イスタンブールの大聖堂―モザイク画が語るビザンティン帝国
2005年6月9日 読書
ビザンチン帝国。
東ローマ帝国ともいう。
でっかくなりすぎたローマが、二つに分かれたのは自然の流れであった。
政治も経済も、大きくなりすぎた化け物は、我とわが身を食うようになる。
そしていつかは自滅するしかないのだから。
…とまあ、その後、トルコによって獲られた帝国は、(トルコがキリスト教国家の遺物を有効利用したため)見た目、キリスト教とイスラム教が混在するような魅力的な街を作り、東のアジアと西の欧羅巴を繋ぐ接点として、あやしげなムード溢れる魅力的な都市となったわけである。
ああ、一度行ってみたいものだ…。
ISBN:412101684X 新書 浅野 和生 中央公論新社 2003/02 ¥819
東ローマ帝国ともいう。
でっかくなりすぎたローマが、二つに分かれたのは自然の流れであった。
政治も経済も、大きくなりすぎた化け物は、我とわが身を食うようになる。
そしていつかは自滅するしかないのだから。
…とまあ、その後、トルコによって獲られた帝国は、(トルコがキリスト教国家の遺物を有効利用したため)見た目、キリスト教とイスラム教が混在するような魅力的な街を作り、東のアジアと西の欧羅巴を繋ぐ接点として、あやしげなムード溢れる魅力的な都市となったわけである。
ああ、一度行ってみたいものだ…。
ISBN:412101684X 新書 浅野 和生 中央公論新社 2003/02 ¥819
ローマ帝国の神々―光はオリエントより
2005年6月7日 読書
意外性を追求する推理小説を終え、今度は古代オリエントの輝ける文化に浸ることにした。
神々が人々に近く存在する世界。
人がもっと想像力に溢れていた時代へとトリップできたらいいな。
…って、ついていけるだろうか…?
実は神話が苦手な私なのであった。
ISBN:412101717X 新書 小川 英雄 中央公論新社 2003/10 ¥819
神々が人々に近く存在する世界。
人がもっと想像力に溢れていた時代へとトリップできたらいいな。
…って、ついていけるだろうか…?
実は神話が苦手な私なのであった。
ISBN:412101717X 新書 小川 英雄 中央公論新社 2003/10 ¥819
ガーデンって……やたらと一杯出てくるのな。
でもって、該当するもの、ないやん。
レビュー出すだけでも一苦労だわ。
近藤さんの作品は読み易い。
ひっかるところがない…というのは作品としていいことなのかどうなのか?
印象も薄いってこと?
推理小説っぽくない推理小説。
生活に密着した、△関係主体の(笑)、けだるい現代小説といっても通じるのではないだろうか。
ISBN:4488427030 文庫 近藤 史恵 東京創元社 2002/12 ¥777
でもって、該当するもの、ないやん。
レビュー出すだけでも一苦労だわ。
近藤さんの作品は読み易い。
ひっかるところがない…というのは作品としていいことなのかどうなのか?
印象も薄いってこと?
推理小説っぽくない推理小説。
生活に密着した、△関係主体の(笑)、けだるい現代小説といっても通じるのではないだろうか。
ISBN:4488427030 文庫 近藤 史恵 東京創元社 2002/12 ¥777
前作の「凍える島」があっという間に読めてしまい、そのままこちらへなだれ込むことに。
「凍える島」のヒロインは、人間に対して無頓着、というか執着がもてない人。
あえて期待をしない人。
……その方が「生きやすい」ってことはあるのだ、実際に。
気持ちは分かる。
期待して裏切られるくらいなら、期待しない方がまし。
自衛本能だね。
だから…ああいう結果になるのかも。
妹に言わせると「男に都合の良い女の設定だね」ってことだが。
…確かに一理あり、か。
*****************************
さて、お次は「ねむりねずみ」だ。
梨園に嫁いだヒロイン。
まずはその「お嬢様お嬢様」ぶりには吃驚。
学校を卒業したら、花嫁修業と称して家にいる…のはまぁ「家事手伝い」を名刺代わりに使っていた"お嬢様"たちの話だが、彼女の場合は、加えて、三味線だの長唄だのおいおいおいって習い事に結構忙しくされている様子。
だが、梨園に嫁ぐ女の実家ってのは、そういうもんなんか?
