いよいよ最終巻に突入です。

源氏物語を訳した人がこんな…な小説を書いているとは知らなかったよ、って、そう、私は谷崎さんの小説を初めて読んだ。
春のたびに桜の季節のたびにその小説の舞台であるところの北山杉の製材所をバスの車窓から見ていると言うのに、「古都」も知らん(笑)

関西の上中流家庭(ちょっと落ち目だけど)を描いたこの小説。
書かれたのは昭和18年ごろ…で、当たり前だが発禁処分とか、警察が家まで来て文句を垂れたとか始末書を書けと言われたとか、いろいろ問題のあった話だ。

そりゃそうだ。
だって、結構不倫とか自由恋愛とかお嬢様が家を飛び出して同棲の挙句子供を産んじゃう…とか。
そういう物語なんだから。

贅沢は敵だ、とか。
欲しがりません勝つまでは、とか。
言っている時代だ。
そりゃまずいでしょう。

だから、まともに出たのは戦後である。

三女・雪子がどうにか華族の末と婚姻が整いそうな雰囲気〜でも結婚式は東京で〜あんまり行きたくない雪子〜旅立ちの当日も下痢が止まらず〜で終わる。
おいおい。
凄い小説やな。

挙句、自由奔放に生きたこいさん(四女・妙子)はどうしようもない男との縁切りには義兄の金力を借りるしかなく、好きな男との間にできた子供は流産。
その前には赤痢にかかって死にかける…本家からは縁切りをされる。

東に向かう雪子は確かに憂鬱かもしれないが、それはマリッジ・ブルーと言えなくもない。
結婚生活が始まればなくなるかもしれない。

しかし、その豪勢な花嫁衣装を横目に、隠れるように逃げるように自分の荷物をとりに来て、小さな風呂敷にささっとまとめて男の家(アパート)に帰る妙子。
あまりの違い…

因果応報?
そう言えなくもないが…あんまりにもかわいそう。

だから、映画が今風に書き換えられ、ああいう話に落ち着いたのはわかる。
貧しいなら貧しいなり、妙子は自分で選んだ道を行くのだし、どうしようもないボンボンはとことんどうしようもなく描かれていてその分妙子の罪を救っている。否、肩代わりしている。

雪子もあそこまでひとでなしではなく(笑)感情移入されていて、その心境はわからんでもない、と言うところまで描かれていたし。

えらい文学だと思って、私に読めるやろうか?と思いつつ手に取った小説であったが、たいそう面白く、すいすいと先に進んで読めた。
良かった、よかった。
またしてもキミか…橋本豊くん。
いい加減、フルネームで名前を覚えちゃったよ、キミのこと。

なんでまたそーゆー見え透いた罠にかかるかな?
なんでまた…殺人犯人の汚名を着て、地方警察に収監されて十津川警部に面会してもらうかな?

いい加減、学習しなはれ。

話は非常に込み入っているので、とっても読みごたえがあった。

1年以上にわたって起こった複数の殺人事件が、一つの糸で結ばれていることがわかってくる…それもわざとらしくなく、自然に見えてくるのが良いね。
上手いね。
必然的な自然の流れの中で、謎が解かれてゆく。

橋本くんは結局最後まで牢屋に入っていた模様。
最終的に真犯人が見つかって、それでやっと容疑が晴れたんだろう。

私立探偵ってやっぱり胡散臭い存在なのかな?
やくざよりもまっさきに犯人として疑われる存在なんだろうか?

