暗い宿

2004年12月13日 読書
この作家の作品にははずれがない。
だから、安心して読める。

…人に借りてばかりだけれど。

関西弁が気持ちをリラックスさせるのかな?

さて。
これは短編ばかり4作が収められて、なおかつ300ページほどの小品である。
ちょっとした旅のお供にもってこいかも知れぬ。
(重くもない・かさばらない、そしてなにより面白いゾ!)

標題の「暗い宿」
推理小説家が、風邪に正気を失いつつも鄙びた田舎の崩れかけた廃墟(廃業した旅館)で、夜中に響きわたる怪しげな物音から、いろんな事を推理する面白さ。
なんでもハナシのネタにしてしまうから、超常現象や恐怖や、そういう"ワクワク"感とは無縁になってしまうのが悲しいとひそかに嘆く。

嗚呼、可哀想に。
これも職業病だろうか。
作者に投影してしまうから、現実味がでてなおさら切実とする。

地理が全部わかっちゃうから、余計リアル感が増して…いかにも関西人限定"お楽しみ袋"みたいな推理小説家&作品だよなぁ。
(しみじみ)

ISBN:4041913071 文庫 有栖川 有栖 角川書店 2003/10 ¥580

三国志 第一巻

2004年12月11日 読書
今を去ることおよそ20年前。
うんにゃ。
四半世紀は前のこと…

NHKの愛らしい人形劇場が、この中国古典に乗っ取られ、世のおじょーさんがたをキャーキャー言わせたのは。

時代は後漢末期、
場所は中国。
おぞましい戦乱と物騒な知略に明け暮れるオハナシが、どうしてこうも受けるのか。
それも若い娘さんたちに。

その謎を残したまま、今に至る中国ブームの大きな支柱となった「三国志」
映画やドラマや小説や漫画まで!とにかくたくさんの素材が目白押しに並んでいる。
だが、もしかしたら、私はこの作家の「三国志」を待っていたのかも知れない。

山ほど読んで、飽きるほど観て、それでも雑誌掲載時から心待ちにしていた小説である。

楽しみ。
その言葉しかない。

ISBN:4163597506 単行本 宮城谷 昌光 文藝春秋 2004/10/13 ¥1,700
困ったことに、年末で(決算で)忙しいのとしんどいのとで、更新がままならない。

で、読む本も、こういう4コマ漫画がありがたい。
何処でも好きなところで止められるし…。

「私が会社に行く理由」か…
「行きたくない理由」なら、山ほどあるんだが。

それでも「行かなきゃならない」のは、ひとえに生活のため。
"自己実現"なんて、遥か昔の夢だわいなぁ。

ISBN:4832263706 コミック 松山 花子 芳文社 2004/12/03 ¥600
「ほんまに…」
は、確かに「イらんモンはイらん」と豪語するだけあって、あまりにも京都地方色のみ

京都市内に住む人以外には、よほど京都が好きで、京都に詳しくて、"唯我独尊"な京都にも付いて行ける人でないと、この本は、辛いだろうね。

読んでるこっちも、あまりに身近なこと過ぎて、笑えるんだけど、町内の回覧板でもあるまいに、いいんか?これで?と思ってしまう。
前の既刊。
「京都人だけが知っている」
「やっぱり京都人だけが知っている」

と、それに続いて出たばかりの本。

選民意識に酔いしれて書かれた本か?
と問われそうだがそうではない。

特に1冊目、「京都人だけが知っている」に至っては、京都人のほとんどマゾ的傾向をよく顕わした本である。

だから、京都人をけなすものが京都人に受けた。

でもね。
それが、やはり「京都人」のブランドなんだわ。
けなすにも「けなし方」と言うものが有って、けなす場所と具合を間違えると、京都人は一斉に向こうを向く。
この人は(自称)たかが3〜4代の京都人とはいえ、その点はよぅくわかってらっしゃる。

