海賊丸漂着異聞

2005年4月1日 読書
違う本を読みながら、他の本に目が行く…これも浮気と言うのでしょうか。

今日本屋で出会った本は、そんなひとつ。
日本人の書く、海洋モノ…ではなく、推理モノ。

しかも舞台は三宅島…の隣の御蔵島。
時代はといえば、幕末。

「異人さんが怖い!」と言っていた時代なのに、よりにもよって、アメリカの商船(帆船)何ぞが難破してしまったわけである。

さぁ〜!
村のもんは上を下への大騒ぎ。
女子供・年寄り・病人は島の反対側へ非難させるわ、浜に上がった来訪者対策に竹垣は作るわ、大変ですわ。

この商船はアメリカへ帰る途中。
積荷は人間。
所謂クーリー(苦力)と呼ばれる中国人労働者。
ちなみに奴隷ではない。
ないけれども…低賃金で重労働をする、祖国では生きてゆけないなにかの事情をもった人たちがなっていたわけだから…五十歩百歩かと思われる。

その連中がなんと400人以上…となれば、いかに見た目が似ていて、漢字で筆談が出来なくもない中国人(清人)と言えど、怖いに決まっている。

…で、上を下への大騒ぎの中、殺人事件だの、脱獄騒ぎだの、山狩りだの、いろいろいろいろ起こるわけだ。

鮎川哲也賞受賞作とのこと。
ちょっと期待して読んでいる。

(著者は2003年に逝去とのこと。合掌。)

ISBN:4488452019 文庫 満坂 太郎 東京創元社 2005/03/24 ¥672

エマ (5)

2005年3月31日 読書
やっと出た!
ビクトリアン・メイド・コミック(?)

禁断の愛は成立するのか?!
愛は世界を変えるのか?!

…と、なにかと楽しいビクトリア朝英国の、階級差に翻弄される男女の愛と、人間たちを扱った物語である。

静かな、科白無しで表情だけで語るコマが素敵である。
どんどんよく(=上手く)なって行くなァ。
この漫画家さんは。

今回は、おおいに話が進む。
ジョーンズ・パパの夫人とのなれそめ。
なるほど。
彼も叉、若い頃にこれだけ苦労したからには、ちっとやそっとでは今の地位・環境を手放せまい。
憎いがゆえに離れられない、というところだろうか…?
だからこその執着が、恐ろしいほどだ。

当時英国に移住したドイツ人の一家(ジェントリー階級)ですら、「英国の階級重視の社会には腹が立つ」と申しておられる。
物語はビクトリア朝、つまり100年以上前の話だが、21世紀の今でさえ、たぶん、そういうことはあるのだろう。

このドイツ人一家…というか、彼らの館で働いている労働者階級(ドイツから連れてきた人がほとんどらしい)をひっくるめて、とっても楽しい。
特に奥様が…いいなぁ。
「私、アイーダも椿姫も大好きよ」
とわくわくしているその表情・姿と、それを楽しげに見やる夫のなにか企んでそうなところが、また楽しみである。

さて。
そういったことどもを見るに、つくづく思い知らされる。

日本ほど"平等"な社会はない、ということを。
平等すぎて…ある意味
「一番成功している"社会主義国"だという話もあるぐらいだ」(これについては、また、HOMEで)

だから、今の時代、日本とい狭量な島国に生まれたことを感謝すべきなのかもしれない。

ISBN:4757721684 コミック 森 薫 エンターブレイン 2005/03/31 ¥651
今現在、まぁまずその名を知らない人はいない(と思う)ホテルである。

あくまでも英国風で。
木の温もりと格調高さと柔らかさと身近さと、
そういうものを感じさせてくれるホテル。

残念ながら、日本には現在大阪・梅田にハービス大阪ビルにあるのみ。
2007年に東京にも出来るらしいが…。

英国風。
冬は暖炉が燃えるロビーが妙に狭いのも、
アフタヌーンティー(約5千円)がやたら豪華なのも、
きっと英国流。

でも、誕生はアメリカ。
それもまだまだ新しく、1983年に出来た会社なんである。

大阪のリッツ・カールトン・ホテルは、某H球団との関係が深く、優勝祝賀会はここで行われたし、ロゴ入りのパジャマを売り出したりもした。(実はもっている)
だからひときわ私には、愛着があるのだ。
(本当は、このホテルのマスコットは、虎じゃなくてライオンなんだけどね…)

