映画道楽

2005年4月26日 読書
スタジオジブリのプロデューサー・鈴木氏が語る、ジブリ作品の裏話+α。

鈴木氏自身の映画遍歴を辿ってゆくだけでも楽しかった。
なにより、面白そうな昔の映画を発掘できたのがよい。

中でも、「バリー・リンドン」という映画だ。
なんとなく面白そうで食指を刺激する…。

鈴木氏曰く、へたくそな俳優(ライアン・オニール)を主役に使っているからこそ、面白いのだ!という理屈だそうで。
…よーわからん。

美術監督の取り合いで負けて作品を放り出そうとし、自分が文句をつけた予告編フィルムを自分以外が褒めたといって降板を宣言する…宮さん(宮崎監督のこと)という人は本当に、普通の人じゃないと思わしめる。
そういう、人とは並外れた感性を持つ人だから、あれほどの作品を創造するんだろう。
だからこういう人もいてくれて本当によかったね、と思う。
同時に、そう思いながらも、身近に付き合うのはご遠慮したいと思ってしまった。
そういう監督の傍に鈴木さんたちがいて、頑張ってくれて、私たちに"宮崎アニメ"を見せてくれているのだ。
ありがたや。

これからも頑張ってください。

外国映画と日本映画の決定的な相違点。

全体を作ってから部分を創るのが外国映画。
建物の外観を整えて各部屋を設計するのと同じ。
だから、教会のように左右対称のすっきりと美しい建物も出来る。
上空から見下ろすと、なおはっきりするだろう。

それに対し、日本は部分から創り上げてゆく。
実際、日本の家は部屋から作る。
部屋の連続が家になるから、左右対象なんてありえない。

湯屋ももちろん、ハウルの城がその象徴的なものだ。

おまけに、部分がまずありき、だから、4畳半の部屋で始めた格闘が、まるで大きなりング上で闘っているかのように描かれもする。
空間は必要に応じて、いくらでも拡大・収縮するのが日本流なのだ。
そういえば、昔流行ったアニメーション「聖☆矢」では、リングどころか宇宙空間はてはあの世まで世界を広げていたよな…ああいうことか。
ああいうことをするのは、日本映画(アニメ)だけですってさ。

そんなわけで、映画の創り方にも同じことが言えるのだと。

そういう日本的ものが海外に認められた証が、ジブリの作品が海外で賞に輝いた理由なのである。

ちなみに鈴木氏はプロデューサである。
宮崎監督が描く世界を、具体的にパースをとり地理的位置的感覚をつかむのも大事な仕事なのだそうだ。

…で、あるとき「もののけ姫」でそれをやった。
たたら場からもののけ姫が住む原始の森まで主人公・アシタカが分け入ってゆく、それを時間で距離を測った。

「5分なんですけど…」

と宮崎監督に告げたところ、

「余計なことをして」

と言われてしまったのだそうだ。

監督は確かに日本人らしい感覚で映画を作っている、そういうお話である。

ところで、いまや世界的に流星を極め、「ジャパニメ」(≠アニメ)なる造語まで出来てしまったと言う日本のアニメにも、危機はある。
アニメーターが動画を描くとき、経験していなければかけない。
自分が出来ないことを、絵にして、ましてや動かすことなどできはしないのだ。
正論だ。

今のジブリの若い人たちにも"描けない"者が増えてきているのだと言う。
自分が経験していないから…つまり日本の社会がそれだけ変わってきている証拠でもある。

「千と千尋の…」での冒頭、両親が怪しい世界で怪しい屋台の怪しい食事をがっつくシーン。
若いアニメーターにはかけず、宮崎さんたちが描いたのだと言う。

若い世代は、そういうことをしたことないから。
それが理由。

描けないシーンがどんどん増えてゆくのだろうと鈴木氏は危惧するのだ。

経験していないことを、リアルに描いて、映画を見る人に実感を沸かせるなんてことは…出来ないよね。

ISBN:4835615409 単行本 鈴木 敏夫 ぴあ 2005/04 ¥1,575
休刊中に邪魔になって売り飛ばしてしまった全集…を、やっぱり文庫本サイズででもそろえようかな、という気になっている。

