清水氏がまじめにこんなものを書いている…と最初は思った。
きっとどこかで"オチ"があるぞ、いきなり名古屋便になったりしてーと失礼・不遜なことを期待しつつ読んでいた。
御免なさいです。

病院へ行くのに一番軽い本を、と思ったので、あっちもこっちも途中なのにまた途中の本を作ってしまう。

アラビアンナイトなので、一話完結。
読みやすいのも罪である。

清水氏流に訳してある…のだろうが、私は小学生向きの「アラビアンナイト」しか読んだことがないので、比較の仕様がない。
清水氏のアラビア訪問記などもそちこちに頭を出していて、それがおもしろい。

それにしても、不幸な目に遭った主人公が「ハッピーな夢」をみることで、「将来はきっといいことがある」と感じること。
「神がそう告げている」と断言し信じ、強く生きてゆこうとすること。
なんて純真で前向きなんだろうか、とほとほと感心する。
イスラムの教えってこういうことなのかなぁ?
信じなさい。
前のみを見て歩きなさい。
この夢はおまえの未来。
生きて行きさえすれば、いつかこの夢が夢ではなくなる。
そういっているようだ。

そしてまた、まったりと濃い挿絵はアラビアンでいいかも。
ターキッシュブルーのモスクの絵は素晴らしく美しい(「タイル職人とコウノトリの話」より)ので、こういう色合いも(服を編む毛糸に)ちょっといいかも、と外した思考をしている私である。

ラストの話がフンババなのが笑えたか。
そういう落ちね。
成る程上手く纏めたなぁ。
毎年一回はイスラム圏へ"安全なパックツアー"旅行をしてきた著者。
ちょっと羨ましい、と思った。
さすが儲けている自由業はいい。

ISBN:408746203X 文庫 清水 義範 集英社 2007/08 ¥650
なんて本まで買ってしまった。
鉤針編みオンリー本で、やり易そうな素材が一杯だったから。

鈎針の足りないのを買いに行った某デパートの手芸品売り場でのこと。
ああいうところって、罠が張り巡らされているよね。
あれもこれも、「あ、いいなぁ」「やってみたいなぁ」と思うものがいっぱいある。
あれも罠。
これも罠。
判っちゃいるけど罠に掛かる…。

表紙のケープはモスグリーンの綺麗なやつ。
色は違えど…で先だって友人に作って戴き(つまり手作りである)、腕やら胸やらにチューブを一杯つけた入院中に随分お世話になったそのものではないかと……思った。

セーターやカーディガンは勿論、帽子やミトンなんかも題材に上がっている。
鈎針もバカにしたものではないと痛感する。


ISBN:4277172121 大型本 雄鶏社 2007/08 ¥987
◆中央テレビと言うところが放映していた人気番組、食品に対しこんな違法行為が行われていると言う暴露番組は、いきなり中止となる。
政府の規制がかかったのだという。

◆「郷は県をだまし、県は市をだまし、市は省をだまし、省は中央をだます」が中国流。「(括弧内のことば)」は中国で流行っている民謡。

◆「中国における農業生産は、人口と言う巨大な圧力と供給不足の過去を背負っていることから生産高の向上をずっと追求してきた。そのため品質の管理をおろそかにし、安全基準を下げすぎている。」
「たとえば、果物や野菜をなるべく早く出荷するために、生産者は、促進剤やホルモンを使って生産高を上げ、品質や食感と安全氏を落とし、はなはだしくは消費者の健康と生命を脅かしている。」
       (国務院発展研究センター副主任・陳錫文教授)

◆タンパク飼料に許容量以上のメラミンが添加され、それによってアメリカのペットフード食中毒事件が発生、メラミン製造メーカーは、
「この種の添加剤を禁止する法律はないから、みなが使っている。事故さえ発生しなければ、規定は要らないはずだ。」
       (福建省三明県輝化工有限公司・総経理)
そして、責任を取って死刑となった官僚には「アメリカの犬どもに殺された」という同情しか集まっていない。
それは、中国政府全体の問題を、役人ひとりの汚職というものに摩り替えて決着をつけ、「これで問題は解決した」とするからだ。

