潤いのある旅を

2005年2月3日 読書
時間とお財布に大分余裕がある、というのも確かだが。
野上弥生子さんの書く旅行記は、本当に潤いがある。

しっとりと。
繊細。
大胆で。
思い切りよく見切っている。

英国の下宿屋では、古びた館と行き交う英国人たちの生活などにディケンズを思い、イタリアの聖母子像には古代ローマの帝王たちの栄光を垣間見る。

感受性が強くて、でもしっかりと目を開けていて、ために成る。
そう。
知識がないと、これだけの文章は書けないだろうなぁ。

だから、夢のまた夢だけれど、ヴィトンの航海用のばかでかいトランクをもって、時間を思い切り浪費する、潤いのある旅をしたい。
そう思う。

やっぱり、宝籤…かな?

欧米の旅 (中)

2005年2月2日 読書
ぶっとい上巻は、昭和13年に日本を出発して、南の海を船で渉り、アラビアからエジプトへ、そして、ギリシア・イタリアへと繋いでいた。

薫り高い葡萄酒。そしてチーズ。
大盛りに盛られたパスタの国。
そして、ミケランジェロやダヴィンチの美が、そちこちに宝石を散りばめたように散在する国。
しかも、陽気なファシストの国でもある。

時代により、人により、状況と立場により、その言葉から受ける印象がこうまで違うかと驚きの連続であった。

この作者の淡々とした書き様が、実に判りやすく、しかもしっかりとした知識に裏打ちされてこその言葉であることに驚く。
そして、戦前に大旅行をしたのこの日本女性の、無邪気さと懸命さと観察力に舌を巻く。
そして、ただ奇抜なだけでなく、このように魅力的な文章で人を惹きつけられればと、心から思う。

彼ら彼女らが面と向かう歴史の大波のことを私は知っている。
だからこそ、その何気ない喜びや思いやりや触れ合いが、とても優しくいとおしく思えてくる。

文章を書く、というのはこういうことなのか。

さて。
この中巻は、英国、オランダ、スイス、スペインへと足を伸ばした著者の旅日記である。
下巻は他の欧羅巴の国々から、いよいよアメリカへ。

戦争がすぐそこに。

ISBN:4003116526 文庫 野上 弥生子 岩波書店 2001/08 ¥693
ボライソーの新刊「無法のカリブ海」を読み進む。
どこどこ進む。

カリブという、本来なら太陽と風とが輝く南国の雰囲気なのに、どうにもこうにも、暗いやん。

それと、やたら登場人物がドリーム入るね。

情景描写だとおもっていたら、いつの間にか心ははるか彼方へ飛んでるし…。
なんか、もっとしっかり、地に足つけて描いてくれんかな?
(それとも訳の問題?前科あるし)

とりあえずのひと段落か。
しかし、恋愛沙汰に道徳的・社会的障害をやたら並べたがる(=ハーレークイーンしたがる?)作者だなぁと、すでに偏見の入った私の目には、そう見えてしまった。

そんなところでじたばたしても、海洋冒険小説の面白味は増さないと思うのだが。

無法のカリブ海

2005年1月29日 読書
本当に、ひっさしぶり!
アダム・ボライソーの登場。
そして帰還である。

訳はやっぱり高橋センセイで、内容は全編で500ページ少々と、いつもよりはやや薄め。(そして千円を切っている!)

