異郷の煌姫〈1〉―デルフィニア戦記 第2部
2004年7月19日 読書
友人がどんどん廻してくれるので嬉しく読ませて戴いている。
ありがたいことだ。
友人曰く、
「だんだん漫画のようになってきているが、面白い。」
視覚的になってきているのか…。
望むところである。
画集を見ても主人公の二人しか見分けがつかないので、しっかり読んで、見分けがつくようになりたいと思う今日この頃であった。
ISBN:412204216X 文庫 茅田 砂胡 中央公論新社 2003/06 ¥680
ありがたいことだ。
友人曰く、
「だんだん漫画のようになってきているが、面白い。」
視覚的になってきているのか…。
望むところである。
画集を見ても主人公の二人しか見分けがつかないので、しっかり読んで、見分けがつくようになりたいと思う今日この頃であった。
ISBN:412204216X 文庫 茅田 砂胡 中央公論新社 2003/06 ¥680
私の好きな作家さんの本を、知って知らずか友人が貸してくれたので喜んで読む。
私の初読は「大阪の神様」だったけれど、相変わらずのわかぎ節かな?
どきどき…期待しながら読み始めよう。
女が、母が、娘が…ばかさ加減のくらべっこか?
期待を裏切らない作家である。
中でも最高に笑えたのが「新妻の手料理」。
自分が家の中を自由に仕切れる喜びと、今まで料理をしなかったので経済観念がなく、
『カネに物をいわせた、本に出ている料理が大量に出てくることになる』
わけだ。
振り返れば、確かに、「結婚してから同じメニューは出していない」とか、「シチューはルーから作るのよ」とか、手際とか要領とかとはまったく無縁の言動を言い放つ友人たちが多々いたような気がする。
冷蔵庫の残り物だけで、今あるものだけで料理を作る…これこそが料理の高等技術なのだが。
……そう。「超少女明日香」ですね。
ちなみに、作中にあった「女の馬鹿さ加減は、見なかったことに、なかったことにしてくれる男たち」
これって本当に親切なんだかどうなんだか。
ISBN:4087470024 文庫 わかぎ えふ 集英社 1999/01 ¥500
私の初読は「大阪の神様」だったけれど、相変わらずのわかぎ節かな?
どきどき…期待しながら読み始めよう。
女が、母が、娘が…ばかさ加減のくらべっこか?
期待を裏切らない作家である。
中でも最高に笑えたのが「新妻の手料理」。
自分が家の中を自由に仕切れる喜びと、今まで料理をしなかったので経済観念がなく、
『カネに物をいわせた、本に出ている料理が大量に出てくることになる』
わけだ。
振り返れば、確かに、「結婚してから同じメニューは出していない」とか、「シチューはルーから作るのよ」とか、手際とか要領とかとはまったく無縁の言動を言い放つ友人たちが多々いたような気がする。
冷蔵庫の残り物だけで、今あるものだけで料理を作る…これこそが料理の高等技術なのだが。
……そう。「超少女明日香」ですね。
ちなみに、作中にあった「女の馬鹿さ加減は、見なかったことに、なかったことにしてくれる男たち」
これって本当に親切なんだかどうなんだか。
ISBN:4087470024 文庫 わかぎ えふ 集英社 1999/01 ¥500
NATURAL (第1巻)
2004年7月17日 読書
人間の存在について、生きているということについて、力強く優しく語り掛けてくるストーリーが最近多いように思える漫画家さんである。
自然と人間。
人間と人間。
心と心。
つまるところ、自分が始まりであり、すべてなのである。
長い漫画家生活で、絵柄がほとんど変わらないというのも凄いと思う。
ねぶた祭り…いきたいなぁ……。
ISBN:4592883942 文庫 成田 美名子 白泉社 2003/09 ¥650
自然と人間。
人間と人間。
心と心。
つまるところ、自分が始まりであり、すべてなのである。
長い漫画家生活で、絵柄がほとんど変わらないというのも凄いと思う。
ねぶた祭り…いきたいなぁ……。
ISBN:4592883942 文庫 成田 美名子 白泉社 2003/09 ¥650
特命航海、嵐のインド洋〈下〉―英国海軍の雄ジャック・オーブリー
2004年7月15日 読書
Dr.マチュリンが玉砕してしまった……
普段は色恋沙汰にはまったく意味を見出さない人だけに、千載一遇のチャンス!と思ったのだった。
非常にざんねんである。
この後、見事挽回するのだろうか?
主人公の身辺より、そっちのほうが気にかかる今日此の頃である。
それにしても、インドの描写…!
居るだけで、呼吸をするだけで、疲れそうだ。
きれいきれいに馴らされて、抵抗力を失った日本人には鬼門である。
ISBN:4150410461 文庫 高津 幸枝 早川書房 2003/09 ¥735
普段は色恋沙汰にはまったく意味を見出さない人だけに、千載一遇のチャンス!と思ったのだった。
非常にざんねんである。
この後、見事挽回するのだろうか?
主人公の身辺より、そっちのほうが気にかかる今日此の頃である。
それにしても、インドの描写…!
居るだけで、呼吸をするだけで、疲れそうだ。
きれいきれいに馴らされて、抵抗力を失った日本人には鬼門である。
ISBN:4150410461 文庫 高津 幸枝 早川書房 2003/09 ¥735
負傷しないことは得なのか損なのか
2004年7月14日 読書海洋小説を読む。
一つの戦闘で清算される肉屋の勘定書き(=死者・負傷者の数)は、なるたけ多いほうが陸上の安逸な環境で戦闘を眺めているお偉方に訴える力が強いのだと、それは非常にばかげていることだという記述が目に付く。
我々の感覚で言えば、それは至極尤もなことである。
が、現場にいない"対岸の火事を見る方々"の思考は、"年金を心配しなくて良い永田町の方々"の思考に通じるものがあるらしい。
オーブリーは、負傷しない。
いや。負傷はするが、騒ぎ立てないって言うか、目立たない。
ただ黙々と作戦を続け、艦を走らせ、勝利をもぎ取るだけなのだ。
パフォーマンスが少ないのか?
淡々とした行動で、果敢な作戦も綴られているのでは、読者もよくよく目を凝らせていないとたいしたヒーローではないと間違った判断を下しそうである。
その分ドクターが酷い目にあっているような気も…
J・Aは人一倍丈夫なのか?
