ヒロインの性格が徐々に変わった…というか、本性が出てきたというか、単に本能的なものなのか、いささか戸惑うことような言動が多くなってきた。

「こんなはずではなかったのに…」
というか、
「こんなヤツだったのか…」
という感情が湧いてこなくもない。
意外性のある方向に話が進むと思えば、期待した以上の意外性で面白かろうと思うのだけど。

このあたりで、「うッ」と足踏みして離れてゆく読者もいるのかもしれない。
しかし、異世界に放り込まれた本人であれば、自分の本性に近いものを間近に見れば、理屈ぬきでそっちに擦り寄ってしまうだろうなぁ、善悪は関係ない、と思わないでもない。

人のこころは、勧善懲悪、というわけではないのだ。
他人には、それを求めるのだが。
とりあえず第3部も無事読了。

頑張れ!フツーの人たち!
とりあえずは、主人公以外の登場人物たちに、エールを送っておこう。

しかし、廻してくれる友人がこの先を買い続けてくれる保障はない。
というか、かなり危うい状況である。
どうしようかな…。
"あと少し"を買う気にもなれないのだが…。
デルフィニア戦記はさくさくと進むが、読むのに疲れてくると、延々続く戦いにもいささか飽いてくる。

これほど大軍を動かして、国家財政は大丈夫なんだろうか?
ローマの昔から、戦勝軍の略奪は大目に見て、足りない褒賞に当てていたりするものだが、デルフィニアにはその気配もない。

人はタダでは動かない。
もちろん、理想だけでは食ってゆけない。
少なくとも、食べさせてもらわないとね。

とはいえ、次々と流れにのったストーリー展開で、面白い物語であることは確かである。

人間離れした主役に、果敢に立ち向かってゆく敵役の隣国の皆様、造反者・謀反人の方々が非常に気の毒ではあるが。
しかし、戦いばかり吹っかけるのではなく、外交などでもう少し賢い方法が取れないものか?
ちょっと疑問。
第三部である。
叉戦だ…って当たり前か、"戦記"なんだから。
だが、似たような戦の繰り返しは読者に退屈感を持たせてしまう。
どのように必然性があって、戦になだれ込むのか。そして其れをどのように決着つけるのか。
作者の腕の見せ所だ。
たのしみである。

ヒロイン自体が人外のものみたいなもんだから仕方がないけれど、その手の"超常現象"的なものは濫発してほしくない。
せいぜい魔法街のば〜さんぐらいで抑えといてもらったほうが、生身の人間が四苦八苦する物語のほうが、はるかに読みやすい。
(最後の最後に超常現象で締めくくられると、だまされた気分になる)

あと。
時々だが、人の思考の流れについてゆけないところがある。
「なぜ?」
と思ってしまう時が…時々。
納得いかないのは私の頭が固いせいか?
ご都合主義に傾いているわけではないことを祈るのみ。

それにしても、睡眠剤代わりに読み始めると、目が覚めてしまう(覚醒剤か?)になってしまう、実に困った本である。

ISBN:412204393X 文庫 茅田 砂胡 中央公論新社 2004/07 ¥680
ちょっと横道へ。

知人から借りて読み始める。

こっちのほうがあ〜まいぞ、ではなく。
すぐ読めるので、先に読むことにした。

(早く)読みやすくて楽しい本が次々出るので、文字離れが激しいとは言え、矢張り出版業界はまだまだ大丈夫かな?と思ってしまう私である。

しかし……ハンサムばかり出てくる小説はいい加減、食傷気味ではあるのだが。

ハンサムの"加減"にも色々有るしなぁ。

また、女官吏ということで、イメージがどうしても「十二国記」につながってしまうのは、私の気のせいです。
世界や設定が、なんだかダブってしまって…。

ISBN:4044499039 文庫 雪乃 紗衣 角川書店 2004/07 ¥480
嬉しいことに、読みやすい文庫サイズなので、ようやく入手。
司馬遼太郎と言う作家の書くものは、好きと嫌いがはっきりしていて、反射的には手に取ることは出来ないのだが、エッセイというものは、概ね、どんな作家の手になるものも楽しく読めるものである。

