新刊書。
銀行強盗から始った事件。

マスコミは勝手にいろいろ想像し、話を創り上げ…で、それが真実?

ワイドショウは見ないけど、余計なお世話に一杯首を突っ込んでいるようなイメージがある。
余計なお世話、と当事者から言われそうな。

嘘は言ってないから、正しい。
正しいから何を言っても構わない。
という図式がまかり通る(?)不思議な世界。

行っていいことと悪いことのわきまえを、幼少の頃に学んだはずの礼儀をかなぐり捨てて競争している世界に思えて仕方がない。

噂は、人間を殺傷するだけではなく、社会を変えてしまうこともあるのだが。

人の噂も云々…で済まされないこともある。
人間の心には。

そして、キリコ。
能登半島で夏の間に各地で行われると言うこの祭。
…わたし、見たかもしれない(笑)

いや、車で連れて行ってもらったから、夜中にかけて。
よく覚えてないんだわ。
わはははは…。
でも、描写がね、なんかこれかなー?と思える。
違うかもしれないけど。

大きなやぐらを最後は炎で焼き尽くして、燃え尽きて、灰になって。
赤々と照らされていた周囲が漆黒の闇に変わる。
その印象がとっても深い。

あれなんかなー?ちがうんかなー?


ISBN:4047881880 新書 西村 京太郎 角川書店 2007/12 ¥840
ノーベル文学賞を受賞したトルコの作家。
「わたしの名は紅」の作者。

でも、多分、日本ではそんなに著名な人ではない…と思う。わたしの独断だけどね。

イスタンブールの裕福な家庭に育ち、空想好きな少年時代を過ごす。
零落しつつある(した?)イスタンブールの街、その歴史や過去の彩を心に思い、想像していた少年。

彼の目に映る街の姿は、黒と白。
鯨幕ではなく…そういう色彩にしか映らなかったほど、イスタンブールの衰えは顕著だったのだろうと思う。
だからこそ、白と黒の世界に憧れる、そんなニュアンスも感じるが。

た・だ・し。
白黒、所謂モノクロというのは、それ独特の美しさをもっているものである。
決してバカには出来ないのだ。
実際、カラー写真で取った最近の家族写真よりも、(身内なのに)モノクロ写真で撮った年代的に遠い親戚(ご先祖様)のほうが(自分の身内だというのに)遥かに美男・美女に見えるものである。
如何?

「わたしの名は紅」では独特の語り口調にいささか苦労もしたけれど、その独自性を楽しみつつ、ほとんど1ページに1枚の割合で掲載されている沢山の白黒写真・ふるいイスタンブールの写真を楽しみつつ読むと、意外に読み易いことに気がついて、驚いている。

これもまた、友人からのレンタル本である。

ISBN:4894345781 単行本 オルハン・パムク 著  和久井 路子 訳 藤原書店 2007/07 ¥3,780
大泥棒…というわけではない、バーニィ・ローデンバーは古本屋の主人でもある。
たいして儲からないが。

その分は夜の仕事でまかなっている…のかどうか。
その性分、相手(被害者)の心情をついつい慮ってしまうせいか、あまり得をしている、大もうけをしているようには思えない。

とある日。
かれは夜の街を徘徊していた。
…がゆえに、ついついふらふらと他人様のアパートに忍び込む羽目になってしまい(?)そこでとんでもない犯罪を目撃。(人死はなし)
ついで、そのことが、彼を覚えのない重大犯罪(3人死亡)に巻き込むきっかけとなってしまう。

訳がわからないままに殺人事件に巻き込まれたバーニィだったが、いつまでもその現状に甘んじているはずはなく、真犯人にたどり着くべくアドリアネーの糸をぐいぐいと手繰り寄せるのであった。(切れない程度にね)

最後の最後、容疑者や被害者や役者を集めての謎解き、はちょっとポアロを思い出す。
名前がややこしすぎて(東欧系が…)覚えにくいのが難といえば難なんだけど。

相棒(?)が百合族の、ペット美容室の女性というのも…なんともはや今までにない世界を展開していると言うか。

ところで、話の中にコンラッドの海洋小説云々の話も出てくる。
「密偵」という古本を巡っての話だ。
そしてこの推理小説の奥底にロシアに痛めつけられたラトヴィア国民の復讐譚が存在する。
ポーランドの没落貴族の家系であり、ロシアによってシベリアへ流刑とされた両親のもと育ったコンラッドが心臓発作で死ぬまでロシアに対しては相容れなかった…というのも当然のことであろう。
小説を進める道具として彼の名前と作品を出してきたこと、その作品名が「密偵」だということ、に、また何重もの意味を込めたのだろうなぁと感心する。
小道具の配置や配役のしかたなど、実に細かい気遣いをする作家さんなんだろうと推測した。