いやいや、きっとJ・Aは、肉体的ではなく精神的に傷つけられ打ちのめされているのだな、うん。
ドンパチのさほど派手ではない、珍しい海洋冒険小説である。
一つの戦闘で清算される肉屋の勘定書き(=死者・負傷者の数)は、なるたけ多いほうが陸上の安逸な環境で戦闘を眺めているお偉方に訴える力が強いのだと、それは非常にばかげていることだという記述が目に付く。
我々の感覚で言えば、それは至極尤もなことである。
が、現場にいない"対岸の火事を見る方々"の思考は、"年金を心配しなくて良い永田町の方々"の思考に通じるものがあるらしい。
オーブリーは、負傷しない。
いや。負傷はするが、騒ぎ立てないって言うか、目立たない。
ただ黙々と作戦を続け、艦を走らせ、勝利をもぎ取るだけなのだ。
パフォーマンスが少ないのか?
淡々とした行動で、果敢な作戦も綴られているのでは、読者もよくよく目を凝らせていないとたいしたヒーローではないと間違った判断を下しそうである。
その分ドクターが酷い目にあっているような気も…
J・Aは人一倍丈夫なのか?
いやいや、きっとJ・Aは、肉体的ではなく精神的に傷つけられ打ちのめされているのだな、うん。
ドンパチのさほど派手ではない、珍しい海洋冒険小説である。
特命航海、嵐のインド洋〈上〉―英国海軍の雄ジャック・オーブリー
2004年7月13日 読書
順調に航海中。
このまま行けば、今月に出る新刊にちょうど間に合うか。
「マスターアンドコマンダー」の映画を見た後なので、文章を読んでも、視覚的に状況が動くのが楽しい。
ISBN:4150410453 文庫 高津 幸枝 早川書房 2003/09 ¥735
このまま行けば、今月に出る新刊にちょうど間に合うか。
「マスターアンドコマンダー」の映画を見た後なので、文章を読んでも、視覚的に状況が動くのが楽しい。
ISBN:4150410453 文庫 高津 幸枝 早川書房 2003/09 ¥735
友情か恋か、それが問題
2004年7月12日 読書ジャック・オーブリーもドクター・マチュリンも、本職(海戦と手術?)以外のところで随分と悩んでいる。
いつの時代も、男同士の友情と、男女の恋心は両立しにくいものらしい。
とくに▲関係にある(であろう)時は。
恋愛ごとにかまけているわりに、そうと感じさせないこの小説はなんなのか?
某小説では、恋愛の"れ"の字だけでも嫌気がさしたというのに。
どうせ上手くいくはずがないと、そう思っているから読者も寛容になれるのだろうか?
だがしかし。
いいかげん、まともな帆船でまともな作戦行動(活躍)をしてくれんかな〜?
現在、下巻の真ん中あたり也。
いつの時代も、男同士の友情と、男女の恋心は両立しにくいものらしい。
とくに▲関係にある(であろう)時は。
恋愛ごとにかまけているわりに、そうと感じさせないこの小説はなんなのか?
某小説では、恋愛の"れ"の字だけでも嫌気がさしたというのに。
どうせ上手くいくはずがないと、そう思っているから読者も寛容になれるのだろうか?
だがしかし。
いいかげん、まともな帆船でまともな作戦行動(活躍)をしてくれんかな〜?
現在、下巻の真ん中あたり也。
勅任艦長への航海〈下〉―英国海軍の雄ジャック・オーブリー
2004年7月11日 読書
ラッキー・ジャックの運命は、まさしく海上の木の葉の如し…。
ようやく海へ出て、本来の調子を取り戻しつつあるJ・Aである。
喜ばしいことでは有るが、果たして彼の運命の先に、女神の笑みがあるか否か…?
読んだ本の内容を、時としてすっぱりさっぱり忘れる自分の都合のよい才能に感謝しつつ。
ISBN:4150410372 文庫 高沢 次郎 早川書房 2003/04 ¥882
ようやく海へ出て、本来の調子を取り戻しつつあるJ・Aである。
喜ばしいことでは有るが、果たして彼の運命の先に、女神の笑みがあるか否か…?
読んだ本の内容を、時としてすっぱりさっぱり忘れる自分の都合のよい才能に感謝しつつ。
ISBN:4150410372 文庫 高沢 次郎 早川書房 2003/04 ¥882
勅任艦長への航海〈上〉―英国海軍の雄ジャック・オーブリー
2004年7月10日 読書
なかなかポストキャプテンにはなれない、我らがジャック・オーブリー。
映画「M&C」のお陰で既刊がどさどさ店頭に並び、もう一度それを買いなおして揃え、ようやく読み始めることに。
債権者(借金取り)から姿を隠して逃げまくり、その一方、コネを求めて海軍省や目立って仕方がない賑やかなパーティーにはせっせと出席する。
「海へ出てしまえば、そんなものは大丈夫」
債務者の逃げ場が海上であるとは、れっきとした艦長も士官も、牢獄か水夫か究極の選択を迫られる犯罪者も、皆同じである。
だが、"ラッキー・ジャック"と人の口に上る彼が、果たしてこれで本当に"ラッキー"といえるのだろうか?
いや、ラッキーだからこそ、この程度で済んでいるのだろうと思うべきだろうか。
所詮、物事は考えよう、である。
普通のまともなヒーローとはいささか違って、借金に苦しみ、恋愛に苦しみ、友情に苦しみ…それでも幸運を求めてJ・Aは突き進む。
その揺るぎのない信念とパワーに頼もしさを感じた一冊である。
ISBN:4150410364 文庫 高沢 次郎 早川書房 2003/04 ¥882
映画「M&C」のお陰で既刊がどさどさ店頭に並び、もう一度それを買いなおして揃え、ようやく読み始めることに。
債権者(借金取り)から姿を隠して逃げまくり、その一方、コネを求めて海軍省や目立って仕方がない賑やかなパーティーにはせっせと出席する。
「海へ出てしまえば、そんなものは大丈夫」
債務者の逃げ場が海上であるとは、れっきとした艦長も士官も、牢獄か水夫か究極の選択を迫られる犯罪者も、皆同じである。
だが、"ラッキー・ジャック"と人の口に上る彼が、果たしてこれで本当に"ラッキー"といえるのだろうか?
