国家の品格

2006年2月2日 読書
前々からお顔は拝見してました、この本。
でももうひとつなにかもうひと押しするものが欠けていたのに、先日とうとう買ってしまいました。

映画の時間待ちで…こういう"浮ついた時間"ってうっかりと色んなものに"すべり"易い気がします。

著者は、あの、新田次郎氏の子息。
ほぉ〜っと思って読み始める。

……面白いやん。
文章がとっても読みやすいし、落しどころも心得ている。
関西人の鑑!

     …………いや、彼は関西人ではないのだけど。
     満州生まれだし。
     アメリカと英国で研究生活をした後、東京で働いているようだし。
     ま、勢いってことで。

…………関西人の鑑、みたいな人である。

奥さんがやたらと引き合いに出されるあたりは刑事コロンボですか、貴方は?と突っ込みたくなるけど。(恐妻家なのか?)

で、彼は何がいいたいのかというと。

『日本人ならまず日本の文化に習熟せよ。
英語だ、世界だ、グローバルだはそれからでよいのだ。』

ってことだ(ろう)。
引き合いに武士道(の精神)を出し、何はともあれ現状の日本を嘆く著者である。
それは分からなくもない、否、同感である。

「○○ではこうなのよ」
なんて、よその国の名前を出されても、
「それがどーした、ここは日本で私もあんたも日本人だろうが」
と私は主張する。
断固主張する。

日本人としての現状、日本経済の現状。
なんだかやりきれない今の社会。

戦争も、犯罪も、家庭内のごたごたも、昔はなかった、信じられなかった事件が多すぎる。
そんな想いは日本だけの現象ではなく、欧米でも多く見られる。
それは皆、昔にはなかった。

…その原因はどこに求めるのか?

すべてを論理で片付けようとする、白か黒で収めてしまおうとするからだ、と。

そうではない。
人間は理屈だけで、論理だけで、はかれないんだよ。
社会には限りなく白に近い灰色もあれば、限りなく黒に近い灰色もある。
そういう"加減"は人の情緒から経験から環境から設定されるものである。
だから、
その人間としての根底の部分を、しっかり固めなさい、というのが著者の主張だ。

英語を学ぶ前に国語を。
株や証券を習う前に算数を。
しっかりときっちりと叩き込め、と。

人間としての基礎やね…何を悪とし、善と考えるか。
それはまさしく人間形成。
小さい時にしっかりと植えつけないと。
それは理屈ではないから。
人を育むってことは、なによりも優先されるべきことなのだからね。

著者は、"悪い例"をいくつも引いて説明する。
それが結構笑い話なのだが。

たとえば、アメリカではいっとき、英語の時間にタイプを習わせた(社会に出れば一番必要な技能だからと言うのがその理由)為、軍隊の新人の何割もが「(武器や装備の)説明書が読めない」事態に陥ったらしい。
軍隊まで行かなくとも、著者が教鞭をとっていた大学では、まともな英語をかけない生徒が非常に多かったらしい。
「英語よりも…」
って他のものを優先したからだ。

笑い話ですまないのは、同じ現象が日本でもどんどん起こっているということ。
「日本語(国語)よりも…」
と、英語だ株だ、ナンダカンダを優先するとやがてはこうなるのだろう。
なんて恐ろしい話。

いや。
やっぱりね。
人間何事も基本ですよ、基本。
上にどんなご立派な城郭を建てても、土台がお粗末だったら…どうしようもない。
あとは崩れ落ちるだけ。

ISBN:4106101416 新書 藤原 正彦 新潮社 2005/11 ¥714
ゲームのアンソロジーなんですが…
かなりツボに嵌まってくる本ですね。

アニメとかゲームとか、本筋から生まれてくる枝葉末節を楽しみたい⇒自分で楽しみたい⇒自分で作って(オリジナルで)楽しみたい。
そういう欲求って、共感できるものであればあるほどたくさん現れる現象だと思います。

久々に本棚の奥から引っ張り出してきて、本日は完全休養日!

