「死都」
とも言われる。

現地の人にとっては失礼な話である。
そりゃ怒るだろう。

だがしかし。
嘗て栄えに栄えた町だからこそ、落ち目になった時のその落差が激しい。
「死んだ」とまで言われる由縁ではなかろうか。

中世から既に貿易の町として栄えたブリュージュは北のベネティアとまで言われた町。
そういえば、どういう儲け方を栄え方をしたかよくわかるというもの。

良港。
川。

勤勉な人々。
勤勉ゆえに栄えるのだが、何故故に人々が勤勉かと問えば、しれは土地が貧しいからだ。

…なんかね、日本ですかい?

そして、栄えれば栄えるほどに明暗が分かれる。
すなわち格差と言う奴である。

これまた…日本ですか?

後年、他所に主役をもっていかれたブリュージュは、涙ぐましい努力を行なう。
待ちの紹介図に、ついうっかり川幅を大きく書いて使いやすさを強調してみたり(嘘だけど)
そういうこともまた、涙を誘うではないか。

面白かったのが、「聖血の行列」
聖遺物を掲げて行列を組むのだが、ぐるりと町を一周するというなかなか大変な行進である。
著者はそこに、"祓い"を見る。
このプロセッションは、単に年の内外をねり歩くというよりも、都市の市壁を一周することで、何よりもブリュージュという都市空間全体ないし都市共同体をキリストの聖なる血という聖遺物によって浄化し、その保護を求めるという糸が込められていたと思われる。

ばbだか、万里の長城や氾濫・決壊する川の堤に人柱を立てるというか…呪術的ではあるね、そういわれれば。

面白いけど。

ISBN:4121018486 新書 河原 温 中央公論新社 2006/05 ¥903 
京都府立大学付属病院の、地下売店、つまり生協で買った本である。

例の如くパズル本を探しに行ったのだが、ふとみれば本棚があるではないか!
これはチェックせねば!というわけで見つけた。

エッセイ集であるが、標題を見て判るようbに、猫中心。
それは著者が猫好きだから。
そして犬、そして動物園の動物のことなどもちょっと書いている。

いや、暇つぶしには面白い。

ISBN:4167485060 文庫 群 ようこ 文藝春秋 1996/02 ¥470

美しき日本の残像

2007年10月18日 読書
日本の田舎の美しさ、日本古来の、自然と共に生きる姿に美を感じ取ったアメリカ人。
それが作者である。

学生時代に日本にきて四国の祖谷という平家の落人部落で、借金をしてまで茅葺の家を買ったという変わり者だが、日本の自然や、日本の美にはとっても敏感である。

日本人が高度成長のなかで捨ててきたもの。
それが彼には見えているし、日本人が「醜悪なもの」を"見てみないふりをしている"ことにも気がついている。
その害毒にやられて疲れた日本人が、海外の自然の中に身を置きたくなるのだと、ハワイや東南アジアの所謂"癒し"の旅に出かける理由をきちんと説明している。
なるほどそうだったのか。
日本人の自然回帰運動"自然に帰れ"は自国を見捨てて他国へ出奔する、ということだったのか。

歌舞伎の玉三郎との縁もあり、京都の亀岡にも住んでいたり、でなかなか親近感のある話し方、書き方、考え方をする方である。

ゆっくり読むのに良い本。

「中国の危ない食品」と並行読みしているのだが、明日から別荘暮らし(笑)なので、一応ここにアップしておくことにした。

ISBN:4022642408 文庫 アレックス・カー 朝日新聞社 2000/09 ¥714
北京在住の中国人、が書いた本。
ここまでばらして大丈夫なのか?と思う程、衝撃の事実が並んでいる。

養殖池の汚染で緑色に染まったスッポンの写真は怖かったです。
滋養強壮にいいと信じて食べられる"高級料理"の食材のほうが汚染度が高い(高く売れるから危ない薬品を投与して早く大きく色つやも良く育てるから)のだそうだ。
そういうものにはすべて発がん性物質、避妊薬などが多く入っているので、近い将来中国人は一人っ子政策など無用になるかもしれない…!