簡単に言えば、
「京都人以外が京都をけなすと、単なる悪口になるからやめておけ」
そういうことだ。

さて。
著者によれば、この3巻目は既刊の2冊とは趣を異にしているのだそうだ。
イらんモンはイらん

観光客倍増化計画
なんてものを掲げてがんばる京都市に、真っ向から…ではなく、斜め後ろからボソッと呟く「京都人の本音」
それを過激に綴る一冊なんである。

さあ、叉この本も、京都でだけ売れ行きトップ!現象を引き起こすだろうか。(前冊がそうだったのだ)

前文で、京都文化検定試験の隆盛について、
この試験を受けるべきは、京都をよりディープに愉しみたいと望むよそさんのほうではないか。最低でも車を転がしてくるよそさんたちは合格しないと入洛できないことにすればいいのに。もしくは「洛中税」の導入だな。思い切りボッてやりゃいいのに…。紅葉シーズンの嵐山やゴールデンウイークの「清水寺」に自家用車で突っ込んでゆく他府県ナンバーを目にするたびにそんな妄想に駆られる。

よそさんとは、京都人以外のひと。つまり他府県の人。
観光時期に京都に来た人には判るだろうが、京都は町も道もせまい。
市内のほとんどが一方通行である所以である。
もちろん、大きな駐車場なんかを作るスペースもない。

…そういうところへ、ただでさえ、人が増える観光時期に「他府県」から「自家用車」で乗り込んでくるとどうなるか?

身動きの出来ない渋滞。
事故の危険。
いらいら等精神的な抑圧。
観光客の中には、「こんなとこ、二度と来ない」
という科白の一つや二つもでて当たり前だろう。

そして、なによりも、そこで生活する京都人に多大な迷惑・困惑を引き起こすのである。

でもって、そういうときに出てくる、
「観光都市なんだから地元は我慢しろ」
なんていう科白を、我々は甘受する気はない。

そうまでして「イらん」。
そんなことを言う観光客なんて「イらん」。
京都の町や人のことも考えて「京都を愉しんでくれる」「京都に来て、イライラすることもなく『嗚呼良かった、叉来よう』と感じてくれる、そういう人がリピーターになってくれればよい」

京都人自身をけなす本は京都人には受けたけれど、他府県人のいくらかを「イらん」とこき下ろす(らしい)この本はの命運は?

…とっても、とっても楽しみである。

ISBN:4896918738 新書 入江 敦彦 洋泉社 2004/12 ¥798
ダヤンにかこつけて、日本各地のお祭を訪ねたエッセイ。
勿論イラストつき。

なんとなく、衝動買いしてしまった一冊だ。
(やはり、ダヤンだろうねぇ)

ねぷた
三社祭
御柱祭

この三つの祭を柱に、池田あきこの言葉で綴られる日本の祭。

絵本作家の感受性で捉えた、豊かな地方色を味わう本である。

WHO’S WHO?

2004年11月30日 読書
「中国の大盗賊」

歴史を知らなくても、
王朝を開いたのが誰かなんてさっぱりでも、

楽しく・判りやすく読める優れものな本。

中国共産党批判は横に置いといて。

意外な雑学もとんでもなくたくさん学べるので、いかにも日本人好きする本でもある。

「へ〜そんなことがあったんかい」
と言うぐらい、痒いところに手の届く本だろう。

この本に従えば、歴代王朝を成立させたのは、前王朝においては叛徒の群である。
すなわちそのほとんどが盗賊が膨れ上がって軍を成し、王朝を倒したのであるから、その流れで考えると、今の共産中国も大盗賊の一つに過ぎない。

農民 ⇒ 流民 ⇒ 盗賊 ⇒ (集団化) ⇒ 叛徒 ⇒ (軍隊化) ⇒ 反乱軍 ⇒ 新王朝(善悪逆転)

思わず、あちこちにドッグイヤーを作ってしまった。

北宋風雲伝 9 (9)

2004年11月28日 読書
よくぞ9冊まで来たもんだ。
最初はどうなることかと思ったけれど、昔ながらの少女漫画の要素をたっぷり生かしながら、中国義侠小説ものの面白さも加えて、なおかつ作家のオリジナリティと脚色が上手い。