ISBN:4048534416 コミック 鈴木 理華 角川書店 2001/12 ¥609
動物写真家の岩合氏の写真に、奥様の日出子さんが文章を加えた一冊の本。
そんなに厚い本ではないけれど、中味は熱い。

優しい視線の先にあるのは、動物の赤裸々な姿。
哺乳類は勿論、カメとか鳥とか…大集合。

チーターもペンギンも可愛いけれど、一番はやっぱり地獄谷のニホンザルかな?
長野県地獄谷の温泉に入る、ニホンザル。
ほんと、お湯に漬かって「はぁ〜」って顔をしている。
「極楽極楽」とか思っているのだろうか?(まさか!)

運がよければ(悪いのか?)人間とサルが一緒に温泉に入る事になるらしい。
それを嫌がる人も当然居るだろうけれど、私はぜひとも!ご一緒したいです!

一緒に「はぁ〜極楽極楽」って。
でも私は寒がりだから…そんな寒いところに冬に行く自信が…。

ISBN:4101198152 文庫 岩合 光昭 新潮社 2002/05 ¥620

赤髪の魔女

2006年1月28日 読書
…というわけで、人間のかかわりと言うのは、小説より奇なり、を地で行くものです。

そう。
人間の縁は、どこでどう繋がるか、そして切れてしまうか、わかったもんじゃないんです。

そして、それがあるから人生は、生きるってことは、楽しいと思うんです。
苦しくても辛くても、最終的にはそれを総括して「楽しい」といえる強さを、人間はみな、もっていると思います。

自分では気がつかないだけで。

「スカーレット・ウィザード」読了しました。
このシリーズは挿絵も面白いね。
その巻の象徴的な絵をしっかり描いている。
なにごとか…を想像させる絵を。

さて、もうこのシリーズも最終巻。
作中の時間にしても僅かに1年と最初から切っているのだから、はやいはやい。
いや。
その物語の面白さに、時のたつのが速いっていうのもきっとある。

5巻の表紙には、攫われた愛息、ダニエル・ジョウナス・マクスエェル・クーア君が初登場!

おかあさんとおとうさんが助けに行くまでがんばれ!

作者自らが豪語する「怪獣二匹」のカップルは、ダニエルにとってトラウマになるんじゃなかろうか、と思えるぐらい、激しすぎる。
面白さも激しい(笑)けど。

二匹で暴れまくって、今度は何を壊すのか?
周囲の人間は、ただただ逃げて、嵐の通り過ぎるのを待つだけだ。

逆らったら…死ぬぞ。

ISBN:4125007012 新書 茅田 砂胡 中央公論新社 2001/04 ¥998
第4巻。
読書がさくさく進むのは、それ以上に内容がさくさくと…面白おかしく突き進むから。

夫・ケリーを奪われたジャスミンが、クレージー・ダイアナとともに海賊相手の空中戦を展開する。
フツーじゃない女ふたり(?)に襲われた海賊たちの命運は、風前の灯火!

かわいそうに…。
まともじゃない人たちを相手にするのは、とっても疲れます。

えらくいい調子でテンポ好く進むのは、「デルフィニア」で時々歯がゆい思いをしたのがウソのようだ。
舞台も宇宙時代だから、もしかしたら時間の経過速度がちがうのかもね?

しかし、海賊…。
改めて考えるとね。
海でも宇宙でも、やっぱり"海賊"ってなにか心惹かれるというか、必須アイテムというか、妙に魅力的な存在ですよね。
だから、あちこちの小説で活躍中。

ISBN:4125006830 単行本(ソフトカバー) 茅田 砂胡 中央公論新社 2000/11 ¥945
身重の妻を気遣い(笑)、一人旅に出ることになった(その"妻"に命令されたからだけど)ケリー。

目指すは幻の惑星…"幽霊星"
目には見えるが探査には掛からない不思議な星(まるで、人類から逃げ隠れする地球を描いた某SF小説のようだね♪)は、彼を快く迎えてくれた…のかな?

