螺旋

2007年6月4日 読書
桜井京介事件簿…の短編集。
そのモチーフは螺旋階段。

日本の、そしてヨーロッパの、アジアの螺旋階段を主題にしたさまざまざな事件。
それを解いていくのだが、短編だけあって話しの進捗度が早い。
だから飽きることなく読めるのがいい。

螺旋階段といっても、ここに出てくるのは、のぼりとくだりが別々に設定されている階段のこと。

私が体験したのはたった一つ。
台湾の(確か)高雄だったと思うが、観光地である塔がせまくて急な螺旋階段で、そこではガイド氏が客を先に行かせておいて、自分は"下り"である階段を猛ダッシュで駆け上り、観光客が頂上にたどり着いたらそこで笑って(実際には息切れしながら)待っている、というイタズラをするのであった。

けっこーお年の男性(日本統治時代を知っている人)だったので、そんなことをして大丈夫かいな?と仕掛けを知ったときに心配したものである。

桜井氏の螺旋にまつわる事件と推理……は、まあ総じてこんな仕掛けがヒントだったりネックだったり……。
狂言師である。
彼はDJなんかもしている人だ。

言葉を、とても大切にしているのだ。
なぜかといえば、狂言は「科白」で繋ぐ芸だから。

「〜ござる」で繋がれる言葉は、笑いを醸し出す。

中学校の時、授業の一環で狂言と歌舞伎を見に連れて行かれたが、面白い!とおもったのは狂言だった。(当たり前)

太郎冠者。
次郎冠者。

欲深い主。

主の大切な(秘蔵の)飴を舐め尽くした二人は、さあ、さて、どうするか……?

有名な「ぶす」の一幕。
ぶす、という語感が面白くてそれだけ覚えちゃったんである。

だから。
言葉は大切だよね。

狂言のことば。
京都のことば。
今日のことば。

この三つに分けて綴られている、エッセイ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

……つうわけで(笑)
笑いが止りません!

この本、MKタクシー会社の懸賞で当ったんです!うっふっふ♪
ちょっと気になっていた本が、MK新聞に懸賞で出ているなんて、な〜んてラッキー♪

とりあえず、欲しいものが見つかったらまずは懸賞を探そう!
そう思う私であった。

有難う!
MKさまっ!

ISBN:4838199503 単行本 茂山 千三郎 エフエム京都 2007/04 ¥1,575

伯爵と愛人 2 (2)

2007年6月2日 読書
絵の違い、というか感触が違う…文月今日子の絵じゃないよ…とか思いつつ、最後のほうは結構楽しんで読んでいた。

フランス革命の初期においては、レンヌやブルターニュあたりはパリのぎしぎしした空気とは違う。
「俺たちはパリの政府に命令はされない。」
とか
「パリことはパリの人間が面倒を見る」
とか。

冷たい、というのではなくて、冷めている。
これが同じフランスという国のなかで、幾つもの地域・人種も分かれてしまっていることを如実に表わしているのか、と思う。

有名なバスクの独立運動だけではなく、只今現在ブルターニュもまた、フランスからの独立を目指している…(数年前の爆破事件など)

あのあたりは民族的にはケルトだからね。
アイルランドとかスコットランドとかとおんなじ。
イベントにはバグパイプ隊が花を添えたりする……。

マドレーヌは元伯爵のリュクと結婚式を挙げる。
だが素直に「愛している」といえない二人。
王党派の大物と目されるリュクは、次から次へとモンダイを(?)起こすし、素直じゃないから弁解もできないだしで、二人の関係は悪化を辿る。
ブルターニューの反革命派…ふくろう党、なんてあったのね…不勉強でした。


ISBN:4776715643 コミック 文月 今日子 宙出版 2005/03/01 ¥630

伯爵と愛人 1 (1)

2007年6月1日 読書
ハーレークインな漫画、とあったので悩みに悩んだが。

フランス革命期の話、であるので思い切って買ってみた。

……絵柄が違いますよぅ(涙)