いや、ラッキーだからこそ、この程度で済んでいるのだろうと思うべきだろうか。
所詮、物事は考えよう、である。
普通のまともなヒーローとはいささか違って、借金に苦しみ、恋愛に苦しみ、友情に苦しみ…それでも幸運を求めてJ・Aは突き進む。
その揺るぎのない信念とパワーに頼もしさを感じた一冊である。
ISBN:4150410364 文庫 高沢 次郎 早川書房 2003/04 ¥882
少し前からつらつら読んでいた。
作者は、れっきとした先生。
しかも大学の。
(しかも、人もうらやむ女子大の)
フランス語が専門なので「パリ」に関するさまざまな研究本なども出しておられる。
はっきり言って、「硬いばかりが能じゃない」を地で行く楽しい研究・解説本である。
こんな風変わりな先生……って、意外や大学には結構生息するもんなのである。
その先生が、テレビや広告で見た"便利グッズ"に誘惑され、必死に振り払った途端、通販や近所の安売り店で"ラッキー♪"と思って手を出してしまい、挙句そのほとんどが"失敗"に終わるという、題名の通りの「衝動買い"失敗"日記」を面白おかしく綴る一冊なのだ。
過去の失敗がその形骸を遺したまま、家の角に埃にまみれつつ有るのを横目で眺めつつも、思い切って捨てることも出来ない、"衝動買い"傾向過多の読者には、
「もっとバカな奴がいる」
「しかも大学教授なんだとさ」
と、大いに心慰めてもらえる一冊でもある。
↑こんなのを読むと、体脂肪計付ヘルスメーターが怖くて乗れなくなるのでは。
普段はそんなものには目もくれないのに、そのときに限って"買いモード"に入ってしまったと語る作者。(時計)
はるばるパリで買い求めた鞄が、実は日本人デザイナーの手によるものだと知ったときのショックとならば日本では発売してくれるなと発言してしまう。(通勤鞄)
何ゆえの衝動買いなのかその理由、失敗の原因と、今後の対策。作者が自分自身を振り返っての深い考察は真剣であるがゆえに、しかも性懲りもなくその失敗を繰り返すがゆえに、ますます笑いを誘うのである。
衝動買い…なんて、だれだって経験がある。
だからこそ、作者の姿に自身を重ね、安心して、大笑いができるのだろう。
ISBN:4122043662 文庫 鹿島 茂 中央公論新社 2004/05 ¥720
作者は、れっきとした先生。
しかも大学の。
(しかも、人もうらやむ女子大の)
フランス語が専門なので「パリ」に関するさまざまな研究本なども出しておられる。
はっきり言って、「硬いばかりが能じゃない」を地で行く楽しい研究・解説本である。
こんな風変わりな先生……って、意外や大学には結構生息するもんなのである。
その先生が、テレビや広告で見た"便利グッズ"に誘惑され、必死に振り払った途端、通販や近所の安売り店で"ラッキー♪"と思って手を出してしまい、挙句そのほとんどが"失敗"に終わるという、題名の通りの「衝動買い"失敗"日記」を面白おかしく綴る一冊なのだ。
過去の失敗がその形骸を遺したまま、家の角に埃にまみれつつ有るのを横目で眺めつつも、思い切って捨てることも出来ない、"衝動買い"傾向過多の読者には、
「もっとバカな奴がいる」
「しかも大学教授なんだとさ」
と、大いに心慰めてもらえる一冊でもある。
体重だけではなく、体の中にどの程度の脂肪があるのか、ようするにデブかデブでないかをデジタル表示で一発で見せつけられると、心の底から危機感が湧いてくる。
26%という液晶の中の数字が、こちらに向かって「デブ!デブ!デブ!」と、罵っているような錯覚にさえ陥る。
(体脂肪計より)
↑こんなのを読むと、体脂肪計付ヘルスメーターが怖くて乗れなくなるのでは。
普段はそんなものには目もくれないのに、そのときに限って"買いモード"に入ってしまったと語る作者。(時計)
はるばるパリで買い求めた鞄が、実は日本人デザイナーの手によるものだと知ったときのショックとならば日本では発売してくれるなと発言してしまう。(通勤鞄)
何ゆえの衝動買いなのかその理由、失敗の原因と、今後の対策。作者が自分自身を振り返っての深い考察は真剣であるがゆえに、しかも性懲りもなくその失敗を繰り返すがゆえに、ますます笑いを誘うのである。
衝動買い…なんて、だれだって経験がある。
だからこそ、作者の姿に自身を重ね、安心して、大笑いができるのだろう。
ISBN:4122043662 文庫 鹿島 茂 中央公論新社 2004/05 ¥720
デルフィニア戦記『放浪の戦士』4 ⇒ イーハトーブ乱入記―僕の宮沢賢治体験
2004年7月8日 読書
楽しく読めたので、あっという間に終わってしまった「デルフィニア戦記」の第一部。
もっとず〜っと苦労して、玉座に帰り着くのだと(勝手に)思い込んでいたので、「あらら」である。
王様の周りは、お育ちの良い、従って精神のひねくれていない方たちが大勢をしめておられるので、ヒロインの少女は一人でこれから随分苦労をしそうな雰囲気である。
そんなこんなで、次の第二部が、とっても楽しみ。
さて。
次は、漫画家さんのエッセイである。
随所に自身のイラストが掲載されているので、「あ、この人かぁ〜」と気がついた。
でないと、そういうことに疎い私にはさっぱりである…。
猫の絵が可愛らしい。
毛皮がとっても暖かそう。
触ってみたい。
そんな絵である。
でもこんなのが傍にいたら、”化け猫”なんだろうな。
宮沢賢治が岩手県を、夢の国と評している。
私は東北へは未踏査なので、なんともいえないが、憧れの気持ちは抱いている。
出羽三山・奥州王・藤原三代・松尾芭蕉・恐山…
なんだか凄く神秘的な力を感じる土地である。
ISBN:4480057560 新書 ますむら ひろし 筑摩書房 1998/05 ¥693
もっとず〜っと苦労して、玉座に帰り着くのだと(勝手に)思い込んでいたので、「あらら」である。
王様の周りは、お育ちの良い、従って精神のひねくれていない方たちが大勢をしめておられるので、ヒロインの少女は一人でこれから随分苦労をしそうな雰囲気である。
そんなこんなで、次の第二部が、とっても楽しみ。
さて。
次は、漫画家さんのエッセイである。
随所に自身のイラストが掲載されているので、「あ、この人かぁ〜」と気がついた。
でないと、そういうことに疎い私にはさっぱりである…。
猫の絵が可愛らしい。
毛皮がとっても暖かそう。
触ってみたい。
そんな絵である。
でもこんなのが傍にいたら、”化け猫”なんだろうな。
宮沢賢治が岩手県を、夢の国と評している。
私は東北へは未踏査なので、なんともいえないが、憧れの気持ちは抱いている。
出羽三山・奥州王・藤原三代・松尾芭蕉・恐山…
なんだか凄く神秘的な力を感じる土地である。
ISBN:4480057560 新書 ますむら ひろし 筑摩書房 1998/05 ¥693
放浪の戦士 デルフィニア戦記 第1部 中公文庫
2004年7月7日 読書
第一部も最終巻にたどり着いてしまった…。
面白いので早い早い。
一日一殺。もとえ、一冊。(叉同じギャグを…)
語り口調が柔らかい・甘いと思っていたら、もともと対象年齢がそんなに高くはないのだと言われる。
確かに。
小学生や中学生が、眉間にしわを寄せて歴史の不条理とか冷酷さとか、所詮運不運が人の運命を分けてしまうとか、そんな夢のない発想をされては困る。
夢を見ようよ、夢を。
とういうことで、この小説は矢張り面白いのであった。
ところで。
この小説中に大きな問題として出てくる、王様の出生。
だがそのことに、それほどに、拘る必要があるのか?
