失楽の街

2004年11月14日 読書
建築探偵・桜井京介氏の推理シリーズ。

とはいえ、今はまだ、彼は遠いマレーシアの彼方。
教授こと神代宗氏が、孤軍奮闘中…。

主役の探偵がやたら硬質でクールさを崩さず・失わず、いかにも昔ながらの正統派推理小説的雰囲気の漂うシリーズものは、私にとっては少々堅苦しい面もあるが、一風変わった作風が、面白い。
どうか。
面白おかしく楽しめますように。

…さて。
先日の「秘密の部屋」。
最後の最後にあった、赤毛っこたちの父親の科白が至言であった。
パパがいつも言ってただろう?脳みそがどこにあるか見えないのに、ひとりで勝手に考えることができるものは、信用しちゃいけないって、

まさしく。
世の中、そのとおりだと思います(笑)

ISBN:4061823760 新書 篠田 真由美 講談社 2004/06/08 ¥1,050
これと、続けて「アズガバンの囚人」まで出ている…!!
(嘆息)

人のお財布のことも考えて出版していただきたいものである。

さて。
映画はとっくに過ぎている。
評判はよくなかった「秘密の部屋」
なんで評判が悪いかといえば、『ハリー君のとことん私的な学校生活に限る』物語だったせいだ。

ああいや。
パブリックスクールなど、海外だけでなく国内でもこういう寮生活をしている中・高生が読むならば"わくわくどきどき"するものかもしれない。
しかしとっくに青春時代を通り越し、忘れ去り、世間のどぎたなさに揉まれきった大人には、眩しすぎて可愛らしすぎて、ぴりりとした面白さ(=ウイット)に欠けると判断されたのかも知れない。
そう、ちょうど山葵のないお寿司のようなもの…。

すべては「大人が楽しめる童話」である本シリーズの辛いところである。
多大な期待を、子供たちばかりでなく大人から、それも全世界の大人から担ってしまう辛さがある。

だがしかし。
小説は映画以上に述べるものだ。
映画で伝わらなかったもの、捉え切れなかったなにか、それを探す旅に私は出た。

そして現在、旅は順調に進んでいる。
(わるかぁないよ、"秘密の部屋")


どんな超常現象も、理屈だ、理屈!

ISBN:4915512541 単行本 松岡 佑子 静山社 2004/10/23 ¥998
大人が喜ぶ童話の本。
主人公はダヤン。

短編が多かったダヤンシリーズの、珍しい長編物語もいよいよ3冊目に入った。
そして3冊目も、じっくりしっかり読み応えがある。
(ああ!ジタン!!)

ワチフィールドに住む猫でも、ダヤンよりジタンのほうがしっかりしていて、何につけてもお兄さんのようにダヤンを諭し導いてくれる。
だけど主役はダヤン。

雪の王の「世界を凍らせちまおう」作戦を阻止するために二人で旅をしている時も、頼りになるのはジタン。
でも、主役はダヤン。
最後の最後でキー(鍵)となるのは、あのうっかりモノのしっかりものの猫だった。

それにしても、魔女がいいモノだったとは…この本を読むまでそうは思えなかったけれど。

併読したら、やはりさっさと読めてしまった。
(就寝前に寝床にもって入ったら、読み終えるまで寝られなくなってしまった)

物語は続きます。
ちょっと宮沢賢治的な、うっとりしながらおたおたしながらふうふうふしながら考えながらの旅です。

ISBN:4122044359 文庫 池田 あきこ 中央公論新社 2004/10 ¥620

スイス時計の謎

2004年11月11日 読書
お久しぶりの有栖川有栖作品。

この人の推理小説は、時を同じくして世の中にあふれ出た一連の作家の中では一番読みやすい。
一族揃ってヘンな趣味に走っている大金持ちだとか、妙な性格をして片足異世界に突っ込んでいるような人ばかり出てくるとか、そういう超現実の世界が無い。
現代日本で、ごくごくありうるシチュエーションで、現実味があるせいなのか。

それとも、関西弁語り、推理し、で関西で(一度海外もあったけど)動き回る彼らゆえに親しみが人一倍わくせいなのか。
(多分是が一番の理由)

