二巻目のお言葉。
『だれだって、たたけばほこりはでる』

そんなつもりは無く、青春の迷路に迷ってしまった(笑)主人公を評して、監督が言う科白である。
若さゆえにそんな主人公を許せないナインたちに、監督がびしっと(!?)決める科白なんだけどね…。

おいおい〜(笑)
野球に情熱を欠ける高校生にそれを言うなよ。
つうか。
納得するな、君らも。

あいかわらず、些細な心の動きをここまで宇宙的に表現されると、笑うしかないというか。
さすがというか。
「そうかな?」「そんな気もしてきた」と思わせる、恐ろしい漫画家である(笑)

医者まで熱血だから(殴りこみにも対処できる外科医はすごい)息つく暇もなく、怒涛の感動の渦に巻き込まれるのである。

因みに甲子園へはいけるのか?
対戦相手の試合を見て、脱げ出すような逆境ナインに…で、「逃げてゆくのは全力楽園のやつらだ!」とフツーにばれているところが大爆笑。

ISBN:4091573320 コミック 島本 和彦 小学館 2005/04 ¥560
ボースンさまからの借り物。(いつも有難う御座います)

で。
流石と言うか…島本節はここでも炸裂だ。
自分の思いのままにならない状況や、こまったちゃんな状況に置かれた時、それを逆境という……つうてもですね、あんまりですがな。
この状況は。

定数ぎりぎりの野球部というだけで非情に危なっかしいと言うのに、廃部寸前、条件は甲子園出場、赤点・補習と学生特有の罠が待ち受ける。

キャプテン不屈闘志はそれらの障害を切り抜けられるのか?!

主人公の天邪鬼振りが可愛らしくも素敵な漫画である。
続刊が楽しみ〜♪

1巻のお言葉
『それはそれ、これはこれ』

義理と人情の板ばさみになった主人公。
情けは情け。
勝負は勝負。
で、出てくるのがこの言葉なんだけど。
なんだかちょっとニュアンスが…?
島本さんの漫画になるとどうしてこう、感動から一歩横にずれた笑動になってしまうのか。



ISBN:4091573312 コミック 島本 和彦 小学館 2005/04 ¥560
日本人の原点…というのは煽りすぎだろうが、衛生状態も悪く子供の死亡率も高かった昔(この場合は江戸時代)以下にして人々は、庶民は子供を守り育てしつけたか…というのを書いたのがこの本である。

オーストリーのマリア・テレジア女帝も十数人だかの子供を生んだが(しかも君主としての政務の合間だ、すげーすげー)半分も育たなかったんじゃなかったかな?
ま、ヨーロッパというところは、其の華やかで煌びやかな外見とかイメージに反してかなり汚かった(ベルサイユ宮殿にトイレがないという話は有名)し衛生観念も未発達だったから仕方がないとして(?)日本はわりにきれいだった…ハズ。
お風呂も好きだし、無けりゃ行水はするし、ただ病気と言うものに関してはまだまだ呪術が大手を振っていたからなぁ。
病気にかかったら、助かる確率は少なかったかもしれぬ。

子供の七五三なども厄払い。或いは子供が「ここまで育った!」というお祝いの意味が大きい。
呪術的といわれればそれまでだが、「南総里見八犬伝」の犬塚信乃なんかも、小さい時は女の子として育てられていた。
漫画「百鬼夜行抄」でも、主人公の律は男の子なのに女の子の衣裳(着物)で育てられたが、その理由は「丈夫に育つから」
このように、呪術的な厄払い、ワルイモノを祓う、という思想は、現代日本でも充分「認証」されていることである。
別に驚くことではないのだろう。

…というわけで、ちんたらつらつら読んでいるのでまだまだ序章なんである。
(だからあまり書くことも無いのだった)

ISBN:4396110685 新書 中江 克己 祥伝社 2007/04 ¥777
ちょっと気分がマシなので、書いてみる。

☆ ☆ ☆

表紙は東尋坊である。
断崖絶壁である。

海は日本海。

冬に行けば、なにが吹雪やら、波(飛沫が風に乗って飛んでくる)やら、わけがわからん!というぐらい、ぐちゃぐちゃのびしょびしょの凍える天気に見舞われること間違い無しである。
経験者が言うのだから間違いなし。