巻を重ねるほど良くなってゆく。
登場人物も、ほぼ固定してきているのに飽きさせないのがよろしい。

中国本土でもその手の映画(ヒーローとかLOVERSとか?)は全盛のようだし、ファンにとってはめでたしめでたし。

ネコがいて、ネズミがいて、そこに加わるとしたら犬か…なんてのは作者のオリジナリティなのだろうか?
それと、美形のネズミ(実際は人間で、あくまでもあだ名なのだが)…と言われても、あんまりいいイメージが湧いてこないのは日本人全般に言えるのではないだろうか?
それともこれは私の偏見か?

ネズミったら、ネズミ男でしょう……。

なによりも、この漫画は、遊び心が嬉しいね♪

ISBN:4253193846 コミック 滝口 琳々 秋田書店 2004/11/18 ¥410
天下を取るのが、一番の大盗賊。
なんて言い方も世間にはあるが、中国では"盗賊"とは何を指すのだろうか。
その辺のところを、わかりやすく、笑いを多く交えながら書き綴る本である。

最初っから随分と笑わせていただいた。

まず。
だいたい物語の中で盗賊は、貧しい農民を襲って少ない財貨を搾り取る。
自衛の手段を持たない農民は、涙ながらに耐えるしかない。
「七人の侍」的な話だが、まずこれは
(中国)共産党の作り話である

という。
冷静に考えてみよう。
貧しい農民を襲って、いったどれだけの旨味が有ろうか。
それならば、"豪農"・"地主"と呼ばれる名家・階級を襲ったほうが遥かに見入りがいい。

それは、中央から派遣されてきた地方官も同じで、何かと因縁をつけて地元の名家から財産を取り上げようとする。
手っ取り早くするには、冤罪で首を刎ね、全財産没収とすればよい。
そういうことが普通に行われてきたのも中国の歴史であるという。
では、取られたほうは黙っているかといえば、そうではない。
たとえば、山にこもり、賊となる。

山にこもった連中は、地元の名士であるから、地元の者たちはそこへ集まってくる。(彼らもすでに、普通にしていては食っていけない状況に陥っていることが多いので)
徒党を組むことで、盗賊となる。
官以外の、武装した、実力で要求を通そうとする、集団

である。

ここで、「金返せ」ではなく、「国が悪い」「政治が悪い」「地方長官リコールだ」などとやり始めると、ミニ水滸伝の出来上がりである。
盗賊には文士(文人)は必ず付いており、秘書的な働きをしていたと言うから、天下・国家を論ずるようにもなると言うものだ。

成る程。
納得す。

ところで、中国での身代金目当ての誘拐は、
爺さんを狙う

親を誘拐された子供ほど、言いなりで金を払うのものはないし、子・孫等々、出資する人間が多いからごっそり稼げると言う発想だ。
子供を誘拐されても、親からしか身代金が取れないのとは随分違う、とそう言う事がいいたいらしい。

孝心、と言うものを重視する中国らしい考え方である。
(ただし、ばあさんが狙われたという話は何故かないらしい)

そう、嘗て漢の高祖・劉邦が項羽の軍から逃げる時、自分が乗った馬車から二人の子供を投げ落とした、という話がある。
これは、「親を助けるために、子供はその命を投げ出すのも本懐である」(だから馬車を軽くして、劉邦が逃げ切ろうと言うのだが)という親優先の考え方が当たり前であるからだ。

日本とはずいぶん…ちがう、と思うだろう。

そして、では貧農はまったく平気だったかといえばそうではない。
やはり、ドラマのように映画のように、襲われていた。
しかも、盗賊は次のことを考えて、程ほどに略奪するが、盗賊を取り締まる兵隊は、盗賊に対しては程ほどの取締りをし(消滅すると自分の仕事がなくなるから)、その分無力な貧農に対して盗賊以上の略奪を行ったと言う。

だから、中国では、20世紀に至っても、「兵隊は盗賊と同一」という思想が中国人の頭の中には有ったらしい。

それが原因で、義和団も李鴻章も負けちゃったのだろうか…?