そんな漫画の作成裏話。
作品を仕上げてゆく過程で起こったトラブルや、苦労話。
そしていろんな人の協力体制。
外国(特にエーベルバッハ少佐の地元ドイツ)での反応などなど。

未公開イラストつきで、本編に劣らず相変わらず魅力たっぷりである。

迫力のある、少年漫画張りの少女漫画で、異質で特異で、夢中になったものだ。
大学の第二外国語の選択に迷わずドイツ語を選んだ人は多かったはず。(そして激しく後悔する)

しかし、作者が語る「年月の重さ」は、読者にもひしひしと迫っているものだ。

面白いものは、いくつになっても面白いけどね。

ISBN:4838715633 単行本 青池 保子 マガジンハウス 2005/02/17 ¥1,575
最初のガンダムがテレビアニメに登場してから、四半世紀。

四半世紀って25年だよ、なんと!

私は勿論学生で、夕方から始まるこのアニメを、その後の再放送のたびに何度も見返したクチである。
"新人類"だとか"ニュータイプ"だとか、今普通に使われるこういう言葉も、元はあのアニメから派生したものではなかったか。

流石に男の子たちのようにプラモデルに夢中になる、ってことはなかったけれど。

あの辺りから、日本のアニメが変わってきたのだった。
総監督のトミノヨシユキ氏を崇拝する若者がたくさん現れて、休日の原宿には、当時一世を風靡していた派手なパフォーマンスを展開するタケノコゾクを圧する勢いでトミノコゾクなんてのも現れ、ニュースを賑わしたもんである。

つまりガンダムの登場人物の格好をする、コスチュームプレイヤーの方々のことなんだが。
当時はアマ・プロの業者もなく、皆手作りでやっていたのだ。
拙いながらも工夫と一所懸命さが溢れていたものだった。

あぁ…懐かしい…でもって、よく覚えているもんだ、といま思う。

当時夢中だった世代が、いまや親となり、その子供と"続編"をテレビで見ている状況なんだね。
親世代としては、堂々とアニメを見る口実にもなって、たいそう"ありがたい"ことであるらしい。

それにしても、次々と絶えることなく続編が生まれてくるのにはあきれる、というか敬服するというか。

プラモデルの歴史になぞってガンダムの四半世紀の歴史を考察してゆくのがこの本の内容らしい。
先述のとおり私はプラモには興味がないが、ガンダムには大いに興味のあるところなので、昔を思い出して〜それこそ四半世紀の時をもう一度辿りながら、楽しめたらな、と思う。

ところで。
ガンダム後の「イデオン」やら「ザブングル」やら諸々…にはガンダムみたいな現象は現れないが、これは"最初に出たもの"の重み(価値)だろうか。

コロンブスの卵…?

ISBN:4396110049 新書 今 柊二 祥伝社 2005/02 ¥777
春だねぇ。

小説も春だ。

あっちこっちで小鳥たちの巣作りが…
春だわな。

読み出すときっと止らない、と思ったが、やはり止らなかった「デル」
第4部の第2巻へ突入である。

またぞろ戦争が起こる気配で、裏で暗躍するものたちの策謀やら政府間の陰謀やら、清浄できない毒が湧いてきている。

相変わらずの賑やかさで、読んでいるほうは楽しいけれど、片っ端からハッピーにして、片っ端から悲劇のどん底に落すようなことがありませんようにと祈るばかりである。

ISBN:4122045029 文庫 茅田 砂胡 中央公論新社 2005/03/23 ¥680
"くまさん"が早くいち早く読めてしまったので、「デルフィニア戦記」へ移った。
…が、読み出すと止らないんだなァ、この本も。
買って貸してくれる友人に大感謝!