癌患者の増加も信じられないほどで、著者の周囲の人間(知り合いという意味)はここ数年で10人がんにかかり、癌専門の病院は予約者と希望者が捌ききれないほどになっているという。
オソロシヤ…。

赤みを増す為の薬を投与された肉を食べた中国人の選手が、ドーピング検査に引っかかって失格になったりしているのに、こんな国で本当にオリンピックなんかしていいのか?

現在共産党大会をやっている最中だけど、格差是正も勿論大事だけど、その前にこれを、食料の汚染をナントカするべきでしょ。
でないと流石の中華人民共和国も滅びるよ。
如何に共産主義国家の強権発動しても、病気はどうにもならない。

それとも、世界中の人間を道ずれにして、自殺でも考えているのか、中国人民政府は。

かつて毛沢東は言ったじゃないか「人民には食わせねばならぬ」。
それが人心掌握のキーであると。
それは中国古来の思想だそうだから、当たり前として判っているはず。中国人民のDNAに刻み込まれているのではないのか?

鉛中毒も出ているらしいが、それに関してローマ帝国の滅亡について仮説を立てている著者。

土木工事の天才であったローマ人。
戦車も走る道路だって、頑丈な橋だって、セメント工法の城砦だって、立派な上水道だってかる〜く作ってしまう。
その水道が発達した都市で、彼らは鉛管を通ってくる水を毎日・日夜飲んでいたという。
鉛…が彼らの身体を蝕んだのだろうと。
発掘されたお墓の死体を調査士、鉛中毒が酷かったことは立証されているらしい。特に子供が。
鉛は健康を損なうが、同時に生殖能力も損なうらしい。
それだけが理由ではないにしろ、ローマが滅んだ原因の一つにはあげられるのではないか、と。
ちなみにそれより長生きした(ぜいぜいと言う感じでも)東ローマでは、鉛が取れなかったので焼き物なんかを使って水道管を作っていたらしい。
(そういえば、ファルコには下水道管の話がでてきたような…死体を放り込んだんだったっけ?)

是非は兎も角、こういう説も出るから歴史は面白い。

標題はいかめしく、扱っている内容もいかめしいが、内容はとってもわかり易くて面白い。
訳者が上手なのか、著者が流石なのか。

中国が現在何をやっているか、食品をどう扱っているか、読めば読むほど「おえっ」という感じです。
チャイナ・フリー。
むべなるかな。


ISBN:4794216386 単行本(ソフトカバー) 廖建龍 草思社 2007/09/29 ¥1,470
中南米のとある国(架空の石油産出国)の大統領が止るスイートからなら見える、というビルの屋上で、篝火まで焚いて能衣装をまとって舞った男が殺された。

…酔狂な。
と思うほどの舞台設定。
何の関係もないビルは製薬会社のもので、無断使用だから、夜誰もいなくなったビルの屋上まで男はヘリコプターを雇って(追加料金まで払って!)到達したと言う仕掛け。

でもなんで?

大統領の若かりしころの醜聞がかんけいするのか?
その昔、押しかけ半分でホームステイした金沢の友禅職人の娘とのひめられた(皆知っているが)恋。
娘を捨てて国に帰った大統領(勿論もう妻子もいる)が昔の恋の
相手を探し出そうとでもいうのか?

警察庁の特殊班だが動いてみたり、圧力が掛からない、と見せかけて妙なタイミングで掛かってみたり。

なにもかもが突飛で突然で有無をも言わせない強権で発動される。
こんな事件を十津川警部はちゃんと解決できるのか?

金沢は大学時代に二度。(一度は年末の卒業旅行の通り道で…そう、冬の東尋坊と永平寺のあの旅)

社会人になってから一度。
華やかな加賀友禅は、地味派手の京都の友禅とは一線を画している。
どっちがどうとは言いがたい。
あくまでもお好み次第だ。

…若い子向きかな?加賀は、と思うけど、私なんぞは。

伝統産業もしっかり残っていて、町並みもすばらしい。
喫茶店も多くてメニューも工夫がある(好奇心で身を滅ぼす私は、真夏の最中に入った喫茶店で"モンゴリアン・ミルク・ティー"を注文。無茶苦茶温まりましたわ)(笑)