その後、「これではいかん」と外国から教師を招いて軍の教育を行ったり、海外留学で勉強させたりと軍兵の改革を行ったらしいのだが…
その日本へ送った軍人の卵が革命思想に目ざめて、帰ってから清王朝をひっくり返してしまったのだから、あとから考えれば、ゴロツキ兵隊のほうが安全であった。


チャンチャン♪

ISBN:4061497464 新書 高島 俊男 講談社 2004/10/19 ¥840
つい先日、映画を見たような気がする……

監督が変わって、新しい世界が開けた(といわれる)ハリーポッターの物語。

何と比較する必要はない。
あれもこれも、すべて楽しいと判ればそれでいい。

だって、御伽噺に理屈は不要でしょう。

ISBN:491551255X 単行本 松岡 佑子 静山社 2004/11/26 ¥1,050
法月綸太郎の「生首に聞いてみろ」を読了す。

…題名はえぐいが、内容はオーソドックスで、ストーリーも無理なく厭味なく綺麗に展開している。

伏線の張り方も、なかなか。

読了後に
「あ、成る程な」
「あれはこういう意味だったのか」
と無理なく納得させてくれるので、とってもさわやかな読後感を抱けた。
とはいえ推理小説であるから、陰惨な犯罪は起こっているので、しかも「随分酷い」"現実"と"事実"が読者の目の前に並べられてしまう。

まぁ…仕方ないか。


ISBN:4048734741 単行本 法月 綸太郎 角川書店 2004/09 ¥1,890
とろとろと読み始めたのはひとつきぐらい前のこと。
いろんな本と併行読みしながら、ゆっくり進む。

三島 由紀夫といえば、無茶苦茶硬派で怖そうなイメージしかないのだが、この本を読んでいく限りはそんなイメージはない。

ただ。
はっきり言う。
今では時代遅れ?
いやいや、結構的を射ている言もあったりで、さすが文学者は想像力が豊かだと思った。

なんにしても。
しんじゃったら何もいえないし主張もできないんだけどな、とおもうのは素人考えなんだろうか。

潔すぎるのも考え物。
いまの世の中は粘りがきかないと、とっても辛い。

この現代の、現状を見て、三島 由紀夫はどう思うだろうか。

ISBN:4167124033 文庫 三島 由紀夫 文芸春秋 1996/11 ¥500

生首に聞いてみろ

2004年11月21日 読書
巻き毛探偵の「魔術王」が読了したので、またまた怪しげな題名の推理小説に移行した。

ハードカバーなのでとても重い。
でも、函みたいな本よりはよほど手に取りやすい。

連載小説を改めて加筆・修正した本なので、読んでいる人もかなり多そうだ。
推理小説の連載ものって待っているほうはイライラするだろうなぁ。
ちょうど、テレビの推理者アニメがやたら週を重ねるので「キーッ!」と歯噛みしている視聴者のように。(私のことか)

事件発生編⇒事件発展編⇒犯人発見編⇒名推理披露編
なんてことも少なくない。
となれば、いらつくのは私だけではあるまい。

だって、一つの事件に2〜4週間かかっていたら、事件そのものを忘れるってばさ。

それにしても…首とか腕とか足とか、最近の世相と現実の事件にあわせてか、推理小説も随分と生臭い犯罪が増えたものである。

アニメが一時スプラッタに走りまくった時期もあったが、気分が悪く、不愉快になるのみだった。
視覚的な衝撃よりも、誰もが唸るようなトリックのミステリーを展開して行って欲しいものである。

さて。
この小説は如何?