そして、アメリカの課税制度とか医療制度とか、よく判らないなりに勉強できたと言うか、教えてもらったというか。
やっぱりよくはわからなかったけど(笑)

それと、やたら英語の駄洒落っぽい言い回しが多くて、これって原書で理解できる人なら大笑いして楽しめるんだろうなぁと思う。
これもまた、細かいところ、話の隅々まで力を抜かない作者ゆえのことなんだろうけど…(笑)
外国人にはお手上げ(笑)
シェークスピアを読んでいて飽きるのも(参るのも)その辺だからね。
翻訳書だとぴんと来ないんだよね。

つまり、悲しいことに日本語訳ではその楽しみは半減以下ではなかろうか。
そのことが、ちょっと勿体無い気もする。

ISBN:4150018022 単行本 田口 俊樹 早川書房 2007/07/13 ¥1,470
本の題名通り。
家族の介護に携わる普通の人が、その気持ちを吐露した短歌を集めたもの。

そのときの、苦しい中での気持ちなのに、恨み言や辛いしんどいではなく、希望とか優しさとか愛情に満ち溢れた気持ちがいっぱい感じられると言うのがすばらしい。
魂の浄化というか。
短歌にして、つまり言葉や文章にすることで、苦しさとかしんどさとか恨み事だとか、が浄化されていくようだ。
読んでいると、不覚にも目が潤んだりすることもある。

秀作には随分泣かされたが(笑)中でも私の一番のお気に入りは、三重県の福島さんの短歌である。

唯一人 一人となりて 蚯蚓(みみず)鳴く
         
             泣いたらあかん 鳴くな雨蛙


夫君が亡くなった。
鳴かない蚯蚓(秋の季語)の声までが聞こえる、それほどに悲しい、という上の句に、亡くなった夫君の声が聞こえてきたと言う。
それが下の句である。
これは想聞歌である、と。

なんて素敵なんだろう。
情景が浮かぶようなこの歌に、しみじみと思いめぐらす私であった(相手はいないけど)(笑)

……で、この本も母親行きだ。(こういうものの存在を知っていたらしい)

ISBN:4140811307 単行本 NHK「福祉ネットワーク」制作班 日本放送出版協会 2006/11 ¥1,365   
「すれいやーず」とはまったく違う神坂一に有った……ので最初は随分驚いた、馴染めなかった、戸惑った。
だって、字数が多い、情景描写が多い、科白が少ない、口調が丁寧……なんだもん。

でも途中からは乗ってきた。
なるほど。こういうものも書ける人なんだな、と確かに一時期は毎年のように高額納税者リストに乗っていたような人なんだから単なる一過性の作家ではないはず。
と、思いなおす。

家中がドア。
それこそスケッチブックのなかにまで。
そのドアは、異世界への通路、すなわち入り口なのである。

で、なんでそんなものがそんなところに?
その原因は、といえば、数多のパラレルワールドがこんがらがってくっついてぐるぐるになって混乱しているからだ、と。
したがって、現実世界もどこか(かなり)おかしな状況を呈している。
たとえば"妹"という立場の人間は、みな5本の尻尾を持つリスである世界、とか。(可愛いから許す?)
それらを修正する為に修正器具"レンチ"をもってあっちのドアこっちのドアと、ドアの向こうの世界に出張していた青年がひとり。

そのドアが何故か主人公の家中に発現したというのだ。

妹がリスになったり、(リスは兎も角)○○になったり、で我慢できない主人公はせっせと世界修正のため、青年とともにドアの向こうに出かけることになったのである。
とりあえず。
現状の社会に我慢できないから。
そのレンチを使って修正を加えれば、"ちょっとづつ"まともに戻ってゆくのだ。
あくまでもちょっとづつ…だから、道はとーっても長いのだが(笑)

そして、出かける世界もすこしづつ異常をきたしている。
その異常さ加減が……あああ〜、世界によっては千差万別なんだけど、口には出せないおぞましさ、だったりして(笑)

武道の達人の小動物だとか、魔王をやっつけてしまう女の子だとか、○○にほのかな思いを抱く男子学生だとか……まあそれは異常じゃないのか?という突っ込みどころもありますが…まあいいか。大したことではなさそうだし。

