人と人とのすれ違い。
あとちょっとで会えるのに。
その手と手を取り合えるのに……というのは昔からの技法。
引っ張る、とかいいますが。

いよいよの最終巻。

次から次へと入れ替わり立ち代り人があらわれ消え、または忘れた頃に出現する。
そういう武侠小説とはちょっと違う。

「仙術(法術)は便利だが、一握りの人間(=特定の人間)のためにしか使われないのなら、結局はないのと同じ。」
万人のためでなければ意味はない。

う〜ん。
世界に対して言ってほしいせりふだね。
自分のことしか考えない人間たちに対して。

「すべての人間を幸せにすることはむりでも、なるべく多くの人を救うことはできるはず」

そういう気持ちを持ち続けてほしいものだ。
誰かさんたちも。・

三侠五義、その物語との接点も明らかになって終幕。
白玉堂……やっぱり、あんたですかい(笑)
ねずみじゃないんだね…
では、御猫はどこに?

そして、仙人は本当にははた迷惑なやつらである。
いろいろな物語の要素を含んでいる。

仙人が遊女の顔を汚し、遊女が身を落として恋しい男を追い求める。
仙境から迷い出た仙人が、現世に干渉して話をややこしくする。

などなどなど。

以前はなかなか読みづらい、とおもう作者だったんだけど。
今回はスムーズに読める。
なぜ?
何が起こったわけ?(笑)
そろそろ登場人物が…その正体がエピソードからわかってきたような、気が、する。

もしかして、あなたは色黒ですか?○△さん。
まだ見ぬ母、生き別れの母を捜して公子は南へ。
江南へ。

南船北馬の言葉のとおり、南は船が支配する土地だ。

碧の柳
水面の輝き

なんとも風情のある風景だけど……王朝交代時にはなにかと不穏な(不安定な)要素がたくさん出てくる。
漢と隋の間。
唐と宋の間。
などなど。
短い時間に幾多のドラマが繰り広げられたことだろうか。

宋朝が開かれるその直前にも、南唐や南周と後に呼ばれる短命王朝が存在した。
そのしがらみが残る王朝黎明期の話である。
こういうのは出るんだな…レビュー(笑)
なんて狭い。
なんて偏狭。

中国で宋代というのは一番魅力的な時代だと思う。
なにしろ、不夜城。
夜の外出も自由自在ってのはこの時代で初めての出来事。
それ以前は坊城で仕切って、夜になると出入りは不可。
産婆(生)と危篤(死)のときのみが例外とされた。

文化絢爛。
爛熟の中。
何があってもおかしくない。
小説の舞台にはぴったりだよね。

夢と
幻と
現と
それらが混在する。

馬賊の見る満州

2008年3月31日 読書
澁谷由里 著

張作霖は本当に日本の傀儡政権だったのだろうか?
この本を読むと違う、と思えてくる。

軍事顧問としてその傍に派遣された日本人(町野武馬、本庄繁)は、必ずしも日本に利する行動をしていない…ところが面白い。

河本大作(関東軍高級参謀)などは、それを苦々しく思ったらしく、彼らのことを、「寄生虫」「ダニ」と批判する。
あんまりないいよう……。

1928年6月4日、張作霖、爆殺さる。
息子。張学良は日本から離れることを決意。
東大寺のお水取りの話が、写真入りで大きく紹介されている。
修二会……二月堂椿という、造花の椿がかわいらしく面白い。
本行中、二月堂須弥壇に備える造花の椿のことで、草木染の和紙で作る。紅白の花びらが珍しい。
2月23日の朝、別火坊大広間に練行衆らが集まり、ござの上で作る。
たらの木の軸に和紙の黄色い芯や紅白の花弁を張る。

ヨハネ・パウロ二世(飛ぶ法王)の記事もあり。
1981年2月の来日時のこと。
広島にて。
「神様。私の声を聞いてください。私の声は戦場で、原爆で、お父様を亡くした子供の声です。主人を亡くした妻の声です。お母様を失った子供の声です。」

また、アメリカのイラク攻撃の4日前に。
「私は第二次世界大戦を体験し、ここまで生き延びることができたものとして、二度と戦争をしてはいけないと呼びかける義務がある。平和は作るものです」

*戦争では問題の解決にならない
*神の名において殺してはいけない
*宗教を紛争やテロの理由にしてはならない

                 以上、メモより。
内田康夫 著

十三参りの不吉な歌…って十三参りってそんなに奇祭?
普通にやっていると思うんだけどね。

橋を渡りきるまで振り向くな。
振り向いたらせっかくもらった知恵を返すことになる……大人はそういって子供を脅し、子供は必死で橋を渡る。

各地の名所や風習を紹介しながらの推理旅。
西村京太郎的?

最後の最後。
すっごい落とし穴まで用意されていた。
これは…面白い!

