ダモイ遙かに

2008年6月26日 読書
第二次世界大戦後、ずいぶんと長い間シベリア抑留は続いていた。

日本人捕虜はすべて送還した、というソ連邦の白々しい嘘。
「死ぬまで働け」
と嘲笑い虐待と強制労働に駆り立てたソ連。

興安丸がナホトカから抑留者を連れ帰った1956年。
その年に、日本政府は発表していた。
「もはや戦後ではない」
と。

食べるものもろくに与えられない。
労働には不可能なノルマが課せられ、不達成者は食事を削られる。
体力がなければノルマは達成不可能だ。

そうやって、死んでゆく。
ゆっくりと。
病弱なものは早く。
耐えられないものは自ら命を絶って。

自分の身を守るために、日本人同士が密告しあう。
共産党思想を叩き込む、特別な立場の(ソ連側の)日本人の存在。
同胞が憎みあうようにするやり方は、支配する側(ソ連)にとっては一番簡単で手軽な支配方法である。

その中で、「希望を失うな」「ダモイ(日本への帰還)を信じよう」と言い続け、人の心を鼓舞した一人の人間。
その周囲でその心にふれ、希望を広げた人たち。

思い届かず異国の地に没した同胞の思いを、遺書(=家族への、日本という国への思い)を暗記することで伝えようとした人たち。(文字を書いたものはすべて没収されたという。スパイとみなされたのか?)

また君たちはどんなにつらい日があろうとも、人類の文化創造に参加し、人類の幸福を増進するという思想を忘れてはならぬ。偏頗で矯激な思想に偏ってはならぬ。どこまでも真面目な、人道に基づく自由、博愛、降伏、正義の道を進んで呉れ。
最後に勝つものは道義であり、誠であり、まごころである。友だちと交際する場合にも、社会的に活動する場合にも、生活のあらゆる場面において、この言葉を忘れてはならぬぞ。
人の世話にはつとめてならず、人に対する世話は進んでせよ。但し、無意味な虚栄はよせ。人間は結局自分一人の他に頼るべきものが無いーという覚悟で、強い能力のある人間になれ。自分を鍛えて行け!精神も肉体も鍛えて、健康にすることだ。強くなれ。自覚ある立派な人間になれ。(山本幡男氏:子供たちへの遺書より抜粋)


山本氏の遺書を、手分けして暗記して祖国の家族へ届けた複数の人たち。
最後の遺書が届いたのは、昭和62年であったという。

子供にも読みやすいように文章は簡易に、漢字にも読み仮名を増やしてある。
兵士だけではなく、民間人や女性までもを抑留し非人間的な扱いの果てに虐殺したシベリア抑留。
この歴史もまた、忘れてはならない。
自分で作るための本である。

妹が少し前から、こういうものに興味を持ち始め、せっせせっせと何やら作っている。

買うと高いんだって。
髪の毛を止めるやつとか、ストラップとか…材料を揃えればうんと安くなる。
当たり前か。
人件費が一番高いんだ。
それに技術料が加わればうんと値も上がるだろう。

この本には結構シックなビーズや玉系ものから、シルバーや黒主体のゴシック調のものまでまんべんなくそろえてあるので使いやすいらしい…。

私も昨年から編み物を再開したのだが、釦の高さにはひぇ〜!とひっくり返っている。
一個300円なんて当たり前。ちょっと良いのになると500円とか800円とか…それを4つも5つもそろえるというのはちょっとね…毛糸よりお金がかかるんだよね。

で、ビーズ屋さんとかで気に入ったのを見つけてそれをちょちょいと加工すれば釦だってできる。
意外に安くでできる。

道具は妹が持っているので(笑)材料費だけだ。
前回編みあげたボレロの釦はとんぼ玉を加工して、総額150円ほどで済んだしな。
自分でやれば、なんでも安くすむ。
道理である。
ロバート・アスプリン
ジョディ・リン・ナイ

矢口 悟 訳

ハヤカワ文庫

マジカルランド最新刊。
(出てからちょっと時間がたったけど…)

バニーとともに隠遁生活ならぬ研究生活を続けるスキーヴ君。
余計な雑音は耳に入れてはならない…はずなんだけど、そこはそれ。
相棒オゥズはお金の音を聞けば態度も変わろうというもの。

