著者のファンだもんだから…つい。
で、内容は、『般若心経』を分かりやすく噛み砕きましょう、理解してくださいね。
というシロモノであった。

当たり前だろう。
著者は正真正銘のお坊様でしかもご住職であるのだから。

ゆっくりと読んでます。
ゆっくりと考えます。
ゆっくりでないと分かりません…というわけで。



ISBN:4480063196 新書 玄侑 宗久 筑摩書房 ¥735
ものすごい勢いでアンソロジーが出る。
次から次へと…でもう4冊目って、本体のゲームがそれほど人気ってことだろうか。

確かに限定のソフトはあっという間に売り切れたという。
高いのに…すごいね、みなさん(笑)

女王国・ファレナ篇は、今までの"幻水"の総力を注いだのかどうか…ストーリーはまあまあだが、悲壮感に関しては1話(赤月帝国篇)に勝るものはまだ出ていないと思う。
王子様はどこまで言っても王子様だったしな…(笑)

追いかけられる、追われるという圧迫感(ストレス)はやはり2話には負ける。

では、何が目玉商品(?)かと問えば…華やかさ、かな?
女王騎士の衣裳なんて…どうするのそれ?というぐらいすごい、着方が分からない。
これコスプレするの大変だろうなァ、でも黒が基調で目だって綺麗だろうなぁ…長身の人に来てもらいたいなァと思う日々である。

さて、アンソロジーも4冊目ともなればそろそろネタが尽きてくる。
108人の(一応)主役がいるわけだから、その中から随時選んで出せばいいようなものだが、108人もいると、目立たない認識されないヤツも多いわけで、そんなマイナーを主役に添えるのもどうかと言うところ。
だから適度に知名度があって…と為るけれど。
その結果が、もと暗殺者集団の戦闘員であるお二人さんなのか…。
変化球を利かせて、ユーラム・バロウズに行っちゃったのもあるが、それはそれで笑える話になっている。
私が楽しかったのは、目つきの悪い竜馬のアックス…の話。
確かに…人の背後で「いただきま〜す」って涎をたらしていそうな御面相そうではある。


ISBN:4757730071 コミック エンターブレイン ¥924
おじゃる様…の中に入り込んでいるらしい"ととさま"の事情がちょっぴり分かってきた第二巻である。
敵役の事情もいささか変化が出てきたし…。

この作者の絵は昔から変わらず安定しているので安心して読める。
主人公の顔がいきなり変わったりしない…単行本化時の加筆とかでね。

後書きで「昔見たミュージカル調の時代劇」が印象的で、そこに出てきたあやかしとかが、怖いというより面白かったようで、それから「日本昔話」などに移行し、そういう"楽しい"時代劇を、ということでこの話を始めたのだそうだ。
確かに昔の時代劇は面白かった。
私も再放送で見る限りだけど、「狸御殿」とかで、廊下の向こうにいたはずのお姫様がポンッと飛んでこっちに現れたりする。
ベースは恋物語で、ところどころに歌が入る。
ほのぼの恋愛モノだけではなく、たしか森の石松なんかも歌っていたような…いや、清水次郎長ものは、いつでもどこでもよく唄っていたかも?

シビアなきりあいで、いかにも頚動脈を切りました、といわんばかりにドバーっと血が噴出す怖い時代劇もあったけど、面白いものも多かったように覚えている。
あれに影響されての作品なら、面白いのは当たり前かな。

あちこちに出てくる物の怪の姿は日本昔話風かな?と楽しく読了。

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雑誌もララから他(メロディ)へ移動。
別冊子でおまけみたいにくっついて来たのが、新しい雑誌では本体に掲載とのこと。
お陰で読めなくなった(ララは家人が別の目的で購入中だった)けど、逆に言えば、読んでいない未知のストーリーが楽しめるわけだ。
人間塞翁が馬(笑)


ISBN:4592183223 コミック ひかわ きょうこ 白泉社 ¥410
これ…以前はレビューが出なかったんだよね。(50頁参照)
おお、出るようになったか。
出世したんだな、ヨカッタヨカッタ。

京都市内で着物に出会える…その着物、というのがふつーではない。
古着物で大正浪漫を追求するもよし。
安い普段着感覚の着物を捜すもよし。
着物をコンセプトに洋服を製作しているお店に入れ込むのもよし。(←私はこれだな)

幅広く、お財布に優しく和装を楽しめる、という本。
(少々びっくりもするが)

逆に、はっきり言うならば、正統派の着物好きにはちょっと…と思われてしまうかもしれない一冊である。

私は既にこれを片手にいくつかの店を回りました。
なかなか、のもんです。
贔屓のお店もできたしね♪

観光ガイドブックとしてどうぞ。


ISBN:4838103492 単行本 桜風舎 光村推古書院 ¥1,260
私にとっては初読のフリーマントル。

東西冷戦華やかなりし頃の、スパイ小説である。
そして半端じゃないこだわりのある(癖のある)、作家。
友人からお借りしました。

冴えないスパイのチャーリー・マフィン(英国のスパイにはチャーリーという名が多いように思うのは私の気のせい?)は、公立学校(グラマースクール)出の、所謂下層階級とみなされている。
ゆえに、英国情報部のボスが変わり、「情報部員はエリートの職場」という偏見に満ちた改革を行っている中では非常に立場が弱かった。
なにかというと"労働者階級"と言う言葉が使われ蔑まれる。