エッセイ集。
とはいえ、流石に兵役を経験した世代である。
描かれている内容が、実に幅広い。

この人の、なんというか、柔らかい、きれいで、上品な(?)言いまわしが好きなのである。

自然を、人の心情を、"まともな"日本語で描いてゆくその道に、寄り添うようにして歩いてゆくのがすきなのだ。

笑わせたり考えさせたりしてやろう、という気負いのない、淡々とした言葉のつづりが有るだけの文章が、すきなのだ。

2ページから5ページの長さのエッセイが集まって530ページ。
楽しみながらゆっくりと、司馬遼太郎氏に寄り添って歩いてゆこうと思う。

ISBN:4167663139 文庫 司馬 遼太郎 文芸春秋 2004/07 ¥700
「オリーブの真実」
真実にどんどん近づいてきている模様。
だが、現実の暑さと、小説の"夏のスペイン"がダブって、暑くて仕方がない。

もしかしたら(しなくても)読む時期を誤ったかも。

相変わらず機知にとんだ会話・受け答え・テンポ、が心地よい。
とても女流作家とは思えない重厚さとからくりとおおらかさのある推理小説である。

唯一の難点は、ローマ人の名前。
親子兄弟の関係でも、なんて覚えにくいんだ!!
新撰組の漫画である。
作者の岩崎陽子氏は、実に(筋肉の)硬そうなガタイのよい男性を描く人なので、文庫本サイズの本が、妙に重く思えて仕方がない。

値段もそこそこ重いが…。

新撰組もNHKのお陰でいい具合にブームであるし、本物の祇園祭りの宵山(7月16日)に合わせたドラマの設定も中々やるしだし、漫画も小説も選べるぐらいにわんさか出てきて嬉しいことこの上ない。

岩崎氏は陰陽師・阿倍晴明も描いていたその影響か、新撰組話でも怨霊じみた怪奇じみた匂いがぷんぷんする。
かといって、剣戟シーンも手抜き無しの迫力で、読み応えは抜群。
試衛館の皆を"アンタ!"呼ばわりする沖田などは新鮮かも。

ISBN:4253177697 文庫 岩崎 陽子 秋田書店 2004/07 ¥630
だから行ってはいけなかったのに…。
本屋へ行くなり衝動買いをしてしまった。

京都の話。
それも、花街の話。
意外に京都人でも知らないことのほうが多い。

そりゃそーだろー。
特殊な世界だもの。
分からないからこそ神秘的で"秘密の花園"で、美しく妖しく興味深くもなるというものだ。

それと。
京都人なのにこんなことも知らんのかー?
といわれるのが怖い。
怖いので、先に勉強しておこうと言う小心者なのである。

著者は、なんと大正時代に舞妓になったというつわもの。
今でも現役の(鑑札を返していない)芸妓さんである。
まるで"ビクトリー号"のような……。(たとえが悪い?)

おばあさんはご維新の前から芸妓をしていたというから…すごいわ。
しかし祇園ではわりと普通だったらしい。
うん。祇園ならね、と、素人の私でも頷けるところが凄い。

花街だ、祇園だといえば、ドラマや小説で「折檻」だの「いじめ」だの、随分と酷い世界のように描かれていたらしい。
だが、この本の二人の著者は「決してそんなことはなかった」と笑い飛ばし、「小さいうちは合宿か修学旅行みたいに思えた」と楽しさを語っておられる。
はたから、また現代から見ると"厳しい"を通り越して"酷い"と思えたことも、当時にあっては"普通のしつけ"だったのだろう。

そら、悪いことや、あんまり鈍なことをしたら怒られますけど、それは普通のお家かておんなじとちがいますか


はい。その通りです。

全編、読みやすい京都弁で書かれているので、非常に読みやすい、と思うのは京都人だけだろうが、京都の話し言葉に触れるいい機会でも有るので、チャレンジするのも面白かろう。
読めないほどべったりの京都弁ではないので、その点は安心してもよい。

そして。
大正期に始まって、戦前・戦中・戦後と、物不足の、また写真が庶民的ではなかった時代において、彼女らの写真の多く残っていること。
話に対応した写真がちゃんと用意できているのがすばらしい。
舞妓以前のおちょぼと呼ばれる頃の写真の、なんとも可愛らしいこと!