天邪鬼×3
妖精族×1
汎人×1
カムダ出身の大型犬(?)×1

計6人のお師匠として、魔術を教える羽目になるとは…。

「断っちゃいなさいよ」
と至極常識的な対応を進めるバニーに、そこはそれ、スキーヴがスキーヴであるが由縁の返事ーみんなまとめて面倒みよう、ということになって、案の定、妨害工作やら暗殺未遂やら…

なにがどうなってんの?
も最後にはきちんと落ちが来る。
誰にも納得の落ちが来る。

こういうところは、共同執筆者が加わってからこの小説がちょいと変わったところかな。

相変わらずだけど、スキーヴの成長はひとかたならないものがある。
オゥズも出番なし(本当に最初だけだ〜)

二人でまたハチャメチャをやらかしてほしいものだが…。

参考 ⇒
http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4150204683/sr=1-1/qid=1214359488/ref=dp_image_text_0?ie=UTF8&;
西村京太郎
徳間文庫

警察を退官(くび)になった男たちを、選んで声をかけ、仕事に誘う集団がいる。

何のためんび、何をするのかは言わず、ただ、追跡・盗撮・盗聴と、部分的な仕事をこなすだけで、月に100万円召集をくれるというのだ。

事件を起こし(情熱のあまり容疑者宅に不法侵入)警察を追い出された彼は、その後妻とも離婚し子供とも別れ、なにも守るべきものはなくなっていた。
そして金は欲しい。
いや、金はいる。
惰性であれ、生きてゆくためには。

だが、人とは好奇心の塊。
自分が何をしているのか、何をさせられているのか。
ましてや元警察官であれば、余計に気になる。
探りたくなる。

そして、まるで首を挿げ替えるように、一人、またひとり、殺されてゆく。
秘密を知ったものは、知ろうとした物は、一人たりとも生きてはおれない。

死体の半数以上が、なぜか美女高原で見つかる。
なぜなのか?
なんの意味があるのか?
十津川警部の捜査が始まる。

美女高原というのは、飛騨高山のご近所にあるらしい。
ご近所なのにあまり認識されていないらしい。
…認識してません。

高山は行ったし、白川郷も下呂も行ったけど。
美女高原は知らない。

警察署長がちゃっかり悪の親玉と組んでいたり、悪の親玉が学生時代からの親友をちゃっちゃと切り捨て(=殺害)しようとしたり、意味なくして殺されたり、世の無常を感じさせる作品でもあった。

参考 ⇒
http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4062649225/sr=1-1/qid=1214212270/ref=dp_image_text_0?ie=UTF8&;
IT戦争、とは言うけれど。

世界に雄飛しようとするIT企業の裏の一面を殺人事件にひっかけて描いた一冊。
半分どころか2/3ほど読み進まないと、結末がどっちを向いているのかすらわからない、なかなか巧妙な謎の展開である。
西村京太郎、侮りがたし!

北海道の函館で生まれた小さなIT企業が、東京に本社を移転し、アメリカにまで翼を広げようという成長ぶりとなった。
そんな上昇気流に乗った会社であるが、そこにとどまるのを潔しとしない少数の人間が、古巣の函館に別会社を設立しようとする。
社内造反…?
会社は造反組にあれやこれやの手を尽くし(脅迫状含む)思いとどまるように運動するのだが、そんな中、造反組の中心にいた男が他殺死体で見つかった。
そして、今度は一人が行方不明に。
そしてまた一人…。

東京と函館。
その両方の地に分かれた二つの組織が、互いに詰り互いに罪を暴こうとし、事態はどんどんエスカレートしてゆく。

函館に本拠を移した造反組は、幕末に五稜郭で榎本武明らが立ち上げた新しい政府に意気を感じ、それを真似て「函館新撰組」を自称していたため、ことはあたかも幕末の新政府軍と函館の旧幕軍の戦いであるかのような様相を呈してきたのである。

殺人者は誰か?
東京の本社か。
函館の造反組か。

函館戦争の歴史の裏の仕組み。
それになぞって考えれば、話は通るのである。
なるほど!
これってちょっと凄い。

榎本武明がなんで生き残って明治政府の重職についたか、これなら納得できるよね。(実は私は知らなかったのだが)

新撰組の生き残りが京都のお寺で老後を過ごしているとき、なんで榎本武明に会いたがらなかったか。
歯牙にもかけなかったか、それがよくわかる。

もちろん、それは一つの風説だけど。
辻褄が合うんだよね。

それはともかくとして。
上昇気流に乗っているとはいえ、企業が個人あてに脅迫状の発送とか当たり前にやっていて、恐喝罪にならないの?
それって問題じゃないのかなぁ?

