エッセイは好きな作家だし、着物を"見る"のは好きなので、買ってみた本。

う〜。
まだ読み始めたところだけど、「失敗したかな〜?」
というのが正直な感想だ。

いやいや文章は不味くない。
内容がね…。

数百万の着物(がメイン)の買い物を、毎月毎月引き落とされる。
その主な原因は、母上様の買い物熱…なんだそうだけど。
呉服屋さんで、反物を見れば、相手が「本当これ全部ですか?」といわれるほど、カードの認証に「本当に本人ですか?」としつこくカード会社から確認されるほどの金額をお使いになるそうだ。
なにしろ、反物一本500万、とか言ってるし…。

はぁ〜なんか世界が違いすぎて。
着物を買おうと思わない私でも、こんなのを読んでいると、なんだか自分が惨めになるなぁ。
心の狭い、小心者だからさ(笑)

それと同時に、やっぱり小金持ちでは着物は駄目だ〜!手が出ない〜!と思ってしまった。

うん。
お手軽な値段のものもあるのは知ってます。
だけど、買って、着て、それにあう小物もそろえて…としていれば自然に目も超えてくるし、いいものが欲しくなるに決まっている。
それをガマンするのも辛いよね〜。

洋服なら、数百万は、まずしない。
百万出せば、大抵の欲求は満たされる。
そうおもっちゃうとね……。
やっぱり、お金持ちご用達かな、と。
……思ってしまいました(笑)

まぁ、私は着物を買う気がないから、まだマシなんでしょうが。
一言で言えば、「金持ちの着物道楽記」或いは「雲の上物語」?

真ん中以降から、庶民的になってきて、対談など、面白くなってきました。
目を養う…って口で言うほど簡単じゃないですけどね〜。
洋服も同じこと…成る程。

ISBN:4041717175 文庫 群 ようこ 角川書店 2006/02 ¥620
出だすと早い、スキーヴ&オゥズその他大勢…の活躍譚。
これでシリーズ15冊目だっていうから…すごいよね。

何十万もの借金を作って返さない、といわれて「そんなはずはない!誰かがアイツ(=スキーヴ)の名前を騙ってるんだぜ!」とオゥズ。

かつての相棒の名誉を守るべく、商売に大切な信用を守るべく、"偉大なるスキーヴ"と名を騙る詐欺師を探しに旅に出た。

人間世界を揶揄した、魔法世界のさまざまな掟とトラブル。
今回もふるってますナ!

終わり近くの最高の見せ場!
オゥズが元・相棒であるスキーヴをどう考えているか…よく分かるクライマックス・シーンあり。
今までになく"素"で怒り、"素"で闘うオゥズ。
い〜い男(ヤツ)だねぇ!

ISBN:4150204101 文庫 矢口 悟 早川書房 2006/02 ¥882
「吾輩はシャーロック・ホームズである」
な〜んてことを言う。

ロンドン留学中である。

背が低く、肌の色が黄色い東洋人である。

…で、異国の地で、只今ちょっとノイローゼ中。

こうなったら該当者はひとりしかいない。

夏目漱石氏の若かりし頃の、滞倫敦冒険始末譚。
……と言ったところか?

困ったことに、本物の留守に本物の部屋に乗り込んだ、ナツメ氏を、ホームズは「本物のように扱え」とワトソン君に指令を出すのだった。

「なんでやねん…」
本物のように…相槌をうちつつ突っ込みもいれてみたりする"ワトソン君"なのであった。
(もしかして、いつもの仕返しか?)

粉塵と灰が舞い散る霧の倫敦で、ひとりの占者が殺された。
欧羅巴では並ぶ者なし、と言われたマダムを青酸カリで殺したのは誰なのか?

