そう。下巻(笑)

もちろん上巻と一緒に申し込んだ。
当たり前だ。
なのに、「品切れ中〜」と下巻だけ送ってきやがった。
挙句、「上巻は入手不可」だと!

ふざけてはいけない。
本を下巻だけ買わせといて、上巻はありません、なんて商売の仕方があるかいな。

おかげでまだ読んでいない。
乱読日記なのにまだ読んでいない…ドラマは見たから読んでもちんぷんかんぷんではないのだが、気持ち的に嫌やんか。

さあ、どうしてくれようか。
毒入りチョコレート事件
アントニィ・バークリー 著
高橋 泰邦 訳
創元推理文庫
560円(抜)

最後の最後、落ちが素晴らしく面白かったです。
ええ!
そうなんですか!?
と観客になって声をあげそうでした。

推理が大好きな推理クラブのメンバーは推理小説家に暇を持て余した紳士にレディに弁護士に…まあなんと言うか、有閑人たち。

そんな彼らはひそかに(でもないか)自負を持っている。
自分たちこそは、自分こそは、スコットランドヤードよりもうまく捜査できるのだ、と。

おりしも、チョコレートに仕組まれた毒が原因で、死亡者が出るという事件が起こる。
警察はすっかりお手上げで、とうとうこのクラブに話を持ちかけることとなった(そんなアホな、といってはいけない)

メンバーが一人一晩、自らの推理を発表し、真犯人を突き止めようという試みである。

クラブのメンバーが犯人の一人だと言い出す夫人が現れれば、自分の娘が事件に絡んでいると知って狼狽する父親。
可能性を考えるに、行きつく真犯人は自分しかいない、と言い出す推理小説家あり。
…さて。
こんなお遊びのような推理ゲームで本当に犯人が分かるのだろうか?

…真実を突いてしまう(そのように思えるラスト)ところが怖い。
この推理、警察はなんととらえるんだろうか?

実行派の犯罪学の玄人。
すなわちそれが真犯人ってことです。

この著者がフランシス・アイルズ名義で書いたという「レディに捧げる殺人物語」は名香智子の漫画で読んだけど、「うぇ〜」という内容だった。
だけど、こちらの本にはその気配はまったく無し。

かなり古い小説(第二次大戦前)だけど、楽しめた。
警察も探偵役も、まぁ、呑気だけどね。

…でもって、訳者にびっくりしたりして(笑)
物語の街から村へ
たとえばリア王。
たとえば野菊の墓。
たとえば。

無法松の一生。

物語の「これ!」という場面を絵本作家がイメージして描く。
各物語、一枚づつ。
それをまとめた絵本です。

こういうのも面白い。

安野 光雅 絵
朝日新聞社
2,800円(抜)

壺の中

2008年4月21日 読書
壺の中
壺の中には広い海があり、
その海には一つの島があって、
その島には二つの国が…

こうして次々語られる壺の中の世界。
とうとう壺の中には3,628,800個の壺が存在することになる。

でも元々の壺の大きさは一緒なんだよ。

なんだか不思議な、狐につままれたような話だが、こういうことを考えてごらん。
違う世界が見えてくるから。

大阪・梅田・大丸で行われた「安野 光雅展」で購入した絵本だ。
ずいぶん昔からその存在を知っていたが、絵本というのは(当然ながら)ページ数のわりに高価で、なかなか買う踏ん切りがつかないものだ。

青い青い…ラピスラズリの色。
その壺の中に忍んで行ってみたら面白い世界を見ることができるかもしれない。

中国だと壺中の天、そういう言葉も当たり前にあるしね。

安野 光雅  絵
安野 雅一郎 作
童話屋
1,450円(抜)
京阪神のスイーツ
雑誌である。
あろうことかコンビニで見つけて買ってしまった。
コンビニで本を買うのは初めてだ。
たとえそれが雑誌であろうとも。

京阪神のスイーツで、地元京都の細かい店まで網羅している。
これはつかえるわ〜とばかり手に取ったのである。

ほんまに細かい…つうか、こんな小さな店まで(知っている・隠しているお店だ)(笑)暴露するか!?
という気持ちでいっぱいになってしまった…

おのれ。

なんでも書けばいい、というものではなかろうに。
味が落ちたらどうしてくれる〜。

エルマガMOOK
780円
決してかかわってはなりません〜。
ブラックホールのような地獄の深遠からなにが現れるのかとおもいきや……豚。

ビクトリア朝の英国では、豚は悪魔の使いとか、そういう迷信でもあったんだろうか?