元警視庁の一課の刑事、というのが良くないんだな、きっと。
地方警察の嫉妬を買うわけだよ。

お金持ちの動かすお金の金額は、千万単位。
貧乏人はすぐに飛びつくので、簡単に罠にはまる。
橋本よ…お前もか。


だいありーのーとよ。
無駄な(しょうもない)ログインを繰り返させないでほしい。
昨日書いて、今日開けたらいきなりログアウトに勝手になってるし。
ほぼ毎日ぐらい書いているのにログアウトはなかろう?
しかもログイン状態保持にしているんだよ、私は。
しょうもない機能を追求せずに、レビューを使いやすくしろ。
密林に戻せ。
この人の本はたくさんあるから…よく出てきたもんだ、レビューに。と、思う。

テンポよく進むストーリー。
意外性が久々にさえているね。

長いシリーズで、話によっては倦怠感が見え隠れしていたけれど、これは面白い。
"すまっしゅ"と名前を変えて新連載の如く始めた作者の意気込みも感じられようと言うものだ。

ごっつい山羊に乗って荷運びをするゴート族…否、ゴート・ライダーズというと違うものを連想してしまいそうだが。

どらまたリナが最近は常識人のようなふるまいが多くなったのだけが、ちょっと不満と言えば不満かなぁ(笑)

以前はもっと弾けていたはずなのに!
本屋さんに撮りに行くのを忘れていましたことよ。(笑)
これも全部暑いのがいけない!

今日取ってきました。

10巻ということでおめでたい…はいいけどさ。
また新たな登場人物が…「間引きしろ」というのは過激発言としても、登場人物が多すぎると大変だろうな、という気もする。

新しい登場人物は可愛らしい女の子…ならぬ●●●●である。
まぁ、可愛いから好!
(あれって、制服なのか〜)
中巻、読了。

映画では東京に行くのが嫌で大揉めに揉めていたのだが、原作ではあっさりと東京赴任しちゃう鶴子夫妻+α。
(当時は下女ごと引っ越したのかーと感心。てっきり首かと思ったのだが)

芦屋と東京の間を姉妹が行ったり来たりして、東京に行くたびに食べ物屋を渡り歩くのがなんだがいまどきの若い子を見るようで、あるいは情報誌を読むようで面白い。

あっちへ行って買い物。
こっちへ行って食事+ビール。

へえぇ〜と思うのは、いかにええとこのお嬢さん奥さまとはいえ、戦前はやっぱりかなり自由が効いたんだな、ってことだ。

ビールの味が忘れられずにもう一度…なんて、女ひとりでそんなこと、今でもするかなぁ?
DVDと一緒にこれもまた友人から借りました。

大阪船場の舟問屋。
大正時代にはそれはすごい隆盛であった蒔岡家の4姉妹。
外を歩けば皆が振り返ると言うほどの美女揃い。

その4姉妹が、戦争を前にして、家庭や見合い、独り立ち、とさまざまな問題を前に、優雅にしかし人間くさく生きてゆく。

そも谷崎潤一郎といえば、谷崎源氏(谷崎潤一郎が訳した源氏物語)がめちゃくちゃ難しくて高校時代に挫折した、その思い出ばかりが先行している。
だからきっとむずかしいのでは?と思いつつ読んだのだが…面白いやん。

今ではありえない日常のことだけど、ありえること(見合い話をやたら持ってくるおせっかいなおばさんとか家のことに口を出したがる親戚の叔母さんとか)

ビタミン注射を気軽のにぱすぱす素人が打ったり、あら黄疸だわしばらく寝てましょう、という社会状況や社会認識にはぶっとぶが(だって怖いと思いませんか?)そのほかはよくわかる。

時代性を差っ引けば理解もできる。

上・中・下の三刊本だが楽しく読めそうな…気配。
以下の7冊とあわせ、これもまた友人からのレンタル本である。

なっつかしい〜本だけど、こんな話もあったのか〜と実は一作も読んでいないことに改めて新鮮な感動を覚えている次第。

革命間際のフランス・ベルサイユ。
女性の身でありながら男装しマリーアントワネット王妃の近衛として働くオスカル。

彼女の一番上の姉オルタンスの娘、ル・ルー。
その洞察力と落ち着きと肝っ玉の太さはとうてい貴族の娘とは思えない。
そんなル・ルーが巻き起こすトラブル。
それを中心に話はすすむ。

セリフの端々から、オスカルは只今フェルゼンに恋心を抱いている様子。
すると話としては…どの辺だっけ?