最初の勢いはなくなって流石に停滞感が見え始めてきたが、落ち着きそうで落ち着かないのがこの手の歴史もの風小説だ。

本国の、宮廷での騒動話も、正直そろそろ飽きてきた。
ああいや、きれーな衣裳は好きだけどね。
映画(≠アニメ)で見られればさぞかし綺麗だろうね〜とも思うし。

宮廷、となればイコール陰謀・謀略みたいな話になりがちなので、それは敬遠したいのが私の本音。
だってうっとおしいだけだもんな。

ただし、腹黒い王様は結構好き♪
清濁併せ呑む。
為政者はそうでなくてはね。

皆が中央(王宮とその周辺)に集まるもので、必然的に登場人物も増えてきて、ちょっと間をおくと誰が誰だか?状態になってきてしまう。

そろそろ舞台を辺境とか、外国とか、「登場人物を整理できる」状況に移してくれないかな、とも思う。

停滞は、小説には毒である。

ISBN:4122044758 文庫 茅田 砂胡 中央公論新社 2005/01 ¥680
可愛らしいイラストなのに、絵が出ませんか…残念。

くまのパディントンは人気者だ。
なにせ私でもその名前を知っていた。
読んだのはこれが最初だが。

暗黒のペルーから、どんぶらこっこと大西洋を一人でわたって英国にたどりつき、そこで新設場ブラウン一家と知り合って、厄介になることとなる。
それが主人公の、パディントン・ベア。

名前の由来は、かの有名な地名から。

……は、いいのだが。

謎だらけ。
あまりにも謎だらけすぎるぞ。

なんでなんであんこくのペルーなんだ!?
気になるっ。

でもって、蜂蜜よりマーマレードが好きなくま、なんて……。

大事件を起こす究極の原因でありながら、まんまとそれらをすり抜けてあまつさえ感謝までされてしまう"世渡り上手"。
それが、このパディントンだ。

子供だけでなく、大人が読んでも楽しく笑える作品である。

ISBN:4834001083 単行本 ペギー・フォートナム 福音館書店 2000/00 ¥1,260
犬は思考するのか?

たくさんの犬を半野生状態(としか私には思えない)で飼い続けた著者が綴った、彼らの本性と本質。

群で行動する彼ら。
山野で荒野で暮らす狼と、人間社会で、狭い空間を共有しなければならない犬の共通点。

"生きるため"に互いが必要不可欠であり、群の中で闘争をしない狼。

どこかに狼のDNAを引く犬であるがゆえに、群の中に順位をつけずには入られない犬。
それは、"生きるための戦い"がないゆえか。

興味深い事例を挙げて語られるため、飽きが来ない…どころか、犬好きにはもうたまりません♪

人類学者である著者(アメリカ人女性)の、犬まみれの生活がとてもとても羨ましい。
狼の生態観察なんて、人間だれでも願ったって出来るもんじゃないしね。

ムツゴロウさんはべつとして。

シビアなのは、著者の飼う犬二匹が、仔を生んだ時の話である。

野性の狼のように厳しい自然環境のなかでは、順位第一位の雌でなければ仔をもてない。
或いは、厳しい寒さの中ですら、巣穴で出産を出来るのは第一位の雌のみであると言う。

犬もまた然り。

ゆえに、同じ屋根の下で同時期に仔供を生んだ第一の雌は、自分以外の雌が産んだ仔を皆殺しにしようとしたと言う。
殺された仔の母親も、それが順当なこと(=当然のこと)であると考えていたようである。

