異世界譚。
とりあえずまだ読み始め。
どれくらい読み初めかといえば、まだ30P…。

けれど。
面白いやん!

なんか、こう、わくわくするというか…
「おっ、これは期待できそう!」
という匂いがプンプンしてくるぞ。

胡散臭い…というか、もっさいおじさん二人が現在の登場人物ですが、充分期待はもてますな。
うん。
これは当たりかもよ。

ISBN:4125008337 新書 駒崎 優 中央公論新社 2004/01 ¥945
「人は悪くなりすぎた。その力は不要也」
…というわけで、神は奪った。
"魔法"を発動する方法を。

だから人々は考えた。
己の中にある"魔法"を、発動する方法を。

鉄で出来た"銃"は、"銀"でできた弾丸は、そのためのもの。
魔法を込めた銀の弾丸を打ち出すことで魔法を発動させる。

そんな時代、そんな世界でも……戦いは免れ得ないのだ。

ものすごく世界構成・発想が独特なので、ついていくのに苦労した。
理屈を掌握するのに少々てこずった読み始め。

とりあえずキャラの性格で柔らかくとっつきやすく読みやすく抑えてはあるのだが。
1巻目ではまだまだこの小説の性格は読めない。
だが……うむ〜ぅ、どうしたもんかのう。

ISBN:4840110700 文庫 高殿 円 メディアクファクトリー 2004/04 ¥609
第一世界大戦。
1914年に始まり、3年の間で欧羅巴の土地と経済を枯らした。

その中で、いまだ騎士道を讃えていたのが空軍。

逃げる敵は追わず、負傷した敵も追わない。
堂々と勝負し、一騎打ちは見守り、落ちた敵は好敵手に敬意を込めて挙手をする。
(下の畑に落っこちて、自分を落とした相手に手を振ってるパイロット…う〜む)
敵の基地まで飛んでいって、敵のエースに挑戦状をたたきつけてくる。

そんな浪漫をまだまだ残していた(らしい)第一次世界大戦。
仏蘭西のとある傭兵部隊で活躍する彼ら、"飛行機バカ"の物語…の2冊目である。

リヒトホーヘンというドイツ軍のエース(撃墜王)もいい加減バカだったようだ。
リヒトホーヘンの名は、そういや聞いたような気もする。
いい加減だけど、興味外だったらそんなもんだよね。
海軍関係ならまだましなんだが…。

機体を真っ赤に塗っていたんですか。
或いは赤を基調に色を散らして…赤に尻尾を黄色?…ほぅ…ドイツ人ってそういうお茶目もできたんですね。
しかも彼だけではなく、かの国の戦闘機乗りがほとんどそうだったとは。
結構自己顕示欲、強かったんだね。
これも意外な発見でした。

エースだなんだ、そういってる間はまだマシだったね。
いんや。
戦争にマシも素敵もないか。

イラク攻撃の米軍の、全自動のミサイル(しかも故意か偶然かいっぱいミスしてるし)なんか、浪漫でもなんでもない。
(味方の)人間の命を守ろうとするならそれが一番の方法であろう。
そもそも戦争に浪漫を求めるのが間違いって事だろうしな。

なんとも複雑…な心境である。

さて。
主役のリック君は今日も元気で"飛行機バカ"に磨きをかけているようだ。
エースを狙え!…じゃなく、エースに成るために!
(ところで、エースって誰が決めるのだろう?公式認定条件とかちゃんと決まっているのかな?それとも自然発生的?)

1冊目にもあったが、
「なんら不安がなく」
     (祖国や祖国に残した人と強い絆でつながれている。なんら疑うこともなく)
「国に絶大なる信頼を置いている」
     (革命も政情不安もなく、どっしりと社会的に安定し揺るがぬ祖国)

主人公だからこその能天気さは、アメリカと言う国が生み出す体質なのだろう。
お暢気で。
お気楽で。
単純。

…でもって、俺様気質。
まさしくアメリカだ!

いやはや、よく描けてるなァ。

ISBN:4086147580 文庫 須賀 しのぶ 集英社 2000/09 ¥520
時は第一次世界大戦。
「西部戦線異常なし」
なんて映画の舞台になった、ヨーロッパである。

飛行機に乗ることで、単なるバカから飛行機バカに出世(?)したと思っておる主人公リチャード・ハーレイは……は、ホンマにおばかさんである。

flying fools (複数形であるところに注目!)