だがだが…嗚呼やはり。
ちらりと読んだ後書きで、また出てきたよキャシーさん…

いや、あのね。
訳者も絶賛の彼女だけど、もうそろそろ第一線を引退して欲しいなぁ。
う〜ん。
いつまでもイメージがディックに引っ張られすぎじゃないかなぁ…。
…とかなんとか、ひそかに思う今日この頃でありました。

カリブ海かぁ…ラミジの独壇場じゃないの。
紺碧の海にバラクーダ。
真っ白な砂浜にモスキート。

いいですね。
一度行ってみたいもんです(笑)
いや、ほんと。
豪華でなくともいいから、クルーズ船で。

ISBN:4150410755 文庫 高橋 泰邦 早川書房 2005/01 ¥945
久々に本箱の下のほうからひょこり現れた懐かしい本。
言うまでもない。
コミックスである。

この人の絵は、ストーリーは、とんでもなく独特で自分の世界(ワールド)を作ってその中でぐるぐる回ってしまう、というシロモノである。

だから、それに一囚われると、なかなか足抜けえ出来ないという厄介なシロモノでもある。

有名なのは「竜騎士」の話ではないかと思うのだが、「伝説の…」もファンタジーとは思えない凶暴さと軽さとえ〜かげんさがいい味を醸し出していて、私はこっちの方が好き。

短編が集められている一冊なので、戦隊ヒーローものの悲哀だとかお定まりのずっこけ吸血鬼もの等々…笑いには事欠かない。

ちなみに、戦隊ヒーローものも、いまほどには大手を振って「ファンです」とはいえない時代だったんじゃないかな、この漫画が描かれた頃は。
若いお父さんが、戦隊の紅一点である女のこのミニスカート目当てに日曜日のデパートの屋上に子供をダシにして行っていた、そんな時代であろうか。
若いおかあさんが戦隊ヒーローに惜しげもなくキャーキャーと黄色い声を浴びせている時代はまだ来ていなかったのではないか。

そう思うとしみじみするね。

ISBN:4403612326 単行本 押上 美猫 新書館 1990/07 ¥530
やっぱり予定より遅れて出てきた第8巻。

でもいいの。
面白ければ。
待てるってもんよ。

ゲームでやった人はわかるけど、3人の主役候補がいて、誰を選ぶかはプレーヤー次第。
だから"どう転んでもいいように"作られている。

それをまとめて筋に不都合が出ないようにして、枝葉末節四捨五入して、この漫画家はうまいなぁ、といつも思う。

話としては、いよいよクライマックスへ突入だけど、ゲームになかった枝葉が結構興味津々で、そのへんもしっかり書いて欲しいと思う今日この頃。

あと2巻で終わる、と作者後書きにもあったけれど…終れるのか?
実はゲーム自体はさほど入れ込めなかった私なので、このコミックスは嬉しい誤算でもある。

ところで。
「水滸伝」の名にあるとおり、108の宿星が集めるのがこのゲームの主筋。
勿論そこに歴史的事件(革命とか独立とか戦争とかいろいろ)絡んでくるわけだ。
でなければ面白いはずもない。
星を宿すものには強大な力がある。

その力を持つ宿星たちが、戦いと関わる時(← っていつもそうやんか〜"こと"が起こるから集まるのだろうに)世界のバランスを取るために「天魁星」が存在するのだ。
「水滸伝」の及時雨・宋江のことだな。

バランスを取る。
その言葉には、深い意味を感じる。
必ずしも"力技"ではない…何かを。
これも叉、そういう物語である。

ISBN:4840109915 コミック 志水 アキ メディアファクトリー 2005/01/22 ¥700
3部作のひとつめ、<衣裳>が読めたので、次はこの<食>に移る。
なかなかに面白い観点で歴史を文学を読み解く本である。

特に、ドリアン・グレイの肖像。
オスカー・ワイルド自身とともに、かなりページを裂いてあった。
私は未読だが、色んな"読み解き本”で話題に出てくるところを見ると、本編もかなり面白そうである。
(なんか恐ろしそうでもあるが)

<衣裳>がかなり面白かったので、これはさぞかし<食>も読みごたえあるだろうなぁ…と。
期待で一杯な私である。

…というか。3千円以上しているんや。
面白なかったら、はったおすで〜(笑)

まずはジョンソン博士のお言葉から。(孫引き)
食事が不味いところには、必ず貧乏あり、あるいは貪欲あり、あるいは愚鈍あり。つまりそこの家族には、なにかしら間違ったところがあるのだ