かの、ハヤシヒロコ嬢の実家は、京都の普通のおうちだったが、父君が「もし駄目だ(=梨園に不向き)と思ったら、すぐ離婚してください」なんて嫁ぎ先である婿殿(=梨園の名家)に言ったぐらいだ。
そこまで卑屈になるべきものなのだろうか、と浅薄な私なんぞは思ってしまう。
その梨園関係者の殺人事件。
探偵役も関係者。
女にだらしないのが梨園ってもんだーなんて一般人から言われている世界だ。
事件があっても当然か。
飄々と意外な展開を書いて綴る作者の、私にとっての第二作目は、どれぐらい吃驚させてくれるのかな。
ISBN:4488427022 文庫 近藤 史恵 東京創元社 2000/11 ¥546
「凍える島」のヒロインは、人間に対して無頓着、というか執着がもてない人。
あえて期待をしない人。
……その方が「生きやすい」ってことはあるのだ、実際に。
気持ちは分かる。
期待して裏切られるくらいなら、期待しない方がまし。
自衛本能だね。
だから…ああいう結果になるのかも。
妹に言わせると「男に都合の良い女の設定だね」ってことだが。
…確かに一理あり、か。
*****************************
さて、お次は「ねむりねずみ」だ。
梨園に嫁いだヒロイン。
まずはその「お嬢様お嬢様」ぶりには吃驚。
学校を卒業したら、花嫁修業と称して家にいる…のはまぁ「家事手伝い」を名刺代わりに使っていた"お嬢様"たちの話だが、彼女の場合は、加えて、三味線だの長唄だのおいおいおいって習い事に結構忙しくされている様子。
だが、梨園に嫁ぐ女の実家ってのは、そういうもんなんか?
かの、ハヤシヒロコ嬢の実家は、京都の普通のおうちだったが、父君が「もし駄目だ(=梨園に不向き)と思ったら、すぐ離婚してください」なんて嫁ぎ先である婿殿(=梨園の名家)に言ったぐらいだ。
そこまで卑屈になるべきものなのだろうか、と浅薄な私なんぞは思ってしまう。
その梨園関係者の殺人事件。
探偵役も関係者。
女にだらしないのが梨園ってもんだーなんて一般人から言われている世界だ。
事件があっても当然か。
飄々と意外な展開を書いて綴る作者の、私にとっての第二作目は、どれぐらい吃驚させてくれるのかな。
ISBN:4488427022 文庫 近藤 史恵 東京創元社 2000/11 ¥546
詩人とその妻、共同経営者とその恋人、友達と常連とその恋人と…私。
瀬戸内海に浮かぶ無人島でドラマが始まる。
この著者の作品は初めてである。
最初は、小難しい文学作品かと思ったが。
一人減り。
二人減り。
そして…アガサ・クリスティ?
ちょっと感覚的、というか叙情的というか、感情的というか?
「私」が一人称で語るお話にのめりこみそうだ。
ISBN:4488427014 文庫 近藤 史恵 東京創元社 1999/09 ¥609
瀬戸内海に浮かぶ無人島でドラマが始まる。
この著者の作品は初めてである。
最初は、小難しい文学作品かと思ったが。
一人減り。
二人減り。
そして…アガサ・クリスティ?
ちょっと感覚的、というか叙情的というか、感情的というか?
「私」が一人称で語るお話にのめりこみそうだ。
ISBN:4488427014 文庫 近藤 史恵 東京創元社 1999/09 ¥609
セーラー服にお願い! 1 (1)
2005年6月4日 読書
少女漫画とは思えない少女漫画が現れてはや○十年は経った。
これも叉、似たようなもんだわな。
昼尚暗い山ん中、そこにまいる人も絶えた小さな祠。
だがしかし。
そこにはれっきとした神さんが!
ワルイモノ(!)を封印した上にどっかと鎮座ましましていたわけだ。
その祠を弾みで壊した一人の女子高生。
…で、彼女に乗り移ったお気楽な神さん。
…で、神さん(=女子高生)を守る事になった、狛犬二匹…というか、二人。(人型に変身するのだ)
カミサマ、精霊、悪霊、なんやかや。
彼女がアルバイトで稼いだお金で祠を直し、自分の身に一時避難した神さんを元に戻すまでの"根性(笑)"物語。
そういうものが入り混じって起こすどたばた喜劇である。
…いや、ホンマに喜劇か?
まあいいか。
ちょっと怪しいトコロもあるけれど、まあ本人が「強く明るく正しく!」を標榜して生きている天涯孤独の身(じーさんはいるが)ゆえに、今時珍しい力強さも感じてさわやかな一品である。
私なんざ、犬大好き人間だから、狛犬(ほとんど犬!)がおなかを抱えて笑ったりずっこけたりの姿がいとしゅうていとしゅうて…。
(あ)軽く、元気なヒロインが、けなげに生きてゆくガッツ物語。最近流行かな?
で、付き添いには絶対、お笑い系のビジュアル系が出てくるという…。
う〜ん、流行って、読み難い。
ISBN:4592182510 コミック 田中 メカ 白泉社 2005/04/05 ¥410
これも叉、似たようなもんだわな。
昼尚暗い山ん中、そこにまいる人も絶えた小さな祠。
だがしかし。
そこにはれっきとした神さんが!
ワルイモノ(!)を封印した上にどっかと鎮座ましましていたわけだ。
その祠を弾みで壊した一人の女子高生。
…で、彼女に乗り移ったお気楽な神さん。
…で、神さん(=女子高生)を守る事になった、狛犬二匹…というか、二人。(人型に変身するのだ)
カミサマ、精霊、悪霊、なんやかや。
彼女がアルバイトで稼いだお金で祠を直し、自分の身に一時避難した神さんを元に戻すまでの"根性(笑)"物語。
そういうものが入り混じって起こすどたばた喜劇である。
…いや、ホンマに喜劇か?