私らは、それでもクリスマスの頃だったからましかも……大学の卒業旅行だったのだ(何を考えていたのだろうか?ふつーの女子大のフツーの史学科だったはずなのに)
ここと、冬の永平寺のセット……凍えてて倒れるかと思いましたよ、ほんまに。
永平寺行きの電車なんか、私らしか乗ってなかったし。

その東尋坊だが。
冬に行った時、風に押されて海側に、つまり崖側に押し出される感じがした。
しっかり踏ん張ってないと、そのまま崖から海へ…!
自殺の名所だが、自殺する気なんかなくても充分危ないところである。
「ここで死んだら卒論の出来を悔やんで死んだと思われる〜!」
と叫んでいた初々しい頃が懐かしい私であった。
ふぅ。

で。
その東尋坊で死体が上がりまして。
その人の家では奥さんが殺されてまして。
無理心中かと思われました。
でも…!
なんかへんだよ、これ。
と我らが十津川警部は納得しない。

上司に締め付けられつつ(でもここの上司はまだ物分りが良いと思う)真相を追い求める警部。

「多分これ(の奪い合い)が原因」と思われる証拠写真が出ないまま、5人6人と殺害される…その不思議さと言うか。
最後まで不思議な感じの物語であった。

それにしても、簡単に、人を殺すよなぁ。
小説でも、現実でも。

ISBN:4758433100 文庫 西村 京太郎 角川春樹事務所 2007/09/15 ¥560
番外編、その第二弾。
あと一冊で終わりなんだそうだ…面白いのに。

エマが最後にお世話になったドイツ出身のご夫妻…ヴィルヘルムと細君の馴れ初めとか若いときとか、可愛らしいお話をメインに収録。
ちょっと大人のテイストも混ぜつつ、あの二人にもいろいろあったんだよなーと思わざるを得ない。
旦那さんのおひげは奥様の要望。
理由は………だから。

面白かったのは、ウイリアムとインドの王子様ハキム・アタワーリ殿下との馴れ初め…じゃなくて、出会いの話。
ほほぅ……とおもわずにやりとする。

メイドさんのお話はちゃんと一本入っているが、メイド好きの作者としては物足りないのでは?と思わざるを得ないのであった。

ISBN:4757737262 コミック 森 薫 エンターブレイン 2007/09/25 ¥651

六甲山房記

2007年9月29日 読書
中身はエッセイで、作家である著者が中国大陸を訪れた時の有様(まさしく!)や文物など、経済の化け物となった現中国からは遠くはなれた桃源郷のような中国を描き出している。
(注:桃源郷=天国、極楽ではない。ひとそれぞれ)

何も考えなくても読めるし面白いし、でも何も残らないわけではないので、ちょっと元気が出てきたときによく読む本である。

あ〜あ。
やっと炎症熱がましになってきたよ。
麻○患者の様に両手に注射の(点滴なんだが…)後を紫色に腫らせているんだから、それだけの効果はあって当然ではあるが、そうはならないのが治療と言う奴であり人間の身体の神秘ってやつだからなぁ。

ISBN:400260005X 新書 陳 舜臣 岩波書店 1990/03 ¥734
歴史論争は数々ある。
時代によっては覆されたりもするので、今の定説が100年後、否、100年後に定説かどうかはわかったものじゃない。

その説を強固にするために、さまざまな証拠品がひつようなのである。

証拠品……つまり、"ブツ"。

後漢の光武帝から貰った金印は福岡県の島の畑から見つかった。
これは江戸時代の話。
「漢委奴国王」
である。

で、もうひとつ。
邪馬台国の卑弥呼が曹操が打ち立てた魏の国に使いを送ってもらった親魏倭王の称号。
これもきっと印章をもらっているはず……とまあ、それが二つ目の金印というわけだ。
この辺の話の展開はわからないではない。