本当に、英国ほど差別意識の激しい国はないよね。
同じ国に住んで同じ言葉を話しても(同じ言葉にしては随分激しく訛りもあるが…日本だって同じだ)異なったふたつの種族なんだそうだ。
つまり、ホワイトカラーとブルーカラー。
上流階級と労働者階級。
両者はまったく別の人間なんだってさ。

         ……くだらない。

20有余年の実績も功績も無視され、どんどん閑職へ降格させられ(ようと)する。
挙句、東ベルリンからの脱出口においては、他の情報部員から注意を紛らわす為のおとりとして抹殺されかかる始末だ。

…チャーリーの方が一枚も二枚も上手で、そうは問屋がおろさない、のだが。

一見、出世コースからは激しく逸脱した、くたびれたオヤジにしか見えないチャーリー。
若手のエリート情報部員に鼻で笑われるチャーリー。
だが彼の本質はそんなものではない。
彼は、何十年も情報部で戦い、生き残ってきたツワモノなのだ。

勿論、その彼の真価を評価するものはいる。

皮肉なことに、KGBであるが(笑)
とっつかまえた大物KGBに、逆スカウトとかされてるしな(笑)
なかなか味のあるオジサンではある。

そんななか、ソ連からKGBの将軍(大物)の亡命の情報が入手される。
チャーリーを疎外してことにあたろうとする英国情報部。
手柄を独り占めにされてたまるかと、首を突っ込んでくるCIA。
やはり両者は犬猿の仲なのか?

さてさて…
英国情報部(MI6?)、CIAときたら、NATOは…?
と思わず突っ込みたくなるところだが、意気揚々と出かけていった"エリート"情報部員はとっとと始末されて、英国情報部の面子は丸つぶれ。

世の中そんなに甘くない、という現実を突きつけられて、彼らはどうするか。
その先はこれから……未読だから(笑)

ISBN:B000J8HJI4 − 稲葉 明雄 新潮社 ¥378
フリーのライターである著者が、裁判の傍聴(無料)を経験し、さまざまな事件を通して、被告・被害者・夫々の肉親…から"人間"を"感じて"ゆく、ルポ…のようなもの。

勿論、被害者や被告だけではなく、検察や裁判官や弁護士に対するツッコミは激しく、それらに対する主観的な考察や感想も遠慮なく描かれているのだが、犯罪そのものに対し、または被告に対し、のめり込みすぎた激しすぎるとこちらが感じるような態度は見られない。

言葉悪く罵っていても、その実内心は冷めている。
冷めて公判をみつめている、という感じだ。

だから…う〜ん。
裁判の実例集というか、こういう人たちがこんなふうにやってます。
という実例を幾つも続けて読むうちに、正直言って飽きたのは確か。

私個人の感想としては、表題負けしているのではないかと……失礼だけど。

面白いのは、検察と弁護士の戦い。
これはすごい。
陰険な検察のつっこみに、ひたすら時間稼ぎの弁護側。

そしてもうひとつ。
刑が確定した後の、被害者や被告、そしてその家族の姿。
退廷してくるその姿が、裁判の最中にみていた態度、そこからイメージしていたものと全然違ったりする。
「あ、こいつは、またやるな」
とそこでピンときたりするそうだ。
母親が娘の犯罪を号泣していた公判の後、執行猶予がついた娘は母親の顔を見もせず、さっさと一人ででていった、とかね。
人間の裏をまざまざと見せ付けられるらしい。
裏、すなわち、深みでもある。

傍聴のプロ(笑)がいる、というのも驚いたけど、退職してやることのない人間ならまだしも分かるが、ばりばり現役の仕事人がせっせと傍聴に足を運べるというのがすごいな、と思った。

それぐらい、嵌まるらしい。

……けど。
ひとこと。

ほんま、ひまやな〜と(笑)
言いたい。



ISBN:4167679965 文庫 北尾 トロ 文藝春秋 ¥660
似たような題が多いのと、画像が出ないのでなんとも…だけど、最新刊なのでたぶんこれだろう。

いしひさいち氏は、読んでいる新聞の4コマ漫画でおなじみ。
この文庫本の漫画の主役である藤原先生(♀)も勿論おなじみだ。

やる気のない、20代後半(本書で27歳と判明)の小学校の先生で、生徒に厳しくツッコマれては、密かな仕返し(抜き打ちテストとか)を行う。
酒豪で、いい加減。
でも、陰険じゃないし、見ていて楽しい。
面白味のある人間である。

本書では、その藤原先生が、こともあろうに文壇に進出!であるから、今のNHKの朝ドラみたいだ〜とうならざるを得ない(かも)。
しかも大型新人として新人賞を取って、なかなかの売れっ子でもある。