思い出したのは、高千穂遥氏描くところの「クラッシャージョー」
あれは壊し屋だったけど、のべつ幕なし迷惑をかけるブッチャーではなく、不要物の始末を頼まれる始末屋さんの話だった。
舞台は宇宙だが。

あれもこれも、後始末、掃除屋さん、と言う意味では一緒かな。
そういえば、「スイーパー」とかいう漫画も有ったような……

ISBN:4044146187 文庫 神坂 一 角川書店 2007/08/31 ¥540
わ〜い♪
すてプリの番外編だ♪うっれしいな♪

というわけで、お借りしました。

なにしろ本編は終了しているし、後から出てくる番外編は安心して精神的に余裕をもって読めるのが宜しい。

本編最後に出てきた謎の子供(どっちの子供?と悩んだ)の正体もわかったし…。
ラクウェル姉の酒乱対策と言うか、ラクウエル姉の有意義な使用方法というか、そういうのがわかったような気がする一冊であった。

人口僅か1万人程度の外世界では近親相姦の危機も高まって、外からの"血"を求めているということ。
なんか…昔の皇室みたいやね。(事実である)

話もよくまとまり、登場人物もよく笑わせてくれ(これが重要)楽しい一冊。
やっぱ、面白いですわ〜。


ISBN:4829116587 文庫 榊 一郎 富士見書房 2004/10 ¥546
引き続いての8巻。

漫画家喫茶…ホンモノの漫画家がいても、偽者の漫画家風接待でも、面白い♪
こういうの、ないかなー?とは思うけど、こっちの知識が充分でないと楽しめないかもしれない。
必死で漫画を、漫画家を研究しなくてはならないのかも知れない。
それはそれで面倒くさいか。

秀逸は「最後のふろしき」
たたんだ風呂敷をたたみきれない(キャラを出しすぎて、それぞれのオチ=結末をつけきれない)というお話。
そうか、私は「大風呂敷をしいた」=「ホラ」がでかくなりすぎた?と思ったんだけど、漫画なんだから、ホラはホラであってホラではないのだね。

上手いこと言うよなーと思いました。

前巻で編集長と成り、仮面に角が映えた星さん…すまん、言われるまで気がつかんかったよ、私。
似合ってます。


ISBN:4091571050 コミック 島本 和彦 小学館 2007/08/17 ¥560
勿論(?)友人からのレンタル品。
あいも変わらず笑いの台風の中心…って"目"は静かなんだからだめか。

漫画家といえば担当編集者、そして編集長…も重要なポイントだ。
炎燃の担当さん、ほか、こまったちゃんの漫画家を扱う編集者たちの苦悩を描く。
……なんて気の毒。
可哀想、クリスマスも"勿論"なし、だなんて。
いや、あっても活用できてなきゃ意味ないんだけどさ。
そういや、昔々バブル全盛期に家族でクリスマスイヴによく行くレストランにフランス料理のコースを食べに行ったら、周りはカップルばかり。
私達は全然構わなかったんだけど、周りはとっても構ったらしく、くすくすひそひそけらけら…のオンパレードで煩いの何の。
カップルがそんなに偉いのか?
ああ。
きっと"勝った"とか思ったんだろうな。
勝手に思ってりゃいいけど、クリスマスイヴはカップルでないとフランス料理を食べられないなんて、かわいそうに、世間の狭いことである。
一所懸命フォローしようと気を遣っていたしたシェフには悪かったかなーと思う。

ただ、カップルでなくても、フランス料理でなくても、イヴはのんびりケーキとか食べていたいよねぇ。
そんな意味では可哀想。

さて。
この巻では、編集者・星の仮面の謎が明かされているのだ!
あの奇妙奇天烈な仮面のしたにはどんな顔が?(結構美人らしい)
いやいや、それよりも、あの仮面の意味は?
そんなものを付けろと命令する会社もどうかと思うが。

大爆笑・編集者篇とでもいうべき巻であった。
(新刊雑誌が廃刊になり易い理由も知ったし)(笑)
そうかー駄目編集のせいなのか。

ISBN:4091570887 コミック 島本 和彦 小学館 2007/04/19 ¥560
うす〜い文庫本だと思ったら、段落もほとんどない、ぎっしり詰ったあつ〜い内容。

刑事を退職した主人公が、静養先のホテルで夜中に聞いた(!)子供の泣き声。
それは1年前にこの部屋でこのベッドで死んだ貴族の少年(父親が死んで爵位を相続していた)のものだと長期宿泊者の二人の老婆は証言する。

「あの子は殺されたんですよ」

だから。
貴方に真相を暴いて欲しい、自分の命と家と財産を奪ったものを断罪して欲しいと訴えているのだと。

刑事は辞めたはずのリングローズではあったが、その犯罪を捨ててはおけず、真実を突き止めんと罠を(!)張り巡らす。

さて、真相はどこに?
正義はなされるのか?