なにより…鱒寿司がすんばらしい♪

どうやら私の金沢の印象は飲食物に偏っているようだ。

ISBN:4061825534 新書 西村 京太郎 講談社 2007/10 ¥840
買ったパズル本が全部出てしまった……。

前に"寝台列車"の豪華本(雑誌だけど)のレビューが出ないかと随分試したけど、結局出なかったくせに。

どういう判断で決めているのだろうか?
気になる今日この頃。

今攻略中の一冊だが、首が痛くなると嫌になる。
浮気な(笑)私。

ロジック…数字のみがあって、マス目を消してゆくのだ。
鉛筆で延々と塗りつぶすので、利き手が鉛で黒々となってしまう。
学生時代(しかも小学校とか中学校とか)を思い出させる作業である。

最後の方で間違いに気がつくと、塗りつぶした画像を消しゴムで全部消さないといけないので、意気消沈どころではない。
溜息をついて本を放り投げることも多々ある。

元気な時には一気に消しに掛かるが、それでも「今までの努力が〜肩凝りが〜」と心に嘆いている。
そう思うと消しゴムで消す作業も、悲哀がたっぷりなのだ。

ISBN:B000VVSDB6 雑誌 アイア 2007/09/27 ¥420
雑誌社の力関係を見るようで面白いなぁ。
こんなのの(失礼)、ちゃんとレビューもでてさ…。

今日デパートの書籍売り場で購入した一冊。
創めの3文字乃至は4文字だけのヒントでマスを埋めてゆく、その快感にちょっとはまってしまったようだ。

景品…結構いいんだよね。
当らないけど。

実は、思い立って「編み物でも(ウン十年ぶりに)してみるか〜」とあっものの本を見に行ったのだ。
で、何冊か見て…「やはりこっちに」とパズル本に流れてしまったのだ。
なんかね…図柄(設計図)を見るだけで〜肩が凝ったと言うか。やる気がなくなったというか。
ようは「面倒くさぁ〜」と思ってしまったのだ。
どうしようもない。

同じ肩が凝るのなら、パズルのほうがいい…と思ったんだろうな。
きっと。

ISBN:B000WE4BU4 雑誌 コスミック出版 2007/10/10 ¥380
まさかなぁ…と思って試したら、出た。

漢字ばかりのパズルだけど、思ったほど難しくはなかった。
ただし、この手の雑誌で景品が当ったことがない私である。

まめに出しているのにナァ…

病気をすると変な余裕が出来てしまって、こういうものに走るのだ。

病院の売店にはこの手の雑誌が揃っている、というのも真実。
皆退屈するんだな……

ISBN:B000UX74DI 雑誌 インフォレスト 2007/09/11 ¥380
いつもは買わないのだけど。
雑誌の癖にたかいのだけど。
猫より犬のほうが好きなんだけど。

「京都ねこ町」
なんて書いてあって、地元の猫地図まででているから……衝動買いしてしまった。
岩合さんの写真も沢山あるので、写真的には充分鑑賞に耐える雑誌だ。

う〜ん。
猫さわりた〜い。
犬さわりた〜い。

…どっかに落ちてへんかな?


ISBN:B000WGN9U0 雑誌 日本出版社 2007/10/12 ¥880

犬と私の10の約束

2007年10月11日 読書
犬・ネコ本は基本的に好きだが、最近は注意をして買うことにしている。
単なる「うちの仔はこんなに可愛らしいの♪」的なおのろけのみの(?)本は買わない。
だって、しらけるんだモン。

可愛いのは知っている。
うちはマンションで飼えない。
それがとっても淋しい。
時折、町を行く犬(つまり散歩中なのだ)に走りより"ギュッ"と抱きしめたい衝動に駆られるが、きっと飼い主さんにはたかれるか犬にパンチを食らうだろうからぐっと我慢しているのである。

この本は、散歩ついでに寄った本屋で見つけたもの。
一緒にいた(というか散歩のときの付き添いである)母親に「読む?」ときたら最初は遠慮して「いい」と言ったけど、「ほらほら〜」とかはやしたら「やっぱり読む」といった本。