◆これだけのことを暴露する著者はいまだ中国に生活している。身の危険を心配する訳者に対し著者は「突然の自動車事故には気をつけています」と語った。

その著者が曰く、
北京や上海のような大都会でも、普通の家庭で購読しているのはテレビ番組の新聞、いいところで夕刊紙です。読書する人は非常に少ない。読む本といえば金儲け成功法、仕事促成術、人の心理の読み方術のたぐいです。食べているものもゴミ、精神や心の糧もまたゴミなんです。この民族は滅亡するかもしれませんよ。どうしてこうなったのでしょうか。制度の問題なんです。制度がもたらした欠陥です。


制度⇒政府⇒政府を監視する目⇒国民 がしっかりしないと、やはり国は滅びる。
そういうことである。
日本だって危ない。
 

星野流

2007年11月12日 読書
「またまた〜」
とか声が聞こえてきそうだが、それも仕方がない。
本当の本当に衝動買い。
店頭で見つけて、ページもめくらずに買ってしまった1,470円也(笑)

仙ちゃん(と我が家では呼ぶ、済みません監督〜)と言えば「上司にしたいベスト1」で有名だが、私もその一人。
信念が、言いたいことがはっきりしているし一本筋が通っている。
仕事に対しては厳しくて、成果も出さないと「何年やっているんや!」とか「やる気あるのか!」とか「ないならやめてしまえ!」とか言われそうだが、そういうのは良いの。
遣り甲斐のある仕事をさせてくれそうだから。

厳しいのが嫌なのではなく、言うことが右往左往して責任も取らない(逃げることばかり考えている)いい加減な上司の存在が許せないんだから。
部下としてはね。

この本は、一応人との繋がりとか人の心を掴むこととか、サラリーマン向けのビジネス書のような顔をしているけれど、私は違うと思う……これは彼の本音。
彼の人となりであって、表向きのええ格好しぃの口先だけのビジネス論じゃぁないだろうと、読む前から(笑)思っていたりするわけだ。

だから、ほかにもぶっとい推理小説とか読んでいる最中なのに、ほっぽっといてこっちに浮気したりするのだよ、明智くん、もとえ、有栖川君(ごめんね)(笑)

大丈夫。
仙ちゃんの文章は読み応えもある。(カーブやフォークのような技巧派ではなく、重いストレートでどまんなかにずしんと来る)
たとえばこんなサイトも

 ⇒ ⇒ http://hoshino.ntciis.ne.jp/

早々に読んで、母や妹にもまわす予定。
二人ともてぐすねひいて待っている。

さあ、北京オリンピックは目の前だ!

ISBN:4418076026 単行本(ソフトカバー) 星野 仙一 世界文化社 2007/11/08 ¥1,470
由布院は一度は行ってみたい温泉である。
ただし、いつになるか皆目検討が突かぬ。
なぜならば、有馬温泉と同じ理由だ。

有馬温泉が高いと有名なように、由布院も金が掛かると聞いている。
それはきっと……

?上等な旅館ばかりが並んでいる
?上等な(金持ちの)客ばかりが行く
?宿泊施設以外に散財させる何かがある

?の要素としては、有名な特急の存在があると思う。
オリエントエクスプレスに似た深い緑の車体。
がっしりとした大陸風の、列車。

……私は"鉄子"ではないので、なにがなんでも、というほどの興味はないが、どうせ同じ乗るならそういう列車に乗ってみたいという人並の興味はある。
こういうところでお金を使うんじゃないだろうか?
きっと。
勝手にそう想像することにした。

 ちなみに、鉄子っていうのは、女性の鉄道ファンのこと。
 先だっての新聞にそう書いてあった。
 どこかのJRが、"鉄子"むけに可愛らしいストラップを発売したとのこと。
 ストラップの題材は、鉄道標識とか(?)先頭車両についている行き先表示板とか(?)そういうマニアックなものらしいが……

事件は日本人女性と結婚したアメリカ人の夫が、旅行先の旅館で妻の殺害容疑者として逮捕されたところから始る…が、ほとんど差別的発言では?と思われる担当刑事のことばもある。
?現地に知り合いがいない、?物取りの仕業ではない、?力の強い男の犯行、と言うだけで同行者である夫を疑うわけ?
でも実際そんなものかなぁ?
だとしたら恐ろしいが。(外国で犯罪に巻き込まれた日本人もまた同じ目に遭うということだ)

十津川警部は友人である(と思っている)アメリカ人の彼の容疑を晴らすことが出来るのか?というか、彼を無実と信じることが出来るのだろうか?