確かに、安くはない。
そこそこの値段を要求されるホテルだから、「勿体無い」と思う人がいても当然だと思う。
でも、そのお金を払っただけのサービスを、ちゃんと受けられるホテルである。

だから、年に一度だけ、私も京都から宿泊しに出かけている。
日常を離れた世界で、心も身体も開放するために。

ISBN:4822228983 単行本 藤塚 晴夫 日経BP社 2002/09 ¥2,310
さすがに画像は出ないか…。
でもここまで出れば充分である。

NHK大河ドラマでも傑作中の傑作、たぶん五指に入る評価は得ている「伊達政宗」。

通称「だてのまーちゃん」。

そのパロディ漫画なんだけどね。

いいセンスしてるんだ、これが。
表情がまた役者さんによく似ていて、特徴を捉えていて、とても楽しい。

放送中はなぜか見なかったのが、ほとほとくやまれる。
当時は、会社のおじさんたちの評価も凄く高かったのだが…。

いまでもたまにNHKがダイジェスト放送とかしてくれるが、小出しにせずにちゃんとみせろ〜と思ったら、DVDを売るためだったのかぁ。

パロディだけではなく、シリアスもものにしている高橋なの氏。
個人的にNHK大河ドラマのを精密に追いかけて描いている同人誌も出していた。
彼女もとことん惚れ込んだんだね。
わかる。

ISBN:4896020529 単行本 高橋 なの みのり書房 1990/11 ¥734
普段何気なく乗っている旅客機。
その秘密を、タイ国際航空の整備士が語る。

「へ〜」
と思うことが多すぎる。

「なんで鉄の塊の飛行機が飛ぶの?」

というよく聞く質問も、浮力がどうのこうの…にとどまらず、「飛行機は鉄の塊ではな〜い!」まで語りつくす、お気楽に好奇心を満たしてくれる一冊である。

旅客機にはエアコンはない。
旅客機の燃料は灯油の一種。
飛行高度はこうやって図る。などなど…

ちなみに、一番感心し、羨ましかったのが「空飛ぶタイタニック」。
タイ国際航空をはじめシンガポールや仏蘭西の航空会社が導入を決めているエアバス社の二階建て旅客機。

一部が二階建てではなく、全部が二階建てなのでキャパが大きい。
免税ショップ、シャワー室、図書館や会議室が備えられるという……ま、ファースト専用だろうけどね。
でも、なかなか素敵ではないの?

日本の会社では入れる気はないようなので、ちょっと、いやいやかなり残念!

小説で読んだ、前世紀初頭の大西洋横断旅客機みたい……。
英国からアメリカまで何日もかかったので、ベッド等が用意されていたという…ちょっと想像が付かない旅客機である。
ツェッペリンやヒルデンブルグのような気球を思えば近いのだろうか?

現実を目の前に見せられて、かえって夢の広がる解説書である。

ISBN:4576042416 文庫 ウイチャイ・ワンナワック 二見書房 2004/12 ¥630
むか〜しむかし、友人に借りて読んだシリーズを、いま自分で買う羽目に。
これも衝動買い〜。
小型版になっててよかった♪

自分が病院に縁が深いので、あまり気にしていないつもりだったが、やはりなんとなく敬遠していたのだろうか。
これほど面白いコミックスを買わずにいたとわ。

今読み直すと、しみじみ…考える。

病院は、たしかにサービス業だわさ。
でもって医療は医術よりも仁術だろうさ。

カネカネカネがあからさまに表に出ているような病院は、どんな大病院であっても信用ならん。
患者は、医者を、看護士を信じて"俎板の鯉"になっておるわけだから。
その信頼を裏切ってはいかん、と思うわけだよ。