−なんていうと、ピエロがいっぱい飛んでるようだが、いろんな意味での飛行機馬鹿たちが繰り広げる青春ドラマといえばよろしいか。

高速ではない複葉機がびゅんびゅんと飛び交い、コクピットなしの操縦席で彼らは凍えて震えている。(さぶ〜!)
でも、やめられないのだな。

まだまだ「礼儀」を重んじた空の戦い。
空軍においては、第一次世界大戦は、まだまだのほほんとしている…といえなくもないのか?
陸戦ではタンクとか毒ガスとか一杯出てくるきっかけになった戦争なんだが…。

ISBN:4086146606 文庫 須賀 しのぶ 集英社 1999/12 ¥500
すんすん進んでしまう…「暗き神の鎖」も後編に突入だ。
ザカリア神さん、なかなかフクザツな方ですね。
かなりジレンマに苦しんだタイプなんでは…?と察します。

カリエさん。
目が…イッちゃってますがな。

カリエはみすみす敵の手に飛び込んだ。
「自分は大丈夫」
「切り抜けられる」
「平気」
って人に限って(精神的に)弱い、ということはよくあることだ。
子供を生んだことが無い私には、そこまで自己犠牲が出来るか?というのが良く分からない。

捨身。
トラの親子を助けるために身を投じた釈迦の前世のように、子供でも身内でもないもののために、そこまでできるのか。
私としては、非常に疑問。
世の中のこと、人間のこと。
子供を生んでいない私は、この世のことの半分もわかっちゃいないんだろうな、という気がしてきた……。

ただし。
神様の思うがままに、神の敷いたレールの上を歩くのみ。
なんてことはない。
ザカールの教えはザカールだけの教え。
ひとつの主教が全人類を支配する、なんてことは、まず、考えられない。
これも、私は、という主観だけのことだけど。

まったくの異宗教・異人種には、神の幸いも災いもなんの意味もない。
いわんやレールなんて、見えない。

宗教を盾に人を従わせようとするのが、なによりいっちゃん嫌い!…なんで、後編の最初は、もっぱら虫唾が走ってしまうのであった。

だいたい、人間みたいなまずいもんを食べて同化するなんて…熊か、あんたは。
(狼というのはイメージ的にかっこよく、きれいすぎるぞ)

愛ゆえの同化願望は"カニバリズム"
死ぬほど愛して…って、殺してどうすんだよ。
それって、単なる所有欲・占有欲やんか。

昔、日本人留学生が仏蘭西人の彼女を殺して食べていた、という事件があって、ヨーロッパは大騒ぎ(当たり前だ)!
「日本人は食人種か!」
と騒然としたんだよな、まじで。
恥ずかしくって欧羅巴にいけないところだったよ(経済的にいけなかったけどさ)
あれがカニバリズムで愛ゆえの同化願望だっていうけど、単なる狂人でわがままだよなぁ。
自分のわがまま(欲)だけを通そうとしているんじゃないか。

まだ途中だから、物語がどうなってゆくかは謎だけど……。
神様。
痴話げんかは自分たちだけでやんなさい。
そう言いたいですね。

ISBN:408600500X 文庫 須賀 しのぶ 集英社 2004/11 ¥600
なんだか妖しい人たちが登場の予感…
今までは、妖しいなりに、それなりに、まぁ目指しているものとか考えている事とかがストレートで分かりやすかったんだけど…。

政治ネタ・恋愛(しかもどろどろ三角関係っぽいやつ)ネタが妙にフクザツに絡まってくるとどうもね…生臭いから。
お昼のメロドラマみたい。
特にルトヴィア王宮!
やだやだ、なんとかならんかね〜。

今までもあったけどね、こういうネタは。
でも、なんだか規模が違うというか…えぐさの規模も違うというか。
複雑怪奇というか技巧派と言うかさかしらというか妙に策士くささが前面に出てくるのが嫌。
拒絶反応が出てしまう。