ロザリーも同居しているけど、新聞記者のベルナールはまだ登場していない。

ジャルジェ准将(オスカルの父)の非嫡子(浮気してできた子供)も登場し、かの夫婦が貴族でありながら相思相愛で未だにラブラブであるという「許せませんわ〜」(貴族のおばさんの発言より)状態であることもわかったりしてなかなか楽しいのであった。
ジャルジェ家の全員(使用人含む)の準将を見る目が……!

ただ悲槍観はなく軽く楽しく読める。
太い本だからたっぷり楽しめる。

Wonder!(8)

2008年8月4日 読書
かしこい(かしこすぎる)ワンちゃんを中心に、家庭のありようを描く漫画。

軽いタッチだが、親と子供が一緒に暮らせないとか、現状日本の福祉の限界とか、さまざまな問題が取り上げられている。

登場人物がとっても多いので、油断をすると「この人は誰?」ということにもなる。
でも読んでいくうちに背景が出てきて思い出すのだが。

子供は宝。
わかっちゃいるけど…
いつからこんなに人間が住みにくい社会になったんだろうなぁ、と。

とりあえず。
犬がかわいいから好。
入院中にベッドで読んでました。

…というか、家族から取りあげたというか。

こういう本はよく売れるんだろうなぁ。
読みきりで、一つ一つが短くて、どこでも切れる。

良く考えれば、そう言われてみれば、と答えを聞いた後で思うことも多い。
トリビア好きの人には好きな本か。

雑学、と言うだけあって、実生活の役に立つものは少ないから、しばらくするときっと忘れてしまうんだろうが。
時間つぶしには最適だ。
戦争中のお話で、作者が広島の人だから自然広島の話になる。
戦争中のいろんなポスターとか標語とか。
そういうものを取り入れて目新しい、というか、初めて見た、と私の年齢でいうこと自体がもう戦後からは随分と時間がたってしまった、ということなのだろう。

小石ひとつ。
戦死したと連絡があった兄の骨箱。
そこに入っていたのはそれだけだった。

戦争に行かないものたちも戦わされた日々。
窮乏する生活。

この物語ではそれもこれも笑いの中に紛れてしまうが、芯にあるつらさ苦しさ暗さは隠しようもない。

今現在、戦争がない国に生活できるということはそれだけで幸せなんだろう。
普通に生活できれば、だけど。
(できなくなりつつあるよな…)

物語は20年の春まで。

終戦まであと数か月…その数か月が生き残れるかどうか。
たらたらと読んでいて、やっと読了。

香道のなんたるか、を居丈高に解説するのではなく、親しみやすいものとしてチャレンジしてみましょう!という説明書きが好感度高し。

人形を使って聞香の競争をする、というのも面白い。
(武家社会になってからは)貧乏、ということを除けば、公家の世界は時間をいかに潰すか…のようなので、こういうややこしい取り決め事はかえって大歓迎だったろう。
刺激がない生活は、たしかに地獄かも。

監修の松栄堂は京都でも有名なお香やさん。
私も聞香のやり方を簡易ではあるが教えてもらったことがある。

源氏香の模様の意味もわかったし。
なんだ。
そういうことだったのか…。
英国では、結婚の条件が厳しい。

いや…
宗教をしっかり人生の、生活の基盤としている人たちはみんなそうだろうと思う。

神様だろうが仏様だろうがそんなの全部なしだろうが気にしない日本の大方の結婚とは違うのだ。

というわけで。

親が認めないと恋も出来なかったおじょーさまがた。
恋する相手は貧乏士官(やぱり陸地にいる分、陸軍が有利なのか?)と決まっている…らしい。

英国の結婚法。
3週間前から毎週提出する結婚予告、それによってこの結婚が親も認める差し障りのないものであると証明することが必要。
そして結婚許可証。
(めんどくさー)
そういうものをすっとばして結婚式を挙げられるのが、スコットランドだった。

英国が一方的に決めた法律を順守することを潔しとしなかったわけだ。
で、カップルは走る。
英国からスコットランドへ走る。
後ろからが追手が迫る。
親が家族が馬を走らせ追いすがる。
どちらが早いか?