そこまで言われると、何もいえません。
しかも「食事が不味い」で有名な英国の方に言われちゃうと……(笑)

ISBN:4623040291 単行本 中川 僚子 ミネルヴァ書房 2004/06 ¥3,360
ご参考までに、ホームの<LIBRARY>掲載文を記載してみました。
こちらのレビューに重なる部分は多いとは思いながら…

⇒ http://www.geocities.jp/sailorsladyluck/Library.html

書名・作者・出版社 の順に


*アメリカ外交50年  ジョージ・F・ケナン  岩波現代文庫
*女には向かない職業  P・D・ジェイムス  ハヤカワ文庫
*鬼がつくった国・日本〜歴史を動かしてきた「闇」の力とは〜
        小松 和彦・内藤 正敏 対談集 光文社
*イギリス人はしたたか  高尾 慶子  文春文庫
*大江戸観光  杉浦 日向子  ちくま文庫
*大阪の神々  わかぎゑふ  集英社文庫
*海になみだはいらない  灰谷 健次郎  新潮文庫

*カルバニア物語?〜?  TONO  徳間書店 Charaコミックス
*巷説百物語  京極 夏彦  角川文庫

*砂漠の守護神〜密偵ファルコ・シリーズ  リンゼイ・ディヴィス 光文社文庫
*ジョン・ブルの誇り  レイ・ハリスン  創元推理文庫
*上海游記 江南游記  芥川 龍之介  講談社文芸文庫
*聖竜師の誓い 全2巻  久美 沙織  ハヤカワ文庫
*THE WORLD  獣木 野生  徳間書店 キャラコミックス
*坂の上の雲  司馬 遼太郎  文藝春秋
*図説 英国の帆船軍艦  ジェイムズ・ドッズ/ジェイムズ・ムーア  原書房
*生活大国イギリスの知られざる習慣  〜大人のためのスピリチュアルライフ〜   井形 慶子  大和書房
*しゃばけ  畠中 恵  新潮文庫

*BEAST of EAST 東方眩暈録  山田 章博  幻冬舎コミックス
*ダルタニャンの生涯〜史実の『三銃士』  佐藤 賢一  岩波新書
*ドラゴンになった青年 全2巻  ゴードン・R・ディクソン   ハヤカワ文庫
*殿下とパリの美女  ピーター・ラヴゼイ  ハヤカワ文庫
*時の娘  ジョセフィン・ティ  ハヤカワ文庫
*太公望  宮城谷 昌光  文藝春秋
*中国中世都市紀行〜宋代の都市と都市生活〜  伊原 弘  中公新書
*中国近世小説への招待〜才子と佳人と豪傑と〜  大木 康   NHK出版

*ネコ好きに捧げるミステリー  P・モイーズ、H・スレッサーほか  光文社文庫
*なぜアメリカはこんなに戦争をするのか   C・ダグラス  晶文社

*二人のガスコン  佐藤賢一  講談社
*人はなぜ色にこだわるか  村山 貞也  ワニ文庫
*紅はこべ  バロネス・オルツィ  創元推理文庫
*封神演義 全3巻  安能 務  講談社文庫
*ふらっとアフガニスタン7泊8日  辛坊 治郎  日本テレビ
*ボ・ク・ハ…みかん・?世〜坂根敏夫遺作集〜      坂根 敏夫  自費出版

*魔法の地図はいわくつき!〜マジカルランドシリーズ   ロバート・アスプリン  ハヤカワ文庫
*まやかしの風景画   ピーター・ワトスン   ハヤカワ文庫・ミステリアスプレス
*魔女の1ダース〜正義と常識に冷や水を浴びせる13章〜   米原 万里  新潮文庫
*宮崎アニメの暗号  青井 汎  新潮新書