ナツメ・ホームズが事件解決に乗り出した。
昔世話になった下宿屋の、二匹の雑種犬とワトソン君を引き連れて、霧の倫敦シティを、そして倫敦塔を徘徊する。(こっちの方がうんと怪しい)

なんと、かのアイリーン・アドラーの実妹(笑)が出場、よりにもよってナツメの心を奪い去る。(へ〜ほ〜って感じです)

自然遺産に人間の力は、関与はない。
日本の遺産は、日本人が作ったものでも、なんでもない。
ただそこにあっただけだ。
……とナツメ氏が述べるくだりが有る。
日本の自然を誉められたことで、寂しそうに、彼がワトソン君に言う科白なのだが。

それに反論を。
ほっとけばなんでも残る、というものではないから。
そのままあるように、誰から力(意識)を注いでいるから、そのまま残っているのだ、と私は思う。
ほっとけば、朽ちてゆくのだ、命あるものもないものも、みな。

持続することもまた、労力を必要とすることなのだから…と私は思うのだ。

ISBN:409387624X 単行本 柳 広司 小学館 2005/11 ¥1,470
これもまた、先述のものと同じく、ハリーの副読本的参考書。
とはいえこちらは、例の苛烈な球技・クィディッチの歴史についてかかれたものだ。

これもまた版元絶版…。

コミック・リリーフという慈善団体に売り上げの70%(すごい!)が寄付されるという本なのだそうだ。
だから版を重ねられないのだろうか?

だがしかし。
いやーまじめに設定してますなーローリング女史は。

あんな競技を、辻褄を合わせつつ面白いようにきちんと考えるのって、とんでもなく労力だと思うんだけど。

東洋ではクィディッチは大きな人気を得たことがない。旅行の手段として、いまでもカーペットが好まれる国々では、空飛ぶ箒がめったにないからである。インド、パキスタン、バングラデシュ、イラン、モンゴルなどの国は、空飛ぶカーペット産業が盛んなので、そうした国の魔法省は、クィディッチを疑いの目で見ている。しかし、普通の魔女、魔法使いの中にはかなりファンが居る。
この一般論が当てはまらないのが日本で、過去1世紀の間に、クィディッチは着実に人気を上げてきた。最強チームはトヨハシ・テング(豊橋天狗)で、1994年、リトアニアのゴロドク・ガーゴイルズに惜しくも破れた。しかし、負け戦の儀式に、自らの箒を焼き払う習慣は、せっかくの木材を無駄にするものだと、国際魔法使い連盟クィディッチ委員会が難色を示している。<第8章 クィディッチの世界的普及 より>

ファンタジーの世界でも、日本はアジアのはぐれ者で、切腹まがいの儀式で世界の非難を浴びているのね…。

作者の、なんという、鋭い観察力!(笑)

でもこれって、もしかして……「ハリー・ポッター」シリーズに対する、熱狂度の比喩?

だが、数世紀を読まれ続けたイスラム圏最大のファンタジー「アラビアン・ナイト」に対抗するのはまだまだ…難しいだろうなぁ。
そう。
カーペットは偉大なり(笑)

ISBN:4915512444 単行本 松岡 佑子 静山社 2001/09 ¥945
ハリー・ポッターの本を複製しました〜というノリで書かれた本。
だから、
(ロン・ウイズリー共有)
     ロンのいたづら書きがあり、

(自分の教科書にしろよー)
     ハリーの抗議メモがあり、

(なんで新しいのを買わないの?)
     ハーマイオニーのコメントがあったりもする。

立ち読みで良いかーと思っていたが、出版元絶版、本屋がもっているのだけが最後の在庫、なんていわれるとね……。
読み返したくなったときに困るじゃないか。

こういう設定もおろそかにしない作者・ローリングの姿勢に賛同したい。
ファンタジーを書く気なら、これぐらい、凝った世界を設定しなきゃ"創造主"とは言ってもらえないよなぁ。

本の内容がないようだけに、ハグリッド関係のコメントが多いのは仕方がないね(笑)