百戦錬磨の重役連を相手に、身重の(笑)"魔女"がどう戦うか、とっても楽しみな展開になってきた☆"

相手を油断させるために"大人しくしている"分、反撃に出たときが恐ろしいと思わせる、ほんまに化け物のようなご婦人ではある。

ところでごくご一般的な統計によると、妻が妊娠中の夫の浮気の確率が一番多いんだそうだね。

男って…しょうもない、っていうか、野性っていうか…(笑)
笑えるって言うか?

ISBN:4125006628 単行本(ソフトカバー) 茅田 砂胡 中央公論新社 2000/07 ¥945
わっはっはっは…!
笑うしかない!

…というぐらいだ。
荒唐無稽・抱腹絶倒。
しっかりツボに嵌まっちゃったよ、これ。

大笑いできるけど、作者はSF知識ほとんどないですなんて言っているけれど、そこはそれ、小説家の言うことだ。
やることはちゃんとやっている。(ブレーン付き?)

でも、読者に言わせれば、細かい宇宙航行理論とかはどーでもいいのだ。
楽しく読めればそれでいい。

お互いの利害が一致したことで結婚した巨大(笑)カップル。
いろいろと〜いろいろと〜大変なことがあリますが、新婚早々軍の機甲部隊だかなんだかに襲撃されて無事…という"ごっつい"人たちなので、この先何があっても"読者も"安心して読めるというものだ。

それにしても、男っぷりのいい奥さんだな〜。
うらやまし〜。

旦那の権威もくそもないけどさ。

さて。
第二巻目である。
跡取りである女総裁を認めようとしない(常に失脚させようとしている、それが高じて殺そうとする)重役連中をいかにして潰すか…じゃなく、言うことを聞かせるか、そこんとこ、平和的手段(?)でやらねばならぬのがなんとももどかしいクーア夫人(笑)であった。

そんな中、船が行方不明になる。
俄然、自分が出張る彼女。
またしても無茶を…と半ば諦めかけていた部下たちも、今回ばかりは必死に止める理由が出来た。
執事であるイザドーの一言で。

「お腹のお子様のためにも」

うっわ〜。
2巻でこう来るのか!
なんと言う話の展開。

さすが「恋愛ものを書く」といった作者は自分の言葉を忘れていなかったのだなぁ、今時は言ったことの責任も取らない奴が多いんだけどなどと感心した次第である。

赤毛の魔女と海賊の史上最強上のカップルが主役の"スペース・恋愛・オペラ"……

凄すぎる(笑)

ISBN:412500627X 単行本(ソフトカバー) 茅田 砂胡 中央公論新社 1999/11 ¥945
有難いことにまたしても友人からの一冊。
いや〜よく薦めていただいたものだ、って言うぐらい、出だしはOK!
面白い!

宇宙をまたにかける海賊"キング・オブ・パイレーツ"の異名をとる男・ケリーが求婚(笑)された。
しかも相手は宇宙一の大財閥…の新しい総帥、ジャスミン・クーアその人だ。

「これは依頼だ」
と彼女は言う。

大海賊と、巨大企業のトップに座る女総帥という、またともに190センチを越えるその名の通りの"巨大"カップルの誕生である。

現在、
彼らの周囲に蠢き始める陰謀のにおい…だけはなんとなく、匂ってくるような感じはするが、その正体は漠然としてまだはっきりしない、うんなんとなくわくわくして期待が持てそう
…の第一巻190ページ(現在)である。(笑)

背丈がでかい、で思い出した。
宇梶さんという俳優さんを間近で見たのは去年のことだった。
曲がり角の出会い頭で、目の前に現れた彼。
おりしも夜。
ぬうっとでかい影が…その巨大さに吃驚して思わず立ち止まり見上げたら、彼だった。
有名人に会った(見た?)、というよりも、その"でかさ"
に吃驚の私であった。
いやはや。

ああ、それと。
感応頭脳というコンピュータで宇宙船の制御をしているらしいのだが、この大海賊氏が乗り回している船のその頭脳が尋常ではない。
思考する機械。
とても機械とは思えない動きをする。感情を見せる。
その合成容姿は、誰もが惚れる金髪美人のダイアンか或いは(女性管制官用の)アポロンと名乗る金髪のハンサムか…。

やたらと出来のいい(しかして性格が悪い)宇宙船用の人工頭脳は、「敵は海賊」でも上手く描かれていた。
ネコ型宇宙人であるアプロと本気でケンカをする機械として。
あれもちょっと変ったムードの、いい作品だったなぁと思い出した。
あれも相棒が一番の被害者だったけど…?