*夢やしきへようこそ 全13巻  さちみりほ  秋田書店 プリンセスコミックス

*ロンドン〜ほんの100年前の風景〜  小池 滋  中公新書
*りかさん  梨木 香歩  新潮文庫
*リセット  北村 薫  新潮文庫

*わちふぃーるど 四季の絵ばなし  池田 あきこ  中公文庫
お笑いの後は、シリアス。
怒涛のように進みまする。

しかも、なに、これ。

重すぎ…。

舞台が…物語の展開が急すぎて、人死にが多すぎて、息切れがする。
とにかく痛い。
傷い。

そんな感じ。

近未来戦のハード面に関しては、だいたいイメージで読み飛ばしていたのだが、それがますます激しくなってしまった…。
(だって判らんもんな)

おいおい作者。
ちゃんと収集つけるんだろうね。
超天才にして超美形である敵役を、単なるシスコンの焼餅焼きにしないようにして欲しいものだが…
(なんかそんな匂いが…)

ISBN:4829116595 文庫 賀東 招二 富士見書房 2004/10 ¥546
フルメタの、お笑いのほう…(笑)

いや〜癒されるな〜これ。

理不尽とアホらしさと無茶苦茶度合いがほどよくブレンドされていて、甘すぎず辛すぎず、口の中で広がる味わい…。

ポン太くんも、すっかりレギュラーに近い位置を占めるようになって、今後がとっても楽しみである。

本編がシリアスに傾倒していかねばならない立場上、その対極に上手い具合に設定されたこの「お笑い学園記」。
どちらも楽しみだし、しんどくなったらお笑いへ。
ほっと一息ついたらシリアスへ。
と、上手い転換を図っている。
これも計算したのかな?

ますます楽しみで……って、本編が!
あれじゃぁこの先、この絶妙なるバランスは期待できないのかなぁ…寂しい。

ISBN:4829115408 文庫 賀東 招二 富士見書房 2003/07 ¥546
病気見舞いの一冊。
この人のエッセイは、楽しくすいすいと読める。
竹を割ったような性格なので、読んでるこっちもすっきりとする。

病気で凹んでいる時、気分が落ち込んでいる時、とってもいい良薬だ。

某日本国の某首相に対しても、歯に絹なんか着せてない。
見た目。
やっていること。
バンバン言っている。

イギリスで年金を貰って暮らす作者。
でも、
本当は日本に帰りたい。美しい日本に帰りたい。けど帰れない。

というのは、今の日本の社会制度のせい。
その通り、だと思う。

あー。元気が出た。

* * * * * * * * * * * * * *

エッセイの中で、感心したお話があったので概略を披露したい。
数年前のこと。
英国や仏蘭西のル○・ヴィ○ンでは、日本人の締め出しをやったそうだ。
つまり、売らない。
大挙して押しかけた日本人観光客(の若い女性たち)は英国や仏蘭西のル○・ヴィ○ンでは買い物をさせてもらえなかったという。
何故か。
大昔、雑誌ア○ア○が紹介して火がついてからというもの、日本人(特に女性)は、ネコも杓子もル○・ヴィ○ン状態である 
   ↓

欧羅巴の店にも、Tシャツにジーンズ・スニーカーというラフな格好で大挙して表れ、大騒ぎして買って行く

   ↓

もともと富裕層対象の、高級が売りの店のイメージが崩れてしまっている。

以前、女子中・高校生が集中的に買い求めたアメリカのメーカーラ○フ・ロー○ンが問題にしたのと同じことが起こったのだ。

で、英国・仏蘭西の店においては「遠慮してください」となったらしい。
では、日本人は何処で買うの?
「そのために日本店があるでしょう?(ちょっと高いけど)」
というわけらしい。

ところで。
店側の苦肉の策もわからないではないと、高尾さんは言う。
私もそう思う。
ただ。
日本って本当に民主主義というか、階層がないというか、自由だなァと、こういう逸話を聞くと思うのである。

でも、よく考えるとこれって……へんでしょ?
納得いかないでしょ?