ISBN:4915512436 単行本 松岡 佑子 静山社 2001/09 ¥945
独特の絵がすばらしい…んだけどね。

いや…妖怪とか、怪物とか…あまり美しくはないものたちがたくさん登場するのは分かっていたんだけど、この、変り種三国志。

その怪物度が激しくなってきたというか、すさまじいというか、の新刊だった。

天下(人間世界)を滅ぼすという"天命"を授かって地上世界に現れたクワンであったが、今はその"天命"も、そしてその"力"すらなくしてしまった。

そのクワンを抹殺し、天下を滅ぼすために新たな一団が現れる。
その名を、○○○(って歴史上の有名人だから、ネタばれを避けて書かない)……という。

…なるべくなら、蛇系の妖魔は遠慮して欲しいものです。
(私、蛇、きらい)

巻末のおまけ短編。
黄忠(蜀の五虎将のひとり)の話は格好よかった。
彼を主役に書くのはわかる。
が、もうひとつの話の主役が鐘会とは…おめずらしい。

ISBN:4840113602 コミック 志水 アキ メディアファクトリー 2006/02/23 ¥540
あいも変わらず怪しいムードの拝み屋横丁に、またまた騒動が…。

霊にもいろいろ事情があるってことで、それが生きている人たちに勝手に絡んでくるから面倒なだけ。
いずれは自分がお世話になると思えば我慢も出来よう…か?

横溝正史ばりの寒村の怪奇事件は怖さでは久々のヒットだけど、額縁のなかの幽霊(?)は大爆笑で一番のお気に入りとなった。
この話は、作者の真髄を見せてくれたなと思う。

鈍い正太郎もようやく人並みに恋に目ざめたようだし、これでまた新しい展開が期待できそう〜。

登場人物の年齢層が高すぎるのと、超絶美形が出ないのと…それに加えて、どうやら今時の流行の絵ではないようで、その辺が大ヒット!とまで行かない理由かとも思うけど、この感覚は今までにない、最高に笑えるコミックスだ。

ISBN:4758052107 コミック 宮本 福助 一迅社 2006/02/25 ¥580

戦争と平和

2006年2月24日 読書
戦争と平和
おお!我らがBFCの開祖・岸田恋嬢のコミック作品が…しかも、もろナポレオン戦争時代のこんなおいしい(!)小説を…!

というだけでわくわくしてしまう一冊。(上下巻)

垂涎のこの書を、お借りして拝読いたしました。

さすが、ナポさんの周りの方々の描写がいきいきしていること!
思わずにやり、です。

そして先日これまた拝借して読了した"ナポレオンの元帥たち"についての書。
ここに書かれていたそれぞれの人生とか性格とか運命とか行き着く先とかいろいろ重ね合わせて、また、にやり。

「戦争と平和」
という作品については、実は、映画は見ているけど小説は読んでない。
映画もうろ覚えであまり身を入れてみてなかったことがありありとわかる。
ロシア小説って、濃すぎて長すぎて…高校生の読書感想文にはとっても辛かったんだもんね。
最初に「アンナ・カレーニナ」なんか読んだのが悪かったのかも…高校一年の夏休み。
二年の夏は、短さで選んで魯迅の「狂人日記」にしちゃったよ、私…。
本は好きだけど、純文学はほとんど読んでなかったからな〜。
小学校から既に時代小説ばっかり読んでた身には、ロシア文学は重荷だったのだ。

だけど、この本は面白い。
コミックスだからだという突っ込みはなしにして、それを差し引いても面白い。
父親の蔵書を探して読んでみようかな?と言う気にしてくれたね。

や〜面白かった!
流石にレビューは高望み(?)なので、自分で撮って記念といたしまする……

詩聖と詩仙

2006年2月23日 読書
"長江"
と、
その周辺に住む人々。

その雄大なる川を行き来した、人々。

歴史が刻み込まれてます。
しっかりと。

いい写真集です。
「大長江」

唐の時代は多くの、才能豊かな詩人が排出した時代でもあります。
彼らの多くもまた、長江とは無縁ではなく、この大きな、ひたすら大きな自然を前にして、すばらしい詩を詠んでいます。