登場人物の動きが、表情がぎこちなく感じられるのは私だけ?
文月今日子氏に何があったの?!と聞きたくなってしまった……。

ISBN:4776715635 コミック 文月 今日子 宙出版 2005/03/01 ¥630
この大ドラマを二巻で収めるか……さすが。

エジプトへ到達。
しかし、アレクサンドラが恋するイナールの目的はもうひとつあった…つうか、最初にそういうことを言っていたのをすっかり忘れていたのだけど。

当時、海賊天国・地中海に面するヨーロッパの町・村。
そこに住む人々はとっても大変だった。

あたかも北の平原から馬を疾駆させやってくる騎馬民族みたいなものだ。
天高く馬肥ゆる秋……略奪者がやってくる。

バーバリー海賊のほうは季節はお構いなし。
それに対抗するために、頑丈な砦も作られた。
数日間そこにこもって持ちこたえれば、海賊は(そのときは)諦めて(その時は)引き上げる。

白人奴隷で市場は賑わい、ガレー船のこぎ手で一生を終える男たち。
ハレムに売られ自由のないまま一生を終える女達。
その辺り、小説「アンジェリーク」にも詳しい。

そういう時代である。

ISBN:4834273407 文庫 文月 今日子 ホーム社 2005/07 ¥700
豪華な絵を描く人だよね、本当に。
すごい。

ガレー船だけど、いい!
美しい!

海と帆船(手漕ぎ付きのガレー船だけど)があればそれでもいいや。

バルバロッサも出てくるけど、まあいいや。
ハンサムな海賊とかハンサムなマムルークとかハンサムなベネチアの官僚とか元ハンサムなパパとか出てくるし。
不惑に届いても若い男に対抗して彼女の愛を勝ち取ろうとするハンサムガイもいることだし。

なんと色とりどり。
彩色に満ち溢れた物語だろう。

中世ヨーロッパ、その中でも異色のベネチアをてんこ盛り盛り込んだ歴史浪漫。

ベネチアの貴族の令嬢が母の故郷(エジプト)に恋焦がれ、家でして密航して海賊と恋をしてまで(?)たどり着いたエジプト。
彼女を待ち受ける運命はいかに!?

おてんばの一言では済まされない令嬢・アレクサンドラ。
彼女の未来に栄光あれ…!

一番、なにより素敵だったのは、これ。
斜陽のベネチア。
1492年のコロンブスの新大陸発見や、ガマのインド航路発見など、後発組の若手新興国に背中をたたかれるぐらいならまだしも、蹴り飛ばされ踏みつけられ、老人は後からおいで、あるいは、隠居せよと最終通知を突きつけられつつ、負けていない都市国家である。

末期症状を呈しつつ、なんの、まだまだ若いもんにはまけじ!とばかり、輿を折りつつ咳き込みつつ陰謀を企む老獪なベネチアが、如何にも!という感じでよかった。

大丈夫だとも。
ポルトガルもスペインもじき老いる。
同じように年寄りとして、若い新興国の勃興を見つめることになる日も存外に近いのだから。


ISBN:4834273377 文庫 文月 今日子 ホーム社 2005/06 ¥700

Landreaall 10 (10)

2007年6月1日 読書
待ちに待った、第10巻…そしてまだまだ続きそうなのが嬉しい。

待ていたくせに、「本屋に届いてます」の知らせを聞きつつすっかり忘れている私だ(笑)

どこまでカッコいいんだ!リオンちゃん。

でも私はアンちゃんの味方。
高所恐怖症とは気が合うねぇ(笑)
猫使い…まさしく!
可愛いじゃないの。
巨大猫もね。
乗せて走ってくれるし。

そして素敵なおかーさま!
バズーカ砲みたいなの抱えて再びみたびの登場だ。
龍と闘って生き残った女傭兵……そう、勝った負けたではなく、龍と闘えば"生き残った"事こそが勲章なのだ。


ISBN:4758052875 コミック おがき ちか 一迅社 2007/05/25 ¥580
かの、建築家探偵、むっつり根暗の桜井さんのお出ましである。
桜の季節は過ぎたけど、今年も桜は堪能したし(去年ほどではないが)思い出しながら読むことにしよう……。

それにしても、「鬼」でも出てきそうな題名だね。
薪能ででもやりそうな……。

あれ?
10の謎ってことは…短編集なのかな?
それならわかる、という700ページ弱の厚さ!