刑事を辞めているからいいようなものの……これを現職警察官がやったら大問題だろうなぁ(笑)と思えることをやります。
罠をはります。

……仕事をやめて暇なん?
と問うてみたい気もしますな。

ところで、昔の小説を読んでいると、あっけなく気絶はするわ、気絶?と思ったら息の根が止っているわ。
なんだかひ弱だね、と思わなくもない記述が多い。(と思う)

そんな簡単に死んじゃうわけ?
はっ。
もしかして、仮死状態なのでは?
それをあっさり埋めたりしたらいきうめじゃん。

こえぇ〜。


ISBN:B000JAIIJG − イーデン・フィルボッツ著  橋本 福夫 東京創元新社 1963/00

死神の精度

2007年11月28日 読書
バランスを取る為に、寿命とは別に、事故死とか病死とか、突発的な死を人間にもたらす。
それが死神……

って、ちょいと。
あんまりじゃないですかって。
バランスって、なんのバランスよ?

雨男(行動すればいつも雨が降る)である、死神の千葉氏は今日も夜の雨のなかを歩く。
候補に挙がった標的(人間)を殺す(可)か、生かす(見送る)か、調査の為に。
そう。
彼の仕事は調査。
可か見送りか、それを調査し報告する役目。

来年映画化される、その原作。
短編集の形を取っている。
主演は金城武氏。

雨の中、傘をさしつつうろつきまわる男……必ずしも怖いものが死神ではなさそうだ。

物語は6編。
?死神の精度(けっこうほのぼのやんか)
?死神と藤田(いまどきなのに任侠に生きるやくざ=藤田)
?吹雪に死神(雪中連続殺人事件:どっかのゲームのようだ)
?恋愛で死神(悲恋:可と見送りの尺度に疑問)
?旅路を死神(サスペンス?)
?死神対老女(うまく落ちをつけたなーと。時代を越えて生きる?死神という存在を痛感)

それぞれに微妙に…繋がっているところがご愛嬌。

「寿命と病気は違う」
という。
どんな重病をしても、寿命でなければ死なないものだ、と。

それと同じことかもしれないね。
裏返しのこと。
寿命と死神が選んだ"突発死"はベツモノ。

どういう形で映画を撮るのかはしらないけれど、この原作はいい。
期待できるかな?
それとも、期待しすぎてはずれか?

ISBN:4163239804 単行本(ソフトカバー) 伊坂 幸太郎 文藝春秋 2005/06/28 ¥1,500
カーダー・ディクスン著の推理小説。
さすが、古いだけあって、本の字の詰り具合と言い、文章のきり方といい…昔のにおいを感じる。
渋い!

まだ読了していない。
三分の二というところか。
で、現在、二人目の殺人が発生。
過去の殺人から数えれば二人どころではないが、とりあえず物語上のただいま現在として、連続して発生したその二人目。

呪われた部屋。
毒殺された人々…それを暴こうとするいささか趣味が悪い(と思うのだが英国人ってこういうものなのかな?)冒険とその失敗。

何故かその部屋に一人でいると毒殺される。(自殺?)
その謎を解くためにカードで一番強い数字(今回はスペードのエースだった)を引いた人がその部屋にこもって謎を解き明かそう!なんて。
それで死人がでていたら洒落ではすまないよねぇ。

ヒステリックな(或いはヒステリー寸前の)年配女性。
フランス革命児に処刑吏だった家から嫁したフランス女性の死。
その実家から運ばれたフランス製の家具。
アフリカから持ち込んだ猛毒のクラーレ。

なにからなにまでなぞだらけ。

あ、一応指紋はとれるんだ。
もう。
どうも、ホームズ(19世紀〜20世紀初)なんかと時代を混同してしまって誤解をしているようだ。

そして日本製の室内着が決定的な証拠……って多分、派手な模様の襦袢だろうが。(多分ね)

アイテムが多すぎて面白いを突き抜けている…(笑)

ISBN:B000JAR482 文庫 宇野 利泰 東京創元社 1960/00
とりあえず。
出ているうちに買っとこう、なんて思って、使えるものを、着易い奴が載っている本を、ということで買ってきた。