「銀河英雄伝説」を著した田中芳樹という作家に、「アルスラーン戦記」という小説がある。
実は、ここでも王太子の継承問題が表面化してくるのだが、あっという間に沈静化する…というか、そんなことたいした問題じゃない、までトーンダウンしてしまう。
登場人物たちは、
「実力で神に認められて、王位につけば問題はない」
「所詮歴史はそれを繰り返してきたのだ」
そのようなことをのたまうのである。
確かに。
その通り。
時間がたてば、時代が過ぎれば、そんなものは問題でもなんでもない。
なり上がりが老舗に変わるのに、100年3代もあればどーにかなりそうである。
ISBN:4122041910 文庫 茅田 砂胡 中央公論新社 2003/04/24 ¥680
面白いので早い早い。
一日一殺。もとえ、一冊。(叉同じギャグを…)
語り口調が柔らかい・甘いと思っていたら、もともと対象年齢がそんなに高くはないのだと言われる。
確かに。
小学生や中学生が、眉間にしわを寄せて歴史の不条理とか冷酷さとか、所詮運不運が人の運命を分けてしまうとか、そんな夢のない発想をされては困る。
夢を見ようよ、夢を。
とういうことで、この小説は矢張り面白いのであった。
ところで。
この小説中に大きな問題として出てくる、王様の出生。
だがそのことに、それほどに、拘る必要があるのか?
「銀河英雄伝説」を著した田中芳樹という作家に、「アルスラーン戦記」という小説がある。
実は、ここでも王太子の継承問題が表面化してくるのだが、あっという間に沈静化する…というか、そんなことたいした問題じゃない、までトーンダウンしてしまう。
登場人物たちは、
「実力で神に認められて、王位につけば問題はない」
「所詮歴史はそれを繰り返してきたのだ」
そのようなことをのたまうのである。
確かに。
その通り。
時間がたてば、時代が過ぎれば、そんなものは問題でもなんでもない。
なり上がりが老舗に変わるのに、100年3代もあればどーにかなりそうである。
ISBN:4122041910 文庫 茅田 砂胡 中央公論新社 2003/04/24 ¥680
放浪の戦士―デルフィニア戦記 第1部
2004年7月6日 読書
友人から借りて読み出したら、止らなくなった。
現在一日一冊のペースで突き進んでいるが、どこまで続くやら…。
しょっぱなから、主人公たちの危機的状況で始まる物語だが、それでいて語り口調は、いささか甘い。
甘く感じる。
「十二国記」のような硬質な雰囲気も感じない。
勿論、司馬遼太郎や宮城谷昌光などの、長編・大河・大ドラマともまるで違う。
が。
引き寄せるものがここにはあるんだから仕方がない。
国を追われた王さま。
それを助ける、正体不明の少女。
(この際、人間じゃなくても可)
王の帰還を泣いて喜ぶ家臣たち。
喜ばない敵役の皆様…の、陰謀と失敗と自滅。
設定自体は良くある話である。
だからこそ、それをいかに転がすか。料理するかはシェフの腕前次第。
主役の片割れを、名前ではなく "男" などとと書き続けてゆく作者の淡々とした仮面の下に、何が見えてくるのか。
まだまだ楽しませてくれそうな…予感である。
なぜかしらん、自宅に挿絵画集があったのが…これまた謎であるけれど(笑)
ISBN:4122041732 文庫 茅田 砂胡 中央公論新社 2003/03 ¥680
現在一日一冊のペースで突き進んでいるが、どこまで続くやら…。
しょっぱなから、主人公たちの危機的状況で始まる物語だが、それでいて語り口調は、いささか甘い。
甘く感じる。
「十二国記」のような硬質な雰囲気も感じない。
勿論、司馬遼太郎や宮城谷昌光などの、長編・大河・大ドラマともまるで違う。
が。
引き寄せるものがここにはあるんだから仕方がない。
国を追われた王さま。
それを助ける、正体不明の少女。
(この際、人間じゃなくても可)
王の帰還を泣いて喜ぶ家臣たち。
喜ばない敵役の皆様…の、陰謀と失敗と自滅。
設定自体は良くある話である。
だからこそ、それをいかに転がすか。料理するかはシェフの腕前次第。
主役の片割れを、名前ではなく "男" などとと書き続けてゆく作者の淡々とした仮面の下に、何が見えてくるのか。
まだまだ楽しませてくれそうな…予感である。
なぜかしらん、自宅に挿絵画集があったのが…これまた謎であるけれど(笑)
ISBN:4122041732 文庫 茅田 砂胡 中央公論新社 2003/03 ¥680
うちから一番近いデパートの地階に、蜂蜜の専門店が出来た。
というか、出来てしまった…。
実は私は蜂蜜が好き。
原因はわかっている。
小さい頃に読んだ「くまのプーさん」の、あの、どろりととろける蜂蜜に恋をしたからである。
最初はプーさんがすきなんだと思っていたのだがあ、どうも違うぞ、ということに随分時間がたってから気がついた。
私の恋したのは"黄金色の蜂蜜"なのだった。
思いっきり、この両手ですくって、口いっぱいに蜂蜜を…
という願望が、いい年の大人になってもまだある。
いくら純正蜂蜜が高価であるとはいえ、買えないことはない。
が、嫌気がするほど食するには、相当な量=投資が必要である。
たかが(おっと)蜂蜜に、この値段はな〜と妙な計算が頭の角に出てくるのも事実なのだ。