だが話の始まりはやはり殺人事件。
しかも首なし死体〜である。
しかも三体。

首なし死体を見つけるのと、生首を見せられるのとどっちがマシだろう?
なんてことも考えてしまう事件である。

一つのことに没頭すると後先見えない人はままいるが、善悪の区別がつかなくなる人がいるというのはホンマに困り者である。
自分が正しいと思い込み、反対するものは間違い。
悪いことは敵対者が原因と、今時の若い子のような、何を考えているのかわからんいい年をした人というのも多い。
毎日のニュースはそういう人たちで賑やかであるが、せめてこういう小説の架空世界の話だけにしておいて欲しいものだ。

ああ、臨場感なくなるか……。



ISBN:4396208332 新書 西村 京太郎 祥伝社 2007/09 ¥860
殺人事件3件を己の犯行と決め付けられた女性。

それを企んだ男女の正義感や思いや優しさや、人間らしさはどこへいってしまったのか?

自分の罪を他人に着せる。
そんな犯罪はボロが出てきて当たり前だと思うけれど、世に冤罪は多い。

アメリカなんかじゃ、無実を訴えたまま電気椅子で殺されている。
民主主義といいつつ、人権尊重といいつつ、この野蛮さは、中国といい勝負ではないか。

そういや、ちょっとまえ、麻薬所持の日本人が北京で捕まったとか言ってなかったっけ?
あれも怖いよなぁ〜。

外国人だから、という特別待遇は無いだろう。

東南アジアに麻薬を持ち込んだオーストラリア人が死刑に処せられたのは○十年程まえのことではなかっただろうか?

なにはともあれ。
被害者が加害者となり、不幸な人が不幸をもう一重背負って不幸で終わる。
救われない物語である。


それにしても、流氷の漂う網走。
私が行った時は海岸に浜木綿が咲いていた。

冬の北海道…ぶるるっ。私にはむりだ。


ISBN:4062758504 文庫 西村 京太郎 講談社 2007/09/14 ¥650
随分前の話。
中国では身内に犯罪者が出た場合、親兄弟親戚中力をあわせて隠し通した。
と聞いた。

それが人として、親子の家族の情として当たり前のことであると。

それに対して日本では、「世間に顔向けできない」と法務機関に引き渡した。
或いは「こんな子供に育てた責任を取る」といって無理心中もやった。
そして世間は「さもありなん」と頷いた。

どちらがどうか。
なんとも判断がつきがたい。
今、刑事の弟が殺人を犯した場合、その犯罪を隠そうとするか、自首を勧めるか。

その辺の心理的葛藤が問題になる一作である。

殺人はしていないけど、死体を運んで埋めたって…罪に問われるのではないのか?
親戚が軽犯罪を犯しただけで、首になるって聞いた覚えもあるんだけどなぁ…?
今は違うのかな?

ISBN:4396333749 文庫 西村 京太郎 祥伝社 2007/09/01 ¥630
東北には行ったことが無いんだよ…いいなぁ。
ねぶたもみてみたい。
秋田の竿灯だっけ?
あれも見たい。
迫力のある祭が好き……。

最後の最後、ほんま数ページで大逆転するか、普通?
十津川警部ったら。

最重要容疑者として捕まった若い男の投げやりな態度にも腹が立つが、骨肉の争いはもっとこわいね。
かわいさ余って肉さ百倍、と言う奴やね。

他人はいいところしか見ないから、そこに至る道の困難さをすっ飛ばすからね。

だから道を踏み外す。
付け焼刃で幸せが手に入るものか。
楽をすればそれだけのものしか手には入らない。
自分のことになるとそれを忘れちゃうのかなぁ。
人間って。

ISBN:4167454327 文庫 西村 京太郎 文藝春秋 2007/09/04 ¥520
表紙だけ見ていると、殴り込みを控えたカップルのようですね……
彼も彼女も腕力よりは呪力で勝負する術師なのだが…。

源八郎が意外や意外な自分の本心に気がついたこと。
行方不明(死んだ?)とされた新九郎の居場所が判明したこと。

そしてなにより、あの、こわ〜いおばさんの正体がわかりつつあること。

この物語もそろそろ終幕を迎えそうである。
新九郎が現世に戻り、同じ顔をしたおじゃるさまと力をあわせて妖魔と戦う図…と想像しただけでちょっと笑えるけど。



ISBN:4592183231 コミック ひかわ きょうこ 白泉社 2007/09/05 ¥410

ゲドを読む

2007年9月19日 読書
TALES FROM EARTHSEA

という副題もついている。
無料配布本、かな?
これも友人からの借り物である。
まっ黄色な表紙で実に目立つ。

プロデューサー:糸井重里
編集協力:岩波書店+スタジオジプリ
発光:ブエナ ビスタ ホームエンターテインメント(←最近映画館でよく見る名前だ)