詩聖とは、杜甫。

詩仙とは、李白。

二十一世紀の今ですら、彼らの詩は心を惹き付けて止まないのです。

あ〜あ。
私に詩の才能があればなぁ。
−ただ見る

    長江の
 
         天際にながるるを−

新聞で気がついて、注文しました。

中国を西から東へと延々と、そして滔滔と流れる大いなる川。
長江。
その長江に魅せられた日本人がここにもひとり……(笑)
せっせと働いてはお金をため、長江へいって浸る…。
なんて羨まし…いやいや、なんと勇気のある人だろうか。

何故だろう。
写真を撮りに行っている人が出した本なのに、実際にその写真の多さに吃驚した。
もっとエッセイ風かと思ってました。

写真というのは個性が出る。
つまり好き嫌いが出る。
この人の写真が私の感性にあいますように。(ぱらぱら見た分には大丈夫そう♪)
どきどきしながら今夜、お布団に入ってぬくぬくしながら本を開き、至福の時を迎えるつもりです。

いや〜。
私も長江は好き、というか、中国旅行ではいやというほど長江は見たし、船にも乗りました。
相棒(?)の黄河には、西安の旅の途中で支流に接しただけなのだが。

あの雄大さに吃驚する、ごく一般的な日本人の一人である私は、あの風景にほれ込んだ一人でもあるのだから、そりゃあもう、こんな本が出れば黙っていられるはずはないんです。

三峡の、切り立った山脈の隙間を縫う、泥の色をした川。
そこへぽいぽいと、西瓜の種を投げ捨てる中国人…。
武漢三鎮付近の、霧に対岸がかすむ広大さ。

どれも好きです。

…っていうかー。
私、自他共に認める"地図オタク"ですから(笑)
はい。
鉄道路、とか、川とか、いいですよねー。
地図上にしっかりと自分を主張する存在って。

それはさておき、『天際に流れる』って…すっごくロマンチックだと思いませんか?

ISBN:4838103603 単行本 竹田 武史 光村推古書院 2005/12 ¥2,940
ぎゃ〜!
気がついたら読む新刊本がないっ!
そうやった、注文だけしといて、入荷連絡だけ受けといて、忙しくって本屋に本を取りに行くのをすっかり忘れていたんやないか〜!
うっわ〜鬼畜!

…というわけで、明日いければ本屋に行ってきます。
その間は、気分よく読める一冊を、ということで、コレ。

キャンプも始まったしな。
今年も頑張って欲しいし。

私のストレス解消の為に…。
よろしく!

ISBN:4048838512 単行本 星野 仙一 角川書店 2003/10/03 ¥1,365
影月篇、最終章。

ということで、嫌でも怒涛のラスト(影月篇の、だけど)に向かってひた走るストーリー!
人も馬も(笑)走る走る。

その有様は、なかなか感動的でもあった……。
なにしろ、美形というだけで話を進める人たちがほとんど登場せず、活躍せず、意味を成さなかったから(笑)
だから、本当に、純粋に、話として、面白かったね、うん。

この小説、どんどんと内容が濃くなってきてはいるのだけど、最初のお気軽さというか、ノリの良さやとっつきやすさが薄れてしまって居るのが非常に残念。
似たようなファンタジー小説が氾濫している昨今、独創的な方向性を持たせないと個性がない、飽きられる、と判断してのことなのかな、とは思うのだけど。
もともとあった個性や魅力をなくしてしまわないようにと祈るばかりである。

方向性として、随分と政治色を強くしてきているので…今のところは登場人物の個性で付いてきている読者は多いと思うけど…今後、どうだろうなぁと余計な心配をしてしまうのだね。

理屈が勝って、魅力が軽減しませんように…。
文章に面白味がなくなりませんように…。

それと。
今回はまあそれでいいかな?と思ったラストなんだけど、唯一不満に思うのはブラウン関係の人々の…なんというか、命に対するいい加減さ、が気に掛かる。
つまり、死んでいるのに死んでない。
不死の一族なんか?
ちょっとそれはずるい、というか、死んで終わり、でないのなら、切迫感が伝わらなくなっちゃうよな、逆に。
その分思い入れも出来ないし。