それにそんなことをしてしまったら、夢を叶えてしまったら、この"蜂蜜に恋する気持ち"が失われてしまうじゃないか。
なのに、どうして呼べば聞こえるぐらいの距離に、こんなお店がオープンしてしまったのか。
ま、兎も角。
その、何百種類とある(のではないかと思わせる)蜂蜜専門店でうっていた蜂蜜を使っての料理のレシピ本がこれ。
この本に載っている料理(おかず・おやつ・のみもの等)は
「当店の商品ですべてできます」
といわれ、家族が買ったものである。
そりゃもう、見ているだけで美味しそう。
ケーキなどのデザート類やドリンクは勿論、イタリアンや卵焼き・南瓜の煮物…と蜂蜜を使っての料理は意外に沢山ある。
写真の撮り方が旨いのか、どれを見てもつばが…。
なぜか、昔、台湾で食べた、蜜がたっぷりついた蜂の巣を思い出した。
ああ、やっぱり好き。
食べたい。
うっとり。
ISBN:4391616564 単行本 主婦と生活社 主婦と生活社 2003/08 ¥1,260
というか、出来てしまった…。
実は私は蜂蜜が好き。
原因はわかっている。
小さい頃に読んだ「くまのプーさん」の、あの、どろりととろける蜂蜜に恋をしたからである。
最初はプーさんがすきなんだと思っていたのだがあ、どうも違うぞ、ということに随分時間がたってから気がついた。
私の恋したのは"黄金色の蜂蜜"なのだった。
思いっきり、この両手ですくって、口いっぱいに蜂蜜を…
という願望が、いい年の大人になってもまだある。
いくら純正蜂蜜が高価であるとはいえ、買えないことはない。
が、嫌気がするほど食するには、相当な量=投資が必要である。
たかが(おっと)蜂蜜に、この値段はな〜と妙な計算が頭の角に出てくるのも事実なのだ。
それにそんなことをしてしまったら、夢を叶えてしまったら、この"蜂蜜に恋する気持ち"が失われてしまうじゃないか。
なのに、どうして呼べば聞こえるぐらいの距離に、こんなお店がオープンしてしまったのか。
ま、兎も角。
その、何百種類とある(のではないかと思わせる)蜂蜜専門店でうっていた蜂蜜を使っての料理のレシピ本がこれ。
この本に載っている料理(おかず・おやつ・のみもの等)は
「当店の商品ですべてできます」
といわれ、家族が買ったものである。
そりゃもう、見ているだけで美味しそう。
ケーキなどのデザート類やドリンクは勿論、イタリアンや卵焼き・南瓜の煮物…と蜂蜜を使っての料理は意外に沢山ある。
写真の撮り方が旨いのか、どれを見てもつばが…。
なぜか、昔、台湾で食べた、蜜がたっぷりついた蜂の巣を思い出した。
ああ、やっぱり好き。
食べたい。
うっとり。
ISBN:4391616564 単行本 主婦と生活社 主婦と生活社 2003/08 ¥1,260
QED―ベイカー街の問題 ⇒ QED−東照宮の怨
2004年7月4日 読書
怪しい漢方薬局の怪しい薬剤師・桑原祟が解き明かすシリーズ物の3作目。
「百人一首」「六歌仙」ときて、今回は、ミステリーの古典とも言うべきシャーロック・ホームズへ。
大体このシリーズは、何が題材に選ばれているかで出来不出来(好き嫌い)がはっきりする。
今回はシャーロック・ホームズ。
物語の出来はまあまあよろしかろうと…というのも、私がホームズ物のファンであるせいかな?
(違う部分で楽しんだのかもしれない)
ストーリのなかでサイドストーリーとして語られるホームズの謎は、なかなか奇抜で面白かった。
なるほど、それもありか、と、真面目に喜んでご高説を拝聴した次第。
WHO IS S・H?
ふんふんなるほど。
そういうプロットも考えられるのか、と純粋に楽しめる作品である。
(あ、やっぱり主筋と違うところを楽しんでしまったようである)
しかし。
日本でのシャーロキアンの活躍も活動も、大昔から知ってはいたものの、そこまで入り込めなかった私の一歩引いてしまう気分が、この小説で増幅してしまったのは確か。
ううう…そこまでマニアックにはやれない…。
とても無理…。
私の場合は、単純に"その時代性と物語を楽しんでいる"だけだもんなぁ。
まあ、ここまで、この小説に出てくるほど、犯罪に結びつくほどに酷くはあるまいが。
でもね…ちょっと引いてしまう。
いえいえ、彼らを悪く言う気は全くないのです。
なにしろ、
「シャーロキアンは、最も心の広いミステリーファン」なのだそうだから。
次は「東照宮」。
かの家康公が国家鎮護の神となって鎮座ましましている、霊験あらたかなる場所であるからして、相当の事件は覚悟すべきか。
……そりゃぁ、言われるまでもなく、呪、だろうね。
日光が江戸の鬼門、あるいはその後ろ盾(守り神)として存在することは既にたくさんの人が述べていることである。
だが、その日光を一つの手段として、もうワンレベル上の呪を創造しようとは。
論理としては非常に面白い展開であった。
が、連続殺人事件、その探偵ものとしての物語性は、ちょっと堕ちる。
これでは裏の歴史考証本である。
そちらに重心が偏りすぎて、犯人の描写がイマイチ。
犯行の理由としてはイマニ。
ミステリーとしてではなく、歴史の裏を考証する物語として読むべき本であろう。
作者は主題にのめりこみすぎるのかな?