それが犬の本性であり、本質であるのか。
それを見ていたほかの犬たちは、驚きも慌てもせず、実に冷静に対応したと言うことだ。

それがどういう基準と流れで組み立てられたものであれ、犬もまた、思考をしていることは確実のようである。

単にペットとして犬を見るのではない。
吾らの傍らの、古からの友を、今ひとたび考えなおそうと言う本である。

そういうところも、読みかけていた「デキのいい犬わるい犬」に共通するテーマを見つけて、ちょっと嬉しかった。


ISBN:4794206364 単行本 深町 真理子 草思社 1995/08 ¥1,680

イヴの眠り

2005年4月20日 読書
独特の絵と世界を構築するのが吉田秋生の漫画だ。

「カリフォルニア物語」で出会ったのが最初。
そのときから「フツーではない」と思っていたが、しばらく離れていたら、とてつもなくパワーアップしていた。

再会したのが「BANANA FISH」。
その後「夜叉」と続いて現在「イヴ」。

体力的にも精神的にもとってもハードな物語。
読んでいる方も休む間ももらえない。
息切れしながら付いてゆく気分になる。

人間の脆弱さと、僅かに存在する強さ。

そういうものを感じたければ、彼女の漫画を読むがいい。

しかし、(キラウエア)火山の女神(ペレ)の怖さは話には聞いていたけど…

やはり怖い…。

中国系マフィアもとっても怖いね…。
"血"と"ファミリー"の強さは、シチリアにも負けてないだろうな。

今の日本人には希薄なものだ。
(ちょっと羨ましくもある)

ISBN:4091380352 コミック 吉田 秋生 小学館 2004/12/20 ¥410
あ〜あ。
嵌まった嵌まった。

研究書だのガイドブックだの、単行本サイズで(つまり保存版ってことだよね)充実しているのが、人気の高さを感じさせる。

人は何のために生きるのか。

…死ぬのか。

生命の命題は、ひとりひとりが背負うものである。

ISBN:4757512708 単行本 荒川 弘 スクウェア・エニックス 2004/09/30 ¥800
「面白いよ。読む?」
ということで、友人の"子供"に借りてしまった……。

名前だけは知っていた。
テレビアニメになっているのも知っていた。

……ただ、こんなハードなお話だったとわ。
知らなかった。

人気が出るのも分かる。
ぐいぐいと引き込まれるね、これは。

"等価交換"

重い言葉だ。
でも真実。

目には目、歯に歯。
それに近いものを感じてしまった。

ISBN:4757513860 コミック 荒川 弘 スクウェア・エニックス 2005/03/11 ¥410
お安く買いました本……の第二弾。
値段を言うと著者に悪いぐらいの値段…で売っているもんなんだね、本って。

犬が好きなので、犬がどれだけ
"物事を考えて行動できるのか"
"どこまで認識しているのか"
などを考えてゆくのは非常に楽しい。

嘗て犬を買っていた者の常識(?)として、
「連中は絶対物事を認識しているし考えているし、時には人間をーしかも飼い主と同列にあるものをーからかったり試したりしている」
と私は考える。

そして甘える。
自分をアピールする。

その甘え方を見ていると、まさしく
「自分を人間だと思っている」
のもよく分かる。
どうすれば甘えさせてもらえるかも、ちゃんと知っている。

猫をかぶる
という言葉があるが、犬だってちゃんとかぶっている。

ペットロスと言う言葉が日本人にしか当てはまらないという話も聞く。
ペットを家族と同等に感じ扱い、最期の時には涙する、というあの感情は、日本人にしかないと言うのだ。
特に、アメリカなどでは、「情緒教育のための道具」扱いであり、「死んだら新しいのを飼えばよい」と考えられているのだと言う。

が、この本を読み始めた今日現在、そうとも思えないのだが。

大学で心理学を研究していたと言う著者。
単純に「可愛い可愛い」で終わらないところが見受けられる本ではある。
何しろ字が細かい。
そして行間が狭い。

だがしかし、犬大好き人間として、必ず楽しく読破してくれようとも!