漫画とはいえ、人の生き死にを扱っている物語だから、読み手にもほどほどに精神力が必要であろう。

ほろりとする時も多々あって侮れぬ。

ISBN:4091856918 コミック 小林 光恵 小学館 2000/07 ¥530

Dr.モードリット

2005年3月26日 読書
久しぶりに本屋でゆっくり出来た日。

衝動買いで手にした一冊。

舞台は19世紀末のアメリカ西部。
J・ウェインを始めとする西部劇(マカロニは駄目だが)がけっこーすきな私が、ウエスタンな表紙に惹かれたのは無理もないかもしれない。

……

と思っていたらさ。
なんと内容は、魔術は出てくる呪術は出てくる。
科学者であり考古学者である主人公、モルダード・モードリット博士が扱う(出会う)のは、非科学的な事象ばかり。

錬金術に反魂術、魔方陣にインカの魔術ですから。

この博士の使う武器は、去年複数回観に行った「ヴァン・ヘルシング」を髣髴とさせる。
19世紀末にこんなもの作るだろうか…という突っ込みは無しにして、その奇想天外さを愉しもう。

外薗 昌也 作  幻冬舎コミックス  2004年発行
…が、読めた。
最初は"亀"ばかり出てくるので嫌になって逃げたのだが、なんのなんの、面白いやん。

亀に始まったが、カメレオン、カササギ、鶏、ハリネズミや羊、そのたもろもろの動物たち…の、世界の宗教に与えた影響(どのように考えられているか、特に聖書を見れば一目瞭然)や、
「なにゆえナチスはああまで酷く赤ん坊さえも殺すことが出来たのか」
「なにゆえ日本人は生きたまま魚介類(活作りというやつ)を食することが出来るのか」
など、聞けば「なぁるほど」とついつい納得してしまう落とし穴がたくさん開いている。
極論を言えば、「遠い祖先の時代から何を食べて生きてきているか」とも言える。

同じ著者による、「英国大使の外交人生」もとても面白い本だったが、両方の本に書かれている「サウジアラビアでのこと」はよほど印象深かったのだろうなぁと思う。

何かといえば。
サウジアラビアはイスラム教を厳しく厳し〜く遵守している国である。
噂で聞いたところでは、自由恋愛をした王女が、市場で斬首の刑に処せられたとか。
それも100年も前の話ではないと。
市場での刑、というのは中国でもよくやることで、"たくさんの人が集まるところで見せしめ的に処刑をする"為のものである。

つまりそんなお国柄なので、外国人は滅多に足を踏み入れられぬ。
外交官という名前をもってしても、海岸沿いのとある都市にまとめておかれ、大臣代理と折衝することを許されるだけなのである。
おまけにその町には女はいない…というか、お目にかからなかったそうだ。
タダの一度も。
街中だけではなく、外交的なレセプションでも。

で、その折衝相手の大臣代理さんたち。
当時英雄と謳われた王の下、大臣はそのお子さんたち。
代理というのは、そのまたお子さんたち…だったそうで、どれもこれも"美形"だったとか。

著者曰く、
「美女を集めている(ハズの)ハーレムという濾過を二度通しているのだから…」
そのようにもなろう、というお話である。

中国でも晋の武帝や唐の玄宗皇帝あたりは、後宮3千人といったそうだ。

日本でも江戸城には後宮が…もとえ、大奥があったわけで、とりあえず世界レベルには達しているのだと。(よかった…のか?)
だが、数は負けているのでは?

伝わって来なかったのは、羊と宦官。
どちらも"遊牧"との係わり合いが強いもの。
だから伝わらなかったのか?
…これは"よかったね”と公言できる。(特に後者)

ISBN:4022559055 単行本 平原 毅 朝日新聞社 1988/09 ¥1,470
でるかな?でるかな?
と思ったら、出るもんだ。(勿論画像は出ないが)

懐かしい「セイント・星矢」のパロディ本なのだが、とってもしっかりと書かれている。
先日、本棚の奥深くから出てきた本である。

(どうやら私の本棚にはブラックホールとホワイトホールがあるようだ)

一世を風靡した★矢は、最近また、DVDだかなんだかで人気が再燃しているそうなので、こちらも復興してくるかも?