まあいいか。
ちょっと怪しいトコロもあるけれど、まあ本人が「強く明るく正しく!」を標榜して生きている天涯孤独の身(じーさんはいるが)ゆえに、今時珍しい力強さも感じてさわやかな一品である。
私なんざ、犬大好き人間だから、狛犬(ほとんど犬!)がおなかを抱えて笑ったりずっこけたりの姿がいとしゅうていとしゅうて…。
(あ)軽く、元気なヒロインが、けなげに生きてゆくガッツ物語。最近流行かな?
で、付き添いには絶対、お笑い系のビジュアル系が出てくるという…。
う〜ん、流行って、読み難い。
ISBN:4592182510 コミック 田中 メカ 白泉社 2005/04/05 ¥410
ハリー・ポッターと魔法のご馳走
2005年6月3日 読書
「ハリーポッターと魔法のご馳走 ようこそ!魔法の厨房へ 魔法の杖と大鍋の用意できましたか?」
というのが、正しい題名みたいなんだけど?
なんで購入したか、というと、「作り方」が書いてあるからだ。
自分で作れます、というのが呼び物なのだ。
うちのまめな妹は、まだスコーンが珍しかった時、エッセイに書かれたレシピを片手にちゃんとスコーンを作ってくれたので、こんかいも「よし、これだ!」と購入したわけである。
(この本の価値は、載っているものがちゃんと作れるか作れないか…ひとえに妹の腕にかかっているわけだ)
DVDを見ながら食せばなお美味しかろう…ってわけで。
他人様任せな私。
ISBN:4422740296 単行本 クラリッジ 玲子 創元社 2004/09 ¥1,680
というのが、正しい題名みたいなんだけど?
なんで購入したか、というと、「作り方」が書いてあるからだ。
自分で作れます、というのが呼び物なのだ。
うちのまめな妹は、まだスコーンが珍しかった時、エッセイに書かれたレシピを片手にちゃんとスコーンを作ってくれたので、こんかいも「よし、これだ!」と購入したわけである。
(この本の価値は、載っているものがちゃんと作れるか作れないか…ひとえに妹の腕にかかっているわけだ)
DVDを見ながら食せばなお美味しかろう…ってわけで。
他人様任せな私。
ISBN:4422740296 単行本 クラリッジ 玲子 創元社 2004/09 ¥1,680
サンショウウオの明るい禅
2005年6月1日 読書
著者はお坊さんだ。
臨済宗と言うから、禅宗である。
厳しい修行をされてきたお坊さんである。
で、この方の雑誌でのエッセイをたま〜に読んでいて、その書きっぷりというか、雰囲気が好きだった。
たまたま何冊か本を出されていると知って、なんやかや、読んでみようと思い立ったわけである。
私は京都にすんでいるので、お寺さんとは縁は深いほうかと思う。
…というか、お寺の存在に慣れている、というべきか。
街中の電信柱ぐらいの感覚で有名寺院も見過ごすというか。(決して自慢ではない。注意散漫・ぼんやりとしているだけのことである)
親しくお付き合いさせてもらっているわけではなく、勿論寄付やご奉仕で貢献しているわけでもない。
保育園がお寺さんで、幼心に結構怖い思いもした、というのも、この際あんまり関係ないかと思う。
単に、趣味のカメラの被写体に…というか、京都のお寺さんは花(=四季)とセットなので、どうしてもマメにうろつく羽目になるのだ。
で、こんな不信心者にもお寺さんは門を閉ざさない。
さすがである。
ありがたいことである。
おっとっと。
いつもながら、本の感想になっていない…
ISBN:4759308636 単行本 玄侑 宗久 海竜社 2005/04 ¥1,470
臨済宗と言うから、禅宗である。
厳しい修行をされてきたお坊さんである。
で、この方の雑誌でのエッセイをたま〜に読んでいて、その書きっぷりというか、雰囲気が好きだった。
たまたま何冊か本を出されていると知って、なんやかや、読んでみようと思い立ったわけである。
私は京都にすんでいるので、お寺さんとは縁は深いほうかと思う。
…というか、お寺の存在に慣れている、というべきか。
街中の電信柱ぐらいの感覚で有名寺院も見過ごすというか。(決して自慢ではない。注意散漫・ぼんやりとしているだけのことである)
親しくお付き合いさせてもらっているわけではなく、勿論寄付やご奉仕で貢献しているわけでもない。
保育園がお寺さんで、幼心に結構怖い思いもした、というのも、この際あんまり関係ないかと思う。
単に、趣味のカメラの被写体に…というか、京都のお寺さんは花(=四季)とセットなので、どうしてもマメにうろつく羽目になるのだ。
で、こんな不信心者にもお寺さんは門を閉ざさない。
さすがである。
ありがたいことである。
おっとっと。
いつもながら、本の感想になっていない…
ISBN:4759308636 単行本 玄侑 宗久 海竜社 2005/04 ¥1,470
囚人護送艦、流刑大陸へ (下)
2005年6月1日 読書
調子付いて、下巻へ突入だ!!