ある特定の個人にとっては"とってもイイヒト"なんて、誰だってそうに決まってるやんか。
だけどそれはあくまでもプライベートの範囲だけで済ませて欲しい。
それが政治の世界に影響をもたらしたら…もうどろどろよ。
映画でも、たとえば「アラビアのロレンス」みたいに、理想に萌えていた人が、現実とのギャップに耐えられなくなってきて、精神がぎりぎりいってる感じで、どんどんおかしくなって(潰れて・崩れて)ゆく様は、みているほうもしんどい。
若い時はそういう人間観察も面白いと思ったけど、今はとにかくしんどいだけ。
面白がる体力と気力は皆無である。
書くほうも大変だろうな〜と思うのだけど、そこは作家、”さすが"の神経なのかな。
(車の運転手は酔わない、というようなものだろうか?)

とりあえず、物語がそうはなりませんように、と祈るばかりである。

物語自体は面白いのよね。

敵が味方だったり、味方が敵だったりとめまぐるしく変わるのは、主役(=読者の視点)が自分の立ち居地をしっかりと定めていないせいなのか。
そろそろそのあたりも整理されてきたような予感は…する。

ラクリゼは、ほんと、たったひとりで苦労するよな〜。
と同情を禁じえない。
誰のせいだ〜?とは追求はしませんが。
(言わずとも明白)

母となったヒロイン・カリエ。
彼女も大変だ。
まだまだ甘えたい年頃(?)だと思うのに、なんで意地悪なヤツばっかり回りに揃っているのだろうか…?
親衛隊っつってもなぁ…せめてグラーシカんちのタウラみたいな人がずっと身近にいてくれたらね。
ラクリゼは…忙しすぎるし。

だけど若い!
考え方も柔軟だし、対応が早い。(悪く言えば落ち着きがないってことなのだが)
さすが主役!
と、妙な褒め方をするしかないけどさ(笑)

ところで、ユリ・スカナのイーダル王子…
表紙絵の彼はまるで、悪役のようだ…。
もしかして?

ISBN:4086004615 文庫 須賀 しのぶ 集英社 2004/07 ¥520
お待ちかね、流血女神伝の続き。

イスラーム世界を彷彿とさせる砂の王国「エティカヤ」の女王(といっていいよね。分権統治みたいなもんだから…領土はこれっぽっちもないけどさ)となった主人公・カリエ。

女としては至高の存在になったものの、やっぱり色々と問題は出てくるものだ。
そうなのだ。
現実世界でもそういうものだ。
大きな問題の前にかすんで見えたちっぽけなことが、その問題が片付くといきなり前にせり出してきて、「ああもう!次から次へと!」とかおもっちゃうのだ。
それはずっ〜とそこにあったにもかかわらずにね。
がんばれカリエ!
君が次から次へと艱難辛苦に立ち向かわねばならないのは、ぜーんぶ作者と読者の陰謀愛!なのだから。

「女神の花嫁」でやたら格好よかったスーパーウーマン・ラクリゼおねえさまの登場を待つ今日この頃であった。

ISBN:4086004283 文庫 須賀 しのぶ 集英社 2004/06 ¥500
新刊が出ているのは知っていたけど、しばらく買わずにおいて置いて、ほかの本と一緒に取り寄せた…ら、なんと、その内容は、先に買った本「イギリス・ニッポン57年目の和解」とほぼ同一だったというオチ!
口惜しいやら哀しいやら…。

こういうのがあるからさ…文庫本を買うときは気をつけないとね…。
教訓です。

エッセイの本というのは、軽く読めて楽しめて、またすぐ忘れて叉読める。
それはいいけど、しばらくすると「あ、これ面白そう」と同じ本を買ったりする。
同一人物が同じように思うのだから、被るのも当たり前だ。

エッセイだから比較的安価だけど、その分ほかの本が買えたのに、と思うとやっぱり口惜しい。
今は文庫といえど、お高い時代だからなぁ…。

ISBN:4167123142 文庫 高尾 慶子 文藝春秋 2005/09/02 ¥560
お高い本なので迷った…。
単なる趣味で、半端じゃないよね、この値段。
(事典ってのは高いもんだけど)

迷ったけど…面白そう〜なので、思い切って購入!

