくても、自分が案内をしお茶を出し、ちょっとは言葉を交わしたんだ、その人だ、と思うと心は穏やかではいられない。
いわんや、身内や友人などは、どう思うだろう。
どう感じているだろう。
その哀しみはいくばくか量れるものではない。

所詮自分にかかわりがないと、どんな重大な事件でも「ふう〜ん?」「かわいそうに」ぐらいで済んでしまうということか、とそう思いもした瞬間である。
逆に、こうして袖擦りあった相手であれば、どう思うか?
平静でいられるはずはない。

これで、陪審員制…だいじょうぶか。

ISBN:4344980301 新書 長嶺 超輝 幻冬舎 2007/03 ¥756
イニシャル・年齢・OL・ホクロという、共通事項をもつ女が次々殺されてゆく中。
共通項があると這いえ、それだけで犯人を特定するのは意外に難しい。
東京と和歌山。
その二つの場所で繰り広げられる殺人劇。

横から便乗犯は現れるわ、そのニセモノを本物と勘違いして復讐者は現れるわ、では、本命は霧と霞の向こうに隠れてしまう。

東京で起きた事件を追いかけて、和歌山は南紀白浜までやってきた十津川警部と亀さん。
地元警察の警部に煙たがられながら、邪魔者扱いされながら推理を展開し、真犯人にたどり着こうとする。

白浜周辺は私の思い出の地でもある。
関西に生まれて住んでいれば大抵はそうだろうけど…夏休みの海水浴だの、太地の鯨だの、那智勝浦だの……それと、過疎化で大変らしい北山村。
あの村から、かつては材木が切り出されて町まで流されたその川を、材木を束ねて作った"筏"で下る。
筏下り。

滑らないようにするのは、出発地点の売店で売っている"草鞋"が一番。
3本ばかり材木を組んで作った筏の上でへっぴり腰でたったまま、腰ほどの高さに張られたロープを文字通り命綱として両手で掴んで下るのだ。
全行程で4〜5時間だったか。
美しい水が体にあたり、山中の青い色がついているんじゃないだろうかと思うような風を切って進む筏に乗っているのはは、とっても気持ちよかったが、年齢制限はあるだろうなぁ…あれは。

終点は三重県・和歌山県・奈良県の三県が交わる瀞(どろ)峡。
渓谷には、一軒だけ、ホテル(旅館)がある。
昔からある古びた旅館だが、ゆっくりと静かに過ごすには最高じゃないかな?と思える旅館であった。

そこからはジェット船に乗り換えて、海べりの町へようやく出るというわけ。

というわけで、南紀にはたくさんの思い出が詰っている。
あ、そうそう、今時は白浜アドベンチャーパークもその思い出のひとつなんだな。
パンダとか、ペンギンとか。
サファリランドの厳しい目をした猛獣達とか…

如何せん、仕事でやってくる十津川警部ちには無縁の場所かも。
かわいそうに。
ドラマだったら、無理やり用事をこじつけて、ご当地紹介をするんだろうけどねぇ(笑)
視聴者も、半分はそれが楽しみだろうから。

ISBN:4167454319 文庫 西村 京太郎 文芸春秋 2007/04 ¥540
極彩色で、いかにも!な大笑大正浪漫の着物集。
出しているの(著者)が、漫画家だ。
しかも濃厚な絵を描いている。
CLAMP、といえば「あぁ」と判るだろう。

ま、表紙を見ればわかるか…。

CLAMPは女性4人の共同体。
そのひとり、もこな嬢が着物好きだとは知らなんだが(…つうか、そこまで興味もないし)(笑)

とりあえず。
派手だ。
派手だわさ。
ま、自分が着るとか身につけるとか、そういうのではなくて、「おおっ、すげー!」と見て楽しむにはいい。
漫画家だから、色の配色とか、絵とか、は、凄く面白いし、それなりにバランスは取れている(嫌いな人には最悪だろうが)し。

色や小道具を楽しむには面白い、と思う。


ISBN:4309269273 単行本(ソフトカバー) CLAMPもこな 河出書房新社 2007/02/14 ¥1,575 
とある学者が旅をした。
否、留学したってさ。
でもって、見るもの聞くもの面白げに、ふるさとの父母に書いて送った。
なんて筆まめ(笑)
そういうものを集めてみれば、楽しい旅行エッセイにもなるって事だよ、アケチクン。