リアルでシビアな世界を描きながら、そーゆーのが幅を効かすと、ちょっと興ざめなんである。
その辺、作者がどういう展開を考えているのか、こっちが"あっ!"と驚き"なるほど、そうだったのかー"と感心し納得し"恐れ入りました"と感じ入るような結末につなげて行ってくれることを期待する。

ISBN:4044499098 文庫 雪乃 紗衣 角川書店 2006/01/31 ¥500

操縦不能

2006年2月17日 読書
飛行中の機内では、流す映画にも気を使う。
墜落する映画やハイジャックの映画は言語道断!絶対流さないと聞いたことがある。
すると…船だとシージャックとかタイタニックとか、上映しないってことかな?

さて、この本は、もとパイロットの描くサスペンスミステリーである。
だから、専門用語や整備の手順、飛行機を飛ばすことの"裏舞台"のことがとっても詳しく描かれている…のはいいけど、詳しすぎてよ〜わからん、というのと、そこまで描いても…?と疑問が湧いたりもしますけど(笑)

操縦不能になった飛行機ほど恐ろしいものはない。
それが…仕組まれたものであったとしたら?

オーストリー大使館の一等書記官であった一人の北朝鮮人が日本国籍の旅客機を使って亡命を試みるところから物語は始まる。
ソ連からは半ば強制じみた"緊急着陸"要請が繰り返され、日本海に出るころにはソ連空軍の軍用機が左右を挟撃するように飛ぶ。
エマージェンシーで飛び立った自衛隊機に擁護されること数度、命の縮まる思いで成田に着陸する旅客機。
時を同じくして日本近海に出没する不審船…。

亡命者を巡って、日本のアメリカの北朝鮮の、そしてなぞの外国人パイロットが…時計の針のように巡り始める。
それぞれの"その時"を刻みながら。

ISBN:4101160430 文庫 内田 幹樹 新潮社 2006/01 ¥540
かのウッドハウスの選集ですから……多くは語るまい。
語る必要もない。

なんでこう…笑わせてくれるンかな?

英国の19世紀の田舎の荘園(で、るんるんと)で暮らすお貴族さまが、21世紀の東洋の片田舎で笑われちゃうのだろうか…

のどかなんだけどなー。
なんか、怖い。
次々とわき起こる、小さな受難が。

たいしたことでもないのに、主人公・エムズワース卿がおろおろすると、本を読んでるこっちもおろおろしなくちゃいけないような気がしてくる。

でも、こういう生活だと、私でも90歳まで生きられるような気がする。

…ところで。
豚ってもしかして、お貴族さまの愛玩(生)物としてはメジャーなのかな?
とある王国の宮廷と貴族を描いた漫画でも、国一番の権勢といわれる公爵さまがず〜っと豚を抱いてたんだけどさ。

ささやかな、私の疑問…。

ISBN:4163246002 単行本 小山 太一 文藝春秋 2005/12 ¥2,600
勝者の決断とはなんぞや。

ナポレオンの元帥たちも、皆、それぞれ別々の道を選んでいて、それぞれ別の最後を迎えているのだけど、最後まで彼を盲目的に信じて最期まで彼に付き従っていった者は意外に少ない。

選んだのも、見捨てたのも、みな部下のほう。
つまり。
決断したのは部下たちだ。

この本に登場する一人一人の人生を追っていくと、偉大なる英雄(?)に付いたが上の苦労…ではすまない悲哀と言うかとんでもない人生を覚悟する羽目になったものだと同情を禁じえないところもある。
仏蘭西と言う国を取るか。
ナポレオンという英雄をとるか。
とんでもない上司がいて会社内クーデターを起こそうとでもいうとき、会社をとるかその上司についてゆくか、選択を迫られたらどうするか?
そんなとんでもない難題を突きつけられている気がする。