我らがオーブリーの行く手には暗雲ばかりがたちこめているようだが…ま、こうでなくっちゃ面白くないっての、海洋冒険小説は!
トム・プリングズ副長が早々に舞台を退場してしまったのがすこぶる残念である。
残ったうぞーむぞーを引き連れて、圧倒的に優位な敵とどう闘う?
う〜ん、よしよし。
これこれ。
これがわくわくどきどきの原動力なんだよね。
今回は、一人の海尉がニューファウンドランド犬を連れて乗船しているのだが、彼(犬である)は甲板のボートに住んでいる。
まぁ…そうなるかな。
けど、犬がここまで出てくる艦上描写も珍しい…ような気がするのだが、如何。
ISBN:4150410844 文庫 大森 洋子 早川書房 2005/05 ¥735
我らがオーブリーの行く手には暗雲ばかりがたちこめているようだが…ま、こうでなくっちゃ面白くないっての、海洋冒険小説は!
トム・プリングズ副長が早々に舞台を退場してしまったのがすこぶる残念である。
残ったうぞーむぞーを引き連れて、圧倒的に優位な敵とどう闘う?
う〜ん、よしよし。
これこれ。
これがわくわくどきどきの原動力なんだよね。
今回は、一人の海尉がニューファウンドランド犬を連れて乗船しているのだが、彼(犬である)は甲板のボートに住んでいる。
まぁ…そうなるかな。
けど、犬がここまで出てくる艦上描写も珍しい…ような気がするのだが、如何。
ISBN:4150410844 文庫 大森 洋子 早川書房 2005/05 ¥735
拝み屋横丁顛末記 1 (1)
2005年5月31日 読書
前々から気になっていた。
なんだか惹かれるものがあって。
内容はまったく目を通したことがなかったのに、衝動買いだ!
……賭けは勝ち!
一気に3冊(2巻がないの〜)そろえちゃったぜ。
三宗教(仏教・神道・陰陽道)揃い踏みの古びた横丁に住む面々は、周辺の地域からは畏れられ、敬遠され、薄気味悪がられている…というか阻害(町内行事にも立ち入り禁止!とか言われてるし…)されている。
「あいつらが来ると悪寒がする!(そりゃ霊つきだし)」
とか
「超常現象が起こる!(勿論悪霊もいたりするし)」
とか言われて…かわいそうに…。
そんな変な連中中でも、元坊様・元神主・元陰陽師のじーさま三人がタッグを組んで、ドジばっかりをやらかす…。
彼らの大家ですら、一見まともに見えて随分と底が奥深そうで(というか底知れない人で)、どうやら一番まともじゃなさそうだ。
拝み屋やら霊体やら怨霊やら、皆が思い切り感情を発露しているほのぼの(?)コメディである、だと思うが。
違うのかな?
もしかして。
教訓:生きて行く上では、霊感はないのが、一番強いかも知れない。
(ちなみに私がそうである。守護霊が強いんかな?…ラッキー♪)
ISBN:4758050414 コミック 宮本 福助 スタジオディーエヌエー 2003/07/25 ¥580
なんだか惹かれるものがあって。
内容はまったく目を通したことがなかったのに、衝動買いだ!
……賭けは勝ち!
一気に3冊(2巻がないの〜)そろえちゃったぜ。
三宗教(仏教・神道・陰陽道)揃い踏みの古びた横丁に住む面々は、周辺の地域からは畏れられ、敬遠され、薄気味悪がられている…というか阻害(町内行事にも立ち入り禁止!とか言われてるし…)されている。
「あいつらが来ると悪寒がする!(そりゃ霊つきだし)」
とか
「超常現象が起こる!(勿論悪霊もいたりするし)」
とか言われて…かわいそうに…。
そんな変な連中中でも、元坊様・元神主・元陰陽師のじーさま三人がタッグを組んで、ドジばっかりをやらかす…。
彼らの大家ですら、一見まともに見えて随分と底が奥深そうで(というか底知れない人で)、どうやら一番まともじゃなさそうだ。
拝み屋やら霊体やら怨霊やら、皆が思い切り感情を発露しているほのぼの(?)コメディである、だと思うが。
違うのかな?