ぎっしり、みっちりの確かに事典だ。

まずは、abracadabra(アブラカダブラ)から。

ラストはなんだろう…?
と思って確かめる。
zodiac(黄道十二宮)でした。

ISBN:4469012637 単行本 中名生 登美子 大修館書店 1999/06 ¥5,985
中華圏12億人のファンを持つといわれる金庸氏の武侠小説第4巻。

東西南北に位置する使い手の最後の一人。
南帝が登場…って本当に大理国ってタイ系の皇帝が勝手に国を建てていたわけで、そのあたり、憎い設定だねぇ、と唸らせる。

伏線の曳き方が巧妙で、なるほどこの上手さに惹かれもするのだな。
しかし、主役の若者は、なんだか頼り甲斐のないぼさーとした、真面目で誠実なだけがとりえの男だし。
主役の一翼をになうのか?と思われた若者はどんどん情けない功利主義の男になってゆくし。
一番頼り甲斐があるのが、10台の女の子だというのだから…。

確かに中国では女性が強いけどね。
恐妻家も異常に多いと聞くし。
現実を反映しているのかも。

凄いな、と思ったのは数学(算計)問題を出し合うところ。
中国では算術は評価されていなかったので、みすみす欧羅巴に追い抜かれてしまったが、その理論の起源は、数百年も先を行っていたという…(ああ、勿体無い)

なにせ、紙も羅針盤も火薬も中国が先で、そこから欧羅巴に流れていったのだから、如何にも納得できる話である。

文つまり詩に重きを置いたお国柄ならではの話である。
(「それぐらい」と、何に関しても太っ腹すぎるのかも)

舞台の広さが面白い。
次はサマルカンド?

ISBN:4198923027 文庫 岡崎 由美 徳間書店 2005/09 ¥840
先日、(レディースディだったけど)映画を見に行って、とっても感動したので購入した本。

単なる絵本だったらどうしようか…と思っていたが、"立ち読み"機能で見て、ある意味繊細なイラストに惹かれたのが購入の決定的理由となった。
う〜ん。あたりだ。
最近、あたりが多くて嬉しいな。

ウオンカさん改めワンカさん。
…の年齢が極端にジーさんだ。
山羊ひげなんぞ生やしているし…デップはそんなんじゃないもん!
(いや、別にファンじゃないけど。あのおかっぱが可愛かったし…)
ワンカさんのおとーさんとの話とか確執とかはなくて、ひたすら子供たちとの丁々発止のやり取りに収支する本。
映画を見ているから受け入れられる。
ラストも違ったね。
映画の方が、きちんと結末をつけている。
「え?」とか「コレでいいの?」とか、心が惑わないように整理をしてくれている。
チャーリー少年のこだわり、みたいなものも、きちんと前に出てきているし。

原作をけなすわけじゃない。
なにしろ、原作がなければあの映画は生まれなかったのだから。
ただ、映画がやっぱり原作以上によかったとしみじみ思うわけである。

ISBN:4566014118 単行本 柳瀬 尚紀 評論社 2005/04/30 ¥1,260
埴輪だから、ハニー。

…って、ちょっとあんた。

古代史の世界から、(魂だけだけど)甦ったハニーちゃんは16歳。
はっきり言ってしょーもない理由で古墳の副葬品(殉教者?)になっていたのだった。

考古学者に発掘され、勿論身よりもない彼女は、彼の家でメイドをしながら住むとになる。
味は分かるらしい…。
スフレとか好きだし。
「希望は?」
と聞かれて、
「ご主人様(学者のことをこう呼ぶ)と一緒のお墓に入りたい」
だと。
ま、埴輪だしね。
プロポーズといえばそうかもしれないが、こーゆーこと言われて喜ぶのかぁ…男は。
そうなのか、としみじみ思った。

ちょっとエッチな表現もあるが、いまどきの漫画では珍しくない程度。
純真な"愛情表現"ってことで、可愛いといえば可愛いよな。

短編集なので、ほかにも物語が収録されている。
「子羊は迷わない」:
サンタと戦う女子高生の話もすっ飛んでいて、それでいてナイスな落ちだ。
「ランドリオール」でも思ったけど、この作者の東洋武術の描写は凄いね。
躰道(たいどう)と言う武術が実在のものであるということも始めて知った。
昭和40年に発表された、沖縄の空手をルーツにした格闘技、と説明がされている。(やはり大会とかあるのかな?)