日本の呪術に詳しい、私がファンである小松先生を始めとする、"その手"の研究者のお名前などがぽんぽん上がってくるのを、にやにやしながら読み進んでしまった…。
ISBN:4062738449 文庫 高田 崇史 講談社 2003/09 ¥650
「百人一首」「六歌仙」ときて、今回は、ミステリーの古典とも言うべきシャーロック・ホームズへ。
大体このシリーズは、何が題材に選ばれているかで出来不出来(好き嫌い)がはっきりする。
今回はシャーロック・ホームズ。
物語の出来はまあまあよろしかろうと…というのも、私がホームズ物のファンであるせいかな?
(違う部分で楽しんだのかもしれない)
ストーリのなかでサイドストーリーとして語られるホームズの謎は、なかなか奇抜で面白かった。
なるほど、それもありか、と、真面目に喜んでご高説を拝聴した次第。
WHO IS S・H?
ふんふんなるほど。
そういうプロットも考えられるのか、と純粋に楽しめる作品である。
(あ、やっぱり主筋と違うところを楽しんでしまったようである)
しかし。
日本でのシャーロキアンの活躍も活動も、大昔から知ってはいたものの、そこまで入り込めなかった私の一歩引いてしまう気分が、この小説で増幅してしまったのは確か。
ううう…そこまでマニアックにはやれない…。
とても無理…。
私の場合は、単純に"その時代性と物語を楽しんでいる"だけだもんなぁ。
まあ、ここまで、この小説に出てくるほど、犯罪に結びつくほどに酷くはあるまいが。
でもね…ちょっと引いてしまう。
いえいえ、彼らを悪く言う気は全くないのです。
なにしろ、
「シャーロキアンは、最も心の広いミステリーファン」なのだそうだから。
次は「東照宮」。
かの家康公が国家鎮護の神となって鎮座ましましている、霊験あらたかなる場所であるからして、相当の事件は覚悟すべきか。
……そりゃぁ、言われるまでもなく、呪、だろうね。
日光が江戸の鬼門、あるいはその後ろ盾(守り神)として存在することは既にたくさんの人が述べていることである。
だが、その日光を一つの手段として、もうワンレベル上の呪を創造しようとは。
論理としては非常に面白い展開であった。
が、連続殺人事件、その探偵ものとしての物語性は、ちょっと堕ちる。
これでは裏の歴史考証本である。
そちらに重心が偏りすぎて、犯人の描写がイマイチ。
犯行の理由としてはイマニ。
ミステリーとしてではなく、歴史の裏を考証する物語として読むべき本であろう。
作者は主題にのめりこみすぎるのかな?
日本の呪術に詳しい、私がファンである小松先生を始めとする、"その手"の研究者のお名前などがぽんぽん上がってくるのを、にやにやしながら読み進んでしまった…。
ISBN:4062738449 文庫 高田 崇史 講談社 2003/09 ¥650
自慢にならない三冠王?
2004年7月3日 読書
走るワン・ナイト・スタンドから本気になれない二死満塁?そして、この本へ。
三冊続けてゼッコーチョーに飛ばしている、というか、待っていられないというか。
果てることなく大爆笑させてくれるシリーズは今時貴重である。
謎の集団(組織)の中味もちらりほらりと小出しにして興味をそそり、シリアスとギャグで適度にバランスをとりながら、何処まで行くのかこの物語。
最近ではヒロインまで、人間離れしてきたな…と言うあたりはお約束?
ISBN:4829129263 文庫 賀東 招二 富士見書房 1999/10 ¥504
三冊続けてゼッコーチョーに飛ばしている、というか、待っていられないというか。
果てることなく大爆笑させてくれるシリーズは今時貴重である。
謎の集団(組織)の中味もちらりほらりと小出しにして興味をそそり、シリアスとギャグで適度にバランスをとりながら、何処まで行くのかこの物語。
最近ではヒロインまで、人間離れしてきたな…と言うあたりはお約束?
ISBN:4829129263 文庫 賀東 招二 富士見書房 1999/10 ¥504
パイド・パイパー − 自由への越境
2004年7月2日 読書
ハーメルンの笛吹き。
そういえば判りやすいのだが、題名の「パイド・パイパー」はその笛吹きのこと。
…なんて、後書きを読むまで知らなかったし、この作家が19世紀末生まれであり、まさしくこの小説の時代を生きた実業家であり、この作品も1942年にはアメリカで映画化され、日本でも30年以上前に角川から発刊されていた…とはまったく気がつきもしなかった。
不覚。
欧米では、アガサ・クリスティなどと並べられる著名作家であるのだと。
内容は、第二次世界大戦が勃発したフランス。
スタートはスイス国境近くのジュラ県。
70才になる英国人・もと弁護士の老人が、英国へ避難させてくれと親から託された子供をつれて〜それも途中でどんどん子供たちは増殖するが如くに増え〜ひたすら英国に向けて、故郷へ向けて進もう(逃げよう)とする、そんな物語である。
汽車は動かない、パリはドイツの手に陥落する、バスは爆撃を受けて立ち往生、連れて行かざるを得ない子供たちは進むごとに増え、ドイツ軍の制圧下の町を通過等々…次から次へと起こるのは自分たちにとっては不利なことばかり。
それらを乗り越えて、いかにして脱出するかという、なかなか手に汗握るストーリーになっている。
それは叉、華々しい戦争ドラマの主人公ではなく、か弱い老人と子供という、ごくごく一般的な私たちのレベルの視線で考えられる物語であった。
一言で言えば、こういう状況で子供は足手まとい以外の何者でもない。
しかし、老人は、長い人生で身に着けた"忍耐"ひらたすら"忍耐"でもって、自らの心臓病をごまかしつつ(としか思えない)子供たちを誤魔化しつつ(あやしつつ)一歩一歩と前進するのであった。
決して見捨てはしないのだ。
誰ひとりも。
危険と、つかの間の休息。
派手なやり取りは無いけれど、読ませる本である。
この危機をどのように切り抜けるのか、運命の女神がどちらを向いているのか、少しでもこちらを向かせるために、わずかな可能性があれば決して諦めない気持ち。
老人はそうして進み続ける。
が、果たして同じ状況で、我々はこの老人の如く振舞えるだろうか?