これもまた、舞妓・芸妓という華やかな、夢を売る職業であったが故の幸いであろう。

今の舞妓・芸妓とはまるで違う世界であるようだが、其れもまた歴史。
生きた歴史である。
特に、京都に遊びに来て、祇園界隈をぶらぶらしようというならば、一読をお薦めする。

ISBN:4569662250 文庫 森田 繁子 PHP研究所 2004/07 ¥540
ネットで注文して、過日納品があったと連絡があった一冊…。

だが。
昨日は台風による雨で。
今日はなんだかうだうだしたくて。
「本屋へ取りに行くの、めんどくさいな〜」
とか思っていたら、賢妹が
「いってきちゃる」
と言って取って来てくれた。
持つべきものは家族である。

なので、責任上(建前上?)読み出していた本を放り出して、こちらを読むことにする。

紀元1世紀のローマ帝国は、皇帝ウェスパシアヌスに使える密偵(スパイ…というより探偵)マルクス・ディディウス・ファルコの、今度の舞台はヒスパニア。
現在のスペインだ。
香料とワインの産地なのは、今と同じか。
ワイン…といえば、ワインに香辛料を、しかもわんさか入れて飲む、という習慣を私はこの本で知ったのであった。
私自身がほとんど飲まない、ということは有るにしろ、ワインに香辛料…???
日本酒に七味?
焼酎に山椒?

紹興酒に砂糖、と言う組み合わせが有るじゃないかと言われそうだが、あれは日本独特で、元祖・地元の中国ではあんな飲み方はしない。

しかも、塩・砂糖どころか、香辛料だから、味の衝撃度が違う。
"山椒は小粒でもぴりりと来る"のだ。

もしかしたら、今ほどの精製技術がないので、味を誤魔化していたのかも、とは想像するものの、矢張りちょっと異様な習慣に思える。

いや、もしかして、現在でも"通"の飲み方なのだろうか。
体にいいとか?
胡椒なら温まりそうな気はするが…本来そういう飲み物なのか?ワインって。
薬の代わり…香辛料をどばっと入れて…効用は兎も角、飲んで楽しくなさそうだ。
(Dr.マチュリンは"配給酒が病気の根本原因"と言ってたけど、あれは"近代医学"故の発言だからだろうか?)

まあ兎も角、ファルコの出張先の地図を見ると、つくづく、ローマ帝国は"膨張していたな"と思う。
この広大な土地に、まっすぐな石の道路を敷いたり、特許もかくやというセメント工法を発見して砦を築いたりしたのだ。
財政圧迫で、滅ぶのも当然だわな。

ローマ帝国の後の時代のほうが、その有りがたい特許ものの数々を忘れてしまい、文明的にはずっと退化してしまった。
伝えるものがなければ、文明なんてあっという間に消滅する、よい例である。

三日にしてならず
されど、一日にして滅びる


出だしから、主人公は相変わらずの、ひねくれ癖と女癖の悪さでどんどん深みに嵌まってゆくような気配である。
"やめとけばいいのに…"とついつい言いたくなるほどだ。
相変わらず運が悪いのか…。
自分で首を絞めてゆくその過程が健在なようなので、ますます目が離せない。

ISBN:4334761429 文庫 田代 泰子 光文社 2004/06 ¥840
好きな物語のイラスト集が出たので買う。(これも本?)
予約買いだとおまけがつくとあったが、すっかり忘れていた。
何かと思えば、色紙のコピーである。