また親ばか本かな〜?まあそれでもいいか、と思ったら、先に読んだ母親に聞くと、なんだか深刻な話(跡で気がついた小説だと言うことに)の様子である。

早くに母親をなくした少女。
いきなり父親(医者なので、しかもどうやら外科医らしいので留守がちである)と自分との二人きりの生活を強制された彼女。
其の時間を共有してくれた、一匹の犬。

まだ読み始めだが、そういう(どういう?)お話らしいので、ちょっと襟を正して読もうかと思う。(実はこの時点ではノンフィクションだと思っていた)

余名いくばくもないと知っている母親が、犬を飼うと決めた娘に10の約束をさせた。
それが印象的だった。

1.私と気長につきあってください。

2.私を信じてください。それだけで私は幸せです。

3.私にも心があることを忘れないで下さい。

4.言うことをきかないときは理由があります。

5.私にたくさん話しかけてください。
  人のことばは話せないけど、わかっています。

6.私をたたかないで、本気になったら私の方が強いことを忘れないで。

7.私が年を取っても仲良くしてください。

8.私は十年ぐらいしか生きられません。
  だからできるだけ私と一緒にいてください。

9.あなたには学校もあるし友だちもいます。
  でも私にはあなたしかいません。

10.私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください。
   どうか覚えていてください。
   私がずっとあなたを愛していたことを。

これって、犬との約束なのかなぁ?

ISBN:4163261702 単行本 川口 晴 文藝春秋 2007/07/28 ¥1,200
逃げて隠れて旅を続ける、"捨てプリ"と愉快な兄姉。
殺し屋・賞金稼ぎと彼らを追いかけるうっとーし連中は今日も元気だ。

…と、王宮の事情もちょっと語り始めがあり、双子のかたわれ・王宮の(不遇の)王子の現状もつらつらと書かれ始めた。
はいはいそうね、そろそろそういうバランスも必要でしょうね。

ラストの戦いでは、とうとう《守護者》のおにーちゃんが変身!(笑)
敵はと言えば、ウルトラマンほどではないにしろきっちり変身を果たして襲ってくるし…だんだん変身モノ、というか、「仮面ライダー」以降の伝統的なアクション実写ドラマの香りを漂わせてきたぞ(懐かしい:笑)

ただ逃げているだけではなく、その接触した人たちを悩ませ考えさせ、知らないうちに見方に引き込む…ううむ、これが<廃棄王女>の本当の力かも。

続きに期待♪

ISBN:4829129387 文庫 榊 一郎 富士見書房 2000/01 ¥546
宗教問題というのは、タブーというかなるべく避けて通りたいところ。
捨てプリにおいても、この世界を支配する宗教に抗い、徒党を組み反抗しようとする連中がいる。
それはまあ、世の習い。
当たり前と言えば当たり前。

その"反逆者団体"の巣窟に足を踏み込んでしまったシャノン・ラクウエル・パシフィカ一行である。

う〜む。
確かに重い。
重いテーマではあるよね。(テーマではないかもしれないが)
でも、宗教によって否定された廃棄王女ゆえにこれは避けては通れない話でもあろう。

ラクウェルの魔法能力全開で、どこまでやるんんだこのおねーちゃんは!と呆れつつ惹かれる。
何でも出来る"奥様は魔女"ならぬ"お姉さまは魔女"でそれもいいな、素敵かなと……(笑)

それにしてもこの王国。
その身辺にはあぶねーのばかり飼っている気がする。

ISBN:4829129190 文庫 榊 一郎 富士見書房 1999/09 ¥546
雪崩れのように二巻へ突入している私。
だって面白いんだもん。

一巻の、スキップしながら敵を追いかけるトール(武雷神)は良かったよなぁ♪とか思いつつ、次はどんなのが出てくるかなぁ、と期待に満ちて読み進んだら、出てきたのは、シャノン兄さんの女装歌姫であった……。
おっとと。

そうじゃないかと思ったラクウェルはやはりヌイグルミを始めとする可愛いものフェチ。

つら〜い現実を乗り越えてそれでも両親がやろうとしたことを、その遺言故にではなく、自分達の意思で決めて続けようとする二人。
「自己満足だ!」
という言葉には重みがある。

そして戦いの中に生きることを決めたと言っても、夢や希望、そして"日常"を捨てちゃいけない、という酒場のオヤジさんの言葉も。

生き方というか人生の深淵を覗いた、というか、半端やないですね、この小説は。

それにしても「廃棄王女」って。
あんまりやありませんか?
産業廃棄物みたいな言われよう…

そしてこの世界も何者かに操られている…?
「百億の昼と千億の夜」みたい……。
おやおや、こんなところに生物が生まれちゃってるよ〜って?