現在、棒針編みを創めたばかりで「編み物の基礎 棒針」なんて本も購入している初心者ではあるが(笑)まあいいか。
見ていればあれもこれも欲しい(作りたい)という野望が沸いてくるのだから。

ヨーロッパだからどうのこうのというのではなく、わりに着易いニットが多い。
セーターとか。
派手でもなく地味でもなく、需要が高そうなのが。

さあ、がんばるか。
"基礎の編み方"を見ながら…(笑)

ほんま、ムボウやなぁ。

PS.
今、棒針で編んでいるのは、なんと(!)ワンピースである。
真っ黒なので、お花のモチーフを別に編んでくっつけたろか?と僅か10センチばかり編んだばかりで想像を逞しくしている。
(教本は赤のワンピース、花はなし)
先日20センチ以上編んでいたのだが、編み目を間違えていたことが判り、途中まで解いて…が面倒くさいので(真っ黒なので編み目が読みづらい)最初からやり直したと言う一品である。


ISBN:4529044742 ムック 日本ヴォーグ社 2007/08 ¥1,029
ようやっと…いや、今回は早かったような気もする新刊発売。
気になるところで終わっていたので、待っているほうも長く感じたのかもしれない。
どーするの?
どーするのよ、これ?
と言うところで終わっていたからなぁ。

いよいよ。
というか、とうとうというか、国に呼び返された竜胆を追って、DXがやってきた。
ウルファネアにやってきた。
いかにも。
武士道と侍と忍者の国。
ああ、日本か、と思う石頭名お国柄(笑)

入国はまあなんとか。
でもそこからどうするのか?

竜気に囚われた竜胆をどうやって助けるのか?

複雑な家族・親子・兄弟の関係を、どうやって解きほぐすのか?
(解きほぐす気はないかも、彼の場合は)
アクションシーンはさすが、見せ所満載の漫画家さんだよね、と思う。

最後の最後の手段に出てしまったような気がするDX。
しかしそれって通用するのかな…?

PS、お堀に飼うのは鯉と決まっているものなんですが…。

ISBN:4758053189 コミック おがき ちか 一迅社 2007/11/24 ¥580
先日嵐山・嵯峨野方面に出かけた。
京福嵐山駅の混雑する構内で、「有栖川…」と言いかけ(京福嵐山線にある駅名なのである)そのまま「有栖川有栖…!」なんて声が聞こえてきた。
「で、オチは?」と待ったがそれっきり。
オチのないジョーク?(今いちである)


さて。
少し前から読み始めている、久々にぶっとい長編推理小説である。
実は読了してからここに書くつもりだったのだが。
今日あたりから展開が急になって、面白味が増してきたのでまあいいかな、と。

信州の寒村にでっかい施設を創り上げた新興宗教は、UFOというか地球外生命体の存在を信じ、教会の会祖が出会ったという宇宙人の再来を願って日々を過ごしている。
そこにむかった先輩を心配し、その足跡を追って村へたどり着いたのが、後に火村助教授のワトスン役となって活躍(?)する、小説家・有栖川有栖クン。
しかもまだ大学生。

癖の強い先輩二人と心憎からず思っている(とはいえ彼女は先輩に心を奪われていると思っている)同輩・マリアと、先輩の江神に再会を果したのはいいものの、新興宗教団体の中で連続殺人事件が起こり…

巻き込まれ。
監禁され。
逃げ回り。

と大活躍。

いやー若いから(笑)
まだフットワークがきくようだね、アリス。
ご立派。

山奥の寒村に突如現れる宗教都市(新興デザイナーに任せたと言う建築物がまたまたぶっとんでいる)に、○ームを思い出し、その中で殺人事件が連続して起こったことに「やはり」と気持ちを深める。
また、村を封鎖して警察への事件の通報をストップしたり、目撃者である一般人を不法軟禁して自由を奪ったり…宗教と名のつくものへの日本人・日本社会の一般的な不信感満載で、なんともいえないいや〜な感じ、というのを上手に表わしている。

映画・大脱走まで持ち出した直後に展開する脱走劇はなかなか面白かった。
私はあの映画のファンでもある。
勿論、リアルタイムで劇場で観たわけではない。残念ながら。
去年の夏(?)は、特別劇場公開を見に行ったぐらいだ。
テレビでやるときは2回に分けるほどの長い映画なので、お尻が痛かったけど。

バイクですっ飛ばし脱走するくだりはやはりスティーブ・マックインを意識しているのかな?(でも失敗するんだよね…彼は)