おどろおどろしい場面なんだけど、人が生きるか死ぬかの場面なんだろうけど…豚。
ごめん。
笑うしかない。

ほかになんか恐ろしい生き物が思い当らなかったのかなぁ?
幽霊狩人カーナッキの事件簿
W・H・ホジスン 著
夏来 健次 訳
創元推理文庫
960円(抜)

復刻本だとかいうのでついつい手を出してしまったのだった…

ホームズシリーズが大好評を博していた頃、同じように探偵小説として登場したのがこの本だ、という。

カーナッキとは、有閑マダム、ならぬ探偵おたくの青年。
不可思議な事件を解決しては友人を呼びつけ、夕食をふるまったあとその冒険談を話して聞かせるのを趣味とする…やっぱりひまじんだよね。

彼が扱うのは、摩訶不思議な事件。
すなわち幽霊とか化けものとか祟りとか呪いとか…そういうものである。
ホームズだとどんどん合理的に解明して、「そんな非科学的なことはない!」とやっつけてしまうだろう。
カーナッキ君もそれなりに頑張って、からくりを暴いたりするが、半分は、摩訶不思議のまま終わってしまう。
結局は呪いだったとか。
異次元から出現した得体のしれないやつだとか。

そういうものから身を守るために、怪しげな五芒星を描いたりするのだ。
人の足を使って星形を描いたり(笑)
星形に組んだ真空管を青白く光らせて結界を敷いたり(笑)

呪いのアイテムを発見して、してやったり!と結界の中に持って入り、(ついうっかり?)結界の中で魔物を出現させてみたり(←思わず「おいおい」と、突っ込みを入れずにはいられない大ボケである)
うっかりさんの変人ではある。

まぁ、可愛げがあると思えばいいのだろう。
コリアンダーを入れてはいけない。
他のスパイスもダメなんかなぁ?

そして、骨から肉をきれいにそぎ取るにはどうしたらよいのか?

シシカバブー、しばらく食べられへんかも知れん。
なんてことを書くんだろう、「イスタンブールの群狼」は。

猫と一緒に袋詰めにされて海の中に放り込まれるのとどっちがまし?

そっとネコぼけ

2008年4月12日 読書
そっとネコぼけ
岩合 光昭(写真)
小学館
1,470円

「ちょっと…」の姉妹写真集。

きれいな猫はそりゃ、嫌いじゃない。
でもどっちかといえば、ぶにゅっとした顔の、可愛げのない、でもってぼってりした、どーしよーにも救いようのない猫が好きなのかもしれない。

不細工な三毛猫が仏頂面でぼてっとしているのが好き。
たぶん。
ちょっとネコぼけ
岩合 光昭(写真)
小学館
1,470円

動物写真家、といえば岩合さんではなかろうか?
この人の撮る動物は、たとえば猫がどんな下町でごちゃごちゃしたところにいても、そこだけスポットライトを浴びたかのようにぱっと光るのだ。(実際には光ってませんが)

一点に目が吸い寄せられる。
すると、そこに猫がいるわけ。

それがとっても不思議でね。

私なんかが撮ると、「ウォーリーを探せ」みたいになるわけ。

不思議やね。
なんでやろ。

そう思いながらいつも見ている。

ネコ好きにはたまらない一冊。
高槻のねこカフェなんかに行くから、その帰りに魔がさして買ってしまったよ(笑)
ジェイソン・グッドウィン 著
和爾 桃子 訳
ハヤカワ・ミステリ文庫
920円(抜き)

時は19世紀。
場所はイスタンブール。

近代化の波の直撃を受け、嵐に揺れる小船のごとき(かつての)大帝国。
権威は失墜中ではあるが、スルタンの命により開設した近代的軍隊はイェニチェリの専横を打破した…はずであった。
その軍の士官四人が謎の惨殺死体となって発見されるまでは。

白人宦官ヤシムはどう解決するのか?
…というわけで、友人からのレンタル本、読み始め〜。

組織が大きいだけに落ち目になると大変。
吹雪の山荘〜赤い死の影の下に〜
東京創元社
創元クライム・クラブ
2,000円(抜き)

本格リレー・ミステリと銘打って、執筆者は次の6人である。
笠井 清
岩崎 正吾
北村 薫
若竹 七海
法月 綸太郎
巽 昌章

年末の雪深い清沢郷の山荘に集まった酔狂な客たち。
幽霊がでると評判の小屋へ、もの好きな一行が足を向けた。(よせばいいのに)
日付の変わろうというその時、その小屋で首のない死体が見つかったのである。
しかも、女装した死体が。

作風の違う作家が、ここまで突っ込んで書いて次の人にバトンを渡す…って渡されて、良くそれで展開できるなぁと感心する。
どの部分を深く掘り下げるか、人が変わるたびに変わるんじゃないかと余計な心配までしてしまう。