ISBN:4125006008 単行本(ソフトカバー) 茅田 砂胡 中央公論新社 1999/07 ¥945
待望の第6巻を友人からお借りする。(この巻だけ抜けていたのだ)
非常識な(笑)漫画家の世界。
だが、それは、妙な説得力を持ったものでもある。

第21話、「ノリにノッてたグーな人たち」は、とにかく笑った。

無駄にお金はあるがぜんぜん時間がない漫画家が。
妄想と空想においては人後に落ちない漫画家が。
その資金で、"正義のエンジェル"(勿論全員女性)(笑)のオーナーとなり、密かに世直しをする、というのはどうだろう?

という、夢のようなオハナシ(キャラの設定)が、漫画家本人がしらないうちに現実になっていたとしたら…。

知らないうちに銀行口座から大金が消えている。
偶然拾うものが尽く自分の今の作品に"うってつけ"のものばかりだ。
あまりにも本物っぽいダイヤモンドの指輪だの、素晴らしく本物っぽいモデルガンだの。
それが全部本物だったら…?
エンジェルたち(笑)が彼らのために用意して(盗んで)いるのだとしたら?

な〜んてことから漫画家たちは"もしかして…"と空想を逞しくするのだが。
"まさか!"といいつつ断定できない不気味さが漫画家にはあるらしい。

で、それに気づいた漫画家たちが、万が一そんなことがあったなら、"それは困る"と言い出した。
そんなことはやめさせたい、と思った。
では、エンジェルたちはどうするのか?
発案者である彼ら(オーナー)自身の存在を消しに掛かるだろう?
そうすれば、彼女らの仕事は終わるのだと。

という話である。

納得もなにも…漫画家や小説家なら考えうる話だな、と思って笑った一遍である。

いやその…勢いがね、さすが島本氏!なんで。

襲ってくる刺客の技をいちいち分析(ウソっぽいカンフー技、とか)し、「こんな地味な名技では死ねない!」と唸る漫画家って人たちは……本当に…(笑)

でも島本氏、こんなことばかり描いていて、同業者に怨まれないのだろうか?
私はそれが心配だ。
漫画家が皆、心の広い人たちばかりとは限らないようだし。
そういや、このシリーズには作者の友人(漫画家)もそれらしく登場しているようだ。
クレームとか、つかないのかな?
(もっと格好よく描けとか?)

もうひとつ。
100年後の未来からやってきた熱烈なファンを丸め込み、自分の仕事のアシスタントに使ってしまうという話。
分からなくもない。
大人って、イザとなれば少々の事は目を瞑ってしまう生き物なんだよね。
汚いといわば言え。
それが大人ってもんだよな……。
勿論、私だってやりかねない。

どんな仕事でもそれは一緒ってことで(笑)

この6巻はなかなか素敵な話が多かった当り巻である。

ISBN:4091570267 コミック 島本 和彦 小学館 2002/12/12 ¥560
どこかで聞いたことがある名前だとおもったら……嗚呼、その昔、出身大学の先生だった人だった。
(残念ながら、入れ違いで教えは受けなかったけど)

その後、多分、某大学の市民講座で何度か講義を耳にしたような記憶も…あり。
大都を覆いつくすパオの風景…を想像させるような講義をしてらしたような記憶もあり。
当時は「なんゃ、そりゃ〜」とついていけなかったけど。
そのときからはっきりと、モンゴル擁護を唱えていらした。
それだけでも奇異に感じたものだった。
まァ、そんな風だったから、独特の講義をする先生だな、と強く印象付けられたのであろうが。(だから覚えているのだろうな)