ISBN:4167309971 文庫 木村 博江 文芸春秋 2000/09 ¥690

ヒロシです。

2005年4月16日 読書
とうとう買ったよ。
どうしようか。
興味はある。
でも定価は高い(ごめん)。

で、悩みに悩んだ挙句、古本屋で発見!
約半額で入手…って書いていいのやら。

思ったとおり楽しめた。
落ち込んだ時にはいいかもしれない本だ。

でも、どうだろう…そうは繰り返しては読まないかな?
これだけ読んで生この人の語りを聞いていないと、面白さは半減するかもしれない。
あの口調が、この文章を面白くさせているのだから。

確かに私も、他所の犬に吠え掛かって言うことを聞かない飼い犬を、見ず知らずの他人ならぬ他犬扱いしたことはあります。

ISBN:4594047998 単行本 ヒロシ 扶桑社 2004/09/22 ¥1,260
神戸・三木・小野・篠山・加東
源平史跡ハンドブック

…という副題が付いているので言わなくても分かる。

NHKの大河ドラマに便乗して、大阪を中心にエンジ色の電車を走らせている電鉄会社で販売されているいかにもローカルな冊子なのである。

悪乗りなのか。
商売上手なのか。

いかにもなんとも関西というべきか。

なにしろローカルな話題は豊富だ。
全国的な出版物、観光案内にはぜ〜ったい漏れていそうな遺跡や史跡がてんこ盛り。

とにかくたくさんの白黒写真に▼マークまでつけての親切な場所紹介。
これだけ有れば、しらない土地でも迷わずに史跡にたどり着ける…!
と言わしめたいのだな、きっと。

神戸方面が多いのは、福原の関係からして仕方がないし、
墓が多いのは、源平合戦の戦場であるからしてこれも目を瞑らねばなるまい。

パンプスやヒールで回るのは、いかにもしんどそうな場所ばかりであることは…

まあ、仕方がないかな。


2004年12月1日 第一刷発行

神鉄観光事業部
すずらん編集室

神戸市兵庫区荒田町1丁目20−2
078−521−0321
野村 貴郎 著 
○○で読むイギリス小説の第3巻目である。

つまり最終巻、ということだ。

勿論W・モリスも出てくる。
口絵の<レッド・ハウス>の写真を見る限り、現代人の感性…というか私の感性に近いのは、シンプル イズ ベスト のこっちにだ。

ひとつひとつはいいものなんだけれど、全部まざると調和もなく、ただただ煩く乱雑に思えるというビクトリア風の調度品は…乱雑、というよりも、掃除が大変だろうと言う思いで敬遠したい気分になる。

カントリーハウスについて、杉恵 惇宏氏の一文を引用する。
現存するカントリー・ハウスをその地域のシンボルとして残していくナショナル・トラストは、数知れぬ館の息の根を止めてきた重い課税を支持しながらも、カントリー・ハウスへの思いは深い。
イングランドの田園地帯には表面的に繕った館、死にかけた姿勢のまま保存されている館など、貴族の「屍」が累々と横たわっている。そこへ好奇心旺盛な大群衆が日々訪れている。大聖堂が宗教上の聖地であるのに対して、カントリー・ハウスはイギリス建築士そのものであるにとどまらず、世俗上の「聖地」ともいえる場所であり、イギリス文化の核をなす建物であることを心に留めておく必要がある。


……京都の観光地と同じであるな。

ISBN:4623037525 単行本 中川 僚子 ミネルヴァ書房 2003/06 ¥3,360
 
「サンドリンガム館の死体―女王陛下のメイド探偵ジェイン」を無事読了。

ヒロインであるジェインの推理が七転八倒…とは言い過ぎでも、あちこちへ引っかかりとっかかりして進む様子は呼んでいて楽しかった。

私にとってはまったくお馴染みのないロイヤルファミリーのメイド…から見た英国王室とそのとりまきの皆様方の生活やちょっとした過去の出来事やゴシップや…

英国王室フリークである、といわれる著者(カナダ人)だけに細かい下調べとそれらを利用した演出がよく効いていた。

新大陸から来た、ということだけで、やたらと「アメリカ人」と言われるヒロインが、そのたびに「カナダ人です!」というのは、「チャイニーズ?」といわれ続ける日本人の心境みたいなものだろうか…?