そう。
人種差別になるんだよなぁ。
だから、おおっぴらにはしてなかったらしいけれど、なんだかんだ理由をつけては売らないようにしていたんだそうだ。
そういう目にあった日本人も、結構いるのかな?
「あ、私も!」って?

店側の気持ちもわかる。
でも、だからといって、日本人が粗雑に、客ではないように扱われるのは腹が立つ。
日本人だからと横柄な態度に出た店員に、高尾さんは一喝する。

日本人がどんどん買ったからこそ、 ル○・ヴィ○ンは世界中に冠たるブランドになった。
日本人が買わなかったら、いまでも英国と仏蘭西に一店舗ずつぐらいしかないメーカーに過ぎないよ!
と。

そうなのか…。
ル○・ヴィ○ンを世界に"布教"したのは日本人(しかも若い女性)なんだ。

いろいろ勉強になる。

ISBN:4167123134 文庫 高尾 慶子 文芸春秋 2004/10 ¥520

義経 (前編)

2005年1月20日 読書
ミーハーな私の、病床の友。
第二弾。

家族に借りた、やたら豪華な雑誌本。
NHKも、威勢と時間と金だけはあるから、綺麗なドラマを撮る。
と、いつも感心する。

衣装や背景が綺麗なので、珍しく買い求めた一冊なのだそうだ。

袴はもうはいてないのか?
とか、
細かいところには目をつぶって愉しむのが大河ドラマってもの。
ということを、前年の「新撰組!」で学んだ視聴者は、もう寛大な心で見られるだろう。

ああ、やっぱり鞍馬寺、いきたいなぁ…怖いんだけど。
(はっきり行って、京都の山はあぶない。犯罪の面で、ね)

ところで、北条政子。
結婚して、源家に輿入れしたのに、呼び名はやはり"北条政子"なのだね…。

ISBN:4149233411 ムック 金子 成人 日本放送出版協会 2004/12 ¥1,050
「なんでも読む」私。
こんなものも病み上がりには楽しく読める一冊だ。

某恋愛シュミレーションゲームの、パロディ本である。
このゲームを私はしていない。
が、原作の漫画を読んだり話を聞いたり同人誌もぺらぺらとめくったりしているので、話はそこそこ通じる。

なにより、笑える。

ま、漫画は画力だ。
ゲームは実力だ(?)
だから、

時代考証がヘンだの、
高貴な男がなんで冠をかぶらないのかだの、
髪を結わずに総髪にしているのは○○だの、
こんなところに出入りする(あるいはそんな職種に付く)やつは"アンタッチャブル"だの、
お香の愉しみ方が間違っているだの、
観光時期でもない観光地を、奇妙な個人客(若い娘さんの少人数グループ)が頻繁に訪れるのはいかにも怪し気だの、
新京極をそれらしい団体さんがぞろぞろ歩くのはいかにも不気味だだの、

細かいことは言ってはいけない。

よいのだ。
皆が幸せならば。

そういうおおきな気持ちで相対することが、こういう世界では重要なのである。

といいつつも、これはパロディ本。
さまざまなレベルのさまざまな趣味の複数人が描いた作品を集めたもの。
だが、商業誌であるからには、"お金を払えというからには"それなりのレベルを求められて当たりまえ。
そういう点では、これは合格とおもうがいかに。

擬似平安京を舞台に、やたら紛らわしい地名だの人名だのを駆使して描かれた世界。

似すぎているがゆえに、あちらこちらでなんやかや、混乱をきたしているのも確かだが、確実に現実世界の京都への観光客(しかも若い嬢ちゃんたち)を増加させた功績は大きい。

そして、昨今の「お香」ブームも、どうもこの辺りが発信源ではないかと…おもったりもする。

京都市民としては、このゲーム。
感謝しなくちゃいけない…んだろうなぁ。

話はそれましたが、内容はなかなかです。
パロディは笑えてなんぼ!
立派、立派。

ISBN:4775801090 単行本 コーエー 2003/09/25 ¥1,029
簡易漢字<衣装>で出ないので、てっきりレビューがないのかと…思ってしまった。
(しばらく漢字の間違いに気がつかなかったし…)
判るけど、なるべく平易な漢字に統一してくれい、と思う一例。

なんと3冊本だ!(ハードカバーでもないのに)

しかも1冊、3千円以上するという剛の者だ!