本を読み始めると「ああ、やっぱり」と記憶が蘇る。
やっぱりこの先生だったよなーと。

導入部、まずはモンゴルへの偏見を払拭しようとする。

洋の東西を問わず「悪者」になっているモンゴル(帝国)(民族)への誤解を解こうというのである。
大虐殺・大破壊。
この程度のことは、どの国もどの民族もどの歴史もやっている。モンゴルが取り立てて残虐なのではない。

だが。
何でもかんでもモンゴル(帝国)の責任に覆いかぶせてしまえ、という風潮があるのだと。

確かにね〜。
風潮に"踊らされている"部分はあるだろう。
今現在、これほどインターネットや情報網が発達していても、捜査をしようと思えば、間違った情報で人を国を躍らせることは可能だ。
私たちは意外や簡単に"だまされて"しまう。

それが過去の、歴史のことであればどうか。

モンゴル帝国は科挙もしなかった。
科挙によって位人身を極めるといわれた儒学者は、モンゴル帝国では10番中の第9位。
なんと売春婦(8位)よりも下に見られたそうだ。

それは…哀しい、というか。
口惜しいだろうさ。
威張っていた分、かなり。
人より高いところから、人より低いところまで落ちている分。

だからその腹いせもあったんだろうって話だ。
モンゴルを徹底的に悪人に仕立て上げる。
歴史は変らないけれど、"ゆがめて見せる"ことはできるからね。

ただ…どうだろうか。
悪人ではない。
だからといって善人とはいえない。
やったことをやっていないとはいえない。
そのあたりの見極めは、非常に難しい。

しかし海上帝国かぁ…。
そりゃ、航海も船も充分あったのだろうけれど、イメージが。
"船"といえば、宋の技術力。
"航海"といえば、やはり鄭和や鄭成功。
…というイメージが(笑)
固定観念は動かしがたし!だね。

ISBN:4022596252 単行本(ソフトカバー) 杉山 正明 朝日新聞社 1995/04 ¥1,529
ウエディングライセンス 2
竹宮恵子の傑作。
画像が出ないのはとっても残念なので、せめてもと、2巻の表紙を取り込んでみた。

こういう絵を描いていたのだ。
ふむ。
確かに少年漫画かも。

最期はハッピーエンドだけど、死人は出る。
どういうんだろう、必ずしもハッピーで夢うつつで終わるわけではない。
昭和51(1976)年当時としてはシビアなのかな?

物語の後半に、3つの会社をかけてギャングのボス同士がカードの勝負をするシーンがある。
敵対する組織のカジノへ、主人公である若親分が手下を引き連れてやってくるというシーンであるが、これ。
何気ないひとコマのこのシーンをしつこく覚えていたらしく、数年前に公開された、ジャッキー・チェン主演の映画「奇跡(ミラクル)」とダブっていたことが判明。

田舎からいい馬の目を抜くような香港に出てきた青年・ジャッキーが、ひょんなことからヤクザの組織の後を告ぐことになり、生れないヤクザ稼業の中でいろいろと…色々と苦労をしながらもヤクザには染まらず、それどころか人間として「大事なこと」を一所懸命やることで、部下たちの更正を試みる(?)(笑)という話。

せめて、アジトをダンスホールにして、まっとうに儲けましょう、というわけで。
そこに敵対する組織のボスが部下をぞろぞろ引き連れてやってくるというシーンがある。

どっかで見たような…と思っていたら、「ウエディングライセンス」のひとコマだったというわけだ。

三つ子の魂なんとやら(用法間違いか?)…何がひっかっていたんだろうねぇ?

子どもの宇宙

2006年1月15日 読書
題名でレビューが出ない!
古い本だからか……著者名でさぐったら、心理関係の本がドチャット出てきたので、決してマイナーな先生ではないはずなのだが。

出だしの部分。
夜更かしするうちに目が冴えてしまったので、そのまま……もうこんな時間(夜中の4時である)だと言うのに本を読んだりPCをいじったりしている私だ。
(明日、起きられるのか?)