不知火海

2008年3月30日 読書
内田康夫 著

ご存知、浅見光彦シリーズである。
三井三池炭鉱は有名である。
「月が出た出た、月が出た」
盆踊りで流れなかったときはない、というぐらい有名な歌だ。
それと同じくらい、この炭鉱も結うめいだった。

流れるようなストーリー展開は、昔読んだ本とはずいぶん違う。
昔は…なんか引っかかって引っかかって読みにくかったんだよね、この人の本は。
ずいぶん上手になった…?と素人の私が行っていいのかどうなのか。

ストーリーは、とある不思議な光沢をもつ焼き物。
その製法をめぐってとんでもない事実が暴露されてゆく。

大きな事件(炭鉱事故)に覆い隠されてゆく、人の死。
そして人の悲しみ。

九州といえば、古伊万里を思い出す。
あるとき取引先から創業○○周年の内祝いとして、古伊万里の皿が届いた…のはいいけど。
古伊万里ってのは明治になるまで、江戸時代までの製作品をそう呼ぶわけで、明治以降のものは呼べない。
すなわち、数が限られているはず。
そんなものを内祝いでたくさんばら撒けるのかな?とちょっと疑問に思った私たちであった。
どっかの蔵にでも隠してあったのが、見つかりでもしたんだろうか?
そういうことをいろいろと考えたわけだ。
J・K・ローリング 著
静山社刊

携帯版の上下巻。
なのでごっついハードカバー本の発売から一年半ぐらい遅れて出ている気がする。
まあいいけど。
値段も約半分だしな。

映画で見たのはいつだったっけ?
魔法省から派遣されたサドなピンク女の仕打ちに黙って(?)耐える(?)ハリーである。

いやいや…結構ヒステリックだったかな?
かんしゃくもちでしょっちゅう怒っていたような気もする。
彼の周りの人間、亡き父ジェームズだって普通の魔法使いだ。
聖人君子ではないので、かなりひどいこともする。
その友人シリウスだってかなりのワルだし、監督生のルーピンはどうやらそういうことを見てみぬ振りをしていた疑いもアル。
そういうことを知ってゆくハリーは、自身の中に在る父親像を変えてゆかねばならない。
でも彼の中では父親は英雄。
それを変えるということは並大抵の苦労じゃない。

シリウスはハリーを父親視している、というのが良くわかる話でもある。

ハリーを取り巻く周りの大人たちも、そろそろ彼を大人として扱い始めた。
その重圧が…うれしいけれど、やはり重い。


教師が生徒に罰を与える。
私などは、せいぜい「たっていなさい!」と怒られる、せいぜいそういうことしか思いつかないけど…鞭を使うよね、というか使ったよね、確かに、ヨーロッパってとこは。

体で覚えさせる、ってこと。
それでもいたずらがなくなるわけではないのだから、彼らはたくましい、と思う。

でも、正しいことと悪いことの区別はできる。
おかしいと思えば生徒も教師にそれを伝えることができるし、教師もそれが不当だと気がついたらきちんと謝罪するのだと、なにかの本で読んだ。

厳しい罰はあるが、正義は守られる。

そりゃあその方がなんぼもいいと、思うわねぇ。
この巻だけなぜかあった……病棟文庫である。

お寿司好きやね〜ここの病棟…とは、先月の入院時にももらした感想だ。
そのときはこの本はなかったので、誰かがやはり持ってきて寄付したのだろう。
お寿司好きが証明されてしまったわけだな。

それに加えて、漫画の世界でもお寿司が流行りなんだろうか?

光り物…は私は苦手だけどね。

松風の記憶

2008年3月28日 読書
戸板康二 著

古い作品である。
推理小説である。

1959〜1960年の連載だったというから納得。
お嬢様が…ほんまにお嬢様なのだ!

その言葉遣いといい、一挙一投足すべてが。

役者の世界だからそうなるのかな?と思ったが、そうでもなさそう。
やはり時代性かなぁ?
『チーム・バチスタの栄光(下)』で商品検索をかけたら出ないでやんの。
面倒くさい機能だよなぁ。

* * * * * * * * * * * * * * * * * 

さて下巻。
面白いので、病院では寝るのが仕事なので、どんどん進む。
自分の手術があっても所詮他人事だ(笑)

なぞを追いかける診療内科の役は男性医師で。
藤原真琴看護師にずいぶん助けられている。
野際陽子…さすがの女優やね。

キイハンター以来の人だけど、いまだに存在感あり。
奥深いわぁ〜。
映画を先に見てしまったので……あら捜しをしないように戒めながら読む。読む。読む。

……

そうか。
手術時に血があまり出なかったのは、「血がほとんど出てないとわ!」と驚かねばならなかったんだね。

そうとは知らずに、すんません。
桐生センセ。

映画の配役でストーリーを読んでしまうのは勘弁してもらうしかない。
掘り下げ度は大体できているのでは?
私に関していえば、原作を読んでから見たとしてもけちはつけられない。
安部ちゃんの役……原作でもすごすぎ。