3冊買ったら福沢君が飛んでってしまうのだ!

…だけど。
興味ある。
小説の背景にはその時代性は欠かせない。

このときヒロインは(ちなみにヒーローはどーでもよい)どんなドレスでどんな椅子に座ってどんなカップで紅茶(?)を飲んで話をしていたんだろう?とか、
このときヒロインが割ったカップはどんな柄で、どんな値段で、どんなところで売っていたのだろう?とか、

考え出すと、想像しだすと止らない。
その視点が定まるということは、その小説に対する思いいれもぐっと深くなるということ。

小説の、重箱の隅をつつこうというのではなく、純粋に愉しみたいがために求めた3冊。

あと、<インテリア>ならびに<食>がある。
読み応えは充分過ぎるほど…

ISBN:4623040518 単行本 窪田 憲子 ミネルヴァ書房 2004/06 ¥3,360

オコジョさん (1)

2005年1月15日 読書
風邪による発熱でのた打ち回った3日間。
そのリハビリのため、軽い読み物をはじめた。

昼間寝捲っていたために今ごろおきてしまった不幸な私…。

オコジョとは、イタチの一種類のことである。
しかも天然記念物。
つまり、売っちゃいけない・買っちゃいけない・飼ってもいけない。
そーゆー動物なんである。
種族として一番近いのは、一時ブレイクしたフェレットらしい。

夏はその辺の狸と同じよーな色目らしい(?)が、冬は雪のように白くなる。
雪山の妖精?とかいわれるとかなんとか…。

漫画の部類は、4コマギャグ。
オコジョ以下、動物が人間の如く会話をするというわけで、人間たちとの微妙な奇妙な話のすれ違いを面白おかしくまとめている。

この作家。
他のギャグモノは強烈過ぎて付いてゆけず、「なんだかなぁー」なんだが、オコジョさんに関してはきめ細かくほのぼのと、なにやら心をくすぐるような心配りが感じられて仕方がない。

テレビドラマにもなって、幸運にもDVDをタダでゲットしたこともある、私にとっては因縁浅からぬアイテムである。

ちなみに。
私は中学生の頃、一度だけ、イタチと言うものを生で見た。

なまイタチである。

時は夏。
場所は、勿論、山道で。
しかもこちらの気配に先に気づいた彼(女)が、脇の叢に飛び込む、その背中と尻尾(らしきもの)を一瞬だけだったが。

ISBN:459212779X コミック 宇野 亜由美 白泉社 1998/01 ¥410

三国志 第三巻

2005年1月9日 読書
後漢王朝の衰微をず〜っと辿って、宦官の台頭と専横化、それを憎む官人との熾烈な戦いばかりが続いた「宮城谷・三国志」であった。

が、2巻目の終わりごろ、曹操が、孫堅が、劉備が、ようやく生まれ、3巻目に入るといち早く曹操が活躍しはじめる。

う〜ん。
やっと馴染みの顔が出てきたかな。
しかし、後漢末期の抗争をきちんと語ろうとすれば、宦官から始めねばならないのは当然で、このすさまじい争いを延々と描くほう(作家)も読むほう(読者)も大変。

もともと大陸(中国)の権力争いや"山が動いた"後の仇敵への仕返し、その執念深さは日本人には付いてゆけないほどのすさまじさがある。

それは簡単な中国ものを一読しただけですぐに判明する。

権力が片方に寄れば、嘗ての仇敵の墓を暴いて、死骸に鞭打って、首を切って、棄市(市場に死体を晒す)するぐらい当たり前のことのように行われる。
そうやって、自分の鬱憤を晴らすわけである。