「望むものをゲットするために」サンタと戦う。
だから、高校生になっても、サンタが見えるのだ!(なんで見えるの〜?とサンタのほうが驚いている)
答えて曰く。
「サンタがいることを"知っている"から、私には見えるのよ」
ってさ。
なるほど。
現実は強し。

あ、そだそだ。
普段はデスクワークをやっている、思いっきり日本人なサンタさん。
実は特殊工作員で、いろいろと狙われるけど職業柄武器はもてない…ので、格闘技のプロなんだってさ(笑)
わははは…。
なんて上手い、設定。

なるほど。
だから、「子供心を失った大人」には、サンタの中味は人間なのに見えないっつうのか。
特殊工作員だから。
ふぅむ。

ISBN:4785921455 コミック おがき ちか 少年画報社 2001/11 ¥520
ガンダムも随分息が長い。

だって私が学生の時からだよ?このアニメ。
そんでもって、この人もいい加減長いね。

「赤い彗星」
と畏れられ、格好よく登場した二枚目のおにーさんが、あれよあれよという間に主役の少年にボコボコに負けてゆくのである。
面白かったなぁ〜。

私はアニメは「1」(今では、ファーストガンダムというらしい)しか見てない。
が、人の噂にはいついつまでもこの方は出張っていたと聞いているので、そのたびに「いつまでがんばるのかな〜もう、いいおじさんだろうに〜」なんて遠い目をして思ったものだった。

今更ながらの「シャアを語る」であるが、そんなこんなの昔を思い出しつつ楽しもうと思う。

「キャスバル兄さんの馬鹿!」(セイラ)とか…(笑)
なんか知らんが、良く覚えているのは、お笑いのネタに事欠かなかったアニメであったためか。

ISBN:4901782266 単行本 レッカ社 カンゼン 2004/03/25 ¥1,449

長城の意義

2005年9月21日 読書
長城の意義
万里の長城の意義。

そんなもん。
異民族、或いは敵対する種族の自領土への侵入を防ぐ為。
それしかない。

中国の歴代王朝が苦労して、人と金を使って築きあげてきた、それが長城だ。

なにしろ、覇権争いをやれば国は疲弊する。

なぜなら。
田畑は戦で荒れているので、農耕はできない。
そこで働く農民は、一旗挙げようと軍隊に入っていたり、無理やり徴用されて軍隊に入っていたり、挙句、戦死していたりするので、労働力がまったく足りない。

そんな状態ではまともな生産が出来るわけがない。
農作物が出来なければ、税としてそれを搾取することも出来ず、どこかへ売って利益を得ることも出来ず、国としても土台が保てないということだ。
(江戸時代の武士社会と一緒。彼らの給料は自国の農民が作るお米だったのだから。大名の大小だってお米の量=石高で表される。)

なのになのに!
(特に)北方から異民族が攻めてくる、今にもやってくる!大変だ!
…となれば、覇権を取ったばかりの新興王朝であっても、なくなくでも金を、人を、そこにつかわにゃぁならんのである。

大陸の国家って大変ね〜。

と島国の私なんかは思うわけだな。

ある意味、混血があったほうが美形が生まれるのは周知の事実なので、混血のあまりない(この国においてもまったくないわけではない)日本には、むにゃむにゃむにゃ…というわけなのかもしれない。
う〜ん、残念!(笑)
長々と伸びた蛇が横たわる。
中国の長城はそんなイメージだ。

日本で学ぶ中国の歴史では、「秦の始皇帝が最初に作った」と間違って語られているが、それは違う。
「戦国時代の各国がちょびっとづつ作っていたものを繋げてまとめた」というのが正しい。
なにせ戦国時代ですから…つくりますよ、壁は。
そらもー必死で。

日本の城下町と違い、のっぺりと平坦な土地が続く中国では、町を守ろうと思えば、周囲に壁を作るしかなかった。
それが"城市"といわれる、現存する町の前身だ。
北京ではその様子も伺えないが、古都・西安にいけば、どれほど鈍でもすぐに納得できる。
大きな城門と城壁がそびえているのだ。

それらの町が集まってできる国を、今度は壁で囲った。
それが長城…である。

囲ったーといっても、大きさが。
規模が違う。
いかに北方から異民族が、秋になって天が高くなり作物が実る(馬肥える)頃になると決まって農作物を強奪に来る連中が押し寄せてこようとも、壁があれば撃退できる。
そう考えて作られた。
実際けっこー役にも立った。

経済の自由化⇒発達。
そして都市の急激な変化。
と早送りの記録映画を見るような変化を遂げているのが現状の中国であるが、ちょいと離れた(田舎の?)都市(城市)に行けば、古い長城の成れの果て・残骸を目にすることが出来ると思う。
ごつごつした岩を積み上げ、小石を突き固め、版築で固め続け…よくもまぁ、作りも作ったり!