もしかして。
教訓:生きて行く上では、霊感はないのが、一番強いかも知れない。
(ちなみに私がそうである。守護霊が強いんかな?…ラッキー♪)
ISBN:4758050414 コミック 宮本 福助 スタジオディーエヌエー 2003/07/25 ¥580
皇なつき作品集「画趣」
2005年5月30日 読書
もともと中国が好きで、中国物が多かったイラスト作家。
…いや。
漫画も描いておられるのだから、そんな失礼なことを言ってはいけないな。
私も中国好きで、その縁でこの人の作品を知るようになった。
実は漫画デビューは和物(戦国時代の武家の怪しくも哀しい話)である。
墨絵のような繊細な、平坦な絵が何故か艶っぽくて、大好きなのだ。この画集をみて、洋物も現代物もあったのだと再確認。
だが、もはやイラスト作家の絵で、漫画家の絵ではない、と思う。
それもまた良し。
ISBN:4870316218 大型本 皇 なつき 飛鳥新社 2005/02/05 ¥2,940
…いや。
漫画も描いておられるのだから、そんな失礼なことを言ってはいけないな。
私も中国好きで、その縁でこの人の作品を知るようになった。
実は漫画デビューは和物(戦国時代の武家の怪しくも哀しい話)である。
墨絵のような繊細な、平坦な絵が何故か艶っぽくて、大好きなのだ。この画集をみて、洋物も現代物もあったのだと再確認。
だが、もはやイラスト作家の絵で、漫画家の絵ではない、と思う。
それもまた良し。
ISBN:4870316218 大型本 皇 なつき 飛鳥新社 2005/02/05 ¥2,940
囚人護送艦、流刑大陸へ (上)
2005年5月29日 読書
陸にあがったカッパ…否、オーブリー艦長はご機嫌だ。
新しい館の普請に家具に愛する妻・ソフィー、双子の娘ファニーにシャーロット、歯が生えかけた跡取り息子のジョージ…アットホームなパパ振りが不気味である。
一方、新大陸(といっても流刑地で有名なほう)のカンガルーやウオンバットをダシに誘惑されるマチュリン先生は気の毒である。
(きっとまた、探す暇なんぞありゃしないのだ)
すっかり忘れていたが、ダイアナとの恋の痛手が彼の繊細な心を傷つけて、それからまだ日が浅いのだ。
海洋冒険小説の皮をかぶった推理小説にだまされた気分だったので、お口直しにオーブリー艦長が出現したのは非常に喜ばしいことである。
これこそ海洋冒険小説だ!
うん。
ISBN:4150410836 文庫 大森 洋子 早川書房 2005/05 ¥735
新しい館の普請に家具に愛する妻・ソフィー、双子の娘ファニーにシャーロット、歯が生えかけた跡取り息子のジョージ…アットホームなパパ振りが不気味である。
一方、新大陸(といっても流刑地で有名なほう)のカンガルーやウオンバットをダシに誘惑されるマチュリン先生は気の毒である。
(きっとまた、探す暇なんぞありゃしないのだ)
すっかり忘れていたが、ダイアナとの恋の痛手が彼の繊細な心を傷つけて、それからまだ日が浅いのだ。
海洋冒険小説の皮をかぶった推理小説にだまされた気分だったので、お口直しにオーブリー艦長が出現したのは非常に喜ばしいことである。
これこそ海洋冒険小説だ!
うん。
ISBN:4150410836 文庫 大森 洋子 早川書房 2005/05 ¥735
大魔術師対10人の女怪!
2005年5月29日 読書
天冴鬼10人を相手に、我らがスキーヴが大奮戦。
今までにない分厚い一冊(464ページ)で綴られる最新刊。
羊のように団体行動を好み(というか独立心のない)物事の是非をはっきり言わない(というか言えない)邑人が、隠遁し魔術研究にいそしむスキーヴに救援を求めてきた。
体力・知力ともにすさまじい天冴鬼10人(全員女!)に抑圧される我々を助けて欲しい。
さて。
二人の美女と、売れっ子作家を引き連れて、スキーヴはどこまで頑張れるのか?
…てなわけで、ジョディ・リン・ナイとの共著が生み出した、今までにない分厚い作品である。
筋もしっかり、展開もた〜ッぷり楽しめて、結構なお味(?)でございました。
ISBN:4150203881 文庫 矢口 悟 早川書房 2005/05/25 ¥861
今までにない分厚い一冊(464ページ)で綴られる最新刊。
羊のように団体行動を好み(というか独立心のない)物事の是非をはっきり言わない(というか言えない)邑人が、隠遁し魔術研究にいそしむスキーヴに救援を求めてきた。
体力・知力ともにすさまじい天冴鬼10人(全員女!)に抑圧される我々を助けて欲しい。
さて。
二人の美女と、売れっ子作家を引き連れて、スキーヴはどこまで頑張れるのか?