「人の話はちゃんと聞こうね?」
は口癖だろうけど、それはあんたがとんでもないことを言い出すからだよ(笑)
皆、自分の聞き違いだと思うんじゃないか。

め組の大吾

2008年3月28日 読書
劇画漫画調…なので、登場人物全員が、いつもがんばってます!
という顔つきなのだ。

懐かしいというか、昔風の画風だな。

め組、って何かと思えば消防士の話だからか。
なるほど。

もちろんいまどき"め組み"なんて名乗っている消防署は全国どこを探してもない…と思う。

通称というか、親しみをこめてそう言うらしい。
体力と知力の勝負。

大変だよね…最近は現場で殉職している消防士も多いから、ほんまに強い意志と"火消し"に対する思いいれがなかったら勤まらない仕事だと思う。

感謝するのみ。

アメリカ映画で「バックドラフト」という映画があって、私は大好きだった。
消防に命を掛ける(文字通り)男たち。
その強さというか、思いというか……すごい映画だったよ。

9・11でも救助に行って還らなかった消防士がとんでもなくたくさんいたわけだし。
危険とわかっているところに飛び込んでゆく気持ちってどうなんだろう。
家族も……。
病院の貸し出し図書は面白い。
たった一ヶ月で3割ぐらい、本が変わっているのがすごい。

私が読んだのは、実は、500円ぐらいのコミック雑誌である。
レビューがないのでこれで代用(いい加減な←だって今のレビューのやり方が、とっても面倒くさいんだもん)

ほほう。
ドラマは一回ぐらいは見たことはあるが、漫画は初めてだ。
ほうほう。
こういう漫画なんか。

お役人は忙しい。
大変である。
これで給料は少ないんだから(中村主水氏を見ていればわかる)気の毒な話である。
西村京太郎 著

夜、熱が出たのである。
昼間これを読んだから?
まさか!(笑)

長崎は高校の修学旅行で行った。
二泊三日なのに、(実行委員が)無理をして行ったのだ。

すごい強行軍だったが、そこはそれ。
若さでクリア(笑)

その後、10年ちょっと前に行ったのが二回目。
もう一度行きたいなぁ。
陽気なギャングの日常と襲撃
なぜか出ません。
プレビュー自体が、密林の仕様変更でへんなことになっているし…面妖な。(ひとがちょっと留守した隙に)

ギャングの面々がそれぞれの場所でちょこっとづつかかわった「事件」がつながって、大きな事件に……!

いやぁ。
面白いわ、この人の本は。

「死神の精度」も映画を見たけれど、映画よりも原作のほうが良かったしね。

おしゃべり喫茶店マスターの響野さんがけっこー好きです。
そのすばらしい性格が……(笑)

※ ※ ※
仕方がない。
表紙をスキャンしてのっけますか。

伊坂 幸太郎 著
祥伝社
外国人男性を夫にもったらどうなるの?

という疑問を笑いとともに払拭したのがこの本だった。
その後たくさんの類似本がでたけれど、この著者の本が最初だった。
最初で、そして読み応えがあり、考え方がしっかりしている……

さおりさんに子供が!
やっと生まれた最初の子供。
その胎教・出産・保育、を通して真っ正直にぶつかってゆくさおりさん&ダーリン。

やっぱりとっても魅力的♪


ISBN:4840121826 単行本(ソフトカバー) 小栗左多里&トニー・ラズロ メディアファクトリー 2008/03/12 ¥1,050
これも映画化されているのか?

作者は、現在映画上映中の「死神の精度」を書いた人である。
「死神の…」がとても良かった(映画も行く予定)ので、興味を持ってこっちの本も買ってみた。
友人に借りて読んだ「死神の…」も改めて文庫本で買いなおした。

ギャングは最期は撃ちあいをして、そして死ぬ。
そうそうだった、あの映画も。
保安官に包囲されてね……

車ごと蜂の巣、ってのも在ったよな。

最期が悲惨なだけに、それまでの活躍(?)が陽気で軽いように思えるのも確か。

変わって変わった銀行強盗団のお話です。

やたら笑えるし……

ISBN:4396332688 文庫 伊坂 幸太郎 祥伝社 2006/02 ¥660
ホムンクルスの誕生のなぞ。
エドとアルの父親のなぞ。

一気に開かれた謎解きへの道。

そして狐と狸の化かしあい(などとかわいらしいものではないが)

そう来ますか。
なるほど。

と面白さが急加速した感じである。


PS,ちなみに我が家はデジタルハイビジョンは見られない。
残念???

ISBN:4757522371 コミック 荒川 弘 スクウェア・エニックス 2008/03/22 ¥410

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