……と言うわけで、ゲド戦記の映画化に辺り、ゲド戦記について色々な人が色々語っているわけである。
うん。

そうだね。

でも、すみません。
私、ゲド戦記は映画どころか本も読んでおりません。
かの指輪物語すら読んでおりませんので(笑)

なんでかというと、わかいころ、私はファンタジーが嫌いだったからである。
指輪物語の、なんだかゴッツイ本があるのは知っていたが(図書館でアルバイトなんぞもしていたので)食指は動かなかったのだ。

そんな人間がこれを読んでういいのだろうか?
とか思いつつ、とりあえず読んでいる。
判らないなりに、ふう〜ん、とか、へぇ〜とか思いつつ。

ただ、驚いたのが、作者のル・グィン女史。
え?「闇の左手」の作者だったん?
そういや、そんな名前だったような…友人に借りて読んで、感動したことだけは覚えているが、○十年前のこととて、ストーリーはほとんど忘れ去っている。
最後の最後に「すごい!」と思わせる物語だった。

そして、彼女の父が、北米最後の野性インディアン"イシ"の、あの博士だったとわ…!
うっひゃ〜。

吃驚吃驚吃驚。
とりあえず今言えるのはそれ。
甘甘少女漫画…と本人(作者)は言うが、感動巨編(笑)だと思うなぁ。
毎回泣かせる要素があるもん。

親を失っていくあての無い子供達…こんなのはるか昔の"古い"日本の姿だと思ったら大間違いだ。
今の世の中、どんどん悪く貧しくなってきているから、もてないものは子供すら持てない。
それが現実。

そういう子供を面倒見よう!という熱血教師(特に小学校)は確かに、昔は、いた。
不登校とか問題児には体当たりでぶつかってゆく先生もいた。
悪さをすれば容赦なく叩かれた(女の子はお尻だった)

私が育ったのはそんな"熱い"、"幸せな"時代だった。

今はそれも出来ない。
権利とか、侵害とか、余計なお世話とか、法律とか、プライドとかが一杯邪魔をする。

ま、現実離れしたコメディと読むか、現実を投影した(でも)コメディと読むか。
それは自分の背負って立つ背景次第か。


それにしても"地獄のまーちゃん"って……表現が直裁すぎて、かえってうまい、と思った。


ISBN:4592184718 コミック 田中 メカ 白泉社 2007/07/05 ¥410
王獣とは、蛇に対するガルーダ(鳥)のこと。
こいつも凶暴…!

蛇は人間も操れるが鳥は操れない、いや、操ってはいけない。
王のための獣だから。

瑞兆…麒麟とか、龍と同じか。

その王獣を支配できるとしたら?

人間の禁忌や思いや、何が正義なのか双方向から考えるしかないんだこの世の中は、という子供にはちょっと難しいかもしれない主題を展開する物語であった。

子供にだけ読ませておくのは勿体無い、という書評が帯にあったけど、この人の本は子供向けに見せかけているだけでしょう。

ちょっと"ナウシカ"っぽいのが気になる。


ISBN:4062137011 単行本 上橋 菜穂子 講談社 2006/11/21 ¥1,680
蛇と鳥……
宿敵であるのはわかっている。

東南アジアの伝説・物語に出てくる"ナーガラージャ(蛇王)"と"ガルーダ(奇怪な鳥:インドネシアの航空会社名でもある)"を考えればすぐわかる。

でもって、現実世界でも、鳥は蛇を食べるわね。

毒の牙のある、でっかい蛇に乗り、駆使して闘う…って想像するとでっかいムカデに乗っているようなイメージしか湧かないんだけど、どんなもんでしょうか。
そもそも爬虫類嫌いだし、私。
姿を見るだけでぞぞけが立つし。