こういうことって、どんなに上手くやっても、いずれ噂になって真相を知られてしまうのが落ちだと思うのだが。

…怖い話である。

あ、新撰組はテロ集団、そしてまんまと騙されて…という話の内容なので、強力な新撰組ファンは読まないほうが無難かと思います。
侠客漫画なので、最後はハッピーエンドである。

話は随分急展開、煮詰まっているので説明的セリフが多いのは仕方がない…かな?

落とすところに落としたけれど、北宋時代が不穏な時代だったのは周知のことで、文化は花咲き花開き、夜間外出もOKで楽しい時代だったのは確かな反面、軍事面では北方の異民族にきゅうきゅう言わされていたのだ。

そうはいっても、水滸伝の舞台になった時代でもあるし、私の好きな時代なんだけど。

自由度が高い、というのかな?
このあとは金だの元だのという無骨な時代になっちゃうから、余計にそう思えてしまうのかもしれないな。

明朝は…ちょっと違うんだよね。
なんかコチコチというか、柔軟な面白みがないというか、なんだろう。
でたっ!

と言ってもお化けではなく。
猫である。

もう6冊目。
ブログの方も抜かりなく目を通しているので、「それなら本を買わなくても…」となりそうなものだが、はっちゃんに関してはなにかが違う(笑)

だって、病院にPCは持ち込めないんだよ〜大部屋だし。

はぁ〜動物って癒されるわ。
本当は犬の方が好きだけど(笑)
この際(?)猫でもいい。
猫も好きだから。

とりあえず居たら、写真を撮ろうと思うぐらい好きだから。

はっちゃんの飼い主さんは写真家さんなので、魅力最大限に発揮できる。
そういう意味ではっちゃんは幸せ者だ。
ただ、カメラアングルが良いとか、写真がきれいだとか、それだけでは誰もこんなに夢中にならないだろう。

そりゃ、やっぱり。
大阪の人ですから。

写真についてるコメントなどが最高に笑える。
うまい!
落ちがある!(当たり前だが…)

そのあたりの功績が高いと、私なぞは思うのです。
Xデー 〜ラミジ艦長物語9〜
ダドリ・ポープ 著
田中 航 訳

1801年

陸上任務(相変わらず乗艦なし)

もうすぐラミジは26歳…って、ちょっとこら。
前巻では1798年か?ってしたのに、いきなりそれから3年たった、なんてことは考えられないだろう。
帰国して、ジアナと一緒に公爵夫人の舞踏会に出席しているわけだから。

じゃあ8巻「裏切の証明」では、1801年か1800年がせいぜいということになる。
まったくもう…。

おや。
"どろどろ"くんとの再会で「二年前に…」の台詞あり。
ってことは、スピッドヘッドの反乱が1797年。
どろどろダイソンの転艦がその直後。
……その2年後が1801年だとどうなる?
どう頑張っても…無理なような気が…。
それとも全部年末年始に起こっている出来事なのか?えっ?(笑)

そして今回(も)、ラミジは特殊任務である。
架空の人物だから表舞台で大活躍♪ってわけにはいかないのですか?ポープさん?と聞きたくなる。
語学も堪能で順応力ととっさの判断力に優れているから、と言いたいのかもしれないけれど、スパイは可哀そう。
かつてこの本を読んだときには、"色もの"にならぬように…と心配した覚えがある。

ラミジと愉快な御一行様がフランス本土へ潜入するのに選んだ手段。
これはなかなか面白い。
当時の社会状況を調べれば、自然そういう発想は出てくるのかもしれないけど、なるほどなぁと感心感心。
裏切の証明 〜ラミジ艦長物語8〜
ダドリ・ポープ 著
出光 宏 訳

郵便船レディ・アラベラ号の船客として
(とうとう乗艦を失ったラミジ〜である。可哀そうに)(笑)

1798年?
…というのは、一人の登場人物が「一年間も私をほったらかしにして」とラミジをなじるからである。
スピッドヘッドの反乱(1797年)に船出したときから数えているならば、当然そうなるが…。