ビジネスマン向けに転用しなさいといいたいことは、上司が部下を、ではなく、部下が上司をどう見限るか、ということらしいね、この本においては。

ほとんどの元帥たちがナポレオンを見限ったのが、「自分の事だけを考えている」と気がついたとき。
つまり、大義ではなく小義で生きている人だと、その器の小ささを認めたときだ。
人間、尊敬する相手はどこまでも大きくあって欲しいから、自分を大事にするという人間臭さに気がついてしまうと途端に嫌悪感を抱くようである。
尊敬していた分の反動も大きいだろう。

ナポレオンを"よいしょ"しているようでいてこの本、実はこきおろしてるのか?と気がつき始めた今日この頃であった。

なんだか…最初の印象より、けっこうたいしたシビアな本である。
ボーニーはわがままだ。
独裁者で、権力者で、なんでも自分が一番で。

そんな彼に見出され抜擢され働かされた激動時代フランスの、有名無名(いや、有名なんだけど日本でマイナーってだけで…)な男たち。
…の物語。

著者はもっとかる〜い本を書いているイメージがあります。
だから余りというかほとんど著作を読まない人なんですが。

その軽さ、さらっと流すさわやかさが魅力的な文章になってます。
扱う対象はひとくせもふたくせもある、あのナポレオンの元帥たちですから。
その腹のうちは日本海溝より宇宙より深いと思うんですが、それをさらりと語っている。
予想に反して、とっても
好感が持てました。

ただ、副題に「勝者の決断に学ぶ」なんてあるんですけど、これって意味深ですよねぇ。

結局見捨てた人がほとんど…なんだし(笑)
「自分が一番可愛い人」
とどいつもこいつもがナポレオンをそう分析している辺りは笑えます。
そんなん当たり前やん、と思うだろうけれど、仮にも「英雄」として光り輝いていた彼ですから、そんな風には見えなかった。
まかり間違っても見えないように見せていた、って所でしょう。
部下が自分を超えて大きくなっていくことを許さない。そんな上司の下で言われるがままに振舞っていたのでは、上司の限界が自分の限界になる。いくら手柄を立てても上司の株を上げるだけで自分が消耗し、そのうちには上司と共に滅びるだけだ。自分を生かす時がない。

スルト元帥の章です。
…けど、現役サラリーマンの胸にぐさぐさ刺さる文章でもありますね。
(見に覚えがあるのか!?自分……ない、と言い切れないところが辛いな)

笑うしかないやん!

ISBN:4103897058 単行本 藤本 ひとみ 新潮社 2005/11 ¥1,680
さんざん、夫婦漫才で楽しませてもらった宇宙小説の続編…みたいなもの。

女王が死ぬ少し前から、思い出を含め、"裏方の交わり"を描く。
そしてそれは"キング"の人生を、最後まで追い続ける。

そうかぁ〜結局真面目な経営者になるしかなかったんだ〜。
お気の毒に。
息子ダニエルに押し付けて、とっとと宇宙空間に戻ろうと思ったのにね。
その息子がさきにトンズラしたんじゃ、父はガマンするしかないか〜。

親って損だね(笑)
そこまでして飛び出した息子・ダニエル君。
やり手だけどスケールは親に負けている…のも仕方がないか。
あの親では。

天使…といってもまともな天使じゃないけれど、でも言っていることは確かにその通り。
新しい"宇宙"を想像するならば、古い宇宙は壊さなきゃならない。
これは当然。
シヴァとビシュヌの関係だ。
「そんな気はない」
と言ってもらえて何よりですね(笑)

そこかで聞いたような見たような超能力者が出現し、どこかで見たような読んだような人たちが出てくるので、終わった気がしないエンディングである。
金とか銀とか紫に緑…とか。