…てなわけで、ジョディ・リン・ナイとの共著が生み出した、今までにない分厚い作品である。
筋もしっかり、展開もた〜ッぷり楽しめて、結構なお味(?)でございました。
ISBN:4150203881 文庫 矢口 悟 早川書房 2005/05/25 ¥861
秘密結社。
そう聞けば、われわれは、なにやら反社会的なな集団が怪しげな儀式を執り行っているような錯覚を覚える。
フリーメーソンなんて無害そうな団体も、△帽子のKKKと混同されている可能性は高い。
いや。
頭で《違う》と分かっていても、なにやら"アヤシゲ"であることは両者をひとつの項で括ってしまう原因になっている。
この本の著者・渋沢 龍彦という人も、そういえばなにやら怪しげなものを書き綴っていたような印象がある。
まともに読んだことはないので私の錯覚かもしれないが。
秘密結社は秘密でもなんでもない。
特にフリーメーソンみたいな、高名な政治家とか有名人が結社人であることを公言する結社は。
秘密なのは、入社の儀式なのだ。
…と、作者は言う。
なるほど。
ISBN:4167140071 文庫 渋沢 龍彦 文芸春秋 2004/09 ¥600
そう聞けば、われわれは、なにやら反社会的なな集団が怪しげな儀式を執り行っているような錯覚を覚える。
フリーメーソンなんて無害そうな団体も、△帽子のKKKと混同されている可能性は高い。
いや。
頭で《違う》と分かっていても、なにやら"アヤシゲ"であることは両者をひとつの項で括ってしまう原因になっている。
この本の著者・渋沢 龍彦という人も、そういえばなにやら怪しげなものを書き綴っていたような印象がある。
まともに読んだことはないので私の錯覚かもしれないが。
秘密結社は秘密でもなんでもない。
特にフリーメーソンみたいな、高名な政治家とか有名人が結社人であることを公言する結社は。
秘密なのは、入社の儀式なのだ。
…と、作者は言う。
なるほど。
ISBN:4167140071 文庫 渋沢 龍彦 文芸春秋 2004/09 ¥600
北宋風雲伝 10 (10)
2005年5月25日 読書
南侠・展昭は亡き兄の死の原因を探るべく、故郷へ帰る。
互いに惹かれながらたった一歩を踏み出せない想い人・月華とともに。
…というわけで、今回は開封をはなれ、みなの元を離れ、二人で行く旅の話がメインである。
そろそろ新しい展開が待たれるところであるが、さあ、ここからどのように料理をしてくれるのか…いかに人気が出てこようとも(帯のあおり文句には、"田中芳樹絶賛"とか書いてあったが)長ければいい、ってもんではない。
終わりどころをわきまえない冗長な作品は、すぐに飽きられる。
ISBN:4253193854 コミック 滝口 琳々 秋田書店 2005/05/16 ¥410
互いに惹かれながらたった一歩を踏み出せない想い人・月華とともに。
…というわけで、今回は開封をはなれ、みなの元を離れ、二人で行く旅の話がメインである。
そろそろ新しい展開が待たれるところであるが、さあ、ここからどのように料理をしてくれるのか…いかに人気が出てこようとも(帯のあおり文句には、"田中芳樹絶賛"とか書いてあったが)長ければいい、ってもんではない。
終わりどころをわきまえない冗長な作品は、すぐに飽きられる。
ISBN:4253193854 コミック 滝口 琳々 秋田書店 2005/05/16 ¥410
モーツァルトの子守歌
2005年5月24日 読書
鮎川哲也といえば、日本の推理小説家の中でもかなり上の方…に位置する方、大家であるらしいということは、私ですら知っている。
(推理小説の研究書には必ず彼の名が出てくるし作品を引き合いに出されているし)
その割りに読んでいる本は少ないが(笑)
短編集。
だが、どうやらシリーズものらしく、もと刑事のちょっと抜けた加減の良い主人公の探偵。
専用エレベーターで行く数寄屋橋のバー「三番館」のバーテンが披露する見事な推理。
なんだかシアワセそうな常連客。
…と、話の常連客がちらほらと見受けられる。
シェーカー片手に謎解きをする、"安楽椅子探偵"が、本当の主人公らしい。
ISBN:4488403131 文庫 鮎川 哲也 東京創元社 2003/12 ¥630
(推理小説の研究書には必ず彼の名が出てくるし作品を引き合いに出されているし)
その割りに読んでいる本は少ないが(笑)
短編集。
だが、どうやらシリーズものらしく、もと刑事のちょっと抜けた加減の良い主人公の探偵。
専用エレベーターで行く数寄屋橋のバー「三番館」のバーテンが披露する見事な推理。
なんだかシアワセそうな常連客。
…と、話の常連客がちらほらと見受けられる。
シェーカー片手に謎解きをする、"安楽椅子探偵"が、本当の主人公らしい。
ISBN:4488403131 文庫 鮎川 哲也 東京創元社 2003/12 ¥630
友人に借りてDVDで見た作品だ。
ついでに本まで借りてしまった…。
映画とは内容が違うのかな?
そんな予感と手触りを楽しみながら読んでいる。
なにしろ。
「式の密室」はあっという間に読んでしまったことだし。
あれは…推理小説というより、民俗学の解説本みたいなもんだ。
面白いのは確かだが、推理自体を楽しむ、というのとはちょっと違う。
それは兎も角。
LOVERS(ラヴァーズ)だ。
金城武は中国(大陸)で無性に受けている。
台湾の観光客誘致のCMもやってた。
映画の内容は、とくに種明かしは「あっ」といえる秀作であった。
恋愛を悲劇で終わらせるのは、ひどく余韻を曳く。
人の不幸は蜜の味、ではないが、ハッピーエンドよりも人は入るという。
ストーリーもよかったが、私は衣裳のきらびやかさにうっとりであった。
欧州人が、木綿のがさがさした服を着て、猪やクマを追いかけていた頃、中国では薄絹の、神秘的な光沢を発する衣裳を風にまわせていた。
その差を無闇に誇るわけではないが、「やはり違うよ」と思わずにはいられない。
李白の詩から組織の名前をとるなんて、風流人だねぇ。
インテリな殺し屋ってところか?
今の日本でも、いかにも受けそうな設定である。
ISBN:4042944019 文庫 千夜 ハルコ 角川書店 2004/08 ¥660
ついでに本まで借りてしまった…。
映画とは内容が違うのかな?