★矢の師匠がアイオリアという設定(ほかにもいろいろ独自の設定がおもしろおかし)で、のべつまくなしに師弟漫才をかましているあたりがほのぼのしていて良い。

ISBN:4896020472 − MARIKO みのり書房 1992/11 ¥734
高城 可奈著。
ピチコミックス。

可愛らしい絵と、ストーリーはまあまあ…
いかにも「少女漫画だね」ということで、可もなく不可もなくなのだけれど。

設定が…最後の最後に明かされる、その設定に大笑いさせてもらったので上梓する。

昔々、欧羅巴の一地方を治めていた残虐非道の王様がいた。
彼のあまりの残虐ぶりに、とある魔法使いが「罰」を与えようとしたのだが、残念(!)先に革命が起こっちゃって、王様は死亡。
しょーがないので、逃亡し、生き残ったその子供たちに「呪い」をかけることにしたという。(←連帯責任というわけだが…あまりよね)

「いいことをしないと死ぬ」
という、こどもむかしばなしか?
というような呪いに対抗すべく、子孫たちは闘った。
つまり、ちっとやそっとじゃ死なない身体を作るために、「吸血鬼」「狼男」「魔女」などの血をいれていったのだと……いかにも漫画なオハナシ。(←普通こういう発想はしないと思う)
のろいを解こうと努力する(?)彼らを称して、「気が強いから」というのも、ちょっとヘンじゃないか?

で、呪いに呪いが掛け合わされて、いまや「正義のために働くヴァンパイア」になってしまったのだという。
まるで落語ですが。

一過性の読み物としてはよく出来ている。ウン。

そのほかにも、
「その人もう死んでるわ」と言われて、霊と知らずに会話した人間が「ぎゃー!」と叫ぶのは分かる。

が、同時に、"自分が死んだことを知らなかった"幽霊が、同じように「ぎゃー!」とパニクってしまう(同じリアクションを見せる)という、そういう細かな表現方法が結構楽しい漫画家さんである。

地中海の猫

2005年3月17日 読書
家族がもっているのを忘れていて、ついつい文庫版を買ってしまいました…とさ。

猫は…というか、動物はいいねぇ。
いやされる。
特に病身の時は。

トルコのワン湖に生息(?!)するという泳ぐ猫〜ワンネコ(笑)〜の可愛らしいこと!

岩合氏の動物写真って、いつ見ても心に気持ちいい。

ISBN:4104148032 単行本(ソフトカバー) 岩合 光昭 新潮社 2000/11 ¥2,310
光村推古書院という、京都の出版社が出している着物本…なので、やはり出なかったか。
マイナーだったね…。

京都市内で展開しているキモノ屋さん。
それもフツーの(敷居の高い)呉服店ではなく、変わりキモノや中古品、デザイナーズキモノなど、数万円でそろえることが出来る、ちょっとおしゃれなキモノ店をご紹介。

その写真が、なかなか素敵なので「おっ」と思わせる。
技あり!
ってところかな。

キモノを着ない私が、魅かれて本を買ってしまったぐらいだ。
(ま、土地柄、キモノを見るのは好きなんだけど)

巫女さんやお坊さんなど、「なにがどうなっているの?」というキモノと小回り品についての解説もあったりで、少々…いや、かなり変わった本ではある。

一見伝統好き京都人。
だがその正体は…いちびりであたらしもんがり。
妙なもん大好き。
その京都人にぴったりの…おあじ。

発行:光村推古書院株式会社
   京都市北区北山通堀川東入る
   075−493−8244
編集・製作:桜風舎
   京都市下京区河原町五条南西角
   075−361−8616

定価:1,260(込)
主人公、いよいよ赴任先へ到着しての大団円…と言うのか?

とりあえずはひと段落、というところで、落ち着きましたが。

政治と経済と、支配欲と…どうだろう?
すべてを書ききるにはネタがハードすぎるのでは…。
ファンタジーだもん、ほどほどで筆は止めといたほうが、物語の収集が付くとは思うのだが。

次から次へと美形を出すのが玉に瑕。
(舞台も人間も)もうちっと落ち着いて掘り下げて欲しいと思うのは、読み手のわがままだろうか?