子供が、家で、自分を確立する。
家庭(家族)が家庭(家族)であることの価値。
自分が自分である事の価値を見つけようと「あがく」。

家庭が家庭でなくなったとき、子供たちは擬似家庭(家族)として"縛り(結びつき・つながり・束縛?)"の在る集団に魅かれてゆく。
それが暴力団だったり、不良グループだったり……
結局、そこに"家族"を求めてしまうらしい。
それも無意識のうちに。

そういうこととか、分かりやすく書かれている。
面白そう。

心理学、なんて仰々しく構えなくても、私でも、理解できるかな?

……月曜日になると体がだるい心理学的理由は、素人の私でも分かるのだが。

ISBN:4004203864 新書 河合 隼雄 岩波書店 1987/09 ¥735
「珍妃の井戸」 その後。
「珍妃の井戸」読了語の感想である。

……よく絵画で使われる技法(画法?)で、"国家"を擬人化して描く、と言うのが在る。

たとえば、19世紀のポーランド。
かの国は、ロシアやドイツなどの周辺列強に併呑され分割され、ひどい目に遭った(その時、ショパンが怒りにまかせて作曲した、と手塚治虫の漫画に描いてあった)。
それを、一人の女性が高圧的な人々に周囲を取巻かれ、力なくうなだれているくら〜い絵で表しているものがあった。

たとえば、ナポレオン。
かの人がエジプト遠征中のこと。
危機に陥った仏蘭西が若い女性の姿をして、英雄の下へ、はるばる空を駆けてくる様を描いた絵もあった。

何がいいたいかと言うと。

珍妃を殺した犯人を見つけようとする、英・独・露・日の代表は、清朝を滅ぼそうとする列強。
井戸に頭から沈められ殺された珍妃は滅びゆく清国を象徴しているのだろう。

……ということ(結論)かな、と。
多分(笑)

それにしても、例の井戸。
あんな小さな井戸にどうやって妃を放り込んだんだろうと不思議で仕方がなかったのだが、読んでいて、徐々に分かってきた。
分かってきてぞっとした。

何も放り込まずとも…いいわけで。
「女の腰がやっと通るぐらいの大きさ(直径)しかない井戸」に、人を逆さにして、ぐいぐい押し込んだ、といいわけだ。

うぇ〜なんてこと!
完璧には想像できないけど…想像してしまう。

"深くて冷たい水が出る井戸"だと宦官が証言しているので、そのまま下まで落ちれば(身動きひとつできないから)溺死するわけだ。
途中で引っかかっても逆さだから…いずれ死ぬ。

ひどいことをしたものだ。
人間ってどこまでも残虐になれるし、なろうとする。
なにかが、外れた時。

残虐なことをする人間ってのは、「こういうことをしたらこうなる」、という想像力が欠如しているのだと思う。
きっと。
以前に一度見ていたが、全巻読了してから見れば、当たり前だがとっても分かりやすいし、納得がいく。
こうしてみると、事細かにイラストを描いていたのだなぁ〜と感心することしきりである。

登場人物の表情が千差万別で、感情がはっきりと表れているのと、それぞれの個性が光る場所をきちんとイラストに書き上げているのが上手い。

「デルフィニア戦記」というのは、文章とイラストが相まって、物語の魅力をパワーアップしていくことの王道をきちんと果たしている本だったのだと納得した。

女・王妃と男・王妃(?)の対比図が、やはり面白いかな。

自分の中の"デルフィニア"との相違点を探していくのも面白い。
ええっ!
長髪のイメージだったのに!ぐらいならまだしも。
もっと○○だったのに!
そんな○○な!
…と色々楽しめる(笑)

いや…いいほうはいいんだけど、いいほうはね(笑)

ISBN:4120029832 大型本 沖 麻実也 中央公論新社 2000/03 ¥4,095
この本って…(吃驚!)少年向けだったのか!

そりゃぁギャングの話しだし。
そもそも主人公である15歳の少年が稼業(=ギャング)を告ぐ羽目になったのも、父親が殺されたからだし。

でも、充分おしゃれだし、れっきとした恋愛者だと思っていたぞ、私は。
そう、30年も昔から。(初版発行が昭和51年)


リバティ・バランスは37の会社を経営するギャング実業家の跡取り息子。
彼の夢は、立派な神父になること……ギャングの跡取り息子なのに?