ISBN:4062751879 文庫 篠田 真由美 講談社 2005/09 ¥940
これまたレンタル〜♪

いやぁ、絵が良いですね。
私はエッチングが大好きなんですが、この人の絵はそれに近い。
細密で、でもかちこちの直線ではなくて、微妙に曲がっていて味がある!
(以下、後日)

こういう絵、好きだな。
あったか味があるし、却って現実感が在る。
ヨーロッパをびんぼーくさく回る旅だというけれど、読んで見ている方は、とっても面白い。

私も買おうかな?と思ってしまった一冊だ。
(現在パリを放浪中也)

こういう海外のホテル事情をエッセイなどに綴った本が私は好きだ。
その原点が、昔々、地方局で中途半端な時間に放送していたとある番組。
「欧州旅籠事情」だったか「欧州旅籠紀行」「通信」だったか…なんかそんな名前の番組だった。
内容はといえば、外国(特にヨーロッパ)の各地で、地元の若くてうつくしーレディにホテルに泊まってもらうのだ。
勿論、ビジネスホテルではない。
バックパッカーご用達のお宿もない。
ちゃぁんとルームサービスがある(笑)日本式に言うと観光ホテルである。
で、夫々のホテルのサービスに点数をつけて合計点でどのレベルかを判断しましょう♪
…と、言うんだけどね。
その採点基準の細かいこと細かいこと!
まずは、ドアマンの応対、フロントの応対。
宿帳にサインをするとき、部屋へ案内するボーイの出てくる時間とか案内の仕方エトセトラエトセトラ……。
それだけではない。
部屋に入ったら、窓の外の眺め、騒音、掃除の具合、部屋の大きさ、ベッドメーキングの具合、調度品の使いやすさからバスルームの備品等々…とにかく、これでもか、これでもか、と、微に入り細に入りチャックをしまくる。
お風呂の温度も勿論、ルームサービスで紅茶を頼めば、もってくるまでの時間、お湯の温度……も、すちゃっと取り出した温度計で計る(笑)

そしてなんだか知らないが、サービスシーンとして、件の美女の入浴シーンが…(笑)
ちょびっと流れて、あとは"お休み"
そして、にこやかにチェックアウトする。

さて、このホテルの合計点はいかに?
という番組であった。

ホテル自体が画一的な日本のホテルとはまったく違い、夫々の個性をしっかり打ち出しているし、その調度品や部屋を見るだけでも値打ちものだったと思う。
まあ、自分が逆立ちしたって出会えそうもないホテルばかりだったけど…(まずヨーロッパに行かねばならない)
それゆえに毎回楽しく見ていたのだった。

あーゆー面白みの在る"大人の"番組。
最近ありませんなー。


ISBN:4062730618 文庫 妹尾 河童 講談社 2001/01 ¥630
友人からレンタルしました〜♪

この人も着物派だったとは……多いね、やっぱり。
(以下、後日)

お高い着物。
苦しい(笑)着物。
でも、とっても魅かれるのが、着物。

この二重苦(もっとある?)をクリアして、どうやれば着物を楽しめるか!?
その点を中心に着物本を書く人が、最近は多いね。
要は工夫、だというけれど。

でもやはり、「どこまで我慢できるか」がポイントだと思う。

京都では祇園祭りの宵山などで、浴衣姿のじょーちゃんが多くなった。
一時に比べれば、本当に多い。
でも、着崩れ?
それともわざと?
と首を捻る着方が多いのは確かで、「許せる」「許せない」の範囲が人によってさまざまだから、そこで問題が起こる。
「そんな着方をするならきるな!」
という断然正統強硬派もいれば、
「どうでも〜いい。」
とほとんど無関心派まで。

見た目に汚くだらしなく見える(感じる)のは、やっぱりダメだと思う。
自分風に着こなすのと、だらしなく着るのはまったくの別物。
「これはこういう着方なのよ!」
をいくら主張してみても、気が抜け力が抜けているものは、判ってしまう。
気合がはいてないって事、ばれてしまうのだ。

なぜか。

ぱっと見て「あ、いいな♪」「可愛いな♪」と思えるものは、確かにある。
センスの問題か。

いいな、と思えるのが数が少ないのが現状ではあるが。
残念。

ISBN:4198621926 単行本 近藤 ようこ 徳間書店 2006/07 ¥1,260
再刊本、ということで、宣伝に飛びついてしまったのだった。

この題名、この本の存在を知ったのは随分昔のことだが、縁のないままに過ごしてきた。
ただ、なんというか、怖い題名だよな、とは思っていた。

復讐譚?
あだ討ちするとか?