戦う蛇、闘蛇というのはそういうでっかい蛇のこと。

悪いが……愛情は湧かないなぁ。
本を全部読んでも湧かない。


ISBN:4062137003 単行本 上橋 菜穂子 講談社 2006/11/21 ¥1,575
選集として出たのが7年前。
実際に描かれていたのが…はてさて?
随分昔、だということだけはわかっている。
記憶に無いぐらい、昔。

明らかに宇宙人(!)である切人(きりひと)と、彼を拾った天文学者家の娘・未知。
二人のあわ〜い小学校生活(中学校?)を中心に、さり気に宇宙へワープしてみたり、宇宙人に攫われそうになってみたりという、日常の事件を可愛らしく描く。

昔はこういう可愛らしい漫画で、いや、可愛らしいからこそ、受けたんだよね。
ヘンに大人びた漫画ではなく、等身大の漫画。

半分は短編集が入っているが、自分の母親の子供時代にワープする「みずいろの夏休み」も子供らしくてかわいらしい。
「まじょまじょ魔理ちゃん」は今でも大人でも充分笑える。


ISBN:4872873548 コミック 文月 今日子 宙出版 2000/02 ¥840
多分ね、児童書なんだろうと思う。
時の大きさとか、読み仮名とか見ると。

だけど読ませるねぇ。

友人が貸してくれた一冊だが、よく捜してくるなぁと感心する。
37〜38度の熱で、ほやほやしながら読んでいるのでなかなか進まないしなかなか返せそうも無いけれど。

面白い。

児童書かな?とおもいつつ、けっこーダークな厳しい描写もある。
相手のことを思ってした事が、相手にとってはちっとも良いことではなく、かえってプライドを傷つけること、そしてそれによって自分が憎しみの対象になること。
そういうことを子供にも読ませる。

昔は〜無かったような気がする。
こういう描写は。

いまは現実世界がシビアだからかな?
とっとと教えないと何をやりだすかわからない、ヒトケタ(9歳以下)の子供達。


ISBN:4035400505 単行本 小澤 摩純 偕成社 1992/04 ¥1,470
すっごいグルメなお料理は、財布を軽くする覚悟で行くしかないが、ここに出てくる洋食なら、自分家でできるじゃん、と思ってしまう。
味の想像もつくから、帰って始末に悪い。

最後は戦後に。
「食べ物に釣られる」「すぐ寝返る」など、新人類と言われた人々には、旧人類はやはり負けてしまうのですな。

今はもっと進化しているぞ……。こわ。

ISBN:4087850978 文庫 市川 ジュン 集英社 2000/06 ¥680
開明的な女性が多く登場する二巻。
モボにモガ。

大正時代はそのあとにくるくら〜い昭和(初期)とは180度まったく違う時代であった。
青春と陽気と夢が銀座を闊歩する。

宮家から嫁いだ義母(姑)との静かな戦いが展開する嫁・たけおサンの話は実に……なんというか、にっこり笑ったその笑顔の下の火花が怖いです〜。

アイスクリームは氷菓子 ⇒ 高利貸し 
とは上手いこと言ったもんだね。


ISBN:4087850935 文庫 市川 ジュン 集英社 2000/05 ¥680
明治から昭和初期に掛けて、洋食が流布し始めた頃の物語。
まだまだ和食がメイン。
だけど鹿鳴館もあるし、文明開化だし、いつまでも日本的だと古臭いと言われるし…というなんともジレンマな時代の、面白い話が満載。
短編集であるが、一つの華族の家族(笑)をさりげなく追いかけてみたり、その友達や周辺のひとびと、世の中の流行など、、あた、庶民にとっての洋食はどうであったか?など、いろんな角度から描かれているのが面白い。

まあ…料理としては…今時流行りのおふらんす〜でもいたりあ〜んでもないので(あくまで洋食なので)、オムライス、だの、トンカツ、だの「へ?これが?」と私達の基準では?マークの出るところだが、明治の人々にとっては大ショックだったろう。

華族の姫君も、嫁ぎ先によっては大きく変わらなきゃならないし、庶民であっても職業女性は肩肘張って頑張らなきゃいけなかったり。
世相を反映しているのが楽しいね。
カフェーのシーンが多いのも眼福♪



ISBN:4087850919 文庫 市川 ジュン 集英社 2000/04 ¥620

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