時はこれ、清国って言うぐらいだから、辛亥革命前後のきなくさい中国大陸しかあるまい。
(勢い盛んなりし時の清国は鎖国だから、留学なんて考えられない…おっとぉ、その頃は日本も鎖国やんけ)(笑)
著者の留学は1906年から二年間だから、まさしくきな臭かったころあいだ。

しかし。
自分が放り込まれた、かつての文明の中心国・中国で感じる文物や人々の暮らし。
所謂文明と文化を、文明開化なった東夷がどのように感じるか。
どう思うか、を素直に書き綴っているのが新鮮で楽しい。

舗装されぬ道は、中心が馬車道で、両脇が人の道。
これはよくある話だが。
人の道と馬車道の間、に、溝がある。
深くて暗い溝が……って、晴れて乾燥しているときは、人はそこを歩けるが、ひとたび雨が来れば、泥酔が汚物を巻き込んで道を浸し、その溝に流れ込み、時々人がその溝に落ちて落命する…なんて、まさかな!と思うけど、そういうハナシが出来上がるほど、道の状態は酷かったんだろう。
道の曲がり角には汚物が。
窓の内側から汚物を捨てる人が。
……まるで、近世までのフランスはパリの都だね(笑)

最初にど〜んと立派なものを作るのは中国人の素晴らしさだが、メンテナンスをしないのが中国人の凄いところだと著者は言う。
ちょっと直すとか、不具合があったら修正するとか。
そういうことをまったくしない。
既に明治の日本人は、そのように見抜いていた。

昭和の終わりごろにかの地に赴いた女子学生たちも見抜いた。
「なんでもかんでもメイヨー(ないよー)だ。」
ちったあ、仕事しろよ!中国人!

おおらかとナマケモノは違う。

北京オリンピック……やっぱり心配だな。

そして、北京など、北清ではお菓子は不作(笑)
ただし、果物は豊富ですばらしい…と。

そうかな?
その昔、北京で出たみかんは乾燥してスカスカだったけど。
美味しいのはサンザシだ。
サンザシの飴がけ。

いかん……食べ物の話題にだけ過剰反応してしまう。

ISBN:4061597612 文庫 宇野 哲人 講談社 2006/05/11 ¥1,260
ようよう最新刊を読了…というのも、貸し手である家族が購入しているのも、刊行されているのもまったく知らなかった(笑)からだが…。

なーんか、政治にのめりこんでいるなぁ。
七家全部、順繰りに書いてゆくつもりなんだろうか?作者は。
単に、政治話がすきなのか…?

歴史小説ならまだしも、ファンタジーでそれをやられてもなぁ。
所詮は空想世界の話。
政治話なんて、ナンとでもやれるし。

最初に茶。
次は藍?

嗚呼だけど、一つ一つが中途半端に終わっている(終わっているとも言えない状況か?)ので、どんどん膨らんで、膨らみすぎて収集がつかなくなるのが恐ろしい。
杞憂で済むだろうか?

だれもかれも美形で有能にしてしまうから、外せなくなるんだと思うのだけど。
下手に人気が出たら、舞台から下ろせない。

わさわさと舞台に溢れる準主役がいっぱいいて、各人がかすんでしまう。
勿体無い〜。

実は、新刊を読むたびに「これ、誰だっけ?」状態がずーっと続いている。
霞んでいるんだよね、確かに。
また、妙に「類似の」人間を出してきたしな…どうするんだよ、これ?
始末はつくのか?

主役の紅秀麗の人間的成長…も、言われれば、そうか、と思う程度か。
"最後まで隣に立ってともに闘う為に"
奥さんではなく、官吏を選んだんだったっけ……?
ああ〜ごめんよ、大事なところなのに、あれよあれよと話が飛んで跳ねて進むもんだから、そこんとこ、ちゃんと把握してなかったわ。
気が散っちゃって…。

そして、彼女の周囲の人間達もそれぞれ成長しているハズだが…もっと読み込まないとダメか。

話の展開が読めなくて、どきどきするのならいいんだけど、一体どうしたいの?と中途半端でどっちつかずのまま浮遊しているような気持ちの悪さで、足が地に付かない不快感だけが強調される。
新しい登場人物を出す前に、既存のヒトやモノや事件を、ある程度は整理したらどうかな、と思うのだが。