そんな予感と手触りを楽しみながら読んでいる。
なにしろ。
「式の密室」はあっという間に読んでしまったことだし。
あれは…推理小説というより、民俗学の解説本みたいなもんだ。
面白いのは確かだが、推理自体を楽しむ、というのとはちょっと違う。
それは兎も角。
LOVERS(ラヴァーズ)だ。
金城武は中国(大陸)で無性に受けている。
台湾の観光客誘致のCMもやってた。
映画の内容は、とくに種明かしは「あっ」といえる秀作であった。
恋愛を悲劇で終わらせるのは、ひどく余韻を曳く。
人の不幸は蜜の味、ではないが、ハッピーエンドよりも人は入るという。
ストーリーもよかったが、私は衣裳のきらびやかさにうっとりであった。
欧州人が、木綿のがさがさした服を着て、猪やクマを追いかけていた頃、中国では薄絹の、神秘的な光沢を発する衣裳を風にまわせていた。
その差を無闇に誇るわけではないが、「やはり違うよ」と思わずにはいられない。
李白の詩から組織の名前をとるなんて、風流人だねぇ。
インテリな殺し屋ってところか?
今の日本でも、いかにも受けそうな設定である。
ISBN:4042944019 文庫 千夜 ハルコ 角川書店 2004/08 ¥660
薬学部卒業の先輩で、寺社めぐりとお墓まいりが趣味の、あやしい漢方薬局に勤めるタタルさん。
(本名:桑原 祟)
彼に分からないものはない…っつうわけで、ヒロイン・棚旗 奈々(タナボタ ナン、と読みそうになって仕方がない)は今日も不思議な謎に直面する。
(迷惑な話だ…)
キャパのエッセイが小さな字で綴られていたので、ごくごく普通の文庫であるこの本が「とっても読みやすく」感じられてしまう。
それだけでも、早く読了できる…かな?
今回は、「とおりゃんせ」の悠久の謎、から天神さんの呪いに話が進み、事件へと繋がってゆく。
密室の死は、果たして"式神"の仕業なのか?
ISBN:4062750260 文庫 高田 崇史 講談社 2005/03 ¥440
(本名:桑原 祟)
彼に分からないものはない…っつうわけで、ヒロイン・棚旗 奈々(タナボタ ナン、と読みそうになって仕方がない)は今日も不思議な謎に直面する。
(迷惑な話だ…)
キャパのエッセイが小さな字で綴られていたので、ごくごく普通の文庫であるこの本が「とっても読みやすく」感じられてしまう。
それだけでも、早く読了できる…かな?
今回は、「とおりゃんせ」の悠久の謎、から天神さんの呪いに話が進み、事件へと繋がってゆく。
密室の死は、果たして"式神"の仕業なのか?
ISBN:4062750260 文庫 高田 崇史 講談社 2005/03 ¥440
帰りのNWAで…(略)
…読み始めた。
写真に興味のない人でも、それなりに知っているはずの、知名度の高い伝説的写真家。
戦争の"現場"にその身を置き、「一瞬を切り取っ」てきたロバート・キャパのエッセイである。
常に免職(クビ)と闘いながら、第二次世界大戦の戦場をカメラとともに渡り歩く彼の、肩肘張らない文章が面白い。
戦場に、前線に行ってしまえば、会社もクビを実行できない!というような切羽詰った、そしてどこか滑稽にも思えてしまう彼の生き様が、面白く、魅力的でもある。
(本人は大真面目で必死なので申し訳ないのだが、深刻さを感じさせないのが彼の文章なのである)
戦場のどうしようもないむごさとかやるせなさとかの複雑な感情を交えずに、まさしく"ファインダー越しに事実を見るのみ"の文章で語っているところが、決して淡白というのではなく、乾いた読みやすさを持たせているのかも。
感情移入すると、何も見えなくなることが多いからね。
報道写真家は、それでは駄目なんだろうな。
1954年5月、ベトナム戦争只中のハノイで地雷によって死亡した時、わずかに41歳。
若いとは思っていたけれど、まだ、たった、そんな年だったとは。
ちなみにスペイン戦線で一緒だった(!)A・へミングウェイとは養子縁組していたと書いている。
人間の係わり合いって面白い。
ISBN:4167216019 文庫 井上 清一 文藝春秋 1979/01 ¥550
…読み始めた。
写真に興味のない人でも、それなりに知っているはずの、知名度の高い伝説的写真家。
戦争の"現場"にその身を置き、「一瞬を切り取っ」てきたロバート・キャパのエッセイである。
常に免職(クビ)と闘いながら、第二次世界大戦の戦場をカメラとともに渡り歩く彼の、肩肘張らない文章が面白い。
戦場に、前線に行ってしまえば、会社もクビを実行できない!というような切羽詰った、そしてどこか滑稽にも思えてしまう彼の生き様が、面白く、魅力的でもある。
(本人は大真面目で必死なので申し訳ないのだが、深刻さを感じさせないのが彼の文章なのである)