あの、だら〜とした、気負いのない、どーとでもなるわよ〜、という心構え(?)(笑)がいいのだろうか。

オール4コマ漫画だけど、読み応えある一冊であった。

4コマ漫画って、漫画の原点だよね。
起・承・転・結…がすばらしい。

…ちなみに。
なんで私がこの本を手に取ったかと言うと。
「題名に騙された」(笑)
というか。
惹かれたというか…。

もじりだとは勿論分かってますが、好きな小説と一緒だと引力が発生するもんなんだよ。
ついつい「お♪」っと手にとって見ちゃうものなんだよ。
…といいわけだけどね。

P・D・ジェイムズ…好きなんですよ、私。

ISBN:4488070566 文庫 いしい ひさいち 東京創元社 ¥500
ホーカ・シリーズの第二弾。

「地球人のお荷物」である、ホーカ。
愛すべきティディベアな姿で愛嬌を、そして迷惑を騒動を振りまくホーカ。

その第二弾のしょっぱなは、ご近所さん(勿論異惑星のこと)のサレン人(勿論異星人のこと)との親善野球ペナントレース(?)事件簿であった。

勝てば互いの惑星の最大最強鉱物資源を"あげちゃう"なんてバカな賭けをしてしまったホーカ。
それは奸智溢れつ陰険かつ陰謀好きのサレン人の計略であったのだが…さて。
全権大使・アレックスはこの危機にどう立ち向かうか?

   …というのは、まだDレベルな"文明度の低い"ホーカの、こういう国際的失態は、全権大使の責任になってしまうのである。
惑星の固有資源は他星人に"あげる"なんてことはできない(宇宙法律上)ので、その金額を弁済するのが、全権大使の責任に帰せられる、つうわけで。
カワイソー。

将来のぬくぬく安泰老後生活のために、アレックスはがんばる!

そしてホーカがかぶれるのは、当然ながら。前世紀のアメリカン大リーグ野球。
第二巻では、ほかに、国際スパイ団、ナポレオン(ボーニィのほうだ)…とああ、大物狙いは続いているなァ…(笑)

アレックスJr.も登場で、わくわく…の、なんと20年近くも前の作品とは思えない新鮮さである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今朝は夜明け前に起こされ、その後の騒音の為眠れず、お陰で「地球人のお荷物」も読書が進んだようなものである。

というのも、
近くの工事現場(「ブリキのオモチャ博物館」とやらを12階建てのマンションにすべく)では、夜の開けぬ朝の5時半頃から工事の車が入って建築廃材を運びだす作業をしょっちゅうやる。

ブリキやコンクリや、そういったものを積むだけではなく、工事車の出し入れ、掛け声、廃材の立てるがりがりがんがんばきばき言う音を、お構い無しに立てている…。

「ブリキのオモチャ博物館」は以前から、何度か細かい工事を繰り返してきた(真夜中〜明け方)が、
常に、
「工事は夜中、隣近所が住宅地でも騒音がどんなに酷くてもしったこっちゃない!」
という方針で工事をやるところであるから珍しくもないが。

ご近所からはさぞかし憎まれそしられているはず。
でなけりゃここの住人は異常だ。

少し前に近所に大型マンションが立ったので、またたくさんの人間を敵に廻したことと察せられる。

なにしろ、鉄筋コンクリートの建物や、アスベストを使っているんじゃないの?と疑われる建物を壊すのに、防護幕ひとつ張っていないのだから!
(この解体工事も、いっときは、夜中の11時ごろから夜明け頃までやっていた)
すごい、これでよく許可が出たな!と感心するぐらいである。


ISBN:4150107211 文庫 稲葉 明雄 早川書房 ¥609
可愛いティディベア、ホーカ族は、遠い宇宙の一惑星に住んでいる。
文明レベルはD。
すなわち、惑星上の大陸の、所々に分布して住み、爬虫類(トカゲ?)に似た異種族スリッシー族とこまかい喧嘩を繰り返し…。
要は、まだまだ宇宙空間に目を向ける文明をもってはいない素朴な生物達である。

地球人が"類熊人"と呼ぶホーカは人懐っこく、見た目も可愛い(♪)…から、ではないだろうが、とりあえず。
地球人は、彼らをして"好ましい"文明を発展させるため、先達者として"よりより方向に"導くことを決めた。
友好惑星として地球より全権大使を派遣し、進んだ文明の"小出しの"教育が始まる。

重責ある大使として任命されたのは、星間調査部少尉・アレクザンダー・ジョーンズ。
通称アレックス。
ホーカの、その、何にでものめりこみやすいという、民族的特性の最初の犠牲者となった地球人である。

のめりこむ。
そう。
地球人だってのめりこむ。
のめりこみ度には差があって、その小なるものは大なるものをさして<おたく>とか称するのである。

左様。
ティディベアに酷似して非常に愛らしい(イラストを見ていたら思わずふかふかしたくなるような…)ホーカ族は続々と…いろんなものに為り切る。
そして、そのシナリオ通りに行動し、コトを起こしてしまう。
大いなるトラブル…。

あるときは、インディアン(スリッシー族)の驚異におびえる西部の開拓町に住む、開拓者たち。

あるときは、宇宙の悪に敢然と立ち向かう宇宙パトロールの隊員。

そしてあるときは、英国・ヴィクトリア朝のホームズさん。

はたまた、あるときは、18世紀末〜19世紀初頭の英仏戦争(ナポレオン戦争)の主要人物…ネルソン、ナポレオン、そして海賊…?!