いわゆる、駆け落ちといわれるやつですね。

立会人二人を見つくろい、式をあげ、隣室のベッドに服を着たままでいいから、とりあえず二人で潜りこんだら、若いカップルの勝ちだ。
それで既成事実、となるらしい。

スコットランドに入ったばかりのところ、グレトナ・グリーンという田舎の村が栄えたのは、そうやって駆け込んでくる駆け落ちものの結婚式を取り仕切った、その手数料とかそういうもので。

「グレトナ・グリーン婚」
その名前が若い令嬢たちの間で独特の響きを持って理解され、あるいはお芝居にあるいは物語に形を変えて受け継がれていった。

このおかげで、この地は有名な観光地にもなったし、現代でさえ、昔を偲んで別に反対をされていないのにここで式を挙げようとするカップルが、今もたくさんいるという。

ロマンチックに憧れる若い女たちの、その願望、駆け落ち願望とでも恋愛願望とでも言えるが、ハーレクインロマンスに通じるものがそこにある。

ちなみに、今ではスコットランドの法律も変わって、3週間滞在しないと結婚式は挙げられない。
とはいえ、恋愛結婚自体が変わってきたけれどね。
今、親の反対がどれだけの力を持っているか…「へっ」てなもんでしょ?
それでもグレトナ・グリーンの名前はロマンチックに響くのだ。
久々に隊長に会えました…風呂好きの隊長に(笑)
私のごひいきのDr.ヴァルベイドが出ているならおっさん度が高くても文句は言いませんとも!(笑)

バンダル・アード=ケナードへの新しい依頼は、依頼主の名前も、所在地も、依頼の内容も明かせないという怪しげなものだった。
はっきりしているのは高額の報酬だけ。

傭兵部隊としては、金と命をはかりにかけて…金を選ぶ(笑)

で、とんでもない事態に陥るわけだが…まあそこはそれ、ぴか一の傭兵たちですから(笑)
なんとかかんとか切りぬけ…るだろう、というわけで、下巻に続く。

いいの…エルディルが無事なら。
友人からのレンタル本。
珍しい日本の、警視庁の、刑事の話。普通の推理小説とは違う。
社会派小説とでもいうのか?

日本の警察の腐敗と政治の腐敗と地方で陰然と力をふるう旧家の結びつきとか。
要は、どこにも流れ出ることのない沼が、その沼底に集積したいろんなものが腐敗してガスになって水面に出てきて毒素をまき散らしているような…救われない話である。

シビアだなぁ。
でも、面白いのは、主人公の刑事の言葉遣いが妙に丁寧で「です」「ます」調であること。
原理原則の男として警視庁の伝説になりつつあること。
アメリカに研修に行っていた途中で大事件(大問題?)を起こして急遽呼び返され、八王子の田舎の警察に左遷されたこと。

そう。
この話にはたくさんのシリーズがあって、この本はその何作目かに当たる。
だから過去に何かがあった。
たくさんあったということ。
とはいえ。
これはこれだけで十分読める。

この人は多少なりともアメリカナイズされているのか、作者の趣味なのか、筋力トレーンビングも欠かさないけど、カロリーとかんもうるさい。
口に入れるものにうるさい。

ラムネは害しかない砂糖水。
朝から肉や炭水化物の塊は云々…と摂取物に細かい。

神経質なのかな?