ISBN:4048734741 単行本 法月 綸太郎 角川書店 2004/09 ¥1,890
八仙過海 各顕神通

鉄拐李(てつかいり) 
漢鍾離(かんしょうり)
張果老(ちょうかろう)
何仙姑(かせんこ)
藍采和(らんさいわ)
呂洞賓(りょどうひん)
韓湘子(かんしょうし)
曹国舅(そうこくしゅう)

かつて実在した人物を含むこの8人が、八仙として語られている。
いざとなったら、神通力で窮地を脱する。

ところで。
この8人の名前をみて、気がつく人も多いだろう。

成龍の、人気の火付けとなった映画「酔拳」では、この八仙がその型のひとつひとつに相当するとして語られるのである。

いうまでもなく、成龍とは、ジャッキー・チェンのこと。
1993年から10年間にわたり、JR東海が繰り広げたキャンペーン「そうだ、京都、行こう」
はかなり有名である。

その広告写真を改めて集め、文章と切り離し、装丁し、一冊に纏めた本が出た、と聞いて、これは買わねばと決めていた。

いい値段はしている。

が、綺麗なんだな。
これが。

いまは紅葉の季節。
店頭には写真メインの京都案内本が所狭しと並べられている。
どれを見ればいいのか判らないぐらいだ。

ところで、そんなたくさんの本だが、「これだ!」といいところを突いているものは少ない。
ない、と言って良いぐらいだ。

ほとんどが、宣伝費を出してくれているお店やレストランやお土産屋さんで占められている。
それはそれでよかろう。
本の出版も、慈善事業ではない。
だがしかし。
それだけではあまりにも詐欺な話である。

宣伝されたお店は、当たり前だが人でごった返している。
そんなところでゆっくりのんびりと"自分なりの"京都を味わえるだろうか…?

では、この「そうだ、京都、行こう」がすばらしい観光案内本かといえばそうでもない。

ただ。
美しい京都を紹介している。
それだけだ。
でも、それだけでいいと思う。

季節と、時間と、場所は記されているのだ。
(交通手段だって書かれている)
あとは自分で決めて自分で計画して自分でそこへ行けばいい。

本の末尾には、観光地の解説と、季節の行事がまとめて書かれている。

下手な観光案内本よりも、美しい京都を切り取った写真を心に、観光地図よりも都市地図をもって、京都へ来てください。

地元の大銀行(笑)・京都銀行も、何年か前に「京都の写真集」を出したが、これも店頭を飾ったポスターの写真である。
京都中央信用金庫は、頭取が知る人ぞ知る大の写真○○○○で、四条烏丸の店頭には、頭取自らが撮影してきた京都の四季の風景が写真に切り取られて飾られている。

こういうものを見るほうが、下手な観光案内本よりよっぽどいい。
美しい。

ISBN:4473020932 単行本 淡交社編集局 淡交社 2004/10 ¥1,680

共感

2004年11月18日 読書
19世紀の英国・摂政時代からやってきたヒーローは、あくまでも誇り高いジェントルマン。

だから、掃除もしなけりゃ身の回りのことひとつしない。
所謂、「立ってるもんを横にすらしない」という奴。

居候と化して、大家であるキャリアウーマン(マギー:ヒロイン)のクレジット・カードをバンバン使い捲る生活は、単なる「ヒモ」状態なんだけど、この英国紳士にはそれが通用しない。

確かに働かないのがジェントルマン、という思想だったんだけどね。
税金もかからないで、膨大な資産でもあるというならね…。

…っていうか、こうなると「働かないヒモ」=「ジェントルマン」の構図が出来てしまいそうだ。

そんな彼に唯一共感。
カードでこっそり買い物をした中に、
「ホーンブローワー・シリーズ」が全巻入っていたこと!

やったね!
さすが!