                        …以下続く。

というわけで、次には何になりきるつもり?と読者をわくわくさせてくれるエンターテインメント。

衣裳は勿論、大道具(町並みなど)・小道具(生活用具一切など)を全部(地球から)取り寄せて、為りきる。
或いは自分で調達(製作)する。←このエネルギーはすごい!
地球だって、そんなの何にするのかな?とは思っても、武器や有害図書(笑)じゃないのだから、せっせと笑顔でお届けしてくれるだろう。
町中が、大きな演劇を…否、コスプレイヤーの如く完全にその登場人物になりきっているのだ。
羨ましいような、羨ましくないような。
面白そうな、それどころじゃないような…。

ここで重要なのは、本気で為りきっているコト。
それがミソである。
これは巨大テーマパークに"本気で"のめりこんだみたいなものだ。
テーマパークは、生活の中の一部だが、こちらはいつ果てるとも知れぬ(ホーカが飽きたらそこまで)生活の全部になってしまうのだから。

そして、彼らがいつ、なんどき、なにに、かぶれるかは…神のみぞ知る。
地球の古い子供向け番組で。
古い映画のDVDで。
絵本を含む、本で。

そして、全権大使アレックス・ジョーンズ氏は、唐突にその一大演劇に巻き込まれるという生活の繰り返しなのである。
そんな生活の只中に、彼は新婚の奥様・タニ(旧姓ホストラップ)を伴って赴任したのである。
ホーカの惑星・トーカには、人類は彼ら二人だけ……。

…という。
好きな小説やテレビ番組や映画が出てくると、「よし!よくやった(選んだゾ!嵌まったゾ!)ホーカ!」と言いたくなってしまう。
そんな小説でもある。
お笑い度は満点。
話がかみ合わないながらも、アレックス全権大使は必死で"コトの終息"に勤めんとやっきになる。毎回毎回…。

彼の寿命も…いや、髪の寿命だけど…あまり長くはなさそうだね。

随分昔に読んだ本で、なんとな〜くのイメージだけ覚えていた。今回友人からお借りして…やはり、すっごく、面白い!と改めて認識する。
日本人としては、源氏物語とか、やってほしかったところだけど。
だめかなぁ…?

ISBN:4150100683 文庫 稲葉 明雄 早川書房 ¥420
文庫本レビューか…まあいいか、表紙の絵は一緒だし。

最終巻。
ということで、「この世の果て」レストランはその幕を閉じることになる。
「自分が食べたいものをいつでも食べられるレストラン」
というのがオーナーの目標であった為か、異種(和菓子屋)競合相手が現れると意外にもろかった…

というか、そこまでやる気合が足りなかった。
なんか、偶然の流れでやってたみたいだったしね。
でも、漫画で見ているだけでも幸せになる料理だったと思う。
特に私はお酒がダメ(になっってしまったの)だし。
料理も一人前が食べられないカラダ(笑)だし。

でも、基本的に好き嫌いがないから、何を見てもおいしそうだったんだよ〜。

いいなぁフランス料理…食べたいなぁ。

40年後のバリでがんばる紳士・観も素敵だったけど、オーナーもなかなかよさ気なマダ〜ム、の雰囲気が出てたもんね。
執筆業…首にならなかったようでなにより。

最終巻の迫力はなかなかのものであった。
全部で6編(うち、前後編がひとつ)
オーナー不在で皆がシアワセ〜なきもちになる「幸せな一日」の皆さんの顔が、観音様のようだ。
料理素材としてのエゾジカの登場…これは、流石に作者が北海道の人だけあると思ったけれど、美味しいのかな?
随分前に北欧料理のお店で"トナカイ"を食べたことがあるけど…私は鴨のほうが美味しいと思ったのだ。(どうかすると牛より鴨を選ぶのが私)

ちなみに、蟹は蟹味噌が好きです。(どうでもいいけど)
海老は伊勢海老やね、ウン。
ハワイ島のロブスターも美味しかった………。
私の好みや思い出はまぁいいんだけどね。

「ヴィンテージ」は、ソムリエを目指す彼の、現役銀行マン時代のライバルが登場。
どっちも意地の張り合いで、おまけにどっちも(一応)エリートときているから、いい勝負を見せる。
同じ年に生まれ、同じような幼年期を過ごし、東大合格、ライバル銀行入行…と、そこまで似てくると腹が立つのか。
憎しみ会うのか。
これを称して"近親憎悪"というのだな、きっと。

「めで鯛」
正月の御節をフランス料理でする、という話。
2万5千円…うん、味がわかっていたら、美味しかったら、払えるゾ!
今年は温泉にいけないので(資金と体力がない。折角予約が取れていたのにー!)、どこかで御節を…御節とは行かないまでも正月を過ごす料理を入手しなくてはならないのだ。
めんどくさーい。

いつも温泉で、ごーかな正月料理三昧だったのに……。



ISBN:4091875068 コミック 佐々木 倫子 小学館 ¥530

新吼えろペン 5 (5)

2006年10月30日 読書
名台詞が頻出する一巻であった……

キミに足りないのは勇気だ!駄作を作る勇気だ!!

駄作で金をもらってこそ!プロ中のプロ!!

締め切りにあわせるのがプロだろうが!

漫画家って奴らは信用できん!(←大笑)

締め切りというのは!!できた時が、締め切りなんだよっ!!(←前述の科白と矛盾するけど、漫画家は、ホラ、信用できないからさ)(笑)


久々に吼えた、炎尾 燃!