本もね。
戸外で読むのに最適。
乗り物で読むのに最適。
片手でもっても、いっこうに疲れない。

けっこうですな〜。

平均60頁の短編を4本、太くは無い一冊の新書にまとめたあたりも、とっつきやすくて非常に宜しいかと…。

唯一の問題は。
著者も、この彼の小説の中に出てくる小説家(所謂ワトソン君役である)も、かなり好きらしくてやたら出てくるアメリカの推理作家、クイーンである。
私この人の作品は"食わず嫌い"で何故か敬遠して、今までで一冊きり読んでいないのだ。
その一冊も、「シャーロック・ホームズがらみだから」と言う理由だけで。(さて、それは何と言う本でしょう?ちゃんと、エラリー&リチャード親子が出演しますぞ。)

いや。
理由はある。
きっとあれだ。
それは、寝ぼけ眼でみた真夜中のふる〜い映画が原因なのだ。
エラリー・クイーンのドラマをやっていたのだが、そのドラマに出てきたエラリー役の俳優さんが…聞き及んでいたイメージからは恐ろしくかけ離れていたせいだろう。

寝ぼけつつも大きなショックを受けた私。
「これは酷い!」(酷いのはどっちだ!?失礼な)
とそのとき思って、それ以来、クイーンには差別意識をもってしまっているのだ。
きっと。

ISBN:4061823167 新書 有栖川 有栖 講談社 2003/05 ¥840
怒涛のように進みまする。

A君。
相変わらず、捉えがたいヤツめ…。

美女より美少女が多いのは、世間の要望かそれとも著者の煩悩か。
たまにはまともなナイスガイのいっぴ…一人や二人、出ないものかと思ったりもする。(期待はしないが)

まるで綱渡りをするようなストーリー(だと私には思える)で、どっちかに転びそうで、転ばない。
ぎりぎりのところでやじろべえのようにとどまっている(ように思える)。

だから、著者もぎりぎりのところで書いてるのかなぁ?とA君の心理描写を読むに付け、そんな思いも浮かんでくる。

そしてまた、読むほどにシュミレーションゲームまでも髣髴とさせる、奇奇怪怪な小説なのであった。
(ラ○グ○ッサーとか。移動力と破壊力とを上手くバランスをとっているところ。あと、美少女わんさか、ってのがいかにも…)


<追伸>

…てなことを書いておりましたが、後半結構はらはらどきどき、手に汗握る展開で、ひさびさに興奮しました。
いや〜、ここまでかけるとは、正直思わなかったなー。

ISBN:4829115475 文庫 豪屋 大介 富士見書房 2003/11 ¥693
(作者が)快調に飛ばして、この本も5巻である。
この物語も、単発もののようでいて、なかなか…。

正邪が逆転し、あるいは観念が入り乱れ、正義感が通用しない世界。

作者も作家なんだかオタクなんだか良くわからない言動が…。

崩れる時は崩れるが、しめるとこ、しめてるし。

ところどころ映画調なのも気にはなるが…。

でこぼこ道を行く四輪バギーみたいな気分だ。

面白ければ文句を言うな。
ということかも。

ISBN:4829115165 文庫 豪屋 大介 富士見書房 2003/05 ¥651
イラストがねぇ…最初に比べると随分力が入っているというか、可愛くなったというか。
これもアニメ化(私は知らないけど)の影響だろうか?

何が面白いって、構図が面白い。
いかにも、困ってます、逃げてます、って言うのが。

さて、第12巻はクリスマスのお話だ。

まともなクリスマスになるわけがなく、叉学校生活主体で描きながら、ギャグバージョンだけではなく、結構シビアな展開を見せている。

ただし、テッサが…完全無欠の天才美少女だったはずが…どんどん関西芸人と化していくのはこれいかに。
これが読者の要望であるというなら、同情を禁じえない。
可愛そうに…。

かなめが、クリスマス・イヴの生まれで、「誕生日とクリスマスを一緒くたにされた」と文句をいうシーンがあるが、この気持ちは痛いほどわかる。
そういう私は23日生まれなのだ。
(ちなみに26日生まれの友人もいる)

お祝いどころか!
小学校では、必ずこの日は冬休み前の"大掃除"の日であった。
サイアクである。

どたばた劇に終わるかと思いきや、意外に細かい心情風景なんかも描いているので、その分お話に厚みが出来ている。
結構結構。

機械であるAIが、「何事もヤル気だ、ヤル気だ」と気炎を上げるのも面白おかしいではないか。(思考する機械…流行かな?)

