タブーの漢字学

2006年8月15日 読書
所謂、「性」「死」「排泄物」など、タブーとされる言葉・感覚、つまりその背後にある民族の感覚について、慎重に考証する一冊。

おおしろおかしくあまりかとおもったらば、実に慎重。
気を使って(使いまくって)書かれている。

なぜならば、【考え無しが公然とその言葉を使用することで、国際問題とはいわずとも民族間の不幸な誤解を招く】から。
こんなことを考えて、気を使って本を書かねばならないほど、日本人のモラルも常識もマナーもお行儀も悪くなったのか…と愕然とする一冊でもある。

著者が(多分)大学院生時代に古きよき(?)中国に渡り、その不自由さと言うか純朴さと言うか、凄さと言うか…に接した時の驚きとか感慨は良く分かるつもりだ。
かく言う私とて、1980年代の中国を知っている。
人民服が当たり前。
パーマなんてとんでもない。
横柄な役人(メイヨー<無し>としか言わん!)と純朴な市民。

歩いているだけで注目される(じろじろと、ではなく、わあ!ガイコクジンだ!というまなざしで)その純朴な視線(笑)

……自転車に乗っているのにこっちばかり見ていたおじさんがバス停のバスの尻に衝突、本人は照れ笑い、周りも”わっはっは!”と大笑い、という一幕も。

その日泊まるホテルも乗る飛行機や列車の確保も定かではない(意地悪なのか、はたまたやることがどんくさくてぎりぎりまで決まらないのか)という恐ろしい旅行…それが中国!

そういうことを思い出し、懐かしかった。

まとめて言えば。
名は体を、そして意味をも顕わす漢字。

とってもとっても味わい深いものです。


ISBN:4061497510 新書 阿辻 哲次 講談社 2004/11/19 ¥756
万葉集。
知っているようでよくは知らない。

少なくとも、新古今とか百人一首ほどには知らない。
それが万葉集。

この雑誌のような本の、何が楽しいかといえば、地図。
大和三山の位置は当たり前だが、有間皇子の最期の足取り、白村江・壬申乱の古戦場などなど。
知っているようで知らない、見逃されるこまごました知識を与えてくれるのだ。
あと、万葉時代の季節感とか草花とか。

京都地図を時代別に読もう(江戸時代、ここはこうだった、室町だとなんだった、という具合……どっちかと言うと京都人が自分の住んでいる所を確認するために読むんじゃないのかな?という気がするけど)、という本も結構売れているらしいが、地図で確認しながら知識を楽しむ、という本がブームなのかな?



ISBN:4413008383 単行本 坂本 勝 青春出版社 2006/06 ¥1,134
漫画版、第二冊目。

魔族の世界に飛ばされ、魔王となるべく運命付けられていることを知ったユーリ。
魔族と人間との争いをやめさせるため、魔王になることを決意!

そして、日本国の自衛隊を見習い専守防衛に徹することを決意。つまり、「力をもってれば、気軽に攻める気にはならんだろー」と、伝説の魔王の剣をゲットする旅に出ることとなった。

そうか…あいつが…(笑)

でもって、筋肉モリモリの○△★さんもそろそろご登場…らしいし(笑)
コミックスってのは、あちこち伏線が引けて面白いよねー。

ロールプレイングゲームのシナリオの如きの展開に、
「聖剣?!」
とわくわくするユーリ。

魔王がもつなら
「魔剣にきまっているじゃないですかー♪」
と軽くいなされてしまうのだった。カワイソー(笑)

グヴェンダルの可愛い仔猫(動物)大好き♪の嗜好癖が……もうばれて〜ら〜(笑)

ISBN:4048539744 コミック 喬林 知 角川書店 2006/07/21 ¥546
今からおおよそ百年前。
20世紀の始め頃。
パリの街・人を撮った写真家・アジェ。

両親を早くに亡くし、祖父母に育てられ、決して恵まれた人生でもなく、裕福なとんとん拍子に生活の糧を得られたわけでもない、たくさんの夢破れた後に行き着いた写真の世界。

パリの街は、流石に、被写体としてはたくさんのものをもっていただのだろう。

「少し前までは真っ黒だった」
ノートルダムだとか、美術館だとか。
誰にも気を使う事もなく、"真っ黒だった"といわれるパリが顔を見せている。

確かに、パリの建物は面白い。
ドアにつけられた彫刻も、壁の模様も。
私が面白いと思ってひたすら見続けたのは、マンション(高層建物)のベランダの彫刻や形。
それぞれに趣向をこらして、異なっているのに煩くない。
違うのに、まとまっている。
それがとっても面白かった。
素敵だと思った。