大爆笑しました。

それにしても、萌(もゆ)ちゃんは可愛いなァ〜。
炎尾アニキ!一筋!!だし…。

ISBN:4091570658 コミック 島本 和彦 小学館 ¥560

新吼えろペン 4 (4)

2006年10月30日 読書
新しいスタッフとともに日々がんばる炎尾 燃。
「疲れすぎた漫画家」=「休みすぎた漫画家」
で、使い物にならないという事実!
そしてまた、
「手は抜けるときに抜け!」(それで雑誌が売れりゃぁいいんだ!)
という私達にもありがたい意味深い言葉を我々読者に投げかける。

お風呂屋さん…じゃない、温泉旅館のお風呂場の壁に漫画家が絵を描いて人寄せ…というのは、存外ありかもな。

相変わらず、元気の出る漫画だなぁ……(笑)


ISBN:4091570380 コミック 島本 和彦 小学館 ¥560
大学時代の恩師の著書である。
学部はぜんぜん関係ないが、最後の最後まで(就職の心配まで)ご面倒をおかけしてしまった。
その後、なんどかご趣味の版画展などにもお邪魔したのだが、近年はすっかりご無沙汰をしていたのである。

そしてつい先だってのこと。
展覧会の案内はがきを貰って、吃驚した。
「浅見素石<版画・版書>遺作展」などと書かれているではないか。
確かに長い間、音信は途絶えていたが…(全部私が悪いのだ)

2006年5月6日。
84歳を目前にしてなくなられた先生の著書を、実は一冊も読んでいなかったことにまたまた吃驚して慌てて注文。
というのも、この手の本は出版数も少なくて、ネットで調べると在庫希少なんて出ている。
これは大変とばかり入手したのである。

琵琶湖とその水系にまつわる歴史。
そしてその水系ゆえに発達することができたのだ、京の都は。
今でもあの巨大な(日本最大の)水がめのお陰で、どんな夏も水不足も、京都市民は"他所のお話"ぐらいにしか受け止めないですんでいる。
水不足のため、節水に協力…はしても、身に迫って水が足りない!と思うことなどいまだ嘗てなかった。

琵琶湖さまさま、なんである。
京都は、琵琶湖に守られているといっても言い過ぎでは在るまい。

偶然か必然か。
京都の桜の名所は、琵琶湖から導かれた疏水に関わる場所が多いのだ。

インクライン。
岡崎。
山科疏水。
哲学の道もまた。

偶然(ではあるまい)、この春に桜を求めて散策した山科疎水の記事が載っていた。
幅広く舗装され、なだらかな小関峠の頂上から左へ分かれる旧道の小径を400mほど下ると左手の凹地に第一竪坑上部のレンガ円筒が現存。さらに降りればJR湖西線トンネル口に隣り合う第一隧道西口で再び疏水の流路に出会う。
この辺りから水路沿いの道は切れ目のない桜並木だが、とりわけ一燈園横の四宮船溜り近傍の満開時は見事。水路は湖西線工事に伴い、昭和45年に新掘された諸羽隧道を直流し、旧水路は埋め立てられて山科盆地を見渡せる快適な散歩道。諸羽神社を舌に見て歩めば毘沙門堂参道に架かる安朱橋もほど近い。
疏水は安朱川と立体交差し、穏やかな曲線を描きながら洛東高校、安朱寺前を過ぎ、上野の山裾でJR東海道線に出会い北西に急転する。(翠雲注:ここの桜並木も、そりゃぁものすごい迫力!第三隧道まで続く桜並木!)⇒http://www.geocities.jp/sailorsladyluck/SAKURA.sosui.1.jpg(洛東高校付近の桜並木)
天智天皇陵裏の閑静な緑陰に突如現れる朱塗の正嫡橋は戦後堀川六条の市中より移転してきた日蓮宗本圀寺の参道でほどなく見えるのが第二隧道東口。
道はいったん日ノの岡住宅へ迂回し、再び隧道西口のある児童公園へ出る。その北岸には新山科上水道への取水施設が建ち、傍らに日本最初のコンクリート橋も架かる。(翠雲注;けっこう…かなりちゃちいけど)ここで4.2Km山科盆地を西流した疏水は、第三隧道東口に吸い込まれて一路蹴上へ。(ここより先はいったん旧東海道へ出て、日岡峠を越え地下鉄東西線蹴上駅東口まで歩くより他はない。)(翠雲注;私は日ノ岡駅へ戻ったが)⇒http://www.geocities.jp/sailorsladyluck/SAKURA.sosui.2.jpg(日本最古のコンクリート橋付近の桜並木)

私が桜に誘われるままに歩いたのは、毘沙門堂から坂道を下って洛東高校の前を過ぎ、日本最古のコンクリート橋まで。
で、あっちへふらふらこっちへふらふらと歩いて2時間ぐらいだったろうか。
桜は満開なのに、休日なのに、人も少なく、静かで不気味なほどの静寂が支配する良い散歩コースであった。
この疏水に船が、観光船が戻ってきたら…すごい人出だろうなぁとは思う。
でも桜吹雪の下をのんびりと船に乗って、時々真っ暗な隧道を通り抜けて、というのは、想像するだけでもわくわくするね。