海軍で不規則な生活だし、戦時中だし、読者の勝手な言い分かもしれないが、正月とかクリスマスとか、季節感か年越し感のある行事も入れといてくれればいいのに…。

郵便船が船長も部下の水夫もほとんどが、船をあげての詐欺行為に走っている…という結論に達したラミジである。

だが、その裏切りを証明するためには、証拠と、そしてなにより彼(と部下)自身が無事で、速やかに英国に帰還しなくてはならない。
現在、フランスの私掠船の捕虜になっているラミジはそう考えるのである。

おまけにこんな話、誰が信じてくれるだろうか?
あまりにも突飛過ぎるし、祖国を金で売るような真似を、組織(=団体)で行っているなんて…信じたくはないだろうが。
そう、が、である。

今だって、あり得る。
国の同朋の利益より、自分だけの利益。
人が落ち込む(貧しくなる)分、自分が浮上する(金持ちになる)と固く信じる輩。
富は一定量だろうか?
本当に?

ところで、往路では確かラミジの癖のように書かれていたものが、この復路ではシドニー・ヨークの癖であると書かれている。
……
別に大勢に影響はないけれど、落ち着いて、続けて読むとわかるねぇ。
消えた郵便船 〜ラミジ艦長物語7〜
ダドリ・ポープ 著
出光 宏 訳

1797年?
郵便船レディ・アラベラ号

カリブ海(ジャマイカ)島から英国本国へ向けて出港。
郵便船喪失事件調査のため、郵便船に客として同乗。
ほかに、サウスウィック航海長、ジャクソン、スタフォード、ロッシ、マクストン、ほかトライトン号の水夫を紛れ込ませる。
船客としてシドニー・ヨーク、陸軍の歩兵連隊のウイルソンとその部下若干名あり。

英国本国と植民地を結ぶ郵便船、その機能は想像以上に重大なものである。
駐屯する兵士への給料、武器弾薬、交代要員など、物的人的金的輸送を一手に担っているのである。
それがしょっちゅう拿捕されていたのでは、本国と各植民地の連絡が麻痺する。
英国は手足をもがれたも同然である。

まして、戦争勃発後は、海軍の働きによりフランスの私掠船は数を減らすたはず。
なのに、私掠船による郵便船拿捕の被害だけが上昇しているとはいかなることか?

その調査を命じられた若き海軍将校ニコラス・ラミジ。

あの手この手を使って子飼いの部下を郵便船に潜り込ませることに成功。
郵便船は一路本国へ向かって出港した。

久々に女っ気のない一冊だ(笑)
あの麗しきフランス女性たちはどこへいったのか?

子飼いの部下がいれば、なんとかなる。
どんな事態に陥ってもなんとかする。
部下たちもまた、
「艦長のためなら!」
「どこまでも艦長に付いてゆきます!」
だもの。
なんだか任侠の世界じみてきたぞ。
こうして、ラミジと陽気な一団が形成されてゆく。
その初期に当たるのが、この作品である。(ほんまか?)(笑)

ちなみに、英国からカリブ海の英国領まで、片道35〜45日だそうだ、この時代。
もちろん、郵便船は快速だけど…
コロンブスは遠くなったな……。
アリカ著
メイツ出版

題名の通り、京都(おもに市内)のケーキ屋さんの紹介本。
妹が…買ってきた。
で、早速実践している。
「あ!あそこまで載っている!」
と文句を言いながら…(品切れするのが悔しい)

ケーキも高いよね。
値段じゃないよ、と言いながら、でもやっぱり高いよ。
昔のように、「ショートケーキ♪」と言うように簡単単純明瞭なケーキではダメになったからじゃなかろうか?

食べる方も、あれこれ変わったものを求める。
いろいろ変わった素材を探す。

作る方も、変わったケーキを創案する。
そうでないと売れない、というような?

でもって、デパチカが一番、とは言えない状況だと思う。

路面店で、一軒のみの小さなケーキ屋さん。
個人営業のお店でも、ものすごく流行っていたりする。

まぁ旅行するでなし、高価な物品を買うわけでない身としては、ささやかな贅沢というところか。

参考 ⇒
http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4780403650/sr=1-1/qid=1213751796/ref=dp_image_0?ie=UTF8&;
謎の五行詩 〜ラミジ艦長物語6〜
ダドリ・ポープ 著
小牧大介 訳

1797年
カリブ海 スネーク島(スペイン支配)

宝探し♪

座礁して上陸したラミジ(&トライトン号)&ヨーク(&トパーズ号)の一行は、敵国・スペイン人に見つからぬよう島の脱出を考える。
が、それもつかの間。
「スペイン人は島中に穴を掘っている」
という斥候の報告。
「スペイン人は井戸ではなく、なにかを探しているらしい」
という逃亡奴隷の話。