それぞれの推理作家の、持ち駒(主人公)が出てきても「あやや〜」と思うすっとん狂なせりふ回しが在ったりするのもそのせいだろう。
有栖川有栖氏が土壇場で参加不可能になった、という後書きを読んで、私はとっても残念だった。
彼ならどんな風にまとめただろうなぁと思う。
でもって、学生有栖川有栖くんのあの悲惨な運命はもしかしたらなかったのでは?と思うしだいである(笑)

もちろん、彼が出なくても話はちゃんと終着している。
そこに至る話の内容自体もとっても高度、高次元、というか「もしもし?」「正気ですか?」と思うこと多し。
まあ最期はちゃんと良識と常識の範囲内に戻してはくれるけどね。

みんなドリーム入ってます?
という場面が多いからね。

QED鬼の城伝説

2008年4月8日 読書
不吉な薬剤師探偵・タタル シリーズである。
今回は桃太郎伝説で有名な岡山へ。

桃太郎だけではなく、あれこれと名所旧跡は多い。
意外にも。
それが岡山という地である。

なんといっても、あの、横溝正史の血なまぐさいドラマの舞台にも数多なったところだしね。

ウラ伝説というのがある。
ウラというのは朝鮮半島から戦争に負けて日本に逃げてきた王子だったが、製鉄技術など進んだ大陸の技術を持ち込み栄えた。
栄えすぎたので、当時の中央政府に目をつけられ、滅ぼされた、というのが通説である。

タタラとか…「もののけ姫」でもそうだった。
製鉄技術を持つゆえに時の権力者に狙われる里。

まあ、彼らを悪者とするために鬼だとかとんでもない言いがかりをつけて歴史を封印するのはいつものこと。
京都の土蜘蛛族だって、そうやって滅ぼされたのだから。

その地で起こる連続殺人。
鬼の歴史を受け継ぐ一族と彼らを滅ぼした裏切り者たちの、今に至っても拭えない恐怖と憎しみ。

あとからフラッと来て、しかも「こんなことをしているより観光したい、温泉に行きたい」などという不埒なことを言うタタルがあっという間に解決するという…なんだか了承できないストーリーではあるが。

まあいつものこと。
それよりも彼が登場する前の8割がたのストーリーで、観光案内を済ましてしまう作者もなんというか。

この小説にかぎらず、最近の推理小説は地元の観光案内は必須のようである。
これまた友人からのレンタル。
有栖川有栖は、私の大好きな作家さん。
特にこの火村助教授と推理小説家有栖川のコンビシリーズは面白い。
何しろ全編関西弁だ。
でもって、どんどん難事件を解決するのだ。
容疑者の弁明も警察の追及も関西弁…。
はっはっは……。

まあそんなわけで。
至福のときですわ。

短編集で、4つ、話が入っている。
「助教授の身代金」
「ABCキラー」
「推理合戦」
「モロッコ水晶の謎」

とりあえず今は最初の「助教授の身代金」を読んでいるところ。
助教授とは言っても、火村さんのことではない。
あんなかわいげのないものを誘拐してもしょうがないし。
ほとんどレビュー画像がでないので、出ているうちにあげておこう。

短編集。
部下の刑事が「刑事の癖に!」と冤罪でひどい目にあうのが続いている。
何かあったら頼りにされるけど、平和なときはうっとおしがられるのが警察だと、十津川警部はおっしゃるのだが…しかも、そればかりか、「なんだいつもわれわれにえらそうにいっている警察の癖に、こんなことをして!」といいたいがために、なにか失敗しないか鵜の目鷹の目で見張っているんだと……。

そこまで言わないが。
不祥事が多いのは確か。
不祥事は困る。
人間なんだから仕方がない、が通らない、法の番人としては。

まあ、最近は「警察に言って白黒はっきりさせようじゃないか!」
という文句も効果が薄くなった。
それ以上に、「やくざをつれてきてやる!」なんて子供もいわないせりふだと思ったら、口げんかの果て、いまだに言ってるじいさんがいた。
笑える話である。
「父親に言いつけてやる!」みたいなもんか(笑)
今は母親に言いつけてやる!のほうが、効果があるかもね。
ヘッポコロジー提供(笑)

大体はWEBで読んじゃっているのだが、面白い。
ネネコさんのパワー侮りがたし。

パワフルでぶっとんでいるんだけど、結構繊細な思春期の女の子の心も描いているのでやはり好感が持てる。

先生方もぶっとんでいるが…ルーシー先生は特に……生徒に慕われているというか……なんというか(笑)
昔のきものに教えられたこと
石川あき 著
草思社 刊
1,890円

きものをこよなく"贅沢に"愛し、贅沢にセンスを磨いて生きてきた、一人の女性がきものの"使い方"、"利用の仕方"を描く。
ちょっとした工夫と意識の変革で、こんなにきものって……楽しめるし遊べる!
というテクニックを教えてくださる。

なにしろ奈良のお嬢様。
きものを、帯を、自分で考案し工夫しそれを染めにだし刺繍させ接がせて作り上げてきたものは数知れず…!