わざわざ芸術作品とやらを見に出かけなくとも、そこいらじゅうに面白いものが散在している。
それがパリでもある。

道の両側の、屹立するかのようなマンションの壁。
でも何故かそれが圧迫感を与えないのだ。
なぜか。

……何故だろうね(笑)

口惜しいけど、魅力がありすぎる。
それがパリだ。

ISBN:4887830602 単行本 アンドレアス クラーゼ タッシェンジャパン 2002/09 ¥1,050

パリのカフェで

2006年7月30日 読書
パリに拠点を置いて、日本と欧羅巴を行ったりきたりしている…写真家さんの撮ったパリのカフェ(中心)の写真集。

モノクロが想像力をかきたてて、美しいパリの町を目の前に再現して行く。
とても綺麗だ。
モノクロっていいなァ……(うっとり)

パリのカフェ…。
たしかに最近日本で観られるようになったカフェもどきとは随分雰囲気が違う。
ちょっとだけだが、私もパリでカフェには2軒、寄ったから、少しは分かるつもりだ。

まず、のびやかさ。
ゆったりさ。
道路が広いだけではなく、オスマンの都市計画で作られた整然とした町・パリには、ごみごみした日本の町とは比べるまでもない。
石畳。
そして、ゆったりと動く車。
人。

この、あくせくしない人や車というロケーション・背景も重大な要素だと思う。
カフェってのは、外を見る。
だから、カフェの席は、"外側へ行くほど料金が高くなる"仕組みになっている。
外を見ながらゆったりと自分の時間を楽しむものだと思うのだけど、日本は見せないほうがいい、と思うところのほうが圧倒的に多いのでは?
だから、京都の町家は、中庭を創造したわけでしょ?
外からは見えない、つまり外を見せない、内側で世界を作る。

だから、カフェとして本来求められるものを持ち機能しているカフェってのは(特に京都では)少ないと思えるんだよね。

簡単に言えば、
「あんなところでお茶飲む気にならんよな〜」
と思う。

狭い路地を、車がガスを撒き散らして、クラクションを鳴らして、アイドリングし…その目の前で、お茶?

私は「結構(NO!)」と思ってしまう。

パリにはカフェがよく似合う。
それは慣れって事も在るだろう。
京都に町家があるように。

だけど、こまめにカフェは必要だ。
何故なら…とにかく町が広い!
たとえハイ・シーズン(最高の季節)と呼ばれる5月でも、快晴の日は干上がるぐらいになる。
(あの青空と太陽の下で、芝生で日光浴している向こうの人の気が知れない)
だから、カフェは必要。

なんと言っても、熱中症予防に!(笑)

私が彼の地を歩き回ったのは5月の半ば。
晴天下。

喉が渇いて、二度カフェに入った……。(ジューススタンドではコカコーラやファンタ等も売ってはいたが、信じられないほど高価だったのだ!アメリカ…だめやん!)(笑)

味がどうこう、雰囲気がどうこうと言うよりも先に、アイス・ティーを一気のみする勢いだった。
結構高かったのにさ……。(千円ちょい)

だけど、単なる観光客、私達のような、一見さんの初見の観光客でも、気軽にすいと入っていけるのはカフェの魅力だと思うなぁ。
英国のパブなんかだと(英国に行ったことないけど)常連さんとかあって、なんだか入りにくそうだもん。(やっぱりパブにも行ったことないけど)

あ、それともうひとつ。
フランスへ行く前に、(そのつもりはなかったんだけど)"フランス風紅茶店"で、ハーブティなどのフレバリーティーに慣れておいてよかった、とつくづく思った。
英国の紅茶とはまったく違う、フレバリーティーが当たり前みたいで、ミルクを入れるなんて考えられない…のがフランス風だったから(笑)
なれてなかったら、とてもとてもガブのみなんてできません。
あの独特の味わいは……。

ISBN:4931178359 単行本 安井 道雄 出窓社 2001/06 ¥2,100
実は私は嘘をついている。

私が手にしている「考える人」は、2003年度夏号なのだ。
でもこれしかレビューないんだもん(笑)