ただね…所詮、軍関係・兵器関連の連中はやっぱり全員オタクなのかなぁと、その思いを強くしたことも確かである。

(もしかして、某M重工勤務の人たちも?だって、戦略課とかあるって聞いたことがあるし)

ISBN:482911505X 文庫 賀東 招二 富士見書房 2003/03 ¥609
午後からはこの本。
そして続けて「踊るベリー・メリー・クリスマス」へなだれ込んだ。

いやはや。
疲れたときは笑える本が一番。
それも目一杯非現実的で、これでもか、これでもか、と何処からか一瞬にして出現するハリ扇で、ヒーローをはたきまわす……

癒されるねぇ…。

休日は、こうでなくっちゃ。

ISBN:482911441X 文庫 賀東 招二 富士見書房 2002/06 ¥546
昨日の本の第2冊目。
パワーが落ちることもなく、マンネリ化することもなく、笑わせてくれる。

文化の差、笑えるうちはまだいいね。

ところで、巻末の、「ダーリンが外国人の方にアンケート」の項目で、
「ダーリンの言動で驚いたこと」というのがあり、
日本に初めて来た時、鴨川にいる鴨を見て「なぜ誰も捕まえないんだろう?」と真剣に聞いていた。

この方のダーリンは英国の方。
そうか…鴨って、食べるもんね。
美味しいし。(けっこー好き)
でも、そこらにいるものをのべつ幕なしに捕まえるなら、お寺やお城のお堀の鯉も、捕まえることになるし…。
アレは"鑑賞物"だと日本人は思っているけれど、この方のダーリンの目には"食べ物"と映ったんだろうね。

いいのか?動物保護協会?英国って煩いんじゃなかったっけか?

それと、交渉力のこと。
日本人は本当に交渉力が無い。
事実、海外へ行っても、まず値切るってことをしない。
(この件、とある本によると「大阪人」だけは別らしい)
これはとても勿体無い…というか。

その辺の国民的苦手意識が、国際社会での交渉力に影響しているのではなかろうか?
などと愚考してみたりするのであった。

ISBN:4840110328 単行本(ソフトカバー) 小栗 左多里 メディアファクトリー 2004/03/12 ¥998
前から気にはなっていた本。
内容は、ほぼ漫画。

ハンガリーとイタリアの血を引き、アメリカで育ったダーリンとの結婚生活を、漫画家である著者が綴った"お笑い生活日記"

日本と外国の考え方、習慣など、"それだけではないなにか"を感じさせる本である。
既刊は2冊。
まとめがいして、大爆笑させていただきました。

よくある「異文化比較論」「外国人と結婚した日本人のアイデンティティ」的なこ難しいことは述べてはいない。
でも、ダーリンである"トニー"が語る(主張する、ではなく)ちょっとしたこと、考えたいこと、疑問なことが、ああなるほどなぁ、ふんふんと、心に沁みてくるのは、何故か。
それは彼が高所から見下ろす(外)人ではないからだろう。

異文化のひずみにもだえる彼を、つついて刺激する彼女の気持ちは、なんとなくわかる私であった。

あさ、それにしても、語学が好きで好きで、何ヶ国語も操って、日本語にいたっては和語と漢語の違いを認識し、日本人ですら使わないような日本語を駆使し、趣味はテレビで語学番組を見ることで、映画の字幕の間違いを即座に指摘してしまう彼。
そんな彼のことを、ちょっと(かなり?)憎い…!と思えるのは、私が外国語オンチの平均的日本人だからだろうか?

ISBN:4840106835 単行本 小栗 左多里 メディアファクトリー 2002/12 ¥924
ローマ時代のけちな皇帝・ウエスパシアヌスの治下、密偵ファルコの欠役(?)する、推理小説第9巻。

前回の「オリーブの真実」が出てからそんなに経っていない(様な気がする)ので、出ているとしって吃驚。
(単に、毎回私が気がつくのが遅くて、今回に限り早く気がついただけなのかもしれないが)

ローマ時代といえば、

シーザーとか、
クレオパトラとか、
ベスビオス火山とか、
ブルータスとか、
コロセウムとか、
剣闘士とか、
水道橋とか、

物言わぬ白い彫像ーしかもいかついーのイメージばかりで、身近に迫ってくるものが無い。
人間離れしている。
そう思っていた私に、ローマの、ローマ人の生活をぐんと身近に迫らせた逸品。
それがこの密偵ファルコ・シリーズである。

お金が無くて、安ぶどう酒を煽ったり、公衆浴場で義理の父親と仲良く入浴・マッサージ・ストレッチ運動をしたり、虫の好かない妻の親戚と言下の格闘を繰り広げたり、小遣いばかりむしられる甥・姪から逃れようと謀ったり。

アポロンのような、すらりと長身で均整の取れた完全無欠のローマ人のイメージを吹き払い、そこらの飲んだくれのどうしょうもないオヤジがわんさかいるという、至極まともなローマ人観を育ててもらったものである。