ISBN:4829128984 文庫 榊 一郎 富士見書房 1999/07 ¥546
ネネコさん、の作者が出した二作目の本。
つまり4コマ漫画。

会社が倒産し、ニートかと危ぶまれた主人公、麦田美苑は昔の夢を実現すべく勝負に出た。
つまり、デザイナー、或いはライターになる夢。
まともに勉強もしていないくせに!と苛められつつ(笑)これからの努力が肝心!と励まされ、精一杯のやる気と根性で困難を乗り越えていこう、というお話(だと思う)

みその、だから、みそっかすとか…言われちゃうわけだ。

人間関係とか、仕事へのやる気とか、笑っているけど本音を突いているあたり、さすがにOL勤め経験者は違う。
会社と言うところは、企業というところは、どんなに理不尽で精神をすり減らして…そしてあくまでも目標や遣り甲斐は、自分で見つけなきゃいけないところかということが判るだろう。

でも本質はお笑い。
笑えます。
この人の漫画ははずれがないよな〜。

ISBN:4832265806 コミック 宮原 るり 芳文社 2007/10/06 ¥880
最近散歩の足を伸ばして本屋までいけるようになった。
その店頭で目立っているのがネコの本。
ただ…飼い主の親ばか振りを反映しているだけのエッセイでは面白くないし…と思っていたら今日見つけたのは、写真で綴る仔猫の物語。
WEBでは結構有名らしい。

著者、というか撮影者は沖縄の人。
表紙の青い空がいかにも!って感じだね。

二匹のネコの反発(一方的だけど)と関係修正。
そんな物語を放り出しても、写真がかわゆーてーかわゆーてーそんなにネコ好きでもない私でも思わず相好が崩れてしまった。

ふちゃぎというのは沖縄の言葉で豆餅のこと。
沖縄名産らしい。

DVDつきなので今から楽しむ…♪

ISBN:4861139112 単行本(ソフトカバー) 宮良 隆彦 サンクチュアリ出版 2007/10/01 ¥1,890
美しくラッピングされたサランラップのカバーを開け、取り出したのがこれ。
有難う御座います〜ボースンさま〜。

ちょっとぱらぱらと様子を見てみようかな?と読み出したら止りまへん。
まさしく魔の書。

重厚な文章…かと思ったらしっかりこけさせてくれるし。
"捨てられた王女"というのはよく使われる設定だけれど、それだけではない雰囲気をむんむんと感じさせる作品。

こりゃ面白いぞ!と鼻がひくひく動き出した。
(そうか、"捨てプリ"ってそういうことなのか…納得)

顔は怖いが性格は笑えるおとーちゃんのイラストがないのがちょっと残念。

ISBN:4829128739 文庫 榊 一郎 富士見書房 1999/03 ¥546
日本には四季がある。

…というのは気のせいで(笑)
実は、二季だったんだそうだ。
正月からお盆まで。
お盆から年末まで。

いや、わかりやすいなぁ〜って。
でも確かに春と夏の境目はわかりにくい。
秋と冬の境目もどんどんわかりにくくなっている。
今年なんか紅葉は12月だそうだ。

 ここは誰?
 私はどこ?
の世界ではありませんか。

花の咲き方も異様だしね。
最近どこかで桜が咲いたし、萩が終わっているのに百日紅と昼顔と秋明菊が一緒に咲いている。
「狂い咲き」なんてもういえないんじゃないかな。多すぎて。(そして狂わせているのは人間だ)

要するに俳句をひねる為、十二単の色合せで勝負するため(知性と教養をひけらかすため)季節を四つに分けたんかいな?と思わないでもない。
それでも日本人は四季の区別に執着する。
私だってする。
行事や食べ物やなんやかや、それで区切って時間を計っている、しいては自分の年を測っているようなものだから。
その目盛りがなくなると非常に困る。
自分の年の経りかたもわからなくなってしまいそうな、そんな恐怖を感じる、といったら大げさだろうか?