雑誌だから短編でいろんな話が載っており、いろいろ読めてお得な一冊。
友人からのレンタル本である。

…で、実に多岐に亘っているなぁと感じたのが「エニグマ」についての一文が寄せられていること。
…とおもったら、藤原正彦氏!貴方か!?
数学者だもんね…そうか、エニグマ…数学に関係あるといえばあるよね。
第二次大戦中、ドイツが使った暗号機だもん。
(…とはいえ、やっぱ、変ってらっしゃるこの方は)

ちなみに特集は「建築家・中村好文が提案する【小さな家】」
ほかには、
養老猛司氏の「考える田舎」(郷愁だなぁ〜)
池澤夏樹氏の「詩が必要な時」
などなど…。

写真が多くて綺麗で、眺めているだけでも楽しい雑誌だ。

ISBN:B000GFKVVC 雑誌 新潮社 2006/07/04 ¥1,400
わ〜い♪
久しぶり〜♪

おまけに短編集で、本編のメインの登場人物の過去を暴く(笑)物語集である。

ソースケクンが孤独になったわけ。(或いは日本語が不自由になったわけ)(笑)
テッサがひとり闘うわけ。
カリーニンが……マデューカスが……

というわけで、ひとくせふたくせある連中の、"まだ純真な頃"が描かれているのである。
興味深いよねぇ(笑)

アフガンの頃からこのパラレルワールドは我々の世界から明らかに分離し始める。
ASだとか冷戦の継続だとか。

著者の後書きで、今時のごく若い子たちは、「冷戦」や「ソ連」を知らないのだそうだ。
これはショーック!(笑)だよね。

私らに言わせれば、毎年国境が変り新しい国が出来る今の時代の受験生は可哀想だなァ…と思ったもんだけど。
(ソ連邦がいったいいくつの共和国etc…)に分裂したことか、それを考えただけでも!

立場が変ればものの見方は変るもの。

だいたい、自分が生きているうちにソビエト社会主義共和国連邦が崩壊したり、鉄のカーテンがとりはらわれたり、なによりベルリンの壁が崩れるなんて思いもよらなかったし、信じられなかった。

あの事件、「ピクニック」と称された(確かそうだったと思う。間違っていたら失礼)、"東"から"西"への国境越え。
あんなことは不可能だと思っていた。
きっと血を見る結末になると思っていた。(本気で)
ベルリンの壁を無断で越えようとした市民、無辜の市民が問答無用で銃殺された現実。
そんなこんなを思えば、あんなことは不可能だと、「プラハの春」がきっと再現されるのだ、惨劇が繰り返されるのだ、と思っていた。
…というか、信じたいけど信じたらまた裏切られる、そんな簡単にコトは運ばないだろうと思っていたのだ。
そういう時代だった。
そういう時代にそういう時代の人間として生きていた私。

あれから一体どれだけの時間がたったというのだ?
人間の一生分、たっていないでしょ?

本当に、すごい時代だなぁとしみじみと、それは思う。
すごい時代に生きているのだと。

その頃に比べて、人間は少しでも賢くなっているのだろうか?
進化しているのだろうか?

ものすご〜く、疑わしいんですけど。

ISBN:4829118423 文庫 賀東 招二 富士見書房 2006/07 ¥546

うそうそ

2006年7月29日 読書
きょろきょろと、うろうろと。
たずねまわるさま。

嘘、じゃない。

自分の健康にまったく自身をもてない若だんな。
自分は何のために生きているのだろう。
自分はこの先どうなるのだろう。

暢気にあはは…と生きているように見えていても、人である以上、有限の命をもっている以上悩まぬはずはない。

そんな若だんなに「箱根で湯治」の話が持ち上がる。
なんとあの心配性であまあまのおっかさんが積極的!?

ダキニ天に使えるおばーさまの勧めによるらしいが……。
半(分)妖(怪)のおっかさんの言うことは流石にぶっとんでいる(笑)

ヒトは悩みをもって生きるもの。
人ならぬ身にも同じことが言えよう。
あやかしの血を1/4ほども曳いている若だんなも、天狗に守られた神さまもまた……。

数千数万の人々の命と生活の危機を前に、若だんなはコトを上手く収めることが出来るだろうか?

右往左往する天狗どの…が微笑ましい一編であった。



ISBN:4104507059 単行本 畠中 恵 新潮社 2006/05/30 ¥1,470
本屋で思わず見つけてしまったー。そうか!あれからもう随分たつわねそういえば!