今まで読んで来た推理物とはずいぶん違って最初はとっつきにくかったが、徐々に読むスピードが上がった。
田舎の警察の腐敗度合とか(笑)政治との癒着とか、田舎における力関係(〇〇すると睨まれる、住めなくなる、といったような)など、どーしよーもない日本の現状(?)を一刀両断するでもなく、ほったらかすでもなく、「刑事の役目」に徹して突き進むのが面白い。
事件が解決したからといって、誰が救われるわけではなくても、だ。

ただ、え〜相棒やなぁ。
とそれだけは思った。
十津川警部の推理物…とわざわざ書かなくてもいいようなものだが、西村京太郎氏は実は、彼の執筆のなかでは十津川警部の他にも左文字進という私立探偵を誕生させているという。
それは知らなかったが、「消えた巨人軍」という題名は覚えている。
確かテレビドラマになったのではなかったか?
遠征で新幹線で大阪だか広島だからに向かう巨人の選手御一行様が、名古屋あたりで消えちゃった、という話だったと思う。
誘拐ものなのだろうか?
興味がなかったので、というか昔も今もアンチ巨人なので「なんでも巨人を使えばええと思って」と思いつつ「あっそ」ぐらいで終わった様に思う。
また、父親は野球が好きで、パ・リーグ・ファンであったが、見たのか見なかったのか定かではない。

十津川警部もまず最初は、海と船(クルーザー?)に強い刑事として書かれたらしい。
なんと!(笑)

今ではその片鱗もないけどなぁ…(うらめしぃ)
それがいつしか陸に上がり(古代生物史の陸上生物の誕生を思い出す"魚が陸に上がった!")鉄道を操る(?)鉄道なんでもこい刑事となり、今がある…らしい。

人に歴史あり、である。

さて。
この小説に出てくるのが踊り子号という列車である。
これは結構古いはず。
でも私は乗ったことはない。
鎌倉へ行くのに小田急ロマンスカーというのには乗ったことはあるのだが、車内販売のケーキは美味しかったが、えらく時間がかかったことばかり印象深いのであった。
踊り子号は高級リゾート地(と私が勝手に思っているのか?)伊豆への足であるので、どうやら縁も深くはなれそうにない。

とある企業の24周年イベントとして、20人の男女を4泊5日の伊豆旅行に招待し、男女それぞれに優勝者を決めて賞金をプレゼントする。
といういかにも怪しげな広告から事件は始まった。
「24周年じゃなくて27周年なのに、変。」
という目ざとい参加者もいて、早々に疑問を呈するのだが、24周年ということ自体ちょっと変。
25とか30とか、割り切れる数字でイベント事は行うものだ。
まぁ、その、変・変・変が積み重なって、連続殺人事件の謎へとつながってゆくわけだが…。

大金持ちの息子に生まれたゆえに罪を逃れ、人になすりつけ、それだけではなく、また罪を繰り替えす。
この業の深さはなんというか。

その業を断ってやるのが身内の情なのだが(本人とて苦しくないはずはないとおもうのだが)放任し罪を重ねさせてしまう。
それは愛情だろうか。

日本の警察に捕まれば、その背後関係とか身内とかいろいろまずいものが出てくるので、なんとかかばって逃がしてやらねばならないのだが、アメリカの警察は何かあったらすぐ射殺するから細かい背後関係がばれなくていい。
とりあえずアメリカへ逃がして、あとは放っとけー。
とはあんまりだけど、悪い奴らの愛も情も、所詮はそういうものなのかもな。

Landreaall(12)

2008年6月27日 読書
ウルファネア編の決着がついた〜やれやれ〜と思いきや。
DXと六甲と竜胆と五十四さんのいない間にアカデミーはとんでもないことに。

やれやれ。

御大家というのは、家族の間にも通訳が入り込んでくるので困ったものでる。
その通訳がちゃんと意志の疎通を滞りなく勤めているならまだしも、たいてい歪めて伝達したりするから余計ややこしくなってくる。
竜胆の家もそうだったわけだ。