人は人とどれだけ深く付き合えば、どこまで深く彼(女)を知れば、彼(女)を信じることが出来るのか。
そのボーダーラインってなんだろう?

(追記)
ちなみに十津川夫人の直子さん(専業主婦)は、英語がべらべらなのであった
夫である十津川警部に代わってアメリカまで容疑者の背景を聞き込みに出かけておられるのです。
すごい。
羨ましい。
格好いい。

ISBN:4198926956 文庫 西村 京太郎 徳間書店 2007/11/02 ¥620
スウェーデン人と結婚し、南フランスに住む著者が、英国やアメリカの人とは違ったヨーロッパ人の目で日本を見直したエッセイ集。
エッセイというほど堅苦しくなく、アーチストという仕事を持ったおばさん主婦が、ヨーロッパで出会った人々に指摘され、「そういえば」と、振り返って日本を眺めている。
だが、「私は日本人なんだから」と日本を批難されると擁護の回る、"まとも"な神経の持ち主、言い方が悪ければ、バランス感覚のある人なので、厭味も欧米に対する妙なへつらいもなく描かれた文章には清々しさを感じるのだった。

昨日買ったところで、今読んでいるごっつい本もあるので後回しにするつもりが、「ちょっとだけ」と就寝前にぱらぱらめくったのが運のつきだった。

ヨーロッパでであった外国人…とはいっても、フランスゆえにか(?)フランスが嘗て統治した植民地から出稼ぎに来た人や移民たち、そういう人たちとの出会い、会話が中心なので、その辺がちょっと違う。
英国に行った日本人が生粋の英国人と対等になったつもりでエッセイを書く、意見を述べるわけではないのだろう。

だからこそ、「貴方の国のマスター・カントリーは?」と聞かれたとき、著者はショックを受けた。
私も受けた。
マスターカントリーってなに?
って思った。
ご主人様の国=つまり自分の祖国を植民地としている、支配者の国のことだ。

日本人だったら、
「マスターぁぁぁあ?誰があぁぁあ?」
と思わず唾棄しそうなことばではあるが。
彼らにはそれは普通に使われることばである。
あからさまな差別だと思うんだけどな。

そうか、アジア・アフリカでかつてマスターカントリーを持たなかったのは、本当に珍しいことなんだ。
「日本・タイ・エチオピアぐらいかなぁ…?」と
スウェーデン人のご主人がそのように挙げている。
(ほんまかどうか、調べてませんが)

植民地にならなかった日本は、植民地になった国の人々の感覚は想像が出来ないし、その危機感もない。
第二次世界大戦の敗戦でアメリカに"占領される"事はあっても"植民地にされる"という認識はなかったらしい。

暢気と言えば暢気。
世間知らずと言えばそうなのだが……だから、間の抜けた平和論を展開すると思われているのだろうか?
危機感がない?

ヨーロッパの移民達は、いまだ酷い差別を受けて、"ゲスト・ワーカー"なんて慇懃無礼な差別的呼称を付けられているらしい。
日本人がヨーロッパで働いているからと言ってその呼称は絶対使われない。
"そういう意味"のことばだ。

否。
そういう国だからこそ、言えることも出来ることもある、という著者の意見に私は賛同する。

肩肘張らずに、でも冷静に彼方のヨーロッパから日本を見つめている彼女。
だからどうとかこうとか…感情的にならず、憤らずに一歩引いて「でもね」と小声で呟いている。

はるか彼方の空の下で、目の色言葉思想環境の違う彼らが日本のことをなんと思っているか、単純にそれを知るだけで面白い。

やっぱり日本人って…摩訶不思議らしい。


そしてまた。
思わぬところで昔フランスで起こった日本人がらみの(というか日本人が犯人の)カニバリズム的殺人事件のその後の話を聞いてしまった。
政治的、というか経済的取引…金持ちは長生きするってこういうことも言うのかなぁ。
なんだか、釈然としない。