まぁ良いけど。
なんでもコピーなのね。
いっそ、予約者のうちから5名に直筆色紙。
とでもすれば、品物を開封する直前までどきどきが楽しめてよいだろうに。

で、残念賞をコピーにするとかさ。

まあ、いいけど。

過去、イラスト集というのは、たいていが本の形式になっていた。
最近では、写真集でも何でも、一枚一枚の紙が入っている。
トランプの如く。

額装でもするなら楽だろうけれど、見るだけには大義である。
まず、ひっくり返って眺められない。
それに、ついうっかり折ってしまうんじゃないかと、恐る恐る手にしなくてはならない。
つまり、面倒くさい。

内容は、なんだかきらきらしている。
まるでトビウオのうろこを混ぜた口紅のように…。
紙の質がそうなんでしょう。

絵は、ベーシックなものが多い。
今市子氏は、寒色が多い漫画家さんなので、大判で見ると特にそのことが目立つ。
そういう絵が好きなら、まったく気にならないのだけれど、滅入るむきもあるかもね。

私の好きなおじろ・おぐろのペアが沢山出演しているのが何よりです。

ISBN:4257036982 大型本 今 市子 朝日ソノラマ 2004/07/20 ¥2,990
オーブリー司令官(!)のよぼよぼ艦隊は下巻も頑張っている。

赤道を越えて、ケープホーンを越えて、インド洋のマダガスカル近海でうろうろうろうろ…。

温かい海のほうがJ・Aには似合っているようだ。
素っ裸で毎朝の散歩ならぬ、遊泳も楽しめるし。
(インド洋だぞ、サメがオルカが怖くないのかな?といつも思う)

いつまでたっても海軍の慣習や決まりごとを覚えられない(⇒ついしてはいけないことをしてしまう)Dr.マチュリンと、戦いのことになると、親友の言葉すら頭に入らず挙句の果てに修復が効かないほどにプリプリ怒らせる羽目になるオーブリーと。
実によい相棒だと思える。

この二人の、話のずれ具合が、独特の面白さを醸し出す。
「人の話、聞いてる?」
と、一介の読者でありながら、横から突っ込みを入れたくなる。

そして、ドクターも、もうすこし見て楽しいものを収集してくれぬものか…。

ISBN:4150410666 文庫 高津 幸枝 早川書房 2004/07/22 ¥735
会社のお供は矢張りこの本で。
いや〜すすむすすむ。
好きな本は進むねぇ。

しかし。
前作のラストはすっかり新婚さん気分でルンルンだったヒーロー&ヒロイン。
この本では、しょっぱな所帯やつれなんかしちゃって…。
これではマチュリンが、自分の失敗(=失恋)を棚に上げてしまいそうだ。

南アフリカ・インド洋。
南洋の、明るい海は素敵だけれど、暑い夏には不向きかも。

ISBN:4150410658 文庫 高津 幸枝 早川書房 2004/07/22 ¥735
どっちかと言うと、こちらのほうが楽しいかも。
メイド漫画(?)「エマ」の舞台設定というか、時代背景というか、ビクトリア時代のお貴族様から日雇い、あるいは道で暮らす庶民までの生活と、メイドさんの分類・仕事の内容・衣装・給金に至るまで、事細かに記した一冊。
本当に細かい。

特にメイドについての記述は凄い。
マニアってこういうのを言うのね。
コスプレするならここまで考証すべきかも。
(え?そんなコスプレはない?)
この作者。
本当にヴィクトリアンが好きなんだなと痛感する。

みっちりと内容が詰まっているので、一見漫画だが、れっきとした参考書である。
つまり。
漫画と同じ装丁で大きさも同じだが、これを読むのは時間がかかるぞ〜。

でも、「エマ」の作者のイラストや本ストーリーのカット入りなので「かなり」分かり易い。

さてさて、これは本腰入れて読まなくては。

……というわけで、お出かけのお供には考えなくていい本を。
ジャック・オーブリーの新刊にするかな〜?(←無礼者)

ISBN:4757716435 コミック 村上 リコ エンターブレイン 2003/11/25 ¥998

エマ (1)