ISBN:4883251500 単行本 浅見 素石 サンライズ出版 ¥1,260
受験生の方々にくれぐれも申し上げます。ここに書いてあることを信じて受験に臨んではいけません。<著者"あとがき"より>


その通りです(笑)
でも、作者の名前を見たら、そんなことは分かっていると言われましょう。

でも、前著「蕎麦ときしめん」が料理本コーナーに置かれていたのを目撃したと著者自身が言っておりますから、そういう危険性も無きにしも非ず。
1億数千万の日本人の中には、著者の駄洒落と言うかウイットを真っ正直に受けとめる(というか、この人がどういう人だか知らない)人も、本屋さんにつとめる人もいるかもしれない…ということで。

馬鹿馬鹿しいんだけど、ほう、なるほどね、と思わず唸る国語入試問題必勝法。
ほかにも社会科篇とか理科篇とかあるようなので、そそります。

御伽噺「猿蟹合戦」は男女の戦いの話であり、最終的には女親(母親)の仇を子供が取る、つまり男親(父親)は常に敵とみなされ討ち果たされる対象であるということが、なんとはなく快感…というか、笑えるというか。
こじつけだけど、そういえば…と思い当たる節があるような錯覚を抱かせるところがこの作者の上手さである。

「靄の中の終章」は自分の、人間が生きて長生きする限りはそこに到達してしまう怖さを感じて最後は怖かった。
けど、その道のりは滑稽で笑える。
人間、最後は、最終的には、自分のことを笑い飛ばしてしまわないと狂喜に陥ることもあるのだろう。

「いわゆるひとつのトータル的な長嶋節」は…。
アンチ巨人でもアンチ長嶋は存在しない、と(特に関東方面では)言うらしい。(関西人でも長嶋サンは好きでしょ?と言いたいらしいのだが…。)
らしい、というのは、私はそうではないからだ。ちなみに友人もそういっているので、関西地方では、最低二人は例外がいることになる。
いや、私については、ものすごく嫌い、というのではないが、好きでない。なんかわけのわからんオジサン、という認識だ。(友人は嫌いだと名言している)
つまりどーでもいい、と思っているだけで、ただ、どーでもいいはずの人がどこにでもしゃしゃり出てくると"うっとおしいなぁ""なんでこの人出てくるの?"と反感を持つことはある。

でも常にポジティブで前向きな長嶋節は、なんとなく、聞いている人の心を明るくするのだそうだ。
だから好かれるのだそうだ。
…やっぱり、わけわからん。
けど、この著者の、この本のストーリーとしては、これはこれでよいのだが。

「人間の風景」は1億総作家、といわれる日本の現状。
文盲率が限りなく0%に近い(今の社会を見ていると、ちょっとはいるのではなかろうか?と私は疑っているのだが;ケータイを使うな、と書いてあると途端にケータイを取り出してメールをしたり、病院で堂々と使っているのを見ると)日本では、ちょっと文章を書いてみようかな、という人間は無限に存在するし、"この程度(の小説)なら俺にも書ける"と思っている日本人もかなりたくさんいるはず。
で、60才を過ぎて現役を退いた男たち4人がリレー小説でも、と筆を取る気持ちは分からないでもない。
その中身が、リレーというルールを無視し、自分の嘗ての栄光(職)を賛美し説明し、分かってもらおうとする…のも分からなくはないけど。
なんかすごい、と思うのは、いかにも"今風"だからか。
どこまでもマイウエイ。
強引にマイウエイ。
前後の関係や調和なんてしったこっちゃないわいな〜をいい年をしたおじさんたちが…。

否。
この著者に関しては、あんまり堅苦しい正面切った感想は滑稽かも知れないな。

そのまんま、ストレートに読んで、充分笑えるし楽しめる。

では、解説(丸屋才一氏)より、パロディについて。
わが庵は都の辰己午ひつじ申酉戌亥子丑寅う治
        ー喜撰法師ー<蜀山人作・狂歌百人一首より>

鐘は上野か浅草か
        白きを見れば夜ぞ更くる
「故蘇城外寒山寺」
        数ふる指も寐つ起きつ
首縊(くく)らんか鳰(にほ)の海
        ぶら下げぬぞうらみなる
身をば投げんか鷲の峰
        もぐり込まぬぞ恨みなる
小楊枝むづと手に執(とっ)て
        喉笛美事に掻切れば
ちょいと痛めど血は出でず
        死するも命別儀なし
天地玄黄千字文
        無理心中は止むべきぞ
            <斎藤緑雨による与謝野鉄幹のもじり>


ISBN:4061847740 文庫 清水 義範 講談社 ¥470
アフリカの小国・ブビアで砂漠に捨てられた十津川警部。
執念と根性で隣国・ジブチ共和国に迷い込み九死に一生を得るが、なんと記憶を失ってしまった。

一方、ブビアで戦闘人形(兵隊)を養成したブラックゴースト(笑)・江崎は、いよいよクーデターを起こすべく、49名の戦闘員をぞくぞく日本へ帰国させる。

…今回、部分的(名前は覚えているとか、その程度の)記憶喪失になる刑事が多いですナ。
まぁいいけど。

それに海外となるとすべて列車でまかないきれないのが苦しいところ。
舞台が大きくなるのは構わないけど、ドラマとしてどうだろう?
これもやったのかな?