主筋をずどーん、と通して話を進めて終わらせて、その枝葉部分(外伝)ってことで、周辺の人物を掘り下げれば良いんじゃないのかな、と思うんだけど。
どれが主筋なのか、枝葉なのか、わからなくなってくる。

船頭多くして、船、山を登る、に似た感じだ。
いずれは道に迷って遭難するんじゃないかと、不安。

単に私がついてゆけていないだけならいいのだけど、いろいろ引っかかったり気になったりする小説である。
ま、それでも"読めて"いるんだから、悪態をつくほどのことではないのかもしれない。

&表紙の主人公が、観音様に見えてしまった…孫悟空の。
やっぱ、私の感性がおかしいか。

ISBN:4044499136 文庫 雪乃 紗衣 角川書店 2007/03 ¥500

不公平感

2007年4月16日 読書
イスラエルとアラブ。

比べてみると、確かに不公平感はある。
過去の歴史をよりどころに。
数千年前のこと。(聖書によるユダヤの土地決定)
その後の数千年のこと。(その後、世代を重ねてきたアラブの家族の歴史)

どっちが上か、なんて言えないけど。
今、一方的に潰され壊され台無しにされ「なかったこと」にされている後者の歴史をおもうと、心穏やかではいられない。
墓場まで潰して建物を建てるなどとは……。
そこまでやらねばならないのだろうか?

そして、映画に表われる意識やスタンスというのは、本当にわかりやすいね。
アメリカ映画におけるアラブの位置を考証しているのを読み出すと、本を置けなくなってしまった。
一気読みである。

鈍重で。
考え無しで。
凶悪で。

アラブはそんな姿で固定されているのかと、そういわれればそうだったような気もするし。
ギャグ映画だと思って見過ごしていたひとつひとつに深遠な企み・含みがあったのかと改めて気付かされたり。

「アラビアのロレンス」の作為的な演出は、そりゃぁ気付いてはいたけれど、「智恵の七柱」まで読んだのに、となんだか騙された気分は、やはり、ある。
精神の徐々に崩壊して行くかのようなあの描写が、映画の中心だったのはよくわかるが、あれもまた見る側の精神にも重荷を押し付ける描写だったよなぁと思う。
年をとったら、あれは、辛いかも。

昨年だったかに見てきた「ミュンヘン」という映画の、ひしひしと皮膚に迫るような怖さも、こうしてみればなるほどと思う。
史実と現実とを、虚構とイメージで味付けしている。
史実だから嘘ではない。
だけど……。

空港での銃撃戦で人質になったイスラエル選手団を殺したのは、テロリストではなく西ドイツの軍だった…しかも、それをイスラエル政府は承知していた、なんてショッキングな話を聞けば、動揺しないはずはない。

映画ではないけれど、19世紀初頭だったか、18世紀末だったか。
エジプト人(だったか?)と結婚していた白人女性が、愛憎の果てに旦那を殺害、裁判にかけられた。
その時に彼女の弁護についたのが、なんとかいう有名な弁護士で、彼の、「暴力的で非人間的な有色人種などと(誤った)結婚をした彼女を、許し、白人世界に迎えてやらねならない。」等と言う詐欺の様な弁護で無罪を勝ち取ったという事件があったという。
いや、マジで。
有色人種なんかと結婚した彼女は愚かで阿呆で無知だった。
だけど、その誤りに気がついたんだから、両手を上げて、彼女を許し、慈悲の心で西欧(白人)社会に帰還をさせてやろうじゃないか、というなんともエゴイスティックな論法である。

そこでは、有色人種は人間ではないと言われている。
エジプト人で有色人種で、といえば、そこに示されるのは、この本でいうところの"アラブ"だろう。
きっと。

裁判の始まる前は、ごくごく常識的に「有罪」と予想し考えていた世間や傍聴人(勿論白人だ)だったのが、この弁論を聞いてまんまとまるめこまれ、拍手喝采でこれを支持したというのだから…。

まぁ、凄いわね。
この一例をとって見ても、その凄さがわかるってもんよ。

まあね。
島国の人間である我々には、想像できない重荷を彼らは背負っているのだろう。

嗚呼でも。
私は映画はあまり奥行きを考えずに楽しみたい派である。
考えなくちゃいけない映画は、そのつもりで見る。
だが、そうと示していないものは……単純に楽しみたい、とおもうんだけどな。
映画の中のアラブとは。

莫大な石油資源を背景に、ロールスロイスを乗り回す異邦人(田舎モノ)?
抜き身の刀を持った、陰険勝つ凶悪勝つ腹黒い男たちと、男を垂らしこむヴァンプたち?