たしかにコレ(↑)が日本人、と思われたら"不可思議人種"と思われても仕方がないだろうけれど。


ISBN:4062724480 新書 デュラン れい子 講談社 2007/07/20 ¥880

京都手帖2008

2007年11月10日 読書
去年本屋で見かけて「こりゃ便利だわ」と買った手帳。
手帖だから、予定を書いたり日記代わりに使ったり……なんだけど、これの凄いところは、京都(市内)の行事を網羅していること。

ああ、観光京都らしい宣伝たっぷりの手帖だわぁと思っていたら、今年ももうコレが出る季節となってしまった。
今年はまだ手帖を買っていないので、悩んだ挙句ダブってかった去年よりはマシな状況であるが。

同じ棚には京都の行事日誌のような予定表のみを綴ったような本(?)も出ていて、これを買って観光客が押し寄せてくるんかいな?と思うと怖い。とっても怖いのであった。

地味〜な行事までばらさなくたっていいだろうに…というか、京都の場合は完全なる観光行事ではなく、"まだ"宗教行事"なのだから(例えば葵祭りも祇園祭も)そこらへんはしっかり尊重して貰って、マナーも守って欲しいですね。

でないと…

「祟られるよ」(笑)

ISBN:4838103883 単行本(ソフトカバー) 光村推古書院編集部 光村推古書院 2007/10/31 ¥1,050
表紙の紺のスーツが鉤針編みである、と言うのを発見して、思わず買ってしまった一冊。

編み物はおおよそ30年…以上やってませんが(笑)

こんな私が出来るでしょうか?
嗚呼、天よ(笑)

とりあえず、簡単な鉤針編みの、モチーフモノからでも初めて見ようかな、と考えている私。
ごっつい毛糸でもっさもっさ編めば、なんとか飽きずに放り出さずにやれるのではないだろうか…?と思っている。

でも最近毛糸専門店というか手芸屋さんと言うのをめっきり見かけなくなったなぁ。

安い毛糸を捜さねば。

デパートのお高い毛糸は現状の私には勿体無い…!(笑)

ISBN:4529044971 ムック 日本ヴォーグ社 2007/10 ¥1,260
付録(おまけ)のネコポーチが目的の、我が妹が買った雑誌。

季節がら、蟹特集だ。
蟹…間人蟹が食べたいよなぁ……とか思いつつ、旅行雑誌をぱらぱらめくる。

12月恒例の、神戸のルミナリエ対策、神戸のホテルも掲載されているが今からでは遅いのではなかろうか?
よほど高級なお部屋なら空いているだろうが……あの時期どこのホテルも一杯だもん。
毎年毎年。

おお。
東京ディズニーワールドも特集か。
長いこと行ってないよな、ここも…ふぅ。
それどころか。
USJも長いことご無沙汰だわ。
プラチナパス所有者だってのにさ…(笑)

ISBN:B000WZJJYQ 雑誌 リクルート 2007/11/01 ¥300
気がついていたんだけど、ホンモノ(実物)を見てから決めようと思っていた本。

写真集、の意識でかったんだけど、文章も沢山ついていてラッキーだったかも。

鍋猫、なら鍋の好きな猫。
猫が名詞だから、と思うんだけど、ネコ鍋と言うとネコの鍋……「食べるんかい?」と思ってしまうネーミング。

東北のとあるおうちに飼われている2匹の成猫と4匹の仔猫。
その仔猫が、まず鍋で丸くなりました。
成猫も興味をもち、真似をして丸くなるようになりました。
火鉢の中で。

一つの鍋に一匹ならまだわかるけど、二匹入って大盛り、三匹なら特盛り、次はもり盛り……となんだか凄いわこのネーミングと感覚は。

見事に丸まって鍋に収まっている写真をみると、ついついふたをしたくなる(笑)

写真も飼い主さんが撮っているからリラックスしたすばらしい表情の猫たちがいっぱい。
羨ましい、と思うのはこれ。
私だったら望遠で狙うしかないからねぇ。

ISBN:4576072064 単行本 奥森 すがり 二見書房 2007/10 ¥1,260
桜とSL(蒸気機関車)と中年の男女の姿。
2歳半の人間の記憶をどこまで信じてよいのだろうか?
かすかに覚えているその記憶を信じて、天涯孤独の青年は日本中を巡る。
己のルーツを捜し求める旅に。
そして執拗にくり返される誘拐事件。
青年を狙う男達の目的は何か?