なんでも、西村京太郎氏は毎月1冊のペースで小説を書いているそうな。
それもすごい。
ある程度は慣れでクリアできることなんだろうけど、なにより、ネタが尽きないのがすごい。

それから、前にも出てきたが、十津川直子さん(警部の奥さん)のオバサンとやらが大金持ちで云々…という話。
以前もその財産を巡ってなにか事件が起こったと思うのだけど、今回は、捜査のためなのに、証明ができないから、その出張費用がでないからと"私用"でアフリカまで行けてしまう。
それに加えて、容疑者監視のため、入会金100万円+月15万円の会費を自腹で払って部下の捜査員を潜入させる…その費用も個人もち。
すごいなー十津川警部。
お金持ち〜うらやまし〜♪

推理小説のネタや結末より、そっちに感心する私であった。



ISBN:4167454122 文庫 西村 京太郎 文芸春秋 ¥540
母親が読了していたこれを拝借する。

十津川警部ものは…というか、西村京太郎ものは、亡父が好きで良く読んでいたのは知っている。
でも一回読めば終わりだったようで、そのたまり溜まった本を友人・知人に分けたり会社に寄付したり、まあいろいろとしていたのだが、まさか母親がその後を追っかけて読んでいたとは知らなかった。

いや、母も本を読むほうだが、こういうものは読まないと決め付けていたんだった。
いけないなぁ。
いや、ほんとに。

自分の思い込みで人を判断してはいけない、ということだ。

十津川警部の大事な部下が、個人の事情(まだ高校生である実弟が薬中毒患者に殺された)で捜査を進めている…途中に殺害された。
北海道からと上野へと向かう豪華寝台列車・北斗星の…ラウンジで。
北斗星って、二階建ての寝台列車だよね。 ← <カシオペアのことであった。以後北斗星⇒カシオペアに読み替えてください>
某探偵ものアニメでも殺害事件に使われていた。
二階部分が寝台になっているので、"眺めは最高"というのだが、揺れがひどいんじゃないの?と私は先にそっちを危惧してしまう。
我らが関西地方を走り回る私鉄のなかで、近鉄や京阪などは早くから二階建ての車両を走らせているが、結構揺れるし、それよりもなによりも、少々上に上がったからってたいした景色は期待できないってことを知ってしまった。
北斗星は東北を縦断して、青函トンネルを抜けて海を臨みながら札幌へ…途中海も見られるようだが、さて。
路線地図を見る限りは、海岸線からは遠いようだ。
そんなイメージがある。

私に知らないだけで、風光明媚な場所が連続して存在しているのかもしれないから、あまり大きな声ではいえないが。

さて。
北海道・函館から東京へ、そして、下巻では、とうとうアフリカくんだりまで行くようだ。
私は西村京太郎ものをたくさんは読んでいない。
父が読み終えた本もほとんど読んでいなかった。(今思うと勿体無いことをした。タダだったのに〜)(笑)

だからか、どうなのか。
私が知る限りにおいて、十津川警部の出張としては、最長の距離である。

ISBN:4167454114 文庫 西村 京太郎 文芸春秋 ¥540
ふるっ……。
古すぎる。

明日、病院へのお供です。
書棚の奥から出てきたんだけど、1958年に買っているわけではない!
断じて!
だって、私の生まれる前じゃない…。

病院でベッドにひっくり返って点滴を打っている4時間ほどの間、ミステリを読んでハラハラドキドキするわけですね。
血圧とか妙に上がったらどうしよう?

レビューは訳者しか出ないけど、著者はジョン・ディクスン・カーとアドリアン・コナン・ドイル。
彼は、そう、コナン・ドイルの実子である。

そういえば、最近本屋でコナンドイルの息子だかなんだかが書いたS・ホームズのロシアを舞台にしたミステリ小説、の文庫本を見たような気がするぞ。
この人なのかな?

ISBN:B000JAUU5G − 大久保 康雄 早川書房
著者は有名な女流推理小説家で、私は彼女のファンである。
…で、ミステリに分類されているこの小説を、私は推理小説だと思い込んでネット注文したのだった。

この本が手元に届いて初めて、近々公開の映画の原作だと知る羽目になる。

近未来(2021年)の事件。
出来事。

人類が滅びへと進んでいた、その、とある一年の出来事。

…で、最後まで読んでわかったのは、この小説が映画の原作ではない、ということだった(笑)
いや、原作は原作だけど、映画にしようと考えた時、中身は、筋書きはまるで違ったものになったそうで、この本を読んだからといって映画がわかる、というわけではないらしい。
では、「映画の原作」という本の帯は嘘になるよなーとか、考えるんですけど?
いいんでしょうか?(笑)

そしてこれを"ミステリ"という分類に入れていいのかどうか…という話も巻末にあれこれと(笑)

まぁ、いいんだろう(笑)

PDジェイムズと言う人は、実に重厚でしっかりとした物語を書く。
たかが推理小説なんて、軽いものではない。
古典的教養、人間の心理、深い洞察…まるで分厚い"文学全集"を手にしている気分である。(ロシア文学ほど重く悲惨ではないが)
その彼女の作品として、この物語もやはり魅力的だった。
大きな・派手な事件は起こらない。
(この点、映画では観客の興味を惹く為に爆発や暴力的シーンなどをわざと設定した、と書いてあった)
殺人を初めとする犯罪と、滅亡へと突き進む人類の絶望とやけくそと…精神的荒廃。