それはアメリカ映画で描かれてきたもの。

だが、本当はどうなのか?

映画に見る、"アラブ"観を過去から辿る一冊。
友人から借りて、どうかな〜と思いながら読み始めたら意外や面白い。

この本の執筆のきっかけは、例の9.11事件。
あれでアメリカはアメリカ国内のアラブを敵視し、事件後半年のうちに何らかの被害にあったアラブ系アメリカ人は数百万に登ったという。
挙句、ターバンを巻いている、というだけで、「間違って」インド人シーク教徒が殺されている。

アメリカ人は単純で、直情的で、一気に同じ方向に向いて突っ走る。そう、リーダーをもたないフラミンゴのように。

…と、笑うなかれ。

関東大震災の時、日本人がなにをやったか。
在日朝鮮人を、「騒乱のドサクサに水に毒を混ぜた」と決め付けて虐殺したのだ。
集団パニックは恐ろしい。

もっとも、このときは、社会主義者である日本人もドサクサ紛れに虐殺されるという、理性的な計画的な犯行もあったのだが。

まぁ、アメリカ人の精神を、根幹を創り上げた西部では、なにより力が一番。
地からがモノをいう。
冤罪であっても、慎重な審議があったのかどうか、つるし首など、リンチというものは、ごく日常的に行われていたというし。
冤罪のまま電気椅子で抹殺された著名な夫妻がいたという話も、つい数十年前の事件だ。

イスラム教徒はインドネシアやパキスタン・バングらデッシュなど、アジアと呼ばれる地域の方が多い。
"アラブ"と言う名でひと括りにして、過去の妄執に憑かれたまま間違った主張を繰り返すのはいい加減にやめておいたほうがよさそうだ。

ところで。
トーキー時代の映画で、既にフィルムが行方不明の映画があるというのだが。
それでも写真は残っているのだ。
宣伝用に撮ったのか?
とりあえず、違う方法で保存しておくことは大切なことだ。
重要な情報を収めたフロッピーは必ず二枚作っておくとかね。
(会社では常識)



ISBN:4022599154 単行本 村上 由見子 朝日新聞社 2007/02 ¥1,470

自殺と思えば…

2007年4月13日 読書
自殺と思えば…
何かあるたびに、思い悩み、意外にあっさり自害する。
昔の人って、強いんだか、弱いんだか……。

役者だけに、情緒の(振幅の)振れ具合が激しいのだろうか?

たかが一冊、600ページ余。
なのになかなか先に進まないのは、中身が濃いせいか。(確かに字は詰っているが)
それとも私が鈍くさいせいか。

近所に住んでいた爺さんが、江戸時代に死んだ役者とともに旅をした人物だった……。
というような話がポンと飛び出してきたりする。
吃驚させられる。

明治は遠く…どころか。
異世界の話みたいに聞こえるが、たった200年前の話。
そこから自分の年齢を差し引けば……たった○○前!(笑)

こっちのほうに、もっと驚いたりして……(笑)
時代性?
みなさん、あっさり白状なさる。

思い切り?
諦め?

が、良すぎる。

もっとあがいて、誤魔化して、影でウフフ…と悪役らしく笑って欲しいものなのだが。

時代性かな?

「車引殺人事件」「尊像紛失事件」「立女形失踪事件」
まで読了。
だが、
「等々力座殺人事件」「松王丸変死事件」「盲女殺人事件」「ノラ失踪事件」「団十郎切腹事件」「六スタ殺人事件」「不当な解雇」「奈落殺人事件」「八重歯の女」「死んでもCM」「ほくろの男」「ある絵解き」「滝に誘う女」「加納座実話」「文士劇と蠅の話」
と延々続く。
これがたった一冊の文庫本(太いが)に収められている、というのがすごい。
そしてすべて、歌舞伎がらみ…というのは、題名を見てみればほぼ判るだろう。

団十郎切腹事件

2007年4月11日 読書
レンタルした本、そのもののレビューがないので仕方がない。
一番近いものを借りた。

時代はちょっとばかり過去。(江戸川乱歩云々…という序がある)
歌舞伎の舞台で役者が死んだ。

華やかな舞台役者の私生活に何があったのか?