戦場のどうしようもないむごさとかやるせなさとかの複雑な感情を交えずに、まさしく"ファインダー越しに事実を見るのみ"の文章で語っているところが、決して淡白というのではなく、乾いた読みやすさを持たせているのかも。
感情移入すると、何も見えなくなることが多いからね。
報道写真家は、それでは駄目なんだろうな。
1954年5月、ベトナム戦争只中のハノイで地雷によって死亡した時、わずかに41歳。
若いとは思っていたけれど、まだ、たった、そんな年だったとは。
ちなみにスペイン戦線で一緒だった(!)A・へミングウェイとは養子縁組していたと書いている。
人間の係わり合いって面白い。
ISBN:4167216019 文庫 井上 清一 文藝春秋 1979/01 ¥550
ドーバーの伏兵 気弱な海尉ジェラルドの冒険
2005年5月16日 読書
旅行のお供に持参した本なので、振り返っての乱読日記である。
「気弱な海尉ジェラルド」を手に取ったのは、太平洋上を東に向かって航行中のNWA(ノースウエストエアライン)機内のことであり、「気弱な海尉ジェラルド」を読了したのは、太平洋上を西へ向かって航行中のNWA機内でのことである。
海尉ジェラルド…
正体の知れんヤツ、というべきか。
おまけにこれは海洋冒険小説というよりは、海洋冒険推理小説だしな…。
気弱、で表現されるほど、単純ではない。
生真面目に前向きに、一所懸命に全力でチャレンジするヒーローからは程遠い。
牧師の息子で自ら
「海軍に向いてない」
「もうやめようっかな」
と、自分の悪所をつらつらと語るなんて、フツーではない。
それに、何か言われると呆ける。
わざとか、天然か。
読者が、
「ここでそんなボケをかますなよ〜」
と思うぐらいだ。
関西人気質なのだろうか。
己のボケで次々と墓穴を掘ってゆく(そして自分でもそれが分かっている。そしてなんか冷静だし)ジェラルドである。
海軍省で重要な地位を占めている叔父のお陰で
「海尉になり」
「大過なく過ごし」
等と語っているが、海尉任官試験がそんなに甘いものでないことは今までの海洋冒険小説で散々読んできたことだ。
(とりあえず受かっちゃえばあとは縁故の世界だが)
海上ではただいま現在の状況の把握もどうやら出来ているようだし、コネだけで、何の知識もなく海尉になったわけでもないらしい…などなどが伺われるので、ますます「正体の知れない怪しいヤツ」扱いになる。
ナポレオン戦争中の英国、のドーバー辺り。
密輸業者が暗躍するのは地の利から行って当然である。
歴史的な事実も交え、意外な事実も織り交ぜて、それなりに面白い物語ではあるが……海洋冒険小説…じゃないよなぁ、やっぱり。
帆船上の描写がほとんどないのは、既存の海洋冒険小説の読者には、やはり耐えられないよなぁ、と思うのだが。
ISBN:4150410801 文庫 高津 幸枝 早川書房 2005/04/21 ¥945
「気弱な海尉ジェラルド」を手に取ったのは、太平洋上を東に向かって航行中のNWA(ノースウエストエアライン)機内のことであり、「気弱な海尉ジェラルド」を読了したのは、太平洋上を西へ向かって航行中のNWA機内でのことである。
海尉ジェラルド…
正体の知れんヤツ、というべきか。
おまけにこれは海洋冒険小説というよりは、海洋冒険推理小説だしな…。
気弱、で表現されるほど、単純ではない。
生真面目に前向きに、一所懸命に全力でチャレンジするヒーローからは程遠い。
牧師の息子で自ら
「海軍に向いてない」
「もうやめようっかな」
と、自分の悪所をつらつらと語るなんて、フツーではない。
それに、何か言われると呆ける。
わざとか、天然か。
読者が、
「ここでそんなボケをかますなよ〜」
と思うぐらいだ。
関西人気質なのだろうか。
己のボケで次々と墓穴を掘ってゆく(そして自分でもそれが分かっている。そしてなんか冷静だし)ジェラルドである。
海軍省で重要な地位を占めている叔父のお陰で
「海尉になり」
「大過なく過ごし」
等と語っているが、海尉任官試験がそんなに甘いものでないことは今までの海洋冒険小説で散々読んできたことだ。
(とりあえず受かっちゃえばあとは縁故の世界だが)
海上ではただいま現在の状況の把握もどうやら出来ているようだし、コネだけで、何の知識もなく海尉になったわけでもないらしい…などなどが伺われるので、ますます「正体の知れない怪しいヤツ」扱いになる。
ナポレオン戦争中の英国、のドーバー辺り。
密輸業者が暗躍するのは地の利から行って当然である。
歴史的な事実も交え、意外な事実も織り交ぜて、それなりに面白い物語ではあるが……海洋冒険小説…じゃないよなぁ、やっぱり。
帆船上の描写がほとんどないのは、既存の海洋冒険小説の読者には、やはり耐えられないよなぁ、と思うのだが。
ISBN:4150410801 文庫 高津 幸枝 早川書房 2005/04/21 ¥945