われらがラミジがそうと知って、好奇心を抑えておけるはずがなく…。

宝探しだ♪

かのヘンリー・モーガンも探していたという海賊の宝を探すため、たった一つの手がかり、五行詩の謎を追うラミジ御一行である。

…フランスの亡き国王・ルイ16世の親友であった公爵閣下とその家族、そしてその同志(伯爵)も一緒になって宝探しに熱中〜。

だが推理小説ではないので、そんなに複雑ななぞにはなっていないし、同じくらい、読者が膝を叩いて納得するような出来栄えでもない(笑)
まぁご愛敬。
これは海洋冒険小説なんだし。
あ、宝島もそうか。
なら、もうちょっと凝っててもよかったかもね。
私はこれで十分だけど。

海賊らしく、骸骨の山は出てくる。
そして。

スペインの定期船を乗っ取り(こっちの方がよほど海賊らしい)ジャマイカへと向かうラミジとその御一行さま。

案の定、ドダードは手ぐすね引いて待っていた。
船団護衛の失敗(私掠船に襲われたこと)とか、あーんなこともこーんなことも、全部ラミジのせいにしようとして。

ラストは軍法会議。
またしても軍法会議で、最初に読んだ時はうんざりしたものだが、今はそうでもない。
いかに若きラミジ将校がここを乗り越えるか、が見どころだ。
もう一度逢いたい犬がいる  特別展「盲導犬クイールの一生」
モノクロの写真集。

写真と文章を秋元良平という方が担当している。
特別展だから、写真展とかやったのかな?
その時の図録なんだろうけれど、私がゲットしたのはまったく別のイベント会場。
……バーゲン会場だもの(笑)

だけどなぜかサイン本。

他、ストラップなども買いました。
おまけしてもらいました。

本は読んでいたので、内容は知っていた。
クイールという盲導犬の一生を追いかけてつづったもの。
日本では盲導犬は少なすぎる。

必要な人に対し1割に満たない。

だから、理解を。

増やしたい。
障害のある人が外へ出て行けるように。

いろんな企業がいろんな工夫をしているが、なかなか難しいのが現実。
だから、まずは、周囲の、社会の理解を得たい。
その気持がわかる。

犬って…本当に愛おしい。

ほんの行きずりの犬でも、こっちが送る秋波(笑)を、ちゃんとキャッチしてくれる。
ハリケ−ン 〜ラミジ艦長物語5〜
ダドリ・ポープ 著
小牧大介 訳

1797年
カリブ海 バルバドス島からジャマイカ島への航海

ブリッグ艦 トライトン号

裕福な船主&船長である、シドニー・ヨークとの出会い

バルバドス島から、船団を護衛して、ジャマイカまで向かう旅。
季節的にハリケーン(題名!)に襲われる可能性と、場所的にフランスの私掠船(許可状を持った国家認定海賊のようなもの)に襲われる可能性高し。

ラミジの仇敵、提督ゴダード(ラミジの父親を破滅させた政府と強い結びつきを持つ)と、その子分であるクロウチャー旗艦艦長の配下として難しい船団護衛をしなくてはならない、若いラミジの苦労である。

苦悩はない(笑)というところは、さすがである。
若いって言うのは強いってことでもあるのだ。

船団は…商船は軍の言うことは聞かない(笑)
無理して航行しないので、予定よりうんと遅れる。
だから、海軍の護衛艦が、羊を追いたてる牧羊犬のように後ろから突っつくようにして追い立てなくてはならない。
それもしょっちゅう…。

風が頼りの帆船であるから、あっちへ行ったりこっちへ行ったりはとても大変なのにね。

で、ブリッグ艦という小型艦を指揮するラミジは実際そうした。
バウスブリッドで前方の商戦を串刺しにする勢いだった。
セント・ヴィンセント沖海戦でスペイン戦列艦の前にカッター艦カスリン号をぶつけて足止めした男である。
それぐらいはするだろう…って、その前評判を船団に広めておけば仕事がやりやすかったかも。