隠された誘拐事件。
隠されたルーツ。

己の不幸を社会のせいにし、他人に転嫁し憂さを晴らす。
不幸のループは際限がない。
どこかで断ち切るしかないのに…。

それは誰かが纏めて飲み込まなくてはならない濁流に似ている。

自分のルーツ。
自分が何者か。

それだけでも知りたいよね……

例えば。

中国残留孤児は、お金が欲しいのではない。
皆が皆、日本に移住したいわけではない。
ただ、自分が何者か、どこから来たのか、それが知りたかっただけなんだろう。

人は獣とは違う。
ほかの生き物達とは違う。
社会性がある、という、まさにその通り。
人と人の間に有って生きてゆくものだから、自分の立ち居地を確認しながら生きてゆくものだから、本当の<孤独>になったら生きてゆけない。

家系図、とは言わないまでも、自分の家族は確認したい。
実際、確認しつつ生きているのではないか。
だからこそ、幼少時に「自分は他所のうちの子供なんだ〜」症候群に掛かるのではないだろうか?
ふとそんなことを思ったりした。


ISBN:4041527775 文庫 西村 京太郎 角川書店 2007/10 ¥540
人が入院している隙にでていた…のを先日気がついて注文・購入・
久々に本屋まで出かけて(バス停2つ分)引き取りに行ってきた。

最近は晶の出番が多く、その分バランスをとるためか司の出番が減っている。
とは言え、肝心なところは司が勤めるので、やはりこの二人相性がいいのかなぁ?
(作者の意図は?)

晶のほうは「40歳まで互いに独身だったらいっそ…」とヤケクソに律に言っているあたり、ぜんぜんその気がないと良く分かる。
40歳ってなにかのラインが引いてあるのかな?
昔はクリスマスまで(24歳)と言い、その次はお正月まで(31歳)とか言っていた。
そうか、時代が移り変わって、今は40歳なのか。
…と妙に納得したり。

そして、開伯父さんと絹お母さんの出番も増えている…というか開さんの霊能力者としての活動は絹さんと連動しているような気もしないではない。
もしかして、一番近いのでは?

出番の多さに比例して、この物語でえは酷いめにあう率が増えるのだが、ご多分に漏れず絹さんも随分酷い目に合うようになった。

三郎さんの思い切りの良さと(そんなものに魂を移して本当にいいの?)開さんの居直りが素敵であった。
で、お盆の時に孝弘お父さんが還ってこない理由もわかったしね…(笑)

ISBN:4022131020 コミック 今 市子 朝日新聞社 2007/11/07 ¥798
夕方になると、決まった木にすずめが集まってぎゃあぎゃあ騒ぐのに遭遇することがある。
それを"雀合戦"というのだそうだ。

何百羽?
いや、何千羽?
と思うようなすごい数である。

へえぇ〜。

20年ぐらいまえ、入院中の無聊を慰めてくれたのが、病院の隣の庭に立つ木に集まる雀達の雀合戦だった。
木は毎年変わるらしく、翌年同じ木には、たからないらしい。
すずめにも好み、否、流行が有るんだろうか。

その後、町中でも一本の木に寄ってたかってぎゃあぎゃあやっているのをみたことがある。
会社の近くの、大通りに面した、煩い上に排気ガスで臭い・汚い場所だったんだけど…そう、拘らないのね。

尤も、そのときは車の音より雀合戦の声のほうがすごい騒音だったけど。
私は嫌いではない。
なんだか
「生きてるよな」
って感じで。

夜中に騒ぐ若者達のわけのわからんろれつの回らない怒鳴り声よりはるかに美声である。
◇狐が銀座を爆走。捕まって狐鍋に。

◇助けた狐が恩返しに母親を失った乳飲み子に授乳。家人見つかり逐電。 ← 信太狐か?長じて霊力を発揮したりして…(笑)

◇狸が(浦島太郎のカメのように)子供に捕まって苛められ、助けられて飼い狸へ。

◇餌を貰った狸がお礼にお金を運ぶ ← 注目!(笑)

◇狢(むじな)が弁当泥棒。捕まってしんみり。

……こう並ぶと、明治時代の東京って中国の昔話の世界に酷似している。
お隣の国を笑えないよな。

野性味溢れる首都で結構である。
おまけにどいつもこいつも元気、というか激しい、というか怖い、というか。
皆、開発によって山へ山へと追いやられたり死に絶えたりしたんだよなぁ。

&やたら巡査に飛び掛って切り殺されたり殴り殺されたり捕まったりしているのが狸である。
巡査になにか恨みでも…?