人間関係が複雑すぎるのも考えもんだ〜。


ISBN:4044499055 文庫 雪乃 紗衣 角川書店 2005/02/25 ¥500
気管支炎で済んだ。

インフルエンザでもなく。

肺炎でもなく。

あぁ…よかった……

咳が凄くて、「窒息してそうで怖い」といわれてしまうけどな。

-----------------------------------------------------------

語学研究者である夫君と、漫画家である著者が語る日本語とそれ以外の言語の不思議。

漫画と文章で綴る、ちょっと真面目なオハナシです。
相変わらずのパワー健在で、笑えます。

ISBN:4840112266 単行本 小栗 左多里 メディアファクトリー 2005/03/04 ¥998
噂には聞いていたが…怪奇の頂点だな。

しかも私の嫌い系生物ばっか…。

中途半端にまともに設定されているから、その違和感が…

ISBN:4063491765 コミック 垣野内 成美 講談社 2004/07/23 ¥580

ボートの三人男

2005年3月3日 読書
ユーモア小説の粋。
テムズを遡る3人の男たち。

その真剣さ、おかしさに涙の出るユーモア小説。

時代背景も読み取ろうと思えば…読み取れる。

別の本で紹介されていたので、ついつい購入してしまったが、大正解だった。

ISBN:4122003512 文庫 丸谷 才一 中央公論新社 1976/07 ¥680
風邪を引いたので、まともな紹介は後ほど。

オバケとは、節分の日に、普段とは違うとっぴょうしもないものに化けて役を祓おうという京都の風習で、今ではほとんど花街にしか残ってない……のを、著者たち"素人"が復活する勢いです(笑)

読み応えありの一冊。

ISBN:416660418X 新書 真矢 都 文芸春秋 2004/12 ¥714

イケズの構造

2005年2月28日 読書
「京都人だけが知っている」
シリーズで、"局地的"に有名な著者・入江敦彦氏は、英国住まいの京都生まれ。

自称、イケズ。

産まれ育ちが狭い京都市内で、しかも同世代なので、彼の言っていることはよくわかる(気がする)。

で、誤解されやすいが(と著者も断っている)、京都のイケズは毒舌でも意地悪でもない。

京都人は誤解され続けている…。

そのへんのニュアンスの違いを言いたくて書いたのかな?と思う。

内容は、そのものずばりを一枚の絵で示す挿絵付きなので、いつもに倍して笑える。

だが、内容(=京都人)に関しては、どのように説明しても、いくら言葉を尽くしても、言うだけ難解になるのでは?と思うな。(←この辺とか)

京都生まれで京都に住む私が読んでいてもこんがらがってしまいかねない。
(普段そこまで考えていないし)

実は、私自身も昔、"意地悪"の意味で"いけず"と言われた経験があるのだ。
勿論、イケズをした覚えはない。
入江氏が言うように、「ちょっと距離をとってよね」と遠まわしに、言外に含めただけのことである。
それが速攻、いけず、となる。
それでは、京都人は不幸だ。

だがそのときは、私も「それは違う!」と思いつつ、なにがどう違うのか、相手に説明することが出来なかった。
…というか、説明するのも早々に放棄した。
「たぶん分からないだろう」(←この辺とか)
という気持ちが先に来て。

著者もまた、折に触れては京都に対する"誤解"を解こうとしているように見受けられるのだが、所詮無理ではないか。
無駄なことは、せんがよろし。(←この辺が京都人か?)

だが入江氏の、こういう努力には頭が下がる。
彼は本当に京都を愛しているのだろうな。
イケズでへんこな京都を。

とりあえず、エピソードを重ねて、「分からんやろうな」と呟きつつ、自虐的に笑うしかないかな〜。

え?
こんなんで、笑えへんてか?

この本は、誰が読んでも、(京都人でなくても)必ず笑えることだけは保障できる…ってこういうことで笑えるの京都ならではか?