今回、ファルコは今までと違って恋人ではなく、妻と娘をもつ。
そう。家庭を持ったのである。
家庭を持ったからには、責任もある。
それで、幼馴染の悪友(女の問題で奥さんに家を追い出された上に、仕事まで失った)とともに、新しい仕事を始めようとする…。

が。が。が。が。

かわいそうだが、そうそう上手くはいくまい。
そういう星の下に生まれて、でもメ一杯あがいている彼に祝福を。

いや。
へレナにめぐり合って相思相愛になって夫婦になっただけでも、十分ラッキーかな。

ISBN:4334761461 文庫 矢沢 聖子 光文社 2004/10 ¥740
見てきたように(嘘を)言う。
とか言うけれど。

「小説」を、映画を見ながらその解説をするように書かれても……読むほうは辛い。

もうちょっと、どうにかならんか!
「ヴァン・ヘルシング!」

もっとこう、心情風景を描写するとかさ。
映像には出てこない内面のほとばしる葛藤を著すとかさ。
映画では伝え切れなかった部分を補足するのが小説でしょうに。
文字なんだから、どうにでもしようがあるだろうに。

映画は最高だったのにぃ〜〜。

さて。
それにしても。

読む本がちょっとづつ溜まってきました。(嬉しい)
それに反比例して、財政状態が早くも危機に陥っております。(哀しい)
この夏映画公開の、「ヴァン・ヘルシング」小説版。

この映画はCGがこれでもか、これでもか、とてんこ盛りで使われていて、とっても楽しかった。
おまけにインディ・ジョーンズ顔負けの迫力もあった。
映画での舞踏会のシーンも、怪しい雰囲気が一杯で、とてもとても素敵だったし…。
ドラキュラとウルフマンの対決も古来からあるものだが、ここまで迫力のあるものははじめて見た。

さて。
なんといっても、クリストファー・リー以来、"かっこよさ"を内有したドラキュラ伯爵。
彼の過去は…まあおいといて、花嫁’ズ。
三者三様で、彼の趣味が良く伺える一面でありました(笑)

この世に自分の(吸血鬼の)子供を産まれさせたいと、必死になるあたりも(迷惑な話だが)"よきパパ"の雰囲気もちらほらと…?

ラストに異論はあるだろうけれど、ヒーローであるヴァン・ヘルシングを、単なるハンターとして、退治屋として位置づけできなくなったあの状態では、ヒロインは黙って黄泉への階段を登るしかないのかもしれない。
最後の血族が死に絶えた時、その呪いも同時に消えうせている、という趣向のためにも、"見せる"為にも仕方が無かったか。

余談では有るが、本場アメリカのユニバーサル・スタディオでは既にアトラクションとして成立しているらしい、この「ヴァン・ヘルシング」。
是非とも、USJでも、アトラクションにして欲しい!
建物の壁に思わせぶりに絵を描いているだけではなく。

切実にそう思うのである。
(ス○イダーマンより、よっぽど受けると思うけどなー)

ISBN:4812418038 文庫 村雨 麻規 竹書房 2004/08 ¥620
下巻は2日間で読了。
上巻でさんざ気を持たせられた謎(?)が、雪崩れのようにつぎつぎと明らかになる。

下巻の歩みは自然駆け足になる。
だから、あっという間に読めてしまう。
峠を越えた旅人の足取りのようだ。

成る程。

最後の最後で「あっ」と思わせる手法はさすが。
「館」シリーズの、まとめ的な内容になっている。

超自然的なあたりの手法は…ちょっと"うっとおしい"と思わないでもないけれど。

まとめとして、ファンと言うならば、やはり読んどくべきかもな…と思う次第である。
やれ。
ようやく下巻だ。

どうにか館の屋内配置図が判り始め、人の関係が判り始めたころあい。

ばらばらに動いていた(かに見える)登場人物も、一つの収束に向かって進み始めた様子。

ただ、くどい。
そう思える節もある。

これがこの作者の個性であるなら、好悪のそれぞれが出てくるから仕方が無い。

しかし、内も外も真っ黒に塗ったくったこの館で、閉じ込められるように生きていたら、はたして人の精神状態はどうなるのだろうか?