私掠船の計略に(ゴダードが)ひっかりそうになるわ。
案の定ハリケーンにぶつかって散り散りバラバラになるわ。

沈みそうになったトライトン号で、ヨークのトパーズ号を守って辿りついたのがスネーク島である。
…というところまでがこの一冊の流れ。

船団護衛の多忙な任務の中、地中海でお流れになった軍法会議の続きめいたことを狙ってくるゴダード提督とクロウチャー艦長。
その危機をなんとかかんとかクリアしようとするラミジ。
その辺の兼ね合いが見もの。
だが、丁々発止とやりあうのは、若い船主&船長のヨークである。
ラミジに性格が似ている…ので、よい友達になれそうだ、という予感を読者に与えるのだ。

ええとこのボンであるが。
(一方のラミジは伯爵の跡継ぎで子爵だもんな、つり合いはとれる)

そしてそして、この男(ラミジ)は…!
船客の美しいフランス女性・マクシーヌに心を奪われる……こらこら。
ジアナは?
でもってクレールは?

21歳。
青春真っ盛りってか?
カリブの磯波 〜ラミジ艦長物語4〜
ダドリ・ポープ 著
田中清太郎 訳

1797年
ブリッグ艦 トライトン号(まだ無事…)(笑)
カリブ海 西インド諸島

積み荷を積んでは消えるスクーナー商船の謎。
私掠船はどこからやってくるのか?
いや、それ以前に、商戦の出向の情報をどこで得るのか?
スパイがいるのか?

面倒くさい任務を、着任早々押し付けられるラミジとその一行であった。

アフリカから強奪されたのは人的資産(奴隷)だけではない。
宗教もまたしかり。
それが混じって合わさって、ブーズー教という、恐ろしい宗教を生み出した。
呪いによって人を殺す。
だからまじない師の言うことは絶対である。

アメリカの古い映画には、ブーズー教を題材にした映画もあったはず…
ゾンビってその流れだったっけ?

濃い闇が覆いかぶさる密林に響き渡る太鼓の音。
タム・タム・タム・タム……
粘つく空気の中、血の匂いが広がる…
きゃー!きゃー!きゃー!
ってとこ?

その仕組みを見破れるかラミジ?

ものすごい仕掛けだけど…ばれてしまうと「なーんだ」
コロンブスの卵である。

陸軍司令官ウイルソン大佐は、見た目よりずーっとできる男であった。
反省しきりのラミジである。
21歳。
人を見る目はまだまだ…!

ところで。
この巻では、英仏ハーフの美人秘書・クレール・ド・ジロとのロマンスも生まれ掛かるのに、次の巻に入るとその匂いすら残っていないのは何故?
ラミジよ……
ちぎれ雲 〜ラミジ艦長物語3〜
ダドリ・ポープ 著
田中清太郎 訳

ブリッグ艦 トライトン号
1797年。
スピッドヘッドで大規模な反乱勃発。

カッター艦カスリン号は前回つぶれた(つぶした)ので、新しい艦をもらたラミジくんである。
トライトンというのは、トリトンのこと。

     ♪す〜い〜へ〜い〜せ〜んのおわりには〜あああ〜♪

   それなりの年齢の方には、ちょっと懐かしい名前でもある。

物語は海軍省の重厚なる一室、海軍卿スペンサー伯爵との会談から始まる。
またしても何か罠が!
と身構えるのは仕方がない。

反乱中のブリッグ艦を指揮して、ブレスト沖〜セントヴィンセント岬沖〜経由、はるばるウインドワード諸島(西インド)まで行かねばならんのだ。
ふぅ…地図を見るだけで疲れそう(笑)

不満たらたら、上司の言うことを聞かない(反乱中だし)水兵たちをいかにして出港させるのか?
そして不穏分子の芽をいかにして摘み取るのか?(大海原で反乱されても困るし…)

おまけに、常に酔いどれでへべれけの軍医・ボーエンを復活させないといけない(医者は必需品だし)

海軍将校ラミジくんにはなんぼでも、多難な行く手が待ち受けるのであった。

ああ、でも、南洋の描写はいいねぇ。
ペリカンとか、トビウオとか…

バラクーダのみ不要であるが。
カリブ海へ行ってみたい!と思うようになったのは、ラミジのこの物語を読んでからである。

どんな性悪な蚊が生息していても、魅力的なんだよね〜。
御存じ、推理小説家有栖川氏のエッセイ集、しかも第4段…とは!(笑)