それに、女王も海賊も完璧に死んだわけではないので、なおさらだ。

彼らの、関係者一同のその後、みたいなのがわかって、ちょっと安心する、ファンサービス的な一冊だ。
これでちょっとは気が晴れる。
だって本編は、「そりゃぁ〜ないでしょ〜」という気持ちの無きにしも非ずなラストだったからね。

余韻がある小説っていいね。
味わい深い…。
癒される…。

ISBN:4125007365 新書 茅田 砂胡 中央公論新社 2001/11 ¥945
炎の紋章……ってこれ、レビューどころか中古しかないんかな?
ちょっと寂しい……。

ご存知(?)スーパーファミコンゲームで一世を風靡したゲームの漫画化です。
ひっさしぶりに本棚の奥から出てまいりました。
(↑ 前回のこともあるのでちょっと整理などを…)

所謂「シュミレーションロールプレイングゲーム」
なので、一場面一場面をクリアしてゆかねばならない。
それがなかなか遅遅としてすすまんのだ…(遠い目)

だからこそ!
最終的にクリアしたときの喜びは半端ではないのだが!

作者は二人の女性。
キャラを分けて描いているが、どちらも達者だ。
ほかに同人誌なぞも作って、サイドストーリーやアナザーストーリーも描いていたから、商業誌だけでは熱い想いは消化し切れなかったんだろうなぁ、と思われる。

「ファイアーエムブレム」自体はその後、プレステーションであるとか形を変えて、違うゲームを出して言ったのだが、基本はここ。
あ、いや。
もう一つ前にファミコンゲームでありましたな…(更に遠い目)
とにかく歴史は古い!
…ンで、初心に帰るならここだ!(笑)

ISBN:B00007CAPX コミック 佐野真砂輝・わたなべ京 角川書店
杉山先生の「クビライの挑戦」なんて本を本で居るとつらつらと思い出してきたのがこの本。

モンゴル関係の漫画本もそれなりにはあるだろうけれど、これはマルコポーロの視点から、それもえらいおもしろい視点からかの国を見ている。

漫画は、本当は今、本箱の奥の奥で取り出せない状態なんですけど…ま、覚えてるんだからいいか。

いかにかの国が世界帝国であったか。
こういうコミックスからでも容易に察することが出来ます。
確かにすごい国です。

でも、私は。

モンゴルが明朝に圧され、大帝国を維持できなくなったとき。
とうとう中国本土から、中華の土地から出て行こうとするときに、それまでその地に家を築きそこで代を重ねてきたはずのモンゴル人たちが、なんのためらいもなく、馬にまたがり北を目指して走り去った。
北へ北へ。
かつての先祖たちが土地に縛られることなく暮らしていた、北方の草原に。
あっさりと、中華の土地をすてて。

……というイメージが自分の中で勝手に膨らんで、とても魅力的に感じたものです。

遊牧民の本体というか、根っこはそういうものなのかな〜と漠然とその強さを思ったものです。

野蛮人といわれ(日本もだけど)、馬鹿にされ、中華に王朝をうちたてたがゆえに憎悪され、挙句、ソ連の影響下にあってはチンギスハーンも英雄と讃えることは禁止されたモンゴル。
ソ連崩壊後、チンギスハーンは英雄の地位を取り戻したそうですが、民族の心根をどうこうすることは決してしてはいけないことです。
決して出来ないことでもありますが…さて、今の日本を観ているとその自信も揺らぐことが多すぎて。

ISBN:4267903247 コミック 神坂 智子 潮出版社 1999/08 ¥560
久々に読み返す。
読み返してうるうるしてしまった……不覚。
いやいや。
これ読んで泣かない人は珍しい、と思う。
(洟が止らなくて、すわ!とうとう風邪を引いたんか!?と焦った)

情緒的で、でも何かを、見失いかけている何かを、心のなかに蘇らせる力を持った漫画だと思っている。

ドラマで言えば、面白かった頃の大河ドラマ。
或いは金曜夜の時代劇…ってとこ?

ISBN:4253190332 コミック さちみ りほ 秋田書店 2002/01 ¥410

< 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 >

 

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