2004年7月26日 読書
ヴィクトリア時代、というから100年から前の話。
勿論英国の話である。
ホームズさんが、活躍の頃の話、でもある。

ジェントリ階級に生まれた男と、メイドである女。
その間に芽生えた恋。
だが、時代が、世間が、因習が、それを許さない。

淡々とした絵なんだけれど、丁寧に書き込まれた背景、すなわち"時代の絵"が豊富で綺麗で、嬉しくって仕方がない。
白黒の漫画なのに、絵全体に漂うイメージは、クラシックな渋いブラウンである。

アンティーク好きにも受けるのではなかろうか?

最初にこの本を見つけたのが、神戸の書店で等身大の絵が飾ってあったのを見たからで、たちまち興味を惹かれて膨大な書架を探し回ることとなった。

煩い身分差もさることながら、あの時代、親や配偶者や財産と言う後ろ盾を持たない女性が一人で生きてゆくのは本当に大変だったのだ。

ガバネスという住み込みで働く女性の家庭教師も、聞こえは良いけれど、その立場は不安定で、酷い家になれば乳児の世話から家事までこき使われたという。
行くところがない、とわかっているから。
追い出されたらたちまち路頭に迷うと判っているから。
そう言うことが出来るのだ。
酷い話である。

恋愛話はどうでも良いけれど、背景と時代の雰囲気を"視覚的に"楽しむのにはうってつけの漫画であるかも。
現在4巻まで出ているらしい…買うかどうか…本が増えるしなぁ…。

ISBN:4757709722 コミック 森 薫 エンターブレイン 2002/08 ¥651
前の3冊(宗教・くらしとグルメ・建築美術工芸)はパスしたのだが、お城・城砦とくれば興味津々。

丁寧に解説してある辺りは読み応えあり。
文庫なのに、写真が多いのも素晴らしい。

お城⇒城砦⇒戦い 

は常識なので、敵を寄せ付けない落とし格子や跳ね橋の収容溝の跡、そして弓矢だけでなく煮えたぎった油や汚物まで頭上から落とした矢狭間や、そういったものを写真つきで解説されると非常にわかりやすい。
そして面白い。
日本の城とは明らかに考え方が異なる設計であるために、口でいくら説明されても想像の及ばぬところが多いのだ。
その点、視覚だとそのままストレートに入ってくるのがよい。

さて。
白雪姫のロマンスの、スペインはセゴビアのアルカサル(王城)も、筆者の目にはイスラム教徒に対抗する堅固な城砦建築にしか映らない。
いやごもっとも。

窓もない(防衛上)壁の熱い(同じく)石の建物のなかで暮らす領主一族の苦労は、代わりたいとは思わない。
原則的に木と紙で、もう少し上等になっても石よりは土で出来ている日本の建築物のほうが、よほど人間には優しいといえよう。

厳寒のヨーロッパ。
石造りの城の大広間。轟々と燃える暖炉の暖かさが届くのは、上座のほんの一握りの人たちだけ。
その上、熱は即座に煙突から外へ逃げてしまう。
挙句、熱が煙突から上昇して逃げてゆくために、隙間から、冷たい空気がひゅーひゅーと吹き込んでくる。
だから、下っ端は、着られるだけの服を上から上から重ねて防寒するしかなかったのである。

ここらの記述が泣かせる。

現代日本に生まれてよかった。

ISBN:4101043248 文庫 紅山 雪夫 新潮社 2004/04 ¥540
会社で、上司から貰ってしまった……
会社と言うところは、自分の趣味の選択以外の本を貰ったりするところなので、意外性があって面白い。