犯人が判明!(上下巻なんだし当たり前だが)
思った以上に意外な展開でとてもよろしゅうございました……。

巻末の著者似顔絵(この作品を描く顛末記のような漫画)が謙遜されてだと思うが年配者風に書かれているのがとっても気になった。
そんなお年ではないはずなのに…。
少なくとも、あのギャグセンスは若い!

皆で犯人或いは遺留品の捜査に掛かるときの、顧問弁護士さんの「容疑者の組は…」発言など、いい味をだしている。
(だれが容疑者の組?"組"ってなに?)

単にテツってだけではなく、人間として重々深い趣を懐に抱いた小説だった(?)んだなぁと思った次第である。(考えすぎ?)



ISBN:4091883338 コミック 佐々木 倫子 小学館 2006/07/28 ¥1,260
芥川賞受賞作家で現役のお坊様。
それが著者。

かつては京都の天龍寺で修行時代をすごされていてそのときの話をまとめた本がとーっても面白かったので、それから注目している。

なんで、散骨をしぶるのか?
なんで墓参りをしないのか?

なんといって檀家に説明をするのか?

お坊様から寄せられたいろんな悩みを、自分も一緒に考える。著者のスタンスが柔軟(ちょっと変わっている)なせいか、悩み相談は山ほど送られてくるらしい…

お坊様も大変だなぁ。

人間。
一生悩み続けるもんですな。
(煩悩の塊だもん、仕方がないかも)

ISBN:4166605186 新書 玄侑 宗久 文藝春秋 2006/07 ¥861
「風の道」及び「花々の残像」
シリーズはこれだけじゃなかった…はずだけど、とりあえず、気まぐれに読み返したのがこの二冊。

ちょっと怖い話。
この世に残った霊の悲しみを解き解いて昇天(成仏?)させる、霊能者"おシラさま"の話。

人の魂は、なにゆえにこの世にとどまるのか。
怨念はどうしてうまれるのか。

寂しく、哀しく、やりきれない、でも心に優しさを取り戻させる、そんな話……コミックス。

落ち込んだときのカンフル剤…かも?

ISBN:B00007C7BT コミック さちみりほ 秋田書店

多民族国家 中国

2006年7月23日 読書
両親が中国人と少数民族それぞれの出身だったら。
子供は好きなほうの籍を選べる。
勿論変更も可能だ。

実際には、少数民族(マイノリティ)を選ぶ人間が多い。
     (ほー)

何故なら。
少数民族のほうがメリットが多いから。
     (へー)

つまり。
優遇されているのだ。
数が増えすぎて、一人っ子政策などという無常の国家統制を黙って受け入れざるを得ない中華民族に比べて。
     (その中で中華民族の籍を選ぶのなら、よほどプライドが高い、ということなのだろうか)

民族が雑多で多民族国家で在ればこそ、「此処まで」「発展した」というのが著者の言う中華人民共和国だ。
だが。
無理やり中国内の多民族国家のなかの一民族に糾合されてしまった人たちだって存在する。
抗争が断続的に続くチベットしかり…。

中国の発展の為に、周辺の小民族をのべつまくなしに飲み込んでいるのだとしたら、それは単なるガルガンチュア〜化け物〜でしかないと、私は思う。

著者は中国人。
読み始めたばかりなので、籍はどこなのか、私は知らない。

ちなみに。
南方系民族の、色鮮やかな衣裳が、私はすきだな。

ISBN:4004309387 新書 王 柯 岩波書店 2005/03 ¥819
ああびっくりした…コイズミさんがサクソフォンを吹いているのかと思った…って、そのままか?

著者は現役のオーボエ奏者。
でもって、自分の周囲のオケマン(オーケストラのメンバーのことをこう言うらしい)を見回して、
「この楽器の担当者の性格はこうだ!」
「この楽器の奏者である男が、女をデートに誘うときはこうだ!」
「この楽器の奏者である女が、デートに誘われたときはこうだ!」
とか…そういうのをギャグを交えて面白おかしく描いたもの。
どこまで本気なのか冗談なのか良く分からないが、へんに納得できたりして楽しめる。