日常のことを綴るにも、作家さんはさすが!とうならせるものがあるから。
楽しみは楽しみ。

どうかするとエッセイが(小説よりも)むちゃくちゃ面白いなんて作家さんもいるので要注意だ。

いちいち面白く興味深く読めるのはえっせいで短いからだろうか。
この意見はどうか?と思うことでもすーっと流すでしょ。
エッセイは。
こだわらないから。
読める。

これがねちねち解説されたり講演されたりすると段々腹が立ってくるかもしれない。
もしかしたらね。

趣味が一緒(タイガース♪)なのでそこはそれ、なお一層に楽しく読めた。
ちょっと記事は古いが…懐かしいなぁ井川投手よ。
浜ちゃん(釣りではないゾ)よ。

作家の原稿料が、作家が申請しないと上がらないと書いてあったが本当だろうか?
まだ疑っている私である。

参考 ⇒
http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4062144662/sr=1-1/qid=1213334716/ref=dp_image_0?ie=UTF8&;
岬に吹く風 〜ラミジ艦長物語2〜
ダドリ・ポープ 著
出光 宏 訳
至誠堂 出版

カッター艦 カスリン号
1797年2月14日(セントヴァレンタインディ♪)
セント・ビンセント岬沖海戦

ボルテラの女侯爵を無事に助け出し(余計ないとこも付いてきたが)とりあえず安心♪のラミジくん。

ネルソン提督の憎い宰配で彼女をのっけてちっぽけなカッター艦カスリン号で一路ジブラルタルへと向かう。
向かうが…その途中、起こるべくして起こったアクシデント。

≪命令を自分の都合のよいように拡大解釈する≫男の真価発揮である。

まぁ似た者同士のネルソン提督のお気に入りになるのなら、そういう要素は必要だろうか。

おかげでスペイン艦隊の捕虜となり、レアアイテムを使って善良な人々をだまくらかし(某国の領事には、ばればれだったが)コソ泥まがいの真似をして情報を奪取、まんまとジブラルタルへとたどり着く…。

まったく忙しい男である。
まぁ冒険小説である限りは主人公が忙しくないと面白くないものだが。
のったりまったりした主人公なんて…。

以下は、作中に出てくる英国艦隊のメモ。

?カロデン号(74)トローブリッジ艦長;1794年、ハウ提督指揮下で「栄光の6月1日海戦」を戦った。

?ブレネム号(98)

?プリンス・ジョージ号(98);1778年、ケプル提督指揮下、ウェサン島沖でオルビリエ伯爵率いるフランス艦隊と砲火を交え、1782年にはロドニー提督指揮のもとドミニカ西岸のセイント諸島沖でフランス艦隊と交戦、戦列艦5隻を捕獲。

?オライオン号(74);「栄光の6月1日海戦」に参加。

?イリジスタブル号(74)

?コロサス号(74)

?ビクトリー号(100)♪旗艦・ジャービズ長官座乗♪;1778年、ウエサン島沖海戦でケプル提督の旗艦を務める。

?バーフラール号(98)ウォルグレーブ提督;セイント諸島沖海戦でフード提督が旗艦とする。

?エグモント号(74);ウエサン島沖海戦、ジェノバ海戦(1793)参加。

?ゴライアス号(74)

?ブリタニア号(100)トムソン提督;ジェノバ海戦でハザム提督の旗艦。

?ナミュア号(90)ホイットシッド艦長;セイント岬沖海戦参加。

?キャプテン号(74)ネルソン提督 ミラー艦長;クロムウエルがチャールズ2世の軍を撃破したころ、サセックスの粘土質の土壌に芽吹き、生育した2千本の樫の木でできている。ジェノバ沖海戦参加。

?ダイデアム号(64);ジェノバ沖海戦参加。

?エクセレント号(74)コリンウッド艦長

?カスリン号(10)♪(ラミジ海軍将校)

以上。
なお、この順番は、早いもの順である。

マナーは守りながら、われ先に行こうとする提督・艦長。
一歩でも先に出ろとぎゃーぎゃーうるさくせっつく提督。(誰とは言わないがネルソンとか言うお人だ)
後ろからぶち当てられないかとひやひやものの艦長、でも場合が場合だし相手が相手なので何も言えない…

想像すると笑える。
ラミジ艦長物語1 〜イタリアの海〜
ダドリ・ポープ 著
山形欣哉/田中航 訳
至誠堂出版

久々に〜病院への持ち込みで読んだ。

改めて読んでも面白い♪
嗚呼懐かしい、海洋小説が珍しく(笑)次々と発刊された日々!