はなはだ疑問である。
戦争においては、子供は勿論、年よりも何も出来ない。
出る幕ではない。
足手まといであり、最初に切り捨てられるものでもある。
だからこそ、この70歳の、心臓病を患う老人が子供たちを最後まで離さなかったこと、見捨てなかったことは、彼が勇敢なる若い戦士たちになんら劣らないヒーローであることの証でもある。
ISBN:448861602X 文庫 池 央耿 東京創元社 2002/02/22 ¥735
そういえば判りやすいのだが、題名の「パイド・パイパー」はその笛吹きのこと。
…なんて、後書きを読むまで知らなかったし、この作家が19世紀末生まれであり、まさしくこの小説の時代を生きた実業家であり、この作品も1942年にはアメリカで映画化され、日本でも30年以上前に角川から発刊されていた…とはまったく気がつきもしなかった。
不覚。
欧米では、アガサ・クリスティなどと並べられる著名作家であるのだと。
内容は、第二次世界大戦が勃発したフランス。
スタートはスイス国境近くのジュラ県。
70才になる英国人・もと弁護士の老人が、英国へ避難させてくれと親から託された子供をつれて〜それも途中でどんどん子供たちは増殖するが如くに増え〜ひたすら英国に向けて、故郷へ向けて進もう(逃げよう)とする、そんな物語である。
汽車は動かない、パリはドイツの手に陥落する、バスは爆撃を受けて立ち往生、連れて行かざるを得ない子供たちは進むごとに増え、ドイツ軍の制圧下の町を通過等々…次から次へと起こるのは自分たちにとっては不利なことばかり。
それらを乗り越えて、いかにして脱出するかという、なかなか手に汗握るストーリーになっている。
それは叉、華々しい戦争ドラマの主人公ではなく、か弱い老人と子供という、ごくごく一般的な私たちのレベルの視線で考えられる物語であった。
一言で言えば、こういう状況で子供は足手まとい以外の何者でもない。
しかし、老人は、長い人生で身に着けた"忍耐"ひらたすら"忍耐"でもって、自らの心臓病をごまかしつつ(としか思えない)子供たちを誤魔化しつつ(あやしつつ)一歩一歩と前進するのであった。
決して見捨てはしないのだ。
誰ひとりも。
危険と、つかの間の休息。
派手なやり取りは無いけれど、読ませる本である。
この危機をどのように切り抜けるのか、運命の女神がどちらを向いているのか、少しでもこちらを向かせるために、わずかな可能性があれば決して諦めない気持ち。
老人はそうして進み続ける。
が、果たして同じ状況で、我々はこの老人の如く振舞えるだろうか?
はなはだ疑問である。
戦争においては、子供は勿論、年よりも何も出来ない。
出る幕ではない。
足手まといであり、最初に切り捨てられるものでもある。
だからこそ、この70歳の、心臓病を患う老人が子供たちを最後まで離さなかったこと、見捨てなかったことは、彼が勇敢なる若い戦士たちになんら劣らないヒーローであることの証でもある。
ISBN:448861602X 文庫 池 央耿 東京創元社 2002/02/22 ¥735
ブギーポップ ???
2004年7月1日 読書
ブギーポップ
?ミッシング ペパーミントの魔術師
?カウントダウン エンブリオ浸蝕
?ウイキッド エンブリオ炎生
と読了。
病院通いのお陰で…。
登場人物が、予想に反する行動を取るのが心地よい。
この小説の特徴だろう。
しかし…所謂"悪の組織"の行動が、いまいち散漫になってきたような気がするのは気のせいか?
一枚岩ではない、ということも話の展開とともに語られるのは判るのだが、そっちに力を入れすぎると本末転倒、いずれ話の中心がずれてくるのでは?
この小説は大丈夫かな?
ちゃんと折り合いをつけてくれるのかな?
人の潜在能力を発見し、分別し、仲間に取り込むか抹殺するか。
そんなこと、いくらやってもきりがないと…思うのだが。
ニュータイプは嫌がられる。
人は自分と違うものは、恐れ、虐待し、弾圧する。
それにしても、主人公のブギーポップ。
巻を追うごとに男ぶりがあがっとる…のも問題かと。
ISBN:484021414X 文庫 上遠野 浩平 メディアワークス 2000/02 ¥536
?ミッシング ペパーミントの魔術師
?カウントダウン エンブリオ浸蝕
?ウイキッド エンブリオ炎生
と読了。
病院通いのお陰で…。
登場人物が、予想に反する行動を取るのが心地よい。
この小説の特徴だろう。
しかし…所謂"悪の組織"の行動が、いまいち散漫になってきたような気がするのは気のせいか?
一枚岩ではない、ということも話の展開とともに語られるのは判るのだが、そっちに力を入れすぎると本末転倒、いずれ話の中心がずれてくるのでは?
この小説は大丈夫かな?
ちゃんと折り合いをつけてくれるのかな?
人の潜在能力を発見し、分別し、仲間に取り込むか抹殺するか。
そんなこと、いくらやってもきりがないと…思うのだが。
ニュータイプは嫌がられる。
人は自分と違うものは、恐れ、虐待し、弾圧する。
それにしても、主人公のブギーポップ。
巻を追うごとに男ぶりがあがっとる…のも問題かと。
ISBN:484021414X 文庫 上遠野 浩平 メディアワークス 2000/02 ¥536
A君(17)の戦争〈4〉 かがやけるまぼろし
2004年6月30日 読書
レビュー画像がにぎやかね…ついつい溜息が出ちゃうよ。
さて。
いろいろ御意見が出ているそうな、この第4巻。
ああ、なるほどね、と思わんでもない。
作者後書きによると、主人公・A君の立地を精神的にもしっかりと確認し、読者にも伝えたかったかったようだが…
私が思うに、確認したかったのは、作者が作品を書いていく上の、方向性とか考え方とかで、このへんで頭の中を一旦整理したかったのではなかろうか?