神経質でストレスいっぱい、オーボエ奏者。
ハイソなおじょーさま、ハープ奏者。
エリートなバイオリン奏者。
………。

そうなのか。
オーケストラとはいえ、それぞれが自分の主張をしっかりもった、「個性豊かな」芸術家だもんな。
なんのためらいもなく音を合わせているわけないよな。

でもオーケストラは団体競技。
それだけ個性が強くてわが道を行く人たちでも、団体競技なんだってところが…なんか、おかしい。

ちなみに、オケマンには労働組合もあって、簡単に辞めさせられないし、技能優先は入団の時だけとか。
いわばフツーのサラリーマン。
へー!である。

もっとなんかこう…シビアな、昔のスポコンみたいな切磋琢磨の競争社会かと思ってたんだけどなー。
組合…うちの会社ですらないのに(笑)

ISBN:4101391319 文庫 茂木 大輔 新潮社 2002/08 ¥580
…ナンか付いて来たよ、これ。
嗚呼…作者のラフ画集なのか。

心の憩い。
気休め。(悪い意味ではなくて)
遊び心。

こーゆーものが、描いても見ても面白いんだよね。

さて。
どんどんシビアに進む内容であった。
「人柱」ってけっきょく犠牲・生贄ってことではなかったの?
大総統とマスダさんエルリック兄弟の会話で、私がふと感じた疑問だ。
なんだかこれだと一般人だけ犠牲になるわけ?
支配するものをなくしてしまっていいのかな〜?
政治家にとって国民は神様…!でしょうに(笑)

まだまだ底が深いんでしょう、この話は。
(アニメもラストは見ていないので、どうなるかまったく知らない私…だから楽しみだけど)

人間の原罪をばんばん表面に出してくる、結構厳しい漫画です。

ISBN:4757516959 コミック 荒川 弘 スクウェア・エニックス 2006/07/22 ¥600
先日の本の姉妹本…というか、続きというか。
前、というか。

表紙の二人の男にまずは注目。
19世紀の英国人(そうみえる)。
もしかして、左の男はW君?とか思ってしまう福福しさ…いや!もしかしたら、返送した夏目漱石かも!とか余計な深読みをしつつ中に突入だ。

夏目漱石って若くて亡くなっているんだね〜(知らなかった)でもってそれであれだけの大作を遺しているわけだから。
すごい。
芥川の話もあり、彼が住んでいた家が云々…というくだりで、途中までマジで芥川と三島をごっちゃにしてましたー、うっわ〜われながら大丈夫かいな?と思ったひと時である。

そして芥川といえば、某京極堂を思い出し、そういや去年の夏の映画の京極堂はしょぼかったよな〜とまたぞろ古い話を持ち出して誰かの疵を抉るのであった(笑)

司馬遼太郎は…好きだ。
著者の父上の嗜好も思考もなんとなくわかる。
ウチでも父親が徳川家康全巻、並べてましたからね…そーゆー時代なんだろう。
お陰で私は「少年少女世界名作全集」をすっとばして、時代小説にはまり込んだよ…父よ、貴方のお陰だ。

で、ひとつの作品で喧々諤々意見を戦わせる登場人物を見ていると…嗚呼やはり、私って【乱読】だよねぇと思わずには居られない。
反省…。(でも治らないだろうな、これ。)

ISBN:493846358X 単行本 吉野 朔実 本の雑誌社 1996/12 ¥1,223
最初の出だしでは、「いったい何の本?」と思ってしまった。
いくつかの本をピックアップしてその解説…といえばとっても平坦な説明だな。
その本に関する出来事を漫画で紹介。
その本を「読んでみようかな?」という興味を読者に持たせる、そういう意味の紹介本。
普通の本の紹介本とはだいぶ違っている。

で、その冒頭。
いきなり入江敦彦氏が登場して吃驚(笑)
「京都人だけが知っている」シリーズは、京都市内では大受けした本だ。
楊は京都人の解析本なんだけどね…京都人が書いているから的を射すぎていて、急所に過たずに突っ込みを入れるそのイタさが心地好い(危ないなぁ…)(笑)