父である大ボスが不慮の事故、ならぬ暗殺でなくなったのは彼が15歳の時。
お陰で神学校はやめさせられる、馴染まない稼業は勉強させられる、好きな女の子には素性を隠さなくてはならなくなる。
と、そりゃあもう、目が回るような忙しさ。

しかも、父親を暗殺した主犯、と思われる対立組織のボスは、なんと!母の恋人だった……。

三つ巴四つ巴。
人間関係が入り組んでいて、でも楽しい、最高のギャグセンス。
ラストはシビアでシリアスでコミカルで。
コマ割りからはみ出すなんて当たり前〜の勢いだ。

竹宮恵子氏が昔いかにパワフルでアクティブな漫画を描いていたか、単に繊細できらきらしい漫画ばかり(風木?)ではないのだという良い証明だな、うん。

内にあるのは朝日ソノラマの三コミックスなので表紙も派手派手しくって楽しいのだが…
うん。レビューは出ないね、やっぱり。
なんと言っても古いからね〜。

ISBN:B00007CEF9 コミック 竹宮恵子 朝日ソノラマ

昔むかし…

2006年1月13日 読書
昔むかし…
「お伽もよう綾にしき」という漫画があるのだが…。

「彼方から」をヒットさせた、ひかわきょうこ、という漫画家の新作である。
で、その漫画の出方がね〜なんというか、出版社もいろいろな手を使ってくるよな、と思うようなもので、「副読本」のように、漫画雑誌の本誌にくっついてくるのだ。
「彼方から」が人気が出たから、この勢いで雑誌本体の売り上げを伸ばそうって魂胆がありありと見える。

しかも毎月じゃなく、3ヶ月に一度というなんか不定期な形でさ(をいをい)(笑)

2005年2月号、5月号、8月号。
そして今年の2月号についてきた。

3冊で、単行本1冊分。
だから、一年に一冊の単行本が出る計算。

私のように家人が雑誌を買い、なおかつ「不要だからあげる」といってくれる環境にある人ならいいけど、でなければ思案もんだね。

日本の時代劇…というよりも、その名の通り「御伽噺」だから、作者も苦労しているのだろうか。
時々言葉が、言い回しが、単語が"現代語"になっているぞ、と思うけど、まあそこは、御伽噺だから。

妖怪とか化け物とか式神とか陰陽師とか。
怪しいものがフル出場する漫画だけど…
お家騒動で、幼い子供の命を狙うとかお家乗っ取りだとかきな臭い陰謀が進む話だけど…
             
              …御伽噺(?)

まあいいか。
昔々でまぁるく収まることでしょう。

珍妃の井戸

2006年1月13日 読書
ISBN:4062750414 文庫 浅田 次郎 講談社 2005/04 ¥660
時は1900年。
場所は中国・北京。

そのときそこで、何があったかというと。
「義和団事変」
といわれる戦いである。

清朝末期である。
実権をもっていたのはかの有名な西太后。

広い中国を食い物にする西欧各国(日本も入っていたが)に対し、怒れる中国人民が蜂起し、北京を包囲した。
各国の外交官・駐在員・民間人は団結し、居留地や公使館等に立てこもり、救援が駆けつけるのを待ちながら、必死に耐え続けた。
これを後に映画化したのが、チャールトン・ヘストン主演の「北京の55日」である…というのは有名なこと。
この映画、とても面白いのだが……篭城していた日本の指揮官と日本の救援部隊の指揮官が出会ったとき、敬礼の後、35度ぐらい(と思うぐらい中途半端な角度で!)頭を下げてお辞儀をしあうあの映像!
あれはな〜。
台無しだよな〜。
大体、あの篭城戦で最大の兵力をもっていたのは日本だった。
戊辰戦争を経験し、辛酸を嘗めながら必死の思いでのし上がってきた(何故なら彼は会津出身の、生き残りである)たたき上げの指揮官もかなりの人物だったといわれているし、本来ならば彼が指揮を執るべきではなかったのか?という声は(主に国内から)聞こえている。
それが、あのお辞儀……。
変ですってば、絶対に。