なにが人類を絶望へと走らせたかというと、
【子供が生まれない】
ということだった。

生殖能力を、全人類が失ってしまったのである。
未来を託すべき子供たち(子孫)の不在。
それはすなわち、未来を否定すること。
未来を、そこに存在する希望を、消滅させてしまうことでもあった。

そして、最後(の年)に生まれた子供たちは"オメガ"とよばれ、「いずれ地球上のものはすべて自分達のものになる」
という事実と、何をしても未来に繋がる希望はないと一種異様な存在に変質してゆく。
無感動。
そして…徒党をなして意味もなく、人を虐殺するオメガたち。

そんな中、イングランド(ここがみそ;ウエールズやスコットランドは分離してそれぞれ国守を選ぶ。影響力はイングランドの下にあるのだが)は一人の国守を選び出す。
国王は戴冠せず、やがて国守が絶対的権力をもって国を支配する。

絶望した老人が、"国が用意した"方法に従って死を選ぶ<生命の開放>
その内容は、覆いのないはしけに、何人もの老人の体を鎖で結びつけ、沖に船出したところで栓を抜いて溺死させる。

弱い女たちに流行しているのは、セルロイド人形等を乳母車に乗せ、擬似母親体験をすること。

犯罪者は一箇所(マン島)に集め、弱肉強食であろうと統制された公平で平和な社会であろうと、彼らの自由にさせること。
(その結果、弱肉強食のケダモノ世界になっている;う〜ん、これって性悪説の勝利か?)

などなどなど…

絶対的な権力を持ってそれらを推し進める国守・ザンは、この物語の主人公である歴史学者・セオの従兄弟であり幼馴染である。
この社会を変えるべく反体制派がセオに接触を始めたのがことの起こりの最初であった。
最初は、国守・ザンに対して影響力をもつであろう(これは大きな勘違いであったが)セオから説得してもらうことが目的だったが、それが聞き入れられないと知ると、今度は実力行使に走るようになる。

メンバー5人の、その動機はさまざまだ。
宗教的な理由・復讐・嫉妬(ザンにとってかわりたい)。
係わり合いにならないように留意しつつ、仕方がなしに彼らと行動をともにし、やがてはその中心となって行くセオ。
それは彼の50年の人生のやりなおしの意味をもっていた。

5人の仲間+α(セオ)。
だが人は心変わりする。
同様に人は、己の信念のもとに生きて死ぬ。
たった小さなひとつの出来事が多くの人の運命を変えてしまうこともある。
そして、最後は…"アルファ"の誕生は、人類にとって吉と出るか凶と出るか。
地球に生息する人類にとって、幸運の女神となるのだろうか。

それが、問題だ(笑)

ただ、PDジェイムズは決して悲観的で嘲笑的な作家ではない。
人が生きる栄養がなんであるか、それは重々承知している作家である。

ISBN:4150766177 文庫 青木 久惠 早川書房 ¥798

チキタ★GUGU (6)

2006年10月22日 読書
シリーズ最新刊。

あやかし・化け物。
呼び名はどっちもいいけど、パワーアップしてるなぁ。
さりげに…ではなく、見るなり怖い。
無茶苦茶怖い。

真っ黒なあやかし・オルグが妙に可愛らしいそぶりを見せる。
形態は小動物だもんね、そうなるのも仕方がない…というか作者の計算か?
"見える姿"ひとつひとつ、ちゃちな小道具ひとつひとつに大きな意味があったりして、油断ならない作家さんだからさ(笑)
すべてが伏線に見える。

チキタの存在がラー・ラム・デラルにとって、ちょっと変化してきたのかも?と思わせるラストだった。
この場合…どうするの?
"不味い"チキタを100年養育して、そして"美味しい"人間にするのが、"人喰い妖怪"であるラーの宿願のはず。
なのになのに…?
なんか、予定が狂ってきたよね?

人間のちっぽけな思いやりとか、同情とか、良かれと思ってしたことがとことん逆に利用されている、そのシリアスな悲惨さ。
救いがないけど、復活の強さはある。
でもなー、この作者の場合、徹底的に叩きのめすから。
人間の良心とか、ほわほわあったかいものを。
中途半端に漂っている海月みたいなものは認めないから。
ものすごくしんどい。

でもそういうものをまるきり否定しているわけではないから、どん底から這い上がる強さを感じることができる。
しんどいけど。

踏まれても踏まれても、復活する強さ。
哀しみは、忘れてしまうわけではないけれど、乗り越えてゆける強さ。
そういうものがある。

どうせ、人間。
不完全な人間のやることだもんね。
たかが知れてるって?(笑)


ISBN:4257905670 コミック TONO 朝日ソノラマ ¥800
弓の花栄(おとこまえで評判) 登場。

勿論、林冲の登場も、しっかり確認したし。

大きい本で、なおかつ重いときているから、寝っころがって読めないのが玉に瑕。

うわっつ。
黒旋風の……アナタもご登場でしたか。
そうですか。
ははは…。


ISBN:4312010102 単行本 森下 翠 魁星出版 ¥2,625

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