すごいなぁ。
昔の金持ちは頭もセンスも必要だったわけだ。
お金があるだけじゃだめなんだね、ということが良くわかる。

きものを着るときのあわせ方のアドバイスとか、コートはどうしたらいいとか、体型にあわせたアドバイスなども何気にあって、とっても役に立ちそう……そう、というのは私はきものを着ないからだが(笑)

最終的な一番大きな印象は、これぞ金持ち!
というところかな。
高橋克彦 著

こういう面白い本もあったのかー。
感心。

短い話が寄り集まっているのだけど…これは面白い。

江戸時代の人形細工師の魂が、現代の少女の中によみがえる。
そして事件を解決する。
「もういい加減におやめなせぇ」
なんて江戸弁で言われたら、8歳の少女だけにびっくりするよね、相手も。

魂の持ち主は回向院門前町に店を構えていた、人形細工師の"泉 目吉"という男。
頃は幕末。
歌舞伎の小道具なども作っていたが、幽霊や生首の細工で有名であった。
「変死人形競(くらべ)」と称して等身大の生き人形を身投げや首吊りに仕立てて本物そっくりに再現したという逸話あり。
……趣味の悪い人の悪い親父のようである。

そして魂の問題だが、人間の脳はほとんど使っていないので、使っていない部分にほかの人間(前世の記憶)がよみがえっても(転生か?)おかしくはない。
これは理屈。

そもそも出産時には促陣痛ホルモンのオキトシンが分泌される。(という)
そのオキトシンは記憶をリセットする。(らしい)
安産ならオキトシンは多量には分泌されず、記憶が残るのではないか?という話だ。
多産系、すなわち安産が多い東南アジアやインドで転生の話が多いのはこのためだ、というのだが。

まあ、話としては面白い。
それぞれの短編も面白いので良しとしようか。
西村京太郎 著

こんなのが病棟文庫に…!(あったのね)
気がついたのは退院が決まってから。
大急ぎで読む私だ(笑)

急行アルプスは全席グリーン。
眺望よろしい面白そうな列車だ。

付加価値をつけないとお客も増えないんだろうなぁ。

余命いくばくもない母のために、その夢をかなえる為に英国までいってお城に住む。
……実現させるのがすごいよな。

季節のいいときならすんでみたいものだが。

寒そう……

アンナと王様

2008年4月1日 読書
私がイメージするのは「王様と私」
そう、ユル・ブリンナー主演のミュージカルのほう。

今回のは、ジュディ・フォスターとチョウ・ユンファによるリメイク版でなんと同じ作品としては三作目になる。(アニメを入れると4作目)

シャム(現在のタイ)の王宮ロマンスだけではなく、王家転覆の陰謀が背後にあったとは…!
知らんかった。
そんなふか〜い物語だったとは!

タイでは上映禁止作品。
なぜなら、物語に出てくるラーマ4世(モンクット王)が実像とかけ離れているから、というのが理由だそうだ。
時代は日本の幕末で、東南アジアは植民地競争の真っ只中。
フランスはベトナムを。
英国はビルマを。

そのなか、モンクット王は独自に近代化路線を推し進めた。
そう、かつて日本が植民地にならぬようにそうしたように。
その姿勢が保守派の反感をかって反乱を呼ぶことになるのだが、世の中が大きく変わるときには反動は避けられないもの。

英国人の女性家庭教師アンナがシャム王宮で王子や王女を教育したのは事実で、その不穏な空気の中、彼女が命を狙われたことも二度あった、という。

アンナの息子ルイは英国に帰ってから』アメリカオーストラリアと渡り歩く、結局はシャムに戻ってアンナの生徒の一人であった次の王・ラーマ5世(チャラロンコン王)の身辺警護の近衛将校となった。
その上、王女の一人(王の妹の一人、異腹かも知れんけど)と結婚したという…。

*アンナ・ハリエット・レオノーウエンズ(1831-1914)
   滞シャム(1862-1867)
*モンクット王(1804-1868)

現在のプミポン国王(ラーマ9世)は曾孫にあたる。
つまり、5世(チャラロンコン王)の孫である。

白い象が発見されたら、王家はみなで旅をする…仏に感謝の旅をする。
いいなぁ。

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