そういう話かと思っていたのだが。

最初に出てきたのは、そんな考えを一蹴するものだった。
「愛する者よ、自ら復讐するな、ただ神の怒に任せまつれ。録して『主いい給う。復讐するは我にあり、我これを報いん』とあり」ロマ書12.19

聖書の言葉だったのだ。
では、イメージは180度変更される。

人は人に危害を当てるようなことはしてはならない。
たとえ自分が何をされたとしても。

目には目を、歯に歯を。
のハムラビ法典とは真逆の教えである。

では?
やっぱりなにか復讐されるようなことが起こったって事ですね……とは想像されるんだけどね。

昔の事件・事故の記録。
こんなことがありました。
という番組で、みたことがある。
日本列島を南から北まで(九州から北海道まで)、強盗殺人・詐欺・窃盗と罪に罪を重ねて逃げ回り、最後は幼い少女の勘によって逮捕された犯罪者の話。

その犯罪者・榎津巌を扱った小説なのであった。

榎津が、カトリック教徒(どこまで"本気の"信者なのかよくわからないが)であったこと、巌と言う名が洗礼名の"シモン"から付けられていること(シモンという人は、イエスに"わが岩(ペテロス)"と言われたらしい。だからその上に教会を建てるのだと。)など、読んでいくうち、彼のことが明らかになっているうちに、何故彼がそんなことを?といういろんな事がわかってくる……ンだろうなぁ、きっと。
今のところは彼の犯罪の、その後を追いかけるので精一杯、ひーひー言いながら後を追っている警察機構の話だけだ。

偽装自殺を早々に見破ったり、関係者をなだめすかしてうまく証言を引き出したりと、その辺の"技"は流石であるが。

小説としては、実に面白い。
重い本だが、出かけるときにも是非もって出たい、と思わせる本である。

ISBN:4902116804 単行本 佐木 隆三 弦書房 2007/03 ¥2,520 
本日(5/26)はキトラ古墳の『玄武』公開に出かけてきた。
その土産に、こんなものを買ってきた。
「地元(飛鳥)出身の、有名な写真家さんなんですよ!」
とお店のおばちゃんに言われたものの…ごめん!
知らんのよ〜私。

だって、地元出身の○▲、というのは、地元の人だから知っている名前だったりすることが多い。

まあいい。
それは兎も角、中身をぱらぱらと見て、綺麗だったので買ってみた。
「綺麗よぅ」
(確かに)
「また(飛鳥に)来る時に、いいよぅ」
(いや、そんなしょっちゅうこんな遠方に来られへんし)
京都からだとたっぷり2時間はかかる。特急を使わなければ。

おばちゃんとのやり取りは以上。
まあ千円(税抜き価格で売ってくれた)だし。
そんなにおっきな写真集でもないし。

……綺麗だし。

ナニが綺麗って、飛鳥といえば田舎だ。(ごめん)
春や秋に、リュックを背負ってスニーカーで一日中歩いて気持ちよいような場所だ。
花は咲くし、田畑は広がっているし、鶯は鳴いている。

その、一番綺麗なところを、地元の強みで綺麗に切り取っている。
そういう写真だ。

石舞台の桜、もよいけど、紅花とか。
春のレンゲの群れ(田圃の中)とか。

あぜ道に咲く彼岸花、とか。

雪に埋もれる冬はゴメンだが…。

ああ、こんなところがあるんだなァとしみじみ思ったりする。
いい写真♪やっぱりしょっちゅうは来れないけど。

ISBN:4838102917 単行本 上山 好庸 光村推古書院 2001/10 ¥1,050
なんでも、東北の田舎の方を走っている、なかなか素敵な電車だそうだ。

十津川警部の部下・清水刑事の新婚旅行……から話は始るが。
この作者の小説にしては、順当にラブラブな刑事夫妻の描写が珍しいというか、おかしいというか…可愛らしいというか。

今時、国内旅行で、しかも東北の温泉でいいや♪なんていってくれる奥様は大事にしないとあかん、と思う私であった。

だって、さっき読了した「北の秘密」では、失踪した社長の奥方(55)のお言葉「私は国内旅行は好きじゃないの」「主人といって楽しい思い出のある旅行は全部海外旅行よ」「国内旅行で思い出深いば場所なんてないわ」「結婚して毎年一度は、海外旅行に行っているのよ」ときたもんだ。
すげぇ……。
バブル真っ只中の、若手OL並だな。