当時の巡査はなかなか武闘派だったということは、たしかなようだが。(むやみやたらにサーベルを振り回すのもどうかと思うが、まあ大日本帝国憲法下だったし…)
明治時代の新聞は、国会図書館で読める。
国内の出版物はすべからく収蔵されるという天下の国会図書館である。
考えると(いや、考えなくても)、すごいですね…。

その、明治時代の動物がらみの珍事件を纏めたのがこの本。
さすが、路上観察者(笑)
目の付け所が違う…。

狸に狐に…化かされた人間。
被害にあった人間のことが記事になるのだ。
のどかな時代だよねぇ。

雷獣、の記事も珍しくも面白い。
雷がなって落ちたとき、その落雷現場付近で発見される獣をそう呼んだ。
多分その獣たちも雷に吃驚した被害者ならぬ被害獣だったんだと思うんだけどね。
捕まって、見世物になったりしている…かわいそうに。

トンビが仔猫を攫い、その途中カラスに追われて仔猫を取り落とした…のが、天から得体の知れないものが落っこちてきたのを、
「すわ、かみなりさまか!?」
と驚いている娘さんの記事も載っていて微笑ましい。

ちなみに京都市内でも少し前まではイタチが跋扈し、山科へ行けば野良狸が出没。
大阪の南方の山ではなんと野良アライグマが…!

冗談ではなく、ほんまの話です。

ちなみに狐を捕ると、売った・買った…で、狐鍋なんだって。
文明開化で鍋が流行ったから……

ISBN:447939107X 単行本 林 丈二 大和書房 2004/03 ¥2,100
う〜む、なんと言うか……
ネタばらしがあるっていうのはいいんだよ。
承知で読むからさ。

でもなぁ…なんかいまいち、個人的趣味に走りすぎているのか、異様に読みにくいのが難。
著者と同じくらい、そこまで読み込んでいないと、文章の妙が理解できないのかなぁ?
だとしたら、番人向けの本じゃないよな(笑)

ちょっと置いといて、熟成させてからリトライするか。
そう、カレーのように……(笑)

ISBN:4488015220 単行本(ソフトカバー) 石上 三登志 東京創元社 2007/01/30 ¥2,205
エジプトに始る地中海のなかの思想・哲学の体系的流れを頭の中で纏めるにはとってもいい本…だと思う。

最後のほうにノストラダムスが出てくる辺りがご愛嬌。
失礼。

著者はあくまでも真面目なのである。

ISBN:4004310156 新書 樺山 紘一 岩波書店 2006/05 ¥777
この題名を知ったのは、映画になった時のこと。
でも見なかった。

仏領インドシナ…と言えば、今のベトナムのこと。
日本が丁度攻め込んで占領した頃、その前後が舞台。

現地に住む5人家族の、その中の末っ子でたった一人の娘である彼女が主人公の話。
父親が生きているときはそれなりに裕福だったようだが(写真を見る限り)父が死んで、女学校の校長をしている母親が切り盛りをするようになったときにはかなり貧しかったようすだ。
それでも、使用人はいるし、遠くの寄宿制の女学校には通っている。
そこらが、白人の白人らしいところ。
そう、彼女は生粋のフランス人。
15歳の時、彼とであった。

中国人華僑で、父親は大金持ち。

そして彼と彼女は愛し合う…だったらいいんだけど、彼女は彼の愛人になったのだった。

…出、私は恋愛小説は読まないので、「どうすっかなー」とおもったのだが、フランス人は理性的。
理屈屋で有名。
だから…というわけではないが、とうとうと語られるものがたりは大陸の川の流れのようにゆったりとだが確実に進み、あっという間に読み終えていた。