ちなみに「宇宙から観ることが出来る唯一の人工建造物である」というのは、真っ赤なデマなんだと。
な〜んだ。
そういわれて、結構浪漫を感じていたのになー。

ISBN:4062582899 単行本 阪倉 篤秀 講談社 2004/01 ¥1,575
国家がなすべきでないことは、他人の領地を合併していたずらに勢力の大を誇ろうとすることだろう。その巨大な領域に見合うだけの大規模な軍隊をもたねばならず、持てば兵員たちを絶えず訓練し、おびただしい兵器を間断なくモデル・チェンジしていかねばならない。やがては過剰な軍備と軍人、あるいは軍事意識のために自家中毒をおこして、自国そのものが変質してしまうのである。

「ロシアについて」司馬遼太郎より

その変質が向かうところに、国の破滅がある。

この文章を読んでいると、どの国に、どの国家にあてはまるか分かるだろう。
それも一部の隙もなく、まるでそのものを見て、ただ今現在書いているかのように思える。
この洞察力のすごさとともに、歴史を見れば、未来が分かる。
という言葉の正しさにも思い当たる。
著者曰く、
「坂之上の雲」から「菜の花の沖」までロシア(ソ連邦)という国に関わって、いろいろと考察し思ったことをまとめた。
それがこの本であると。

黒てんやビーバーの毛皮を日本に売り込み、その代わりにシベリアで従事するロシア人のための食料を調達する。
江戸時代末期に日本を訪れ開国を迫ったロシアの意図はものの見事に外れた。

当然である。

てんの毛皮なんて…いまですらほとんど見ない、つうか、不要やんか、日本の気候では。
パリでは貴婦人に大うけだったらしいが、衣類の素材として日本人が好む部類ではなかったのだ、と著者はいう。
まさに。
江戸の初めに英国が交易の材料にもってきたウール製品が受け入れられなかったのと同じ。

平安の昔から、シルクやそれに順ずる衣類を身につけてきた日本人が、ずんぐりむっくりのそれらを好むとは到底思えない…よねぇ?
そういうことにまったく気がつかなかったらしいが、商売するのもしっかり下調べをしないとあかん、ということです。

ま、最も。
19世紀のアヘン戦争の当事者である英国と清朝(中国)もしかり。
ウールは要らん、お茶も要らん、という中国に、英国が無理やり押し付けたのがかの悪魔の薬だったわけだから。

司馬遼太郎という人は勿論作家である。
時代小説を多く書いた作家であるので、歴史考証、すなわち調べること・勉強することを、すさまじくやっている。
そしてそれが一冊の本としてこの世に現われずに入られないほど、溢れんばかりの量と勢いをもっている。

いつもいつも、その勢いの片鱗に、わずかに触れただけでも、すっかりまいってしまう。
圧倒される思いだ。

だいたいロシアという国に対して、日本人はいい感情をもっていない。
仕方がない。
私が知っているだけでも、第二次大戦の終了直前に、漁夫の利を得んが如くの裏切り(一方的な不可侵条約破棄〜しかもそのとき日本は、連合国側に対する終戦交渉の仲介をロシアに申し入れていたという)。
終戦後のシベリア抑留のむごさ、戦闘以外で殺された日本将兵の数のあまりの多さ。
どさくさまぎれの北方四島奪取。
等々挙げきれないほどの悪行が存在する。

だから、
「アメリカ人は(原爆や非武装地域への空襲などやったことは)許せないが友人にはなれるだろう。だが、ロシア人は(何を考えているか分からないから、いつ裏切られるか分からないから)心を許せない」
なんてことも、いわれてしまうのだった。