そして、判明。
十津川警部は、"やはり"直子夫人に尻の下に敷かれている。
ぬかの結婚式の様子を見て、自分になぞらえて、その先行きを(悪い方に)想像するなんて…なんて哀しいの(笑)

PS,
ものすごくアリバイ作りが凝っている…というか、ここまで凝ると、何か些細な失敗で全部狂いそうな気もする。
あ〜ややこし。


ISBN:4408504815 新書 西村 京太郎 有楽出版社 2007/05/18 ¥860

北の秘密

2007年5月25日 読書
題名だけ見たらば、てっきり、朝鮮民主主義人民共和国の話かと思うやん。

最近は十津川警部の海外進出(出張)もちょこちょこあるからさ。
てっきり……

いくら公僕とはいえ、あの国に行ったら帰ってこれないでしょうな。

2000年に噴火して土石流を撒き散らし、学校やホテルや役所を押し流した有珠山。
その麓にある洞爺湖。

…洞爺湖、行ったことがあるな、そう言えば。
2000年に噴火してたっけ?
忘れているな、さっぱりすっかり。

日本は火山列島なので、あちこち大好きな温泉が湧いていて嬉しいといえば嬉しいのだが、いつどこで地震やら噴火やら火砕流やら土石流やらが起こるかわかったものではない。
ある意味、バルカンの火薬庫(世界史で習ったよね)並に危険な土地柄である。
こういうところに済んでいると、自然DNAに"今日は今日、昨日は昨日、明日は明日、さらっとながして"なんて性癖が刻み込まれてしまうのかもしれない。
決してせつな的に生きているわけではないと、思うんだけど。


ISBN:4125009805 新書 西村 京太郎 中央公論新社 2007/04 ¥860
見るだけで判る!
京都が舞台だな、と。

殺人事件。
その裏にあるのは……と裏の裏をかいて、刑事達が翻弄される。
真犯人は誰だろう?

十津川警部が、というよりも、その周囲の刑事達がご活躍のように思える(いや、十津川警部も締めるところは締めるが)短編集である。

さすが、地元京都(?)

四条通りをまっすぐ車で走って、桂川へ…つまり嵐山へ、とかその手の描写が臨場感があって楽しい。

でも、烏丸、堀川の次、いきなり嵐山…はないでしょうが……結構遠いやん。
バスも均一料金じゃないしさ。

古都って……そうか、滋賀もそうだった。
志賀の都、っていうもんなぁ。

大津の宮とか。

それを言い出したら、難波の宮もあるし。


PS.
十津川警部。
秘密の捜査で京都入り。
お茶や遊びに興じるものの「一見さん」つうことで苛められる…というはなしがあるそうだ。
興味津々(笑)

ISBN:4575511382 文庫 西村 京太郎 双葉社 2007/05 ¥650

脳と魂

2007年5月24日 読書
「バカの壁」で有名な養老孟司氏と、「ベラボーな生活」の著者で現役のお坊さんである玄侑 宗久氏の対談本。

その内容は奥深く、そして……面白い。

理論的な学者なのかと思っていたら、「べらぼうめ」口調のアクの強いおじさんだったことが判明した養老氏。
だけど、未読の「バカの壁」の輪郭が判ってきたような気もする。

正常な、私でもわかるごくごく普通の、当たり前の…正常なことを言っているんだね、この人は。

いろいろ前段階をすっ飛ばす辺りは、確かに学者やな、とは思うけど。(知ってて当然、と思い込むのか?)
虫を追いかけているのだそうで、だから東南アジアとか良く行くとか。
昔昆虫採集(蝶々)をしていた私としては親近感も沸く。
珍しい蝶々を見つけた同行者がその途端に瞬間移動した、という話は笑った。
ジャングルの中、おぼつかない足元だというのに、いったいどうして…?と思うだろう。
写真を撮っていても、好きな人はカメラを構えると人間が変わる(笑)
昔、ディンギーヨットの舳先に乗っているとき、けっこー揺れて怖いものだが、写真を撮ろうとして身を乗り出したらそんな怖さも吹っ飛んでいる。
操船していた友達の方が「(今にも落ちそうで)怖い怖い」を連発したものだった。
ま、好きなものはそんなモンだろうさ。

玄侑 宗久氏は、臨済宗の天龍寺で修行をした人。
「ベラボーな生活」はその当時の話を綴ったもの。
これが、無茶苦茶面白い!
市内を托鉢もしたというから、学生の頃、もしかしたらすれ違っていたかも。
この人の、特にエッセイは面白いのだ。
勿論お坊さんだから宗教的なことに趣き深いのだが、決して押し付けがましくない、判りにくい専門語で誤魔化さない。