とりあえず、しょっぱなの第一声は大笑いさせてもらった。
京都は愛されていますが京都人は嫌われています。

言い得て妙である。
残念ながら、このことは、すべての京都人がちゃんと自覚していることなのである。

ISBN:4104675024 単行本 ひさうちみちお 新潮社 2005/02/19 ¥1,155
主役は、風見藩御台所、めだか姫。

大藩育ちで鷹揚で(抜けている、ともいう)それでいて頭の周りは早く、ちょっとやそっとではへこたれない。
暢気で元気な姫君の物語。

田沼意次の陰謀を見事かわし、今度はどんな事件に首を突っ込むのか…。
ということで、楽しくもけなげな時代小説の続編である。

紙芝居的な、或いは、トーキー映画的な説明書きがなんともおかしい、今までにない笑いの小説。
今回もさぞ愉しませてくれるだろう……。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

「絞首台まで…」
が読めたので、いよいよこちらに取り掛かった。
ラヴゼイらしい決着のつけ方。
ヒロインが可愛らしくて、今までの彼の小説に出てくる女性たちとは雰囲気が違ったが、これなら女性のファンも付く、というもの。
「マダム・タッソーがお待ちかね」
に一部、似ているかな?
この本も、とっても面白かったです。


ISBN:4101265348 文庫 米村 圭伍 新潮社 2004/09 ¥500
1904年は日露戦争勃発の年。
2004年はその丁度百年目に当たる。

「坂之上の雲」を読んで、その辺りの時代や事象や人物に以上に興味を持つこととなったのはかなり前のこと。
私にとって司馬遼太郎氏の作品は、好きと嫌いの両極端が存在する。
そのうち、「好き」の横綱であるのがその作品。

「好き」が嵩じて、こんな雑誌まで……雑誌なのに高い。
写真が多いから仕方ないか(ふぅ)

日本海海戦は、1905年5月27日のこと。
誰がどう考えたって、東洋の小国・日本が大ロシアに勝てるわけがない!
と思っていた。
日本人だって思っていた。
負ければ「奴隷」であると知っていたのだ。

現実、ロシア支配下のたくさんの民族が隷属させられていた…つい最近までね。
(歴史を見ればよくわかる)

それをながなが遠征してくるわ。
 (バルト海〜大西洋〜インド洋〜東南海〜日本海…ご苦労さんなことだ)
日本の同盟国・英国にねちねちと嫌がらせはされるわ。
 (ずーっと後をつけられる&薪水補給を許さない&乗組員の上陸を許さない……七つの海に覇を唱える、英国だからできた嫌がらせだ)
ロシアのユダヤ人虐待を憎むユダヤ系資本家(特にアメリカの)が進んで日本の国債を買い、日本の軍事資金調達に力をつくすわ。
 (この力を"怖い"と感じる人がユダヤ人弾圧に走るのだろう)

これだけ条件が揃うと…ね。

叉なにより、ロシアの、大国であるとの自負。
「東洋の猿」である日本をきちんと評価(観察)しなかったがゆえに、こてんぱんにやられる羽目になった。
ニコライ皇帝が「大津事件」以来日本人を嫌っていたから仕方がなかろうが、でも一人や二人まともな人物が直言してもよさそうなのに。
専制君主国家(しかも皇帝独裁)は、ひとつ転ぶとこうなるから怖い。
戦後10年ほどで、革命になだれ込むのもむべなるかな。

ただし、これだけ条件が揃って、ようやくの引き分けである。
戦争全般を見れば、日本は必ずしも勝ってはいない。

さて。
東南アジアには所謂"じゃばゆきさん"たちが点在していて、シンガポールを過ぎてゆく艦隊を見て、彼女らが次々と故国に電報を送ったとか、九州周辺の小島の漁師が、倒れんばかりに小船を漕いで艦隊の接近を知らせたとか、たくさんの秘話が残るのが、このバルティック艦隊の遠征である。

小説として、題材に事欠かぬのも確かだろう。
題材がありすぎて、書くのは大変だろうけれど。

それから、有名人はなるべく若いうちに写真を撮っといて、雑誌にはその写真を使うようにして欲しいものだ。
ちょっとショックな写真が…なきにしもあらず。

…時間って残酷ね。
しみじみ思うひとときである。

あ〜あ。
思わず溜息が……。

ISBN:4404033079 単行本 新人物往来社 2005/02 ¥2,310

< 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 >

 

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索