上手く相手を罪に陥れることが出来たなら、勿論その親族や関係者も同様に処刑する。
なぜなら、時が変わり風が変わったとき(或いはそうならなくても生き残りを遺しておくと)、今度は自分や自分の親戚や周囲の者たちが、その生き残りに同じことをやられるからである。
皆が、「そうするのが普通」と思っているからである。

実際、中国の歴史では、山ほどの例がある。
父と兄を殺され国を追われた呉子胥をはじめ、長い年月をかけて雌伏し、恨みを重ねて相手を滅ぼしたという例は、賛美されこそすれ、非難の対象にはならない。
我々から見れば、とんでもなく「しつこい」「陰湿」に思えても。

そういうことがあるから、その防御策として、先に"敵の"一族を誅滅する。
「やられる前にやれ」
である。

その凄まじさに背筋が凍る。

ところで。
滅びるべくして滅んだ後漢王朝の姿がいよいよ明らかになってきた。

しかし、人間の尊厳とか志とか、罪とか、時代に翻弄され時の権力者に歪められ、名も命も歴史の中に埋没してしまう現実の過酷さをしみじみと感じる。

人も歴史も一面だけで捉えることは本当に危険である。
ということを、再確認する。

今の、現実の社会においても、
「良薬口に苦し」
を今一度噛み締めるべき。

それにしても。
国が滅びる時は、賢人が車に満載されるぐらいいてもその落下速度は止められるものではない。
悪い時には悪いことが実に都合よく連鎖して車輪を回す。
歴史をまわす。

歴史を学ぶということは、過去にあった悪事を確認し、己の行いや現実に照らし合わせて"同じ轍を踏まない"ように警戒することでもある。
本を読み歴史を知ることで、一人が一人分の人生だけではなく、何十人何百人もの人生を辿ることで、よりよい方向を見出す指標にすることが出来る。

古来人気のある作品と言うものは、多かれ少なかれそういう素養をもっているものだ。
大方2千年近く前の歴史である三国時代が、今なお、これほど人気があるのも、単に個性の人気だけにとどまるものではない。
気がつかぬうちに、自分の生きる指標とか戒めといったものをその物語の中に感じているからだろう。

それにしても。
3巻目でようやく期待のメインキャスト登場。
時代も大きく移り変わり、小説の舞台も、陰湿窮まる宮廷内から外へ外へと広がってゆく。
…は、いいのだけれど、どの辺りで収集が付くのだろうか。
雑誌掲載状況を知らない私には、想像も付かない。

今までの宮城谷氏の長編は、6冊を越えなかったと覚えているのだが、あとたったの3冊で……?

ISBN:4163597700 単行本 宮城谷 昌光 文藝春秋 2004/11/10 ¥1,700
ひかわきょうこ作。

実は、漫画雑誌のおまけ本…(笑)

ひかわきょうこといえば、昨年まで「彼方から」というファンタジーものを描いて評判になっていた人。

大昔…どれくらい昔かといえば、私の学生時代、10代の頃からこの人は漫画を描いているのだが、その絵がほとんど変わっていない!というすごい漫画家さんだ。
それは、若い頃からラインが、画力がしっかりしていたから…だろうと思う。

おまけに、一本芯が通ったストーリー展開も変わらない。
「なにが言いたいのか」がはっきりしている。

物語は、多分鎌倉末期か室町か。
(衣装で判断。いい加減だけど)

化け物・魑魅魍魎が跋扈する日本のどこか(笑)
(よくある話ではある。しまいに日本、滅びるでー)

とある田舎の寺で雑役を勤める少女が主役。
(この人の主人公はたいてい10代後半の女の子である)