純白、あるいはピンクの部屋に閉じ込められると気が狂うとか聞いたけれど。(だから、病室も純白ではなく、アイボリーなのである)

テンポ良く話が進み始め、そして棚上げにされていた謎(?)が解きほぐされてゆく下巻に期待する。

ISBN:4061823892 新書 綾辻 行人 講談社 2004/09/10 ¥1,575

人魚の肉

2004年11月1日 読書
人魚の肉を食べると不死になりますが、

人魚の肉を食べると呪われます。(by「阿倍晴明」)

「暗黒館の殺人」上巻。

読了。

……なんど、私は、この本を、自分の顔の上に、落としたことか。
(そうして私は、転寝から目を覚ますのだ)
事故による死傷はあったものの、ようやく殺人事件(らしきもの)が発生しました。

時に上巻の三分の二を過ぎたあたりです。

長過ぎる…
ことの起きるのが、遅すぎる…

等と言う意見をレビューでは読んでいたけれど、ははぁつまりこういうことか。

確かに。
気持ち悪いことばかりが強調されていて、ハローウィンの今向けではある。

ちなみに、ダリヤの日。
みなさん、何を食されていたのでしょうか…とんでもない考えにたどり着いて、気持ち悪くなっております。

八百比丘尼の伝説は、近畿なんだよー。
中国の長江、といえば、日本で呼び習わされたのは"揚子江"である。
正式には長江。
その昔には、甲羅の上に家屋が建つほど大きな"緑の亀"が棲んでいるとかいないとか、噂されたあの、大河である。
(冗談ではなく。真面目な官僚の赴任地への旅日記に書かれてあるのだ)

遥か西の山脈から流れ出した一筋の水が、街を飲み込むほどの大河となって大陸を横断し、やがて東の海に流れ込む。
その旅路を、「源泉を求めて」と昔NHKがやっていたが、潤沢な資金をもつNHKでもなけりゃ、やってられないような手間暇金がかかる旅立だった。

勿論、番組は面白かった。

著者である竹内実氏は、先に黄河を遡るたびを記した御仁である。
開封や洛陽・西安と旅をしている。
今回は、(なんと!)西安の西、五丈原から四川に入る。
そう、かの昔諸葛孔明が先帝の志を成し遂げんと、魏を伺ったそのルートを逆行しての旅の始まりである。

四川省からは長江を下って重慶・宜昌、そして南京から上海へ…。

その旅路での目に入るものを記す旅行記なのだ。
写真も見ごたえがあるが、なにより地図が豊富で、見ていて実に楽しい。

ああ、やはりもう一度、ぜひ中国に行きたい(それも奥地に)…と余計な熱を再発させた困った本である。

ISBN:4022598220 単行本 竹内 実 朝日新聞社 2003/02 ¥1,470

百鬼夜行抄 (12)

2004年10月29日 読書
ようやく入手!
ネットで注文していたら、逆に届くのが大幅に遅れてしまった。
どうやら、探し回らなきゃならないような本を一緒に頼んでしまったらしい…。
私が悪いのだ。

今までとは違って、ちょっとストーリーが変化してきた、と思ったのは、ヒーローとヒロインにそれぞれお相手が出来たせいか。
そうそう若いんだから。
それも叉良し。

身内で閉塞していてはいけない。

だが、司以外に、あの化け物屋敷に平気で住める人間なんて、いるのだろうか……??
鬼灯だって撃退してしまうパワーを第三者に求めるのは、今となっては(物語上)かなりしんどいのではなかろうか。

いやいや。
あの二人の間に子供が生まれたら、無茶苦茶"そういう血の濃い"恐ろしい人間が出来上がってしまう。
それは恐ろしい想像である。
(エクソシストにでも就職しなくちゃならんじゃないか)

ま、マンネリしつつあった物語に新しい展開が出来てよかった、と思える。

パパの故郷と、リトルに会えた話はなかなか良かった。
「一番ものやわらかな顔」だった孝弘氏が、いまやあの…だからおにーちゃんが見誤るのは仕方あるまい。
ああ、雪女の解釈も面白かったなー。

そんなわけで、他にもいろいろ取り混ぜて、1万円ちかく本代に散財した私である。
い〜や、後悔はせんぞ!

ISBN:4257905085 コミック 今 市子 朝日ソノラマ 2004/10/20 ¥800

屋敷が広すぎる…

2004年10月28日 読書
「暗黒館」は屋敷が広すぎて、配置図が頭に入りません。

なんか口惜しい。

「ダリヤの日」
幼稚園の記念日か?

第一印象でした。

この小説の感想を読んでみると、すっぱりと分かれますな〜。
いいのと悪いのと。

冗長なのは私も好きではないが、その"世界"に没頭できるならば、冗長ではなくなる。
出来ることを祈ろう。

< 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 >

 

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