&些細なことではあるけれど。
私もネコ(犬でも可)にウエリントンとナポレオンなんて名前をつけて呼び捨てしたい!
ナポレオン時代の英国の帆船乗りは、飼い猫にナポレオンと名づけて、「ボーニー」と呼び捨てたり蹴飛ばしたりしてウサ晴らしをした、とよく小説には出てくるが…。

そういうのもちょっと憧れたりするのであった。

マギーはお手上げ

2004年11月17日 読書
「魔術王」はちょいと横へおいといて、こちらへ。
魔術王に"お手上げ"ではなく、借りっぱなしでいつまでも、が出来ないほうから読みまする。

自分が描いた小説の主人公とその相方が、現実世界に出てきたら、そして「自分には君が必要、君には自分が必要」なんてささやいてくれるなら……自分好みのハンサムばかりそろえるだろうなぁ〜。
と煩悩深まる秋である。

しかも19世紀英国…涎が出そうだ。

でも、自分の知識に相応する"アタマの内容を持つ"登場人物しか出来上がらないとなると、自分自身がよほど頑張らないと、おつむの軽い奴らばかりが登場することになるのだな。

それもな…いやかも。

しかし、19世紀のヒーローが、21世紀のマンハッタンで"ゲイ"に間違われるとは。
人間の感性なんていい加減なものだ。

ISBN:4576041444 文庫 早川 麻百合 二見書房 2004/08 ¥940
テンポが良くてぽんぽん読める、スレイヤーズ・シリーズの最新刊。

相変わらずのパワーと理屈でモンスターと野盗を吹き飛ばし、わが道を行くどらまたリナの大冒険。

メインキャラもナーガと二人の珍道中が続くけれど、それだけでも十分読ませる。

むしゃくしゃした時にはすっとする。
気分転換に読了。

ISBN:4829116544 文庫 神坂 一 富士見書房 2004/10 ¥546
魔術王。

色々やってくれるが。

美しくない。

犯罪が、だ。

なんだかえぐいです。
怖い、というより気持ち悪い、って感じです。

巻き毛が魅力のうら若い女性探偵が主役のくせに、ちっとも似合った事件ではありません。

……ちゃんと面倒見て(収拾つけて)くれるんでしょうね。

とても不安。
建築家探偵が読めたので次へ移る…前に、「失楽の街」についてふたことみこと。

犯罪が、嘗ての赤軍派だったり爆弾事件だったりとあまりいい印象を与えない。
いや、犯罪でいい印象も悪い印象もないものだが、イメージがね。暗すぎるって言うのか?
私も、既にこの世に生きていたとはいえ、さほど知っている時代ではない。
彼らの心情も矢張りわからない。理解できない。
「遠い外国で戦乱や飢餓に苦しむ人たちがいることを気の毒に想いはするが」
「自分ちの猫が病気したほうが、人間は、より悲しいだろう。」
"遠くの他人よりも近くの身内"に感情は強く動かされるものだ。
それを利己的と非難できるだろうか?
偽善でならできるかも…なんて、喧嘩を売るような科白はあまり吐くものではない。

恨みが、広がって、やがて跳ね返って自分にかえる。
その様は良く見せてもらった。
でも。
それを自分の中で消化できてこその"人間"なんだから。
「甘ったれるな」なんて陳腐な科白は言いたくないけれど。

ラストは、読みながら思っていたよりも、遥かに清々しく終わったと私は感じている。
ちなみに、桜井京介の最後の細工は、もしかしたら、賛否両論分かれるかも、と思う。
引っかかるようならちっとも"清々し"くないわけだ。

それは、あたかもシャーロック・ホームズ的な"ささやかな"トリックなのだが…何分、ホームズものは幼少時には受け入れられないものを多く含有している。
そこそこ社会を知って世の中を知ってくれば、拍手喝采してしまう要素なのだが、私自身もホームズものに傾倒したのは高校の頃からで、それまではもっぱら"ルパン"だったしな。

ひとはいさ こころもしらず ふるさとは 

はなぞ むかしの かに にほいける


で。
次は二階堂蘭子さんの事件簿に移るわけである。
なんだか江戸川乱歩してます…本の装丁・文字からして。

おまけに、またしても誰かさんのような、読みにくい函型文庫だし!!
『読みやすい』『手にとりやすい』本を作ることを、ちったあ心がけて欲しいものである。

ISBN:4061823981 新書 二階堂 黎人 講談社 2004/10/07 ¥1,890

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