両親・親類もない天涯孤独の彼女であるが、実は父親譲りの方術(というか陰陽術か?)の使い手である。
…しかも初心者。

「彼方」に似ていなくもないが、不思議な力を持つ少女(ただし初心者)が、とんでもない強大な力をもつ"悪"と対峙していかねばならない話らしい。
うむ。
回想シーンで出てくる父親も若くていい男だが、話の展開上、読者の心をキャッチする必要上、きっと、彼女をサポートする、若くてかっこいい男性が出てくるに違いない!(笑)
乞うご期待!(笑)

アラビアンナイト風、RPG風の衣装もいいけど、ずるずる引きずるのではなく、活動的な着物姿もなかなか綺麗。
楽しみな漫画である。

とりあえず、第1回配本は付録で、続きは本誌で連載の運びらしい……

出版社もあの手この手、いろいろと考えるもんだ。
ダヤンの作品の紹介。
グッズの紹介。
作者である池田あき子氏が訪れた、欧州の"わちふぃーるど"の紹介。

ちょっと大き目の本なんで、もつのは大変だが、内容はぎっしり詰まっている。

わちふぃーるどを立体的に見られる模型はいつか展覧会で見たことがある。
手にとって見たい、使ってみたい、という、「土の重量感」みたいなものが感じられる品々である。
人気が出るもの判る。

視覚に訴える、というのは凄い力をもっているものだ。
ちなみに、この展覧会で私はダヤンに、ころんだのだった。

だが…ダヤンとジタン。
薄闇以下の明るさでは、どうやって見分けるのだろう?
あと、後姿では?
としみじみおもった。

やはり、ぽってりしたお尻がダヤンかな…?
ジタンは旅で筋肉が鍛えられているから。

ISBN:4592732227 大型本 池田 あきこ 白泉社 2004/05/26 ¥2,415

三国志 第二巻

2005年1月6日 読書
よくある「三国志」は桃園の誓いから入って、いいとこ、五丈原で終了する。

だが、宮城谷三国志はさすがに違う。

2巻目の冒頭ぐらいでは、霊帝すら出てこない…。
やってくれるやん。

うんうん。
曹操のじいさまがどんだけ苦労したか、良くわかるというもの。
「怪力乱神クワン」という漫画にじーさんで登場する曹騰は、割とイメージは近かったが、小説でここまで性根を入れて(まさしく!)描かれると人物像がちゃんと出来てくる。

このまま行くと、魏・三国志になりそうでそれが気がかりなのだが…。

いや、わかってはいるよ。
正統派は、魏だって言うのは。
でも心情的に、蜀を応援したいではないの。

たとえ「演義(小説:つまり真実ではなく脚色されている)じゃないか」といわれても。

ISBN:4163597603 単行本 宮城谷 昌光 文藝春秋 2004/10/27 ¥1,700

欧米の旅 (上)

2005年1月1日 読書
旅先で元旦から読み始めた一冊。
なんと3巻本なので、ゆっくりと読むしかないと覚悟を決めている。
頃は、大戦前。
なんと、船で上海〜東南亜細亜〜印度〜埃及〜欧羅巴〜亜米利加〜と回った女性が書き綴った日記である。
夫君の仕事にくっついて行かざるを得なかった旅とはいえ、これがなかなか鋭い観察眼をもっておられる。

まず、出発。
出発までのどたばたが、女性としては良くわかるしとっても楽しい。

着物しか着たことがなかった著者。
着物でずっととおせばいいと思っていた。
…が、周りがそうはさせない。
「印度へ行くなら麻服は絶対必要よ」
とか、
「埃及に行くのでしょう、だったら……」
だの、
「ロンドンは寒いのよ、私のコートをお貸ししましょう」
だの、かまびすしいことこの上ない。

また、
「その髪だと帽子がかぶれないわ」
と美容院に引っ張り出し、とうとう2軒も回る羽目になる。
ありがたい友人たちのお陰でなんとか旅の仕度が整った…と、感謝する著者である。

準備段階でこれだから、さてさて旅行に出ればさぞかしいろんな事に目を止め心を止めて綴っているに違いない。

ISBN:400000235X 単行本 野上 弥生子 岩波書店 ¥3,150

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