まるで年末のくじ引きを待つ気分。
まるで10枚連番で買ったジャンボ宝くじの結果を待つ気分。
まるで…まあいいか。

「純ちゃんの悪口が一杯書いてあるよ」
という上司の言葉どおり。
この本の内容を真に受ければ、中々すさまじい小泉一族である。
小説より奇なり、というところか。

出る杭は打たれると考えるべきか。
火のないところに煙はたたぬと悟るべきか。

事実だけを捉えて自分で考えるようにしようと思いつつも、三面記事みたいで楽しいのは確か。

家族は血のみで語られるもの。
外から入ったものは家族ではない。
役に立たないものは家族であっても切り捨てる。

そういう酷薄で冷酷な人間が、国民に対して何を言うか、何をするか、考えなくてもわかるだろう?
とういうのがこの本の趣旨らしい。

確かにね。
現状のままであれば、そういわれても仕方有るまいとは思う。
私個人のためにも、周りの知人のためにも、この国に沢山の税金を払っている日本に住む人々のためにも、頑張っていい方向に進むよう努力してほしいものである。

我々とは違って、所詮政治家は、過程ではなく、結果である。
そして最終的に、経過のツケをまとめて払わねばならぬものなのである。
国民に対するツケを。
国家に対するツケを。
さて。
払えますか?

ISBN:4062123630 単行本 松田 賢弥 講談社 2004/05/22 ¥1,680

池田あきこのねこ話

2004年7月23日
ダヤン・シリーズで有名な著者の、日常の猫日記である。
ダヤンとなずけられた猫が池田さんちにやってきた。
そしてその後も次々と…。

いずれも拾われて、愛されて、気ままに"猫らしく"生きてゆく生き物たち。
愛すべき生き物の生き様は、黙って活字を追うだけでもとっても楽しい。
心を暖かくしてくれる。
薄い本で1,200円は「う〜む」と唸る値段ではあるけれど、それだけの価値はあった。
いよいよ婚姻話になってきた。

そうか。
こういう裏があったのか。
画集に収められた短編で、いきなり「王と王妃」なんて出てきたので吃驚していたのだった。

納得…。

周りの人たちがいまいち影が薄い。
もう少し煌びやかに(見た目、ではなく)派手に(矢張り見た目ではない)描いてあげれば、それぞれに熱狂的なファンがついて、小説のはばも広がるように思えるのだが。

それとも今のままでも充分面白いのに、贅沢を言ってはいけないのだろうか?

ところで、この再販・文庫版は第三部の5巻目がまだ出ていないとの情報を得る。
ええっ、そんな〜。

ここへ来て、其れはない。
一度出版したものなんだから、ちゃっちゃと出してほしいものである。
読者というのは、読めば読むほど拍車がかかるものなのであるのだから。

その日のうちに読めてしまった…。
どーすんだ、私。

ISBN:4122042437 文庫 茅田 砂胡 中央公論新社 2003/08 ¥680
いや〜面白いと流石にさくさく進むわ。

デルフィニア戦記・第二部の第二巻。
全三巻なので、大事に読むべきか。

話が膨らみ始めている。
第一部で撒いた種が少しづつを噴出してきている…と言う感じ。

この種をまくのが中々難しい。
撒きすぎると、栄養が足りずに死滅。
物語はとりとめもなく、麻が乱れるように収集がつかなくなる。

撒き方が足りないと、育てるもの(=読者)が面白味を発見できずに見捨ててしまう。

今のところは、
中々やるな、作者、
てなもんである。

ISBN:4122042291 文庫 茅田 砂胡 中央公論新社 2003/07 ¥680

黄泉びと知らず

2004年7月20日 読書
泣けるホラー「黄泉がえり」のアナザーストーリー。
自らの不注意で子供を亡くし、それが原因で離婚した夫婦。
彼らが、"黄泉がえり"に希望を託して、再び一緒に旅をする。
短編なので非常に読みやすい。

話はこのほかに7編収められており、SF色の濃いことに驚いた。
梶尾版かぐや姫である「六番目の貴公子」などは、あまりの奇異さに、かぐや姫に求婚する男の一人である主役が作者の分身であることに、ちっとも気がつかなかったほどだ。

怖そうでいて笑える。
泣けるホラーならぬ、笑えるホラー。

ISBN:4101490066 文庫 梶尾 真治 新潮社 2003/07 ¥500

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