いや、お辞儀がどうのこうの、ではなくて、ぎこちないと言うか、おっかなびっくりと言うか、形が変というか、映像として美しくない!
日本人に対する勉強不足だ、って思うんだけどな〜。

画像として奇異に映ったのは、中国の黄土を騎兵隊が闊歩するところ。
いやね〜歴史考証としては正しいのかもしれないけど〜。
でもね〜。

似合わねーなーと。

この乱に際し、清朝政府は最初、「義賊」「忠節の民」と讃える態度をとったが(つまり諸外国に対しては即時撤退を暗に要求…否、暗じゃなかったか)救援部隊が駆けつけ、旗色が悪くなると、今度は「賊徒」であると決め付けた。

……ま、どこでも政府っていうのはこういうことをやるから。

話はその義和団の変の最中である。
故宮ー清朝の宮廷内にある小さな井戸で、時の皇帝の寵妃が殺された。
寵妃の名を珍妃という。
彼女は、頭から、深い井戸に放り込まれて殺されたのだった。
その謎を解きましょうと…義和団事変のあれこれを調査士に派遣されてきた、英国海軍提督・ソールズベリー卿は乗り出したわけである。

義和団が各国連合軍に敗れたのに慌てた西太后らは撮るものもとりあえず西安に逃げ出すのだが、そのどさくさにまぎれて殺害されたのである。

北京の故宮内にある珍妃の井戸ーは、私も見たことがある。
人間が通り抜けられるとは到底思えないほど小さな井戸だった。

だが、何しろやんごとなきお方であるから、信じられないぐらいスレンダーだったのかもしれない。
いやいや、今の中国人を見よ。
「ほんまに人間か?軟体動物じゃないか?」
と思うぐらいに体が柔らかかったりするから…「ありえそう」と思ったものだった。(これも差別ですか?)

どちらにしろ、皇帝の妃が殺害されるって言うのは尋常なことではない。

本国からの意向からはかなり外れた方向になってしまう珍妃殺害事件の調査。
ソールズベリー卿は、本気で事件解決に乗り出すのだろうか?

…まだ読みはじめなので、私にもわかりませんけど。

十三夜

2006年1月12日 読書
月が満ちるのはたいてい、ひと月に一度。けれど二年半ごとに、ひと月に二度、月が満ちることが有る。この二度目の、満月は<蒼い月>と呼ばれる。

蒼い月を数に入れれば、一年十三夜。
つきにまつわる13の物語を選んだのが、先述の「つきの光のなかで」だった。

ちょっと不思議な話が載っていた。
アジアが中心。
ほかには、ハワイやアラスカやオーストラリアの原住民の伝説をピックアップしている。

太陽と争うという、予想できた話もあったけれど、発展の仕方や落ちのつけ方(解決法)がちょっと変っていて面白い。

姉である太陽ときそい、夜を煌々と照らし続けた妹である月。
人間たちを休ませるために、母である西王母(!)は煤を塗って「象牙のように輝きなさい」と言う。

象牙だって!象牙!
う〜ん、なるほど。
おしゃれだね。
さすがベトナム民話!と思ったね。

有名な中国の、常蛾の話も綺麗にまとめてある。

なんとも哀しい話も中にはあったけれど、心優しい本なのだ。

月の光のなかで

2006年1月12日 読書
ISBN:4901978217 単行本 渡辺 葉 ぺんぎん書房 2004/02/29 ¥1,470

世界の国々から集めた、月にまつわる13のお伽ばなし。

それが、帯に書かれた「副題」或いは「解説」である。
字は大きいし、感覚も広い。
ページ一枚丸々使った挿絵もある。

字の並びそのものが、視覚を楽しませてくれる芸術。
…というやつかな?

夢枕獏氏が、そういう小説の書き方をする作家なのよ、と友人が昔言っていた。
月を見ていると気が狂うのよ、とか、或いは狼になったり無性に帰りたくなって求婚者に無理難題を押し付けてみたり、お団子を食べるために別腹が生まれたり…するのは何故だろう?

それもこれもつきの魔力なのだろうか。

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