日露戦争の時も、「負ければ奴隷となる」の一念で抵抗したというのが日本の実情だったというし、かの国の人に対しては、ねっこの部分に「分からない」から「怖い」という意識があるのだろう。

まあね。
ゴルビーやエリティンなどは表情を見ていればある程度の感情が分かったような気になるからまだ安心するけれど、KGB上がりの現大統領のあの、色素の薄い感情の現れない酷薄そうな(悪口ばかりだなぁ…他意はないのに)顔を見ていると、やっぱり「得たいが知れん」とか思ってしまう。

よほど相性が悪いのか?
ロシアと日本って。

ISBN:4163394109 単行本 司馬 遼太郎 文芸春秋 1986/06 ¥1,260
中国は南宋王朝のお話。

井上氏の小説の舞台は宋王朝が多い…ように思える。
実は判じられるほど読んでいないので、確かなことはいえないのだ。

何で読まないか、というと、舞台も設定も好きなのに、何故か。
何故か途中でいやになるから。

なんだろー?なんでだろー?
あわないのかなぁ。
何かが。

この美しい装丁の小説はどうだろう…と思いつつ、友人が貸してくれたのを幸い「お試し」することにした。
出だしは結構面白い。
このままならなんとかラストまで行き着けるかも?

目次を見ると、
 梅
 菊
 牡丹
 薔薇
とある。
それぞれが繋がっているのか別の話なのか。
(どうやら違う話らしいが)

私の好みは派手な牡丹。
その話だけでも好きになれたらいいな、と読まぬうちから無責任に思ったりしている。

読後感 ⇒ 
とってもよかった。
好みだった。この人の小説で、初めて何の抵抗もなく読了出来た。
短編ばかりだったのが好かったのか…
それぞれの花に比せられたそれぞれの時代を生きた女たち。
著者が女性ゆえの細やかな描写だと思った。
うん。満足。

ISBN:4120027643 単行本 井上 祐美子 中央公論社 1998/03 ¥1,680

後宮小説

2005年9月19日 読書
うっわ、なつかし〜!

…というわけで、友人から大量に借りた本の中に入っていたのがこれ。
著者の、1989年受賞デビュー作品。
とんでもなく世間に受けて、題名がコレなのに、なんと2時間アニメになって放送されたという品である。

うん、まあ、後宮、とはいえ、そこに入ることになった天真爛漫な少女の、素朴な疑問とか落ち目の王朝の(実際彼女の夫となる皇帝は王朝最後の皇帝となる)死に行く姿であるとか…。
中味は純愛小説の方に近いかも。

少なくとも、どろどろとした昼メロ風ではなかったな。

娘の名を銀河。
皇帝の名を双塊樹(コリューン)。

後宮の宮女になるための女大学、そこで学ぶ宮女候補たち。
西域かぶれの貴族。
(西洋風に○○と呼ばせる、という記述など)

空想の世界だから渾然とした社会設定ではあるが、イメージとしては唐朝。
反乱をたくらみ王朝を一度は殺す(のち、銀河の息子〜双塊樹の後継者〜が奪還する)西域の匂いのする無法者は、安禄山のイメージだ。(ちょっと劉邦も入っているが、失敗に終わるのは安禄山のほうだし)

このあたりの発想の面白さがこの小説の売り物であり、第1回日本ファンタジーノベル大賞・受賞の意義であろうか。

久々に懐かしく、読み返す私である。

ISBN:4101281114 文庫 酒見 賢一 新潮社 1993/04 ¥500
あちらこちらで華燭の宴が花開き、すっかり平和なムードに包まれた…ように思えるデルフィニア。

ただし、それらはすべからく戦場で花開く仇花。
連帯と愛情を強く盛り上げてはくれるが、同時に悲しみと別れをもたらすものでもある。

イヴン君。
げきちーん!
(年貢の納め時)

海戦の場面か多く描かれた「伝説の終焉3」は、その荒唐無稽な展開(船腹に斧で穴を開けます?フツー)に「げっ」と思ったものだが、「伝説の終焉4」はますます過激に劇的に荒唐無稽に(?)展開するのだろうか…?

心配しつつ期待しつつ、私はページを開くのであった。

ISBN:4122045533 文庫 茅田 砂胡 中央公論新社 2005/07/26 ¥680

< 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 >

 

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