「京都人は京都マニアですからね」

そう!
まさしくその通りです。
でもって、自分で自分にイタイツッコミを入れる人種なんです。
わはは。

ここの紹介されているほとんどの本は、まだ読んだことがないけど、古書を探しに英国まで…の話は面白かった。
でも多分、私は値打ちものの本は買わないだろうな。

読むのは好きだが、手垢がつくだの食べ物のカスが挟まるだの、私は細かいことは気にしない。(人や図書館などで借りた本ならば、勿論気にする)
学生時代、ものすごくはまり込んだ「ダルタニャン物語」(文庫)などは、一時も手放せなくて、本を片手にカップラーメンを食した思い出が今もほのぼのと…(笑)
いやね、そのときは本を読みながら食べられるものをほかに思いつかなかったのだ。
私にとって「ダルタニャン物語」は、カップラーメンとともにある。いい思い出だな〜。
でも今は無理。
どっちかに集中しないと無理だな。
器用じゃなくなったせいか?
せいぜいあんころ餅ぐらいか。(土用の入りだし…)(笑)

時々カバーをつけずにそのまんまもって歩くこともあるし、一時はトイレに本棚を作った前科まであるのだ。
嗚呼、お風呂で安心して読める本が欲しい〜(ずっと昔に"お風呂でも濡れない本"が開発されたが、使い勝手?が悪くていつの間にか消えた)
お風呂で聞けるカセット&CDデッキがあるのなら、本もどうにか…!と思うのはわがまま?

本本来のカバーを外して家の中を持ち歩き、挙句、カバーを見失ってしまった本も何冊かある(笑)
家の中なのに…どこへ行ったの?(笑)

そういえば、「盲導犬クイールの一生」が紹介されているのを読んで思い出したことがある。
この本を、私は叔母から戴いたのだが、そのときの叔母の態度が笑えるのだ。
「この本は、とってもいい本よ!だから、あげるわ!」
と本を渡しながら、
「ああ、でも読んだらダメ!」
「読んだら泣くから!読まないほうがいい!」
と取り上げようとしたのである。

……………………

おばちゃん……それって……。
私にどーしろと?

ええ〜い、泣くかどうかは私の問題や!と、問答無用で奪い取るように、貰ったけど。
(…泣いたけど)

ISBN:4860110374 単行本 吉野 朔実 本の雑誌社 2004/09 ¥1,365
この人も懐かしい漫画家さんだ〜。
りぼん だった?
なかよし だったっけ?
(確認…りぼん、でした)
ほわわ〜ん、とした絵を描く人だった、と思えている。

これも友人からのレンタル本。
自分で選んだ本でないと、宝箱を開ける楽しみがあって面白い。
実に楽しい。
だから、人に本を借りるのはやめられまへんな〜(笑)

今時の中・高校生から見て…どうなんだろうか、こういう学園恋愛モノは。
いらいらする?
それとも新鮮?
変ってない?

どうだろうねぇ…。

ISBN:4086173948 文庫 太刀掛 秀子 集英社 1998/10 ¥620

中国と中国人

2006年7月20日 読書
「北京の愉しみ」を読んでいて気がついた。

だいたい。
中国と言う国は腹が立つ国である。
楽しいけど、美味しいけど、腹立たしい。
なんでだろ?

人の書いている本を読めばそのあたり、よく見えてくるんだな、これが。
ハスの花を観覧にいった著者。
なんと彼の地ではハスの咲く池に船を出して観覧させてくれる!
なんつーごっつぅ羨ましい!(どこの言葉や?)
ハスの花は朝見るもんや、と船頭はひとしきり薀蓄をたれ、船の降り際にその船頭が彼女に言った。
「いいか。たくさんの日本人を連れて、またこい」
…おいちょっとまて。
「どうぞ来てください」だろうが、この、腰の高い民族め。
経済自由化、拝金成金ざっくざく〜♪になってもその腰の高さはかわらんのか…?

まあね。これを笑って聞き流せるぐらいにならないと、中国旅行は出来ないけどね。(真実)

地下鉄には乞食の子供がお金をねだり、狭い路地奥の"美容院"では女達が男の袖を引く。
……なんか。
ちっとも、社会としては発展していない、っつうか。
ましになってません!というか。

そんな中国をよく表しているのが東嶽廟での「願い事」。
今時の中国人のお願いなんて、きっと「財」だろうと思いきや、「官」つまり官僚=役人=政治家なのだそうだ。
商売のくにではない。商人の、企業のくにではないってことだ。やっぱり、ここは共産圏…。

そしてこの東嶽廟では、人間の私語の姿を人形に現す。
所謂「輪廻転生」的な教えもあるようだが、「善」と「悪」を自分で勘定しなさいと、でっかい算盤が掛かっているのだそうだよ…そのリアルさがコワイ。
そこまでせんでも、と日本人なら思うだろう。
著者だってそこはちゃんと分かっている
だから、?
死んでも算盤弾かれる国と、死ねばみな仏様の国