熱帯気候、としかいえない日本の季節で、最後の砦を守っているのは季語かもしれないと思う今日この頃である。

ISBN:4004310067 新書 坪内 稔典 岩波書店 2006/04 ¥903
中身のわりに以外にお安い…ってひとさまに借りといて言う科白ではあるまいが。

先だっての「京都な暮らし」はがちがちに京都人で、京都人であることの条件というかなんというかとっても固くて厳しくて読むのも大変であった。
著者の京都確執度もすごいし。
京都人でもそこまでしてへんし…ってしてなあかんのかいな?とわが身を振り返りつつの、おっかなびっくりの、ひと時(笑)
まあいいけど。

こちらは京都人が"嫌われる理由"であるイケズについて述べている。
イケズに生まれるのではなく、イケズになるのである。
ってどこかで聞いたような洒落で全編進んでゆくのだが、はたしてどうだろう。
そこまで京都人を理解しようとしているだろうか、よそさんは。

実際私も若い頃、腹が立って腹が立って仕方がないとき、ついうっかり"意地悪"をしてしまったことがある。
そうしたらやねぇ。
"京都人のイケズはせんといて!"
と怒られてしまった。
いやあのね。
イケズちゃうし…意地悪やし。
悪意あってしていることやし、そやしあんたも(その悪意が)わかったんやろうし。
いけずやったら…わからへんやろ?
だがしかし、
"こんなん、イケズとちゃうで!"
と思わず言い返した私の本意はわかるまい。
私も若かった。
ストレートな意地悪ではなく、イケズで返してあげるべきだったのかもしれない。
反省。(でも多分わかんないでしょ?)

私は気が短いし、世の中は忙しくなってきたしで、ゆっくりイケズをしている暇がなく、ついついストレートにずばりそのものを申し上げる時も多いのが実情だ。
それなのに、ああそれなのに。
判ってもらえない上、"京都人はほんまにイケズやな"とか言われてしまう。
そやからイケズやない!言うてるやんか、と言っても通らない判らないのでもう沈黙するしかない。
また、さり気にイケズをしても相手に通じないことが多くなってきている。(相手は神戸人であったが)
彼女が席を外した時に、その場にいた京都人だけは「(彼女との間に)一体何があったん?」と身を乗り出して聞いてきたが…されている本人は最後までわからずじまい。
"鈍感ちゃうか?"と思いつつ、こういうときはぶすぶす燻る不発弾を抱えて帰るしかないわけである。

まあそんな感じで不発弾も多いので、最近ではイケズをする余裕もなくなっているのが現状である。
余裕がなけりゃイケズを練る・発射する気力も体力もないしな〜。
淋しい限り。

「京都はすかれているが、京都人は嫌われている。」
その話を聞くたびに「ふふふっ」と笑うのが京都人なんだけど。
そういうところが気味悪がられるのか、なにか腹に一物があると(いや、たいていあるけどさ)思われて警戒されるのか。

まあね。
観光客や学生の下宿ぐらいの短い期間、"一過性"の立場で京都に滞在する分には、イケズを感じることもないでしょう。
腰を据えて住もうというなら覚悟は必要だけど(笑)
それもまた楽し。

だって、どんな地方だってよそ者(新参者)に対する違和感や態度の違い・対処の温度差って絶対あるはずやもん。
京都だけやないでしょう?

文章も面白かったけど、挿絵が最高に面白かったので自分でも買おうかな〜?と思う。
崖から落ちかけた人物が、「俺はいいからおまえだけ助かれ!」と叫ぶのに、其の手を握った崖上の京都人が「そやねぇ」と返事しているのなんか、最高のジョークやと思いますわ。

(こういう本を読むと所々に京都弁が……いろいろ混じってますけど)(笑)

ISBN:4101322716 文庫 入江 敦彦 新潮社 2007/07 ¥380
「ロンドンあるけば」
によると、
トイレ利用にだけ来る
客もいる、とのこと。
なるほど!
そういう利用法があったんや!(←つまり、日本でもやってやれんことはないということか?)