少なくとも、「A君」を楽しく読んでいる読者にとっては"ナニコレ?イキナリ?"ぐらいの感想かなとも思う。
これが果たして必要なのか?
読者は作品に何処までもとめているのか。
それを見定めるのは非常に難しい。
このいささな番外編的な素養の本。
内容的には、主人公はごくごく普通レベルの男子学生なので、本来のストーリーに比べるとはるかに読める。
読みやすい。
安心する。
だけどそれだと、ごくごくフツーの、良くある、ストーリーになってしまう。
安心できる分、楽しめない。
都合よくストーリーが"やり直せる"部分は、自分がうなされながら見る"悪夢"そのものだなぁと感じた。
「あ、いまのなしー」
てヤツね。
次は「ブギー」へ。なんか表紙の絵の感じが…変わったような…
ISBN:4829114789 文庫 豪屋 大介 富士見書房 2002/11 ¥651
さて。
いろいろ御意見が出ているそうな、この第4巻。
ああ、なるほどね、と思わんでもない。
作者後書きによると、主人公・A君の立地を精神的にもしっかりと確認し、読者にも伝えたかったかったようだが…
私が思うに、確認したかったのは、作者が作品を書いていく上の、方向性とか考え方とかで、このへんで頭の中を一旦整理したかったのではなかろうか?
少なくとも、「A君」を楽しく読んでいる読者にとっては"ナニコレ?イキナリ?"ぐらいの感想かなとも思う。
これが果たして必要なのか?
読者は作品に何処までもとめているのか。
それを見定めるのは非常に難しい。
このいささな番外編的な素養の本。
内容的には、主人公はごくごく普通レベルの男子学生なので、本来のストーリーに比べるとはるかに読める。
読みやすい。
安心する。
だけどそれだと、ごくごくフツーの、良くある、ストーリーになってしまう。
安心できる分、楽しめない。
都合よくストーリーが"やり直せる"部分は、自分がうなされながら見る"悪夢"そのものだなぁと感じた。
「あ、いまのなしー」
てヤツね。
次は「ブギー」へ。なんか表紙の絵の感じが…変わったような…
ISBN:4829114789 文庫 豪屋 大介 富士見書房 2002/11 ¥651
ファイナル・ミッション
2004年6月29日 読書
お久しぶりに読んだ本。
これで完結と言う言葉を疑ってしまうぐらい、長々と尾を引いた話であった。
非常に危険な特捜司法官(刑事と検事と裁判官と死刑執行人をかねる)は、危険ゆえに人間ではなく合成人間によって当てられる職業である。
その合成人間(実は男にも女にもなれる)と恋に落ちた一人の刑事の話だったはずなのだが……最初は。
ひとつひとつの話が随分込み入って、それがまた次の話の伏線になって…と、根の深いストーリーだと思っていたのに、ここにきて最終巻、えらい早足でいろんな課題の解決をつけて回ったかに思える。
つまり駆け足で、つじつまをつけて回ったかのような。
あれだけもったいぶって期待をさせたテロ組織を、そんな簡単に壊滅って…あなた。
もっと裏とか後ろとか奥の方とかに色々色々有るんじゃないんですか〜?
18年も続いていたから間延びしてしまったのだろうか?
わたしなんか、すっかり忘れてたよ。この話。
原作者は置いといて、漫画家の道原かつみは、例の「銀河英雄伝説」も漫画化している。
そう。
きらきらのラインハルト様を描いた漫画家さんなのであった。
原作付きの漫画家としても有名なのだろう。
原作付なら「ノリ・メ・ダンゲレ」がお薦め。
キリストの受難と、最終戦争後の"神の不在の"人間のかかわりを描くSFである。
信ずる"心"の強さを、まじまじと感じさせられた一編である。
オリジナルなら「キャウ・キャット・キャン」
古の獣を、遺伝子操作で蘇らせ…その一方で同じ遺伝子を使って、"ヒトに奉仕する"人間を作る社会。
人類に見捨てられた、とある辺境の惑星でその両者が出会う…。
どの作品も「あとは自分で考えてよ」的な終わり方がこの作者の特徴であるのかもしれない。
なんか、落ち着かないんですけど。
ISBN:4403617581 コミック 麻城 ゆう 新書館 2004/06 ¥578
これで完結と言う言葉を疑ってしまうぐらい、長々と尾を引いた話であった。
非常に危険な特捜司法官(刑事と検事と裁判官と死刑執行人をかねる)は、危険ゆえに人間ではなく合成人間によって当てられる職業である。
その合成人間(実は男にも女にもなれる)と恋に落ちた一人の刑事の話だったはずなのだが……最初は。
ひとつひとつの話が随分込み入って、それがまた次の話の伏線になって…と、根の深いストーリーだと思っていたのに、ここにきて最終巻、えらい早足でいろんな課題の解決をつけて回ったかに思える。
つまり駆け足で、つじつまをつけて回ったかのような。
あれだけもったいぶって期待をさせたテロ組織を、そんな簡単に壊滅って…あなた。
もっと裏とか後ろとか奥の方とかに色々色々有るんじゃないんですか〜?
18年も続いていたから間延びしてしまったのだろうか?
わたしなんか、すっかり忘れてたよ。この話。
原作者は置いといて、漫画家の道原かつみは、例の「銀河英雄伝説」も漫画化している。
そう。
きらきらのラインハルト様を描いた漫画家さんなのであった。
原作付きの漫画家としても有名なのだろう。
原作付なら「ノリ・メ・ダンゲレ」がお薦め。
キリストの受難と、最終戦争後の"神の不在の"人間のかかわりを描くSFである。
信ずる"心"の強さを、まじまじと感じさせられた一編である。
オリジナルなら「キャウ・キャット・キャン」
古の獣を、遺伝子操作で蘇らせ…その一方で同じ遺伝子を使って、"ヒトに奉仕する"人間を作る社会。
人類に見捨てられた、とある辺境の惑星でその両者が出会う…。
どの作品も「あとは自分で考えてよ」的な終わり方がこの作者の特徴であるのかもしれない。
なんか、落ち着かないんですけど。
ISBN:4403617581 コミック 麻城 ゆう 新書館 2004/06 ¥578