1775年生まれの英国海軍将校ニコラス・ラミジは、現在21歳の若者である。
濃い色の髪、落ちくぼんだ黒っぽい褐色の瞳は相手を射すくめるように厳しく、水兵はラミジの前では嘘はつけないと思っている。
肩幅は広く、腰は細くひきしまり、まるでギリシャの彫像のようだ(サウスウィック航海長の言)
ロープの組継ぎ、マスト登り、何であれ、水兵裸足でこなしてしまう。
だから"慣れすぎる"と一部の士官が眉をひそめるほど、水兵に人気が高いのだ。

そんなラミジだが、人には負えない大きな十字架を背負っていた。
それは第10代ブレージー伯爵にして白色艦隊提督であった父が、政治の犠牲となり軍法会議で有罪となったからだ。
ニコラス・ラミジ7歳のときである。

その父の息子、ニコラスが海軍に志願したのは13歳の時だった。

無実の父を陥れた政治家たち、その政治家と結びついた海軍の上層部(提督・艦長達)の、ラミジに対する風当たりはきつい。
些細なことがあっても、あの父の息子を痛めつけようと虎視眈々と狙っている。
その中でラミジは戦う。
敵はフランス。
そして……。

第一話は、ナポレオンに反抗するイタリアの要人の亡命を助けよ、という密命を受けたブリッグ艦シベラ号の3等海尉ニコラス・ラミジが登場する。
それもいきなりフランスのフリゲート艦バラス号にめちゃめちゃに粉砕され、もはや舵もきかず、兵員も激減、艦長以下戦死…あとは座礁するか敵に撃破されるか、降伏するか。

ちなみにブリッグ艦とフリゲート艦では、船の大きさも乗組員(=戦闘員)の数も、搭載している砲数も違う。
なにより船足(速度)が違う!
フリゲートは別名"艦隊の目"と言われる艦船である、といえば察しはつくと思うが。

言うまでもなく、戦力においては、ブリッグ<フリゲート、である。

生き残ったうちでの最上級者ニコラスが、シベラ号を指揮し、艦長が受けた密命を実行し、生き残りの水兵たちを脱出させ、負傷者たちを生き伸びさせるために知恵を絞る。

まずはこの困難な状況から脱出し、イタリアへ上陸して、亡命者たちを助け出さねばならない。
だが地中海は海も陸もフランス軍が闊歩する現状だ。
ラミジはどうやって作戦を実行するのか。

そしてロマンス!
海洋小説でもちゃんとあるわけで。
しかも相手は大物……(笑)

海洋冒険小説好きにはおなじみのホーンブロワーも名前だけ登場し、ネルソンも絡んでくる。
ラミジがあーでもない、こーでもないと悩む心境も細かく書かれている。
まだ21歳だから、悩み多き青年なのは当然だろうが、それでも部下の水兵たちからは頼りにされ信頼される存在だ。
第1巻ではまだまだだけど、2巻以降は部下たちのラミジに対する噂話や水兵同士の些細な喧嘩や日常のやり取りが他の海洋小説にはない楽しさを醸し出している。

至誠堂からは無理でも、中古本などではまだ入手可能なようなので、海洋小説に興味ある方には是非!
御一読いただきたいお勧めのシリーズである。

風盗伝

2008年6月7日 読書
病院の病棟文庫に新しい漫画出現(笑)

戦国時代。
働いても働いても、田畑は荒らされ、略奪され、果ては虫けらのように殺される。
そんな百姓たちが、親や兄弟子供を殺された生き残りの百姓や樵たちがひとつにまとまった。

それが野盗である。

はじめは弱い百姓、村を襲っていた彼らも、自分たちが何故野盗になったかを思直し、やがて武士を、自分たちをこういう目にあわせた"強いものたち"を襲撃するようになる。

はじめはこわごわと。
しかし次第に大胆に。

…という話で、なかには報われぬ恋とか、裏切りとか、次第に買うを減らしてゆく野盗たちとか。

反社会集団がどこであれだれであれ、やがては辿る悲惨な結末へと流れてゆくのだ。


見舞客の分際で(笑)、漫画が多いと文句を言う○●な集団がいたが、病院に漫画が多いのは当たり前。
辛気臭い小説や面倒くさいストーリーや複雑な問題追及本なんか読んでられないもんねー。ただでさえしんどいのに。
病院では口のきき方に注意をしたほうがいいんじゃないのかな。

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