花のパリ(笑)でも一番考えたのは、路上の犬の糞よりもトイレの問題やったもんな。
有料ばっかしやし……
「空港とホテルで済ましてください」
とは添乗員の科白である。
面白い!と思い出すと止らない。
次々シリーズもの(?)を買ってしまうのが私の悪癖でもある。

こいつもたった5年ほど前の本なのに在庫無しとか絶版だとかで古本屋で入手。
千円少々…まあ定価の半額ってとこかな。
古本屋はいいけど、郵便局にいちいちいくのがちょっと面倒くさいと言えば面倒くさい…でも郵便局が(手数料が120円に上がった今でも)一番安いんだよね。

さてと。

文字通りロンドンを歩き回る路上観察者である。
2001年9月半ばから10月初旬まで、でも、もう寒いようだ。
メキシコ湾流もさほどのものではないのか。
行った事がないからわからんが、話に聞くと結構寒いとの事。(冬場は凍るとの事)

マンホールの写真が多いのは著者の面目躍如であろう。ほかにも石炭蓋(石炭貯蔵庫に通じるようだ)やら橋の飾り、松明消し、靴の底の泥落しやベンチの飾り…とよくまあこういうものを見つけるよな、特殊なレーダーみたいな目になっているのだろうと感心しつつうずうずする。
私も旅に出たときは、より一層こういうものに気をつけて見なくちゃ!と決意しているのだ。
そう。
けっこーへんなモノに目が行く、密かに受ける…が私。
と言っても家族も似たり寄ったりなのできっとこれはDNAのなせる業だと思う。
そう思えば諦めもつく(?)というもの(笑)

◆英国人は雨が降っても傘を差さない…?
でも女性は霧雨でもさしていたという著者の観察である。
こうもり傘といえば英国人には携帯必須のブツではなかったろうか?それに雨を我慢してどうするんだ?風邪を引くだけバカらしいと思うんだけどな。(しかも最近は、五条大橋の牛若丸・弁慶像すら溶かすような酸性雨だし)
ただ、小説なんぞを読むと、ヨーロッパでは雨は帽子で避けていたのかも?と思うけれど。

◆電車で寝込む英国人
電車などの乗り物で寝るのは日本人だけ、と私も聞いたことがある。
外国だとそんなぶっそーな真似は絶対しない・できないんだそうだ。
凶悪犯罪が増えたとは言え、日本はまだまだ平和なのかも。
寝ている人からモノを盗むとか、痴漢とか、置き引きとかぐらいやもんな?
どっちかというと、酔ったサラリーマンが終点まで乗り過ごして家に帰れず一夜を明かす…という話のほうが多そうだ。

◆2001年当時であちこちでスターバックス・カフェのお世話になる著者。
ほかにもイタリア系カフェ(スタバはアメリカだけど、出しているものが…と言う意味で)が目白押しで増えているらしい。
歩き回る旅人には好都合だそうだ。
ちょっとファーストフードっぽい匂いもしないではないが、使い慣れた・飲みなれた・居心地の判る場所が外国にあるとほっとするのは判る。

ジオラマ風に名所(ロンドンブリッジとかネルソンの塔とかバッキンガム宮殿とか)をひとまとめにしたオモチャ風みやげ物は面白そう。
でもメイド・イン・チャイナ(笑)
名所図会風に昔作られたみやげ物はメイド・イン・ジャパン。
そういう智恵というか工夫と言うか…は輸入でええわけね?
(確かに日本的というか中国風というか…東洋風だよね発想は)

ところでこの著者であるが。
とりあえず、足で稼ぐ、という旅行姿勢はすばらしいと思うのだけど(私も腸障害がなければ実践するところだ)食べるものが…牛乳好きはいいとして、甘いものや寒い時に冷たいもので済ましてしまえるのが驚異である。
私は我慢できないなぁ。

ISBN:4487796857 単行本 林 丈二 東京書籍 2002/05 ¥2,100

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