…みな仏でいいやないの〜と思うけど。
はたと気づく。
そうか、これがつまり、靖国参拝への感じ方の違い…に影響もしているんだろうな、多分、きっと。
死んでんだから、仏様なんだから、水に流して、という発想なんか浮かぶはずがないのか。

とりあえず、いや、実に興味深い面白い本だった。

一番驚いたのは、故宮のなかのスターバックス…!
一番笑ったのは、まだ日本を「文化が劣る」とバカにしている(しかも大学教授が!)ってこと!

さてさて。
現在の中国の姿。
目に見えるものがすべてではないと知りつつも……思う。

「自由」を求め弾圧された、あの天安門事件はなんだったのだろう…と外国人である私が思うぐらいだから、当事者たちはいまどこで今の中国を見てどう思っているのだろう。
只今現在そこにすんで生活して色んなものを実際味わって触れている人が一番強い。

確かに。

作者は物書きだが北京の大学に留学中の女性。
年齢的には学生期(なんだそりゃ?(笑))を過ぎて居ると思われるので、落ち着いた観察とか、比較とか、いろいろできる。
だから…面白い〜♪

あちこち駆け回って贔屓にしているおもしろい場所を、住所や道順など分かりやすく説明されている良書である。
こりゃ、旅のハンドブックになるわな〜と思ったけど、最近の北京の様変わりを聞いていると、まだ大丈夫だろうか?間に合うか?と心配にもなる。

食べることが一番多いのは仕方がない。
とりあえず喰うこと!
と、かの"毛さん"もいっとったではないか。

私も北京ダックは大好きだが、如何せん京都市内でそれにお目にかかるのはなかなか難しい。
それでも最近はちらほらとメニューを見かけるようになった。(ほら、店の前にメニューだけ出してあったりするからさ)だがどこもかしこも高そう〜な店構えで、値段が書いてなかったりするから怖くて入れたもんじゃない。
つまり高級料理なんだろうなーと思っていたわけだ。

コラーゲンたっぷりのふかひれには興味がない(美味しいとついぞ思ったことがないから仕方がない)。
美味しかったのは…杭州の西湖のほとりで店開きをしていた半畳ほどの大きさの店の前。
真っ白な湯気をしゅんしゅんと上げていた蒸篭に並んだ饅頭…。
中には餡もはいっちゃいないし、凝った味付けはしていないんだけど…美味しかったなァ。
あと、サンザシの飴掛け…は横浜でめぐり合ってやっとのことで食した因縁の品。

中国ってけっきょく【食】に走るんだろう。
外国人観光客の思い出も、そっちへ重心がぐぐぐい〜っとかかって行ってしまうのだ……。
うん。

小物、といえば中国のヒトの手先の器用さから、確かにちゃちい小物がとっても魅力的なんだけど。

私が狂ったように集めたのは、極彩色の歴史や物語(三国志とか水滸伝とか紅楼夢とか西遊記とかの)テーマのトランプとか。

切り絵であるか。
切り絵は最初からいい値段していたけれど、そりゃあもう溜息が出るぐらいに美しい!
「水滸伝」なんてちゃんと108星揃っている…かな?と思ってあるとき数えたら、ダブって入って110星になっていた……。
そうよね。
数えるのも手作業だもんね。
まぎれるわよね。
数え間違えるわよね。

そうそう。

………ニセモノ、あるいはぼったくりの多い瑠璃蔽。
緑や青や黄で彩色された小さなお茶碗…もってるんデスけど、私。
そこ出身の。

ISBN:4758420378 新書 谷崎 光 角川春樹事務所 2004/07 ¥1,200
家人がセットでゲット…(笑)
1巻から5巻まで。
しかもハードカバー(バインダー)入りで。

色んなものが出ているんだねぇ…まさしくドル箱やわ。

全頁カラーで、写真(カット)も多くて分厚くて、丁寧な解説結構結構。

ただひとつの大きな問題点は!

私がストーリーをほとんど失念しているってことだけだ(笑)

映画のインパクトのせいだろうか?
あと、やっぱー原作がいいかなーと。

ISBN:4757513127 大型本 スクウェア・エニックス スクウェア・エニックス 2004/10/30 ¥500

< 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 >

 

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