ISBN:4151001336 文庫 宮脇 裕子 The Mysterious Press 1999/02 ¥945
(私にとっての)ウッドハウス第二弾。

無茶苦茶、おかしい。

出来る執事と出来ない主人。
そのやり取りは、関西人をも唸らせるツッコミと笑いで満ち満ちている。

ああ、お金があって、こんな執事を雇えたら…!
毎日楽しいだろうに。

知的に"決して"見えないご主人様だが、ただひとつ私が感心してやまないのは、「人のよさ」
育ちがいいとああなるのか。

友人の、「それはないだろう」頼みも、ちゃんときいてやるこの男。
伯母様の「そんなアホな」いい分にも、ちゃんと応えようとする男。
(なんとかソレを逃れようとは一応あがくのだが)
阿呆やないかと思いつつも、だから友達はやめられぬ…ではなく、友情が長続きするのだろうな、
と思った次第でありまする。

ISBN:4336046751 単行本 森村 たまき 国書刊行会 2005/02 ¥2,100
舞台で見ればさぞかし面白かろう。

とおもうのがこの「スミスにおまかせ」

登場人物の絡まり具合、もつれ具合が非常に面白い。
同じ舞台上の、薄い壁や塀の、あちら側とこちら側で、互いに牽制し逃げる。
滑稽に蠢く登場人物たちを見ているだけできっと大爆笑だろう。

嗚呼、古きよき英国よ。

田舎のカントリーハウスで、一風も二風も変わった芸術家(に限らず)を集め、自由気ままに空想をもてあそべたならば……まあ、5日ぐらいで飽きるだろう。
亜麻色の壁。
かび臭い本の匂い。
タバコの匂い。

昔を彷彿とさせるハトロン紙。

そんな雰囲気を持つ「スミスにおまかせ」

P・G・ウッドハウスの作品である。

…と、偉そうなことを言っても、私はウッドハウスは初読である。
ただ、この古風な装丁のハード本に、ちょっと郷愁を掻き立てられているだけだ。

しょっぱなから、田舎のカントリーライフを楽しむ(つまり頭を使わない)お貴族様が、結構なボケをかましてくれるので、かなり期待は出来そうである。

「私の眼鏡は何処へ?」

「御前の背中にぶら下がっております」

…べたべたの大阪(吉本)ギャグやん(笑)と思うのだが、如何?


1982年、初版発行。 創土社刊。
抱腹絶倒小説のアスプリンが送る(お笑い)SFである。

執事つきのウイラード・フールは宇宙軍大尉。
彼は、"庶民の感覚"では理解できないところ(所謂"突拍子もない方法")で難問を解決してゆく。

異形(つまり人間型ではないということ)で出てくるのは遭遇する宇宙人だけではない。
自分のとこにも兵卒として、下士官として、士官として……存在するのは、当然。

口絵に出てくるウサギ型星人が…とっても気になる今日この頃だ。
(ピーターラビット?)

ISBN:4150115036 文庫 斉藤 伯好 早川書房 2005/02 ¥861
前々から「どうしよ〜かな〜」と思っていたのだが、とうとう勢いで買ってしまった。

買って、結構読み進んでから気がついた。
しまった。
これ、シリーズの2作目やんか!

……アホである。

しょうがない。
乗りかかった船…じゃなく、読みかけた小説(しかも推理モノ)だ、最後まで突っ走るぞ〜!!

どうやら「エマ」の影響が、自分で思う以上に大きいようで、J・オースティンの小説を探してみたり立ち読みしてみたりしている自分がいる。
(岩波"文庫"のくせに高かったのと、その本屋の品揃えが悪かったので買わなかったが)

冒頭部分は結構面白い♪
狩場ゆえにまわりにな〜んにもなくて、使用人には面白くもなんともない英国女王陛下のおうちのひとつーサンドリンガムーを「大嫌い」とのたまうヒロインが可愛らしい。
そりゃそうだ。
まだまだ若いんもんね〜。
…というより、だだっ広くて何にもない土地では、花も枯れようと言うものか?

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ところで、「海賊丸…」だが。
これも期待以上に面白かった。
意外性もあったし。

うん。
アタリが続くのは、非常に気分が良い。

ISBN:4151001336 文庫 宮脇 裕子 The Mysterious Press 1999/02 ¥945

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