なにしろ、生臭坊主ではない…!というのはポイント高いかも(笑)

この二人が語る、今の社会。
老人問題とか安楽死の問題とか、若者、そして日本人の「これからどーすりゃいいのさ?」「どこへ流れてゆくのか?」というモンダイを、諭すわけではなく、勝手に語っているという(笑)……実に判りやすく為になりそうな一冊である。

ISBN:4480423265 文庫 玄侑 宗久 筑摩書房 2007/05 ¥735
人ノ不運ニ会シ運命ヲ諦メザルモノハ必ズ天ヲ恨ミ人ヲ恨ミ己ヲ恨ムノ余リ自暴自棄ニ終ルベキ者ニ有之候。
コノ自暴自棄ナルモノハ自ラ墓ヲ掘リて自ラ埋マルモノに有之候。ヨクヨク勘考可有之候也。

カカル境ニ誰モ汝ヲ陥レシニハ非ズ。天運ニヨリテ陥リタルモノナレバ自ラ諦メザル可カラズ。而シテ尚ホ天ヲ信ジ命ヲ楽シンデ他日雄飛ノ機ヲ失ハザルヨウセザル可カラズ。希望ハ勇気ノ母ナリト知ラバ、此不運ニ際スルモ、ナホ前途春ノ如キ希望ヲ抱キテ、自ラ奮ハザル可ラズ。
広瀬武夫。

異腹の末弟・吉夫は、若くして病に散った。
武夫がロシアに留学中のことである。
広瀬さんはたいへんだなぁ…寒いロシアで一番いい外套がなかなか買えなくて。
お、で、やっとのことアリアズナ嬢とであったのかな?

などと、わくわくしながら読んでいると、思わぬところに伏兵が現れた!

秋山君。
何で君はいきなり倫敦にいるのかね?

…まあ良いけど。
いきなり現実に引き戻された気分である。

1900年4月。
ドイツ製巡洋艦八雲、英国製戦艦朝日と新しい艦とであった広瀬はもうわくわくしてじっとしていられない様子が伝わってくる。
まるで新しいおもちゃを与えられた子供のようである。
表紙は助六かぁ…とおもって一枚めくり。
ぺらり。

なんでジョージ・ブライアン・ブランメル?
その対岸にはオスカー・ワイルドだ、うわぉ!

まあ…ダンディズムだわな。
確かに。

世界では"貴族"にありえたダンディズム。
日本では、"士族"で突き詰められたダンディズム。
やがて天下泰平の江戸時代になると、裕福な商人とかそのお坊ちゃんであるとか、遊び人であるとか…に裾野が広がっていったわけである。

中途半端な生半可な通人というやつは、江戸の時代にもあったが。
この辺は、かの人(杉浦日向子女史)も厳しく指摘したところだ。

きもの着方は勿論のこと、刀に印籠、矢立に根付け…とまぁお金の掛かることよ。

で、ナニが面白いって、安永年間に出された「当世風俗通」
という本。
所謂スタイルブックですな。
勿論男性の!

極上から下まで男のスタイルを分類しているわけだ。

人品高い"極上之息子風"に始って、古風と当世風をバランスよくあわせないと野暮だとか、やりすぎると高慢だとか、遊び人、のら者、女郎買い風俗…って決まりがありましたか?!
そんな如何にも!な。

男性が着飾ったのは何も平成の今に始る事ではない。(孔雀か…)
大変だねぇ。

ISBN:4861521106 単行本 河上 繁樹 青幻舎 2007/04 ¥1,890
逆さに読むな、逆さに!

…って感じですか。

だって、2巻をちらチラッと読んだら遡って読みたくなるってことありません?

やたら幽霊とか怨霊とか妖気に満ちた刀とかに魅入られ易い芹沢センセイである。
よほど水戸天狗党で苦労したんか?
それとも、祟られるようなこといっぱいしたんか?

付け入られるってことは隙だらけってことなんだけどねぇ。

この作者の描く芹沢鴨は、なかなかの色男風なのでまだ見易いのであった。
暑苦しいのに変わりはないが……(笑)

ISBN:4253177670 文庫 岩崎 陽子 秋田書店 2004/05 ¥690

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