ちょっと古風で慣れるまで読みづらそーではあるけれど、テーマは面白そうな一冊。
これからその世界に入ることといたしましょうか。

ISBN:4061362143 文庫 戸板 康二 講談社 2000/00 ¥378
龍馬の真の殺害犯人は誰か?

これはよく問われる課題でもある。
そして出てきた答えも…珍しくはないけれど、そこまで話をもってゆく、ストーリー構成が面白かった。

そして、なぜ、龍馬はピストルを撃たなかったか…を検証する。
嗚呼なるほど、と納得する。

人里はなれたこの村が、過去にどんな罪を背負っているのか。
怖いけれど、嗚呼なるほど。
どんでん返しの発想だな、と感心する。

そして、今、現在、四国の山奥の地でおこりつつある連続殺人事件。
その事件とのかかわりを感じさせる、龍馬殺人事件。

「怪しい事件には怪しい薬剤師の影が…!」
熊ヶ崎氏の慧眼には恐れ入る(笑)

筋がきっちり通って、後追いするこちらも理解しやすいのは、時代性のせい?
今までのように神話や平安の御世だとかではなく、幕末という比較的近い時代の出来事だからだろうか?
身近に感じられるからか?

なかなかの秀作だったと思う。

QED〈龍馬暗殺〉

2007年4月9日 読書
またしても友人からのレンタル本である。

その名も祟(たたる)という、なんともはや〜な主人公が解き明かす、さまざまな謎。
今回は坂本龍馬にまつわる謎らしい……

quod
erat
demonstrandum

QED(証明終わり)
まで行き着く旅路を楽しもうか。

さあ、読むぞ!

ISBN:4062756765 文庫 高田 崇史 講談社 2007/03/15 ¥840
ほんまに。
この人の作品は毎月毎月よく出てくる。

すべてが真の意味での新刊ではない。
新書で出ていたのを文庫で出しても新刊だし、あまり見たことはないが、ハードカバー本を新書や文庫で出しても新刊になるわけだ。

走行するうちに、どれがほんまに新しいのやら、わからんよーのになる。

それにしても…まあすごいわな。

さてさて。
群馬県の温泉地といえば、私なんかは草津ぐらいしかしらないが、若い女性が次々行方不明になるという事件が相次ぐ。
警察はといえば、住居所在地に捜索願を出すしかないといい、現地ではなにも動けないという。
なにか犯罪に巻き込まれているのでは、と心配する親族から見れば、こんなばかげた話はない。
現地の警察が、捜査ひとつしてくれないのだから。

そうして事件が…。
って、今時の、よくある話だ。
「あのとききちんと対応してくれていたら」
と涙ながらに訴える親族をテレビは流し続けている。

まあね。
親族にしてみれば、堪らんわ。

だけど、数多の事件を取り扱う警察は、できれば穏便に、何事もなかった、という形で物事を収めたい、というのが本音ではなかろうか?
そのためには被害者が涙を飲む、ということも少なくはあるまいと私は思う。

西村氏とは、そういうところ、きちんと入れて小説を書く人である。

あ〜それにしても、私も、温泉行きたい!

ISBN:4198925933 文庫 西村 京太郎 徳間書店 2007/04/06 ¥620
さむ〜い北の国境へと向かう羽目になったエルリック兄弟。
弱肉強食の掟が支配する氷雪の地は、新しい戦いを生む。

熊より怖い、しすたー・あーむすとろんぐ……。

きっと肉食。
ぜったい肉食。

グラマン中将の化けっぷりがすばらしい(笑)

それにしても、相変わらず化け物ばっかの国軍だよなぁ。
後、何人ぐらいでてくるんだろ?

ISBN:4757519656 コミック 荒川 弘 スクウェア・エニックス 2007/03/22 ¥410
ロシア語同時通訳者だった著者。
その著者が自分の仕事や周囲のことを描くエッセイから始めて、小説家へと順調に転進して言ったのはごくごく普通の流れだった。
そう、水が高みから低きへへながれるように。

そして数多いとはいえない著書を発表した後の急死。
まだまだやり足りないこと、人生への思いがあったであろう事を思うと、こちらまで口惜しくなってくる。

さて。
この本。
『オリガ・モリソヴナの反語法』は、著者が体験した珍しいチェコでの少女時代(外国人向けの学校ではなく、ロシア語で授業をするソビエト学校に通っていた)を追体験するような、そういう小説だと思って臨んだのであるが。