繰り返し語られるシーンの連続。
出会いのシーンも印象的だが、別れのシーンはもっと美しい。
これだったら、映画に、映像化したいかも、となんとなく思う。
彼女もそうだった、船が最初の別れの声をあげて、懸け橋があげられ、タグボートが船を曳いて大地からひきはなしはじめたとき、彼女も泣いた。涙を見せずに泣いた、彼が中国人で、そんな種類の愛人に涙をそそいではならぬときまっていたからだ。自分の抱く苦しみを母にも下の兄にも見せずに、まるでこれが彼らのあいだでは慣れっこのことだというように何ひとつ態度に出さずに。彼の大型自動車が来ていた、その長く黒い姿のまえに白い服を着た運転手が立っていた。自動車はフランス郵船会社の駐車場からすこしはなれたところに、ぽつんと一台だけ停まっていた。それらのことが手掛りになって、彼女にはあの車だとわかった。ほとんど見えぬあの車だとわかった。ほとんど見えぬあのかたち、それが後部座席の彼だった、打ちのめされ、身動きひとつしなかった。彼女は、渡し舟の上での最初の出会いのときのように、手すりに肱をついていた。彼がじっと見つめていると、彼女は知っていた。彼女も彼をじっと見つめていた、もう見えなかったが、それでも黒塗りの自動車のかたちのほうをじっと見つめていた。それから、とうとう自動車ももう見えなくなった。港が消えた、それから大地が。

というように、滔滔と文章は続く。
なれないと、ちょっと読みにくい家も知れないが、写すほうがもっと大変(笑)

そして再会のとき
戦後何年かたったころ、(中略)、男が妻と連れてパリに来た。男は女に電話した。ぼくだよ。女は声を聞いただけでわかった。男は言った、あなたの声が聞きたかっただけでした。女は言った、あたしよ、こんにちは。男はおどおどしていた、以前のように怯えていた。男の声が突然ふるえた。そして、そのふるえとともに、突然、その声は中国訛りを取り戻していた。女が本を書き始めていたことを男は知っていた、サイゴンで会ったお母さまから聞いてね。それからまた、下のお兄様のこと、お気の毒と思いました。それから後は、男は女に何も言うことがなかった。次いで、男はそのことを女に言った。男は女に言った、以前と同じように、自分はまだあなたを愛している、あなたを愛することをやめるなんて、けっして自分にはできないだろう、死ぬまであなたを愛するだろう。

と。
この辺を如何に演出するか、映像化するか、遣り甲斐も見甲斐も有るだろうなぁと思うのである。

ちなみに、フランス本国と仏領インドシナを結ぶ汽船の名前は、ダルタニアン・アラミス・ポルトスというのだそうだ。

ちょっと笑った。

ISBN:4309460925 文庫 清水 徹 河出書房新社 1992/02 ¥599 
京都人の京都思索家。
それが著者である。

現在はロンドン在住とは言え、時々帰京しているようだし、流石によく知っているだけに…怖いし臨場感があるし。
最近はよく出るよね、この人の本。

さて。
怖い、というので、京都独特の"しきたり"とか"いけず"の話かいな?と思ったら、ほんまに怖い話まであった。

所謂、ユーレイ・スポットとかね…"出る"話ですわ。
「ええ〜い!せっかく忘れた振りしてたのに〜!」
と思い出さされて、とっても嫌な気分になったものである(笑)

宝ヶ池に抜ける狐坂、なんて小学校時代の遊び場やんか。
(よくどんぐり拾いに行ったものだ。"墓場"に)(笑)

くっそ〜(笑)

恨むで、ほんまに。

ISBN:4104675040 単行本 入江 敦彦 新潮社 2007/09 ¥1,365
シャーロック・ホームズの兄、モノグサ〜のイメージのあるマイクロフト・ホームズの冒険譚である。

………
いや……どっちかというと、彼の秘書の冒険譚だろうな。
一人で危ない目にあっている上に、最終的には婚約破棄までされてしまうかわいそうな青年。

本には冒険心に目ざめて、「これからも仕事を言いつけてくださいね♪」なんてエエ調子だが。

そう思うと、やっぱりマイクロフトは自分ではあまり動かないのいかもしれない。
とりあえず、現場までは出張してきているからそれはいいとして。
最後の最後で屋敷に忍び込んだり大荷物を運んだり、とそれなりに働くのだが。

やっぱり、安楽椅子探偵がお似合いだろう。

ISBN:433476181X 文庫 仁木 めぐみ 光文社 2007/09/06 ¥700

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