直接口げんかでも、こぶしで語りでもすれば誤解は生まれないものを。
命賭けで自分の意思を表明しなくてはならなくなるとは、またなんと面倒くさいこと。
あ、そうか。
おにーちゃんは妹じゃなかったから…それがさびしかったのか!
なるほど〜。

アンちゃんは相変わらず、というかさすがというか、大人というか…あの腹に一物もってます、という感じが好きだなぁ。
カイルやフィルはまぁあんなものとして、ティ・ティの株が上がってDXの良きライヴァルになりそうだ。
そんな予感がする…

そして、ルッカフォート将軍こと、おとーさんはいまだに人気が高いんだなぁと微笑ましく思うのであった。

ダモイ遙かに

2008年6月26日 読書
第二次世界大戦後、ずいぶんと長い間シベリア抑留は続いていた。

日本人捕虜はすべて送還した、というソ連邦の白々しい嘘。
「死ぬまで働け」
と嘲笑い虐待と強制労働に駆り立てたソ連。

興安丸がナホトカから抑留者を連れ帰った1956年。
その年に、日本政府は発表していた。
「もはや戦後ではない」
と。

食べるものもろくに与えられない。
労働には不可能なノルマが課せられ、不達成者は食事を削られる。
体力がなければノルマは達成不可能だ。

そうやって、死んでゆく。
ゆっくりと。
病弱なものは早く。
耐えられないものは自ら命を絶って。

自分の身を守るために、日本人同士が密告しあう。
共産党思想を叩き込む、特別な立場の(ソ連側の)日本人の存在。
同胞が憎みあうようにするやり方は、支配する側(ソ連)にとっては一番簡単で手軽な支配方法である。

その中で、「希望を失うな」「ダモイ(日本への帰還)を信じよう」と言い続け、人の心を鼓舞した一人の人間。
その周囲でその心にふれ、希望を広げた人たち。

思い届かず異国の地に没した同胞の思いを、遺書(=家族への、日本という国への思い)を暗記することで伝えようとした人たち。(文字を書いたものはすべて没収されたという。スパイとみなされたのか?)

また君たちはどんなにつらい日があろうとも、人類の文化創造に参加し、人類の幸福を増進するという思想を忘れてはならぬ。偏頗で矯激な思想に偏ってはならぬ。どこまでも真面目な、人道に基づく自由、博愛、降伏、正義の道を進んで呉れ。
最後に勝つものは道義であり、誠であり、まごころである。友だちと交際する場合にも、社会的に活動する場合にも、生活のあらゆる場面において、この言葉を忘れてはならぬぞ。
人の世話にはつとめてならず、人に対する世話は進んでせよ。但し、無意味な虚栄はよせ。人間は結局自分一人の他に頼るべきものが無いーという覚悟で、強い能力のある人間になれ。自分を鍛えて行け!精神も肉体も鍛えて、健康にすることだ。強くなれ。自覚ある立派な人間になれ。(山本幡男氏:子供たちへの遺書より抜粋)


山本氏の遺書を、手分けして暗記して祖国の家族へ届けた複数の人たち。
最後の遺書が届いたのは、昭和62年であったという。

子供にも読みやすいように文章は簡易に、漢字にも読み仮名を増やしてある。
兵士だけではなく、民間人や女性までもを抑留し非人間的な扱いの果てに虐殺したシベリア抑留。
この歴史もまた、忘れてはならない。
自分で作るための本である。

妹が少し前から、こういうものに興味を持ち始め、せっせせっせと何やら作っている。

買うと高いんだって。
髪の毛を止めるやつとか、ストラップとか…材料を揃えればうんと安くなる。
当たり前か。
人件費が一番高いんだ。
それに技術料が加わればうんと値も上がるだろう。