とんでもない。

これはソビエト態勢への痛烈な批判であり、告発である。

小説と言う形をとってはいるが、大方30年前、1960年代の小学生時代の友達を、恩師を訪ね歩く主人公(女性)が辿る道は、次第にソ連邦の闇の部分へとその深みへと沈んでゆく。

何のいわれもなく逮捕され、殺された人々。
或いは想像できない悲惨な仕打ちを受け、それでも生にしがみついた、生き証人たち。
彼らは紛れも泣くソビエトの人間であったはずなのに。

自国の人間を、人間ではないように扱うという、扱えるというこの恐ろしさは、他書でも明らかにされていることだが(アンナ・ポリトコフスカヤ著「チェチェンやめられない戦争」「プーチニズム報道されないロシアの真実」)それでもなお、戦慄せずにはおれない。

チェコに数年滞在し、ソビエトの友達とロシア語で話し、ロシア語で思考した著者、長じてはロシア語の同時通訳者として活躍した著者であるからこそ、こういう"小説"が書けたのだろうと思う。
けれど……。

友人を、そして恩師の消息を辿る旅が、その過去を見る旅へと変化しその過去自体がソ連邦の暗い歴史にしっかりと嵌まっている…まるで推理小説のような展開ではあるが、その背景にあるものの重さ、辛さ、は笑って済ませられるものではない。
推理小説、と断じてしまえるものでもない。

軽い気持ちで読み始めたのが、すぐにも引き込まれ、のめりこむ、そんな物語である。

嗚呼。
ソビエトってまだまだ隠している部分が、歴史が、たっぷりあるんだろうなぁ……。

ISBN:4087478750 文庫 米原 万里 集英社 2005/10/20 ¥780
読了!

真ん中から。
つまり、復讐を始める辺りからどんどん進む!
いや、復讐といっても血を見ない(ちょっと見たか…胆石手術で)(笑)
かくいう私は去年の手術の"ついでに"胆石もとってもらったのだった。
ラッキー♪
手術代金、いっこ浮いた♪
その石も、フィルムケースに入れて貰ったので大事に飾ってあるのだ。

最後の最後。
どんでん返し〜!
無茶苦茶洒落とるやんか〜!
と思わず拍手。
うまいなぁ。
これがデビュー作ですか?

うますぎ!
ジェフリー・アーチャー著。
この人の小説は初読だが、題名に魅かれてなんとなく〜買った。
買ってしまった、と言う感じか。

只今事件の"起"の部分で、面白くて面白くてすいすい進む〜というものではない。

なんだか…ねぇ。
要は、一人の大金持ちがいて、更なる金儲けの為に庶民(?)を罠にかけ、その血銭を搾り取った。
詐欺なんだけどそこはそれ、罪が立証できないようにうまくやっているから刑事事件にもできない。
で、被害者は黙って泣き寝入りかといえばこれがそうでもなく……復讐は蜜の味。

そうです。
反撃に入ります。

「百万ドル」といえば、今ではもう、そうたいした金額ではないように思える。
「百万ドルの夜景」といわれた香港のビクトリア・ピーク他の夜景が年年歳歳値下がりをしている、と言われたのは、もう随分昔のことではあるけれど。

「百万ドルの決闘」と言う映画では、百万ドルの価値は確かにたいそうあったはず。
西部劇、といっても20世紀初頭らしく、アンナ・パブロワ(ロシアのバレリーナ)が云々…という前置きを踏まえて、こんな時代なのに、西部では相変わらずガンマンが打ち合いを、馬泥棒はリンチで縛り首…などという地域性を示す。
そして、大富豪の孫が攫われて、それを取り戻す為に活躍するおじーちゃんを亡きジョン・ウエインが演じている、私の大好きな映画である。

この映画ぐらい、すいすいと進んでくれればいいのに……。


永井 淳 新潮社 1977/08 ¥660
どんなに辛くて苦しいことでも、人はそれを腹のどこかに収めるしかない。

企業も総会屋も新聞社も警察も検察も。
そして、個々人のささやかな楽しみとか希望とか、そんなものすべて飲み込んで蠢く。

社会って本当に化け物だ。

あんまりといえばあんまりな生の終わりを迎えた人。
本人は良くても家族はやり切れぬ。

"こわい"小説であった。

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