この本には結構シックなビーズや玉系ものから、シルバーや黒主体のゴシック調のものまでまんべんなくそろえてあるので使いやすいらしい…。

私も昨年から編み物を再開したのだが、釦の高さにはひぇ〜!とひっくり返っている。
一個300円なんて当たり前。ちょっと良いのになると500円とか800円とか…それを4つも5つもそろえるというのはちょっとね…毛糸よりお金がかかるんだよね。

で、ビーズ屋さんとかで気に入ったのを見つけてそれをちょちょいと加工すれば釦だってできる。
意外に安くでできる。

道具は妹が持っているので(笑)材料費だけだ。
前回編みあげたボレロの釦はとんぼ玉を加工して、総額150円ほどで済んだしな。
自分でやれば、なんでも安くすむ。
道理である。
IT戦争、とは言うけれど。

世界に雄飛しようとするIT企業の裏の一面を殺人事件にひっかけて描いた一冊。
半分どころか2/3ほど読み進まないと、結末がどっちを向いているのかすらわからない、なかなか巧妙な謎の展開である。
西村京太郎、侮りがたし!

北海道の函館で生まれた小さなIT企業が、東京に本社を移転し、アメリカにまで翼を広げようという成長ぶりとなった。
そんな上昇気流に乗った会社であるが、そこにとどまるのを潔しとしない少数の人間が、古巣の函館に別会社を設立しようとする。
社内造反…?
会社は造反組にあれやこれやの手を尽くし(脅迫状含む)思いとどまるように運動するのだが、そんな中、造反組の中心にいた男が他殺死体で見つかった。
そして、今度は一人が行方不明に。
そしてまた一人…。

東京と函館。
その両方の地に分かれた二つの組織が、互いに詰り互いに罪を暴こうとし、事態はどんどんエスカレートしてゆく。

函館に本拠を移した造反組は、幕末に五稜郭で榎本武明らが立ち上げた新しい政府に意気を感じ、それを真似て「函館新撰組」を自称していたため、ことはあたかも幕末の新政府軍と函館の旧幕軍の戦いであるかのような様相を呈してきたのである。

殺人者は誰か?
東京の本社か。
函館の造反組か。

函館戦争の歴史の裏の仕組み。
それになぞって考えれば、話は通るのである。
なるほど!
これってちょっと凄い。

榎本武明がなんで生き残って明治政府の重職についたか、これなら納得できるよね。(実は私は知らなかったのだが)

新撰組の生き残りが京都のお寺で老後を過ごしているとき、なんで榎本武明に会いたがらなかったか。
歯牙にもかけなかったか、それがよくわかる。

もちろん、それは一つの風説だけど。
辻褄が合うんだよね。

それはともかくとして。
上昇気流に乗っているとはいえ、企業が個人あてに脅迫状の発送とか当たり前にやっていて、恐喝罪にならないの?
それって問題じゃないのかなぁ?

こういうことって、どんなに上手くやっても、いずれ噂になって真相を知られてしまうのが落ちだと思うのだが。

…怖い話である。

あ、新撰組はテロ集団、そしてまんまと騙されて…という話の内容なので、強力な新撰組ファンは読まないほうが無難かと思います。
侠客漫画なので、最後はハッピーエンドである。

話は随分急展開、煮詰まっているので説明的セリフが多いのは仕方がない…かな?

落とすところに落としたけれど、北宋時代が不穏な時代だったのは周知のことで、文化は花咲き花開き、夜間外出もOKで楽しい時代だったのは確かな反面、軍事面では北方の異民族にきゅうきゅう言わされていたのだ。

そうはいっても、水滸伝の舞台になった時代でもあるし、私の好きな時代なんだけど。

自由度が高い、というのかな?
このあとは金だの元だのという無骨な時代になっちゃうから、余計にそう思えてしまうのかもしれないな。

明朝は…ちょっと違うんだよね。
なんかコチコチというか、柔軟な面白みがないというか、なんだろう。

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