ISBN:4488012272 単行本 有栖川 有栖 東京創元社 2007/09 ¥2,310
十津川警部シリーズ。
東北にまつわる列車トリックの推理短編小説が5本収められている。

久々に時刻表とくびっぴき、という昔の西村推理ものを読んだ気分である。
いかにして時刻表を読み解くか。

犯人のトリックを暴くか。
時刻表とテレビドラマを見比べていた、というのも昔の思い出だ。

直子夫人ご活躍の一篇が砂金読んだものだったのは残念。
出版社が違うとコレがあるからなぁ……仕方がないけど。

そこそこの太さと話数のわりに、あっという間に読めてしまった……複雑。
この「十津川警部捜査行」シリーズは、もしかしたら既存・既読の物語がはめ込まれて出てくるかも。
その危険性は高そうなので、買うときは要注意だな。


ISBN:4408604666 新書 西村京太郎 実業之日本社 2007/11/16 ¥860
知るのがちょっと出遅れたら「絶版」「品切れ」「在庫なし」の嵐が待っていた。
待つこと数週間……。

ようやくの第2版発行ということで、入手できたこの本。(だれだ絶版なんて言ったのは?)
写真集とは言いながらまったく趣味の本。
ネコ好きにはたまらないだろうなぁ。

私はネコよりも犬がすきだけど、ネコも嫌いじゃない。
それに動物写真、野良でその辺で撮らせてくれるのは圧倒的にネコのほうだ。(犬は飼い主に断りが必要だし、野良犬はそうそういない:いたら怖いじゃないか)

8歳と言うそこそこ高齢のせいか、駅長たまは大人しいネコのようだ。
観光客にも抱かれて写真の被写体にもなってくれる。
和歌山か…近くはないけど、日帰りでいけなくはない場所でもある。
実際その昔は、「花の寺」めぐりで、桃の花をたずねて、日帰りで足を伸ばした事もある。
うん、可能!

「速く行かなきゃ、高齢なんだし…」
とネコ好きの妹がせっつく。
昨日、鳥居本で犬をさんざん撫でていたが、それだけではまだストレス解消にはならないらしい。

元気になったら、会いに行きたいな。

ISBN:483425139X 単行本 坂田 智昭 集英社 2007/09 ¥1,365
これもまた、友人からお見舞いにと戴いた本である。
写真でライカで何かと有名な著者の、昔々の思い出話と共に、写真が社会と連れ添った時代に思いを馳せる。

1950年代。
戦後10年経つか経たないか、というころの日本の話。
アメリカの物質力に負けた日本は、その"夢のような"生活や社会を目標に歩み始める。

物質文明の極地。
夢のような電化生活。
それがアメリカ。

同時にもう片翼の雄にソヴィエト連邦が存在した。
アメリカが物質文明の極地であれば、ソヴィエトは精神世界の極地、理想の社会…と思われていた。
中でなにが行われているかは鉄のカーテンのむこう、一切知らされず、その理想社会に貢献しようと亡命した日本人は処刑されていた。
我々が知らないときに。

そういう時代、"生真面目な"岩波文庫が出版していた写真文庫という本があり、写真をもって社会を啓蒙しようと(?)していた。
カメラが写真が貴重な時代である。
貴重というのは、つまり高価だということで、普通の日本人にはとても手が出ない。
操作だって難しい。
今のデジタルカメラのようにシャッターを押せばほどほど綺麗な写真が(誰に賦でも)撮れる、というのではない。
…というわけで、敗戦国が敗戦国民がそう易々と手にするものではない。
作ることも、また、輸入することも僅かであった時代。
そんな時代に、敗戦によって享受するようになった自由と未知の文明と…なんやかや(笑)をぶち込んで形勢されつつあった新しい日本社会を反映しているのが"岩波写真文庫"という本であったのだ。
電気製品・車・野球・蒸気機関車・電話・炭鉱・小学校etc……実に楽しい写真が、載っている。
一所懸命だった、"生きている"感がどんどん伝わってくる写真だ。
そして、それはそのまま歴史書になっている。
ほんの50年前のこと。

しかし、日本人のDNAに紛れもなく混入されている"好奇心"はそのままにはしておかない。
とりあえず、そう、とりあえず、作る。真似する。やってみる。
遣隋使以来の模倣文化(根性)が花開きタネを結ぶ。

出来たタネを育ててみたものの、それが現在の日本社会だが、それは出来のいい社会ではなさそうだ。
何が悪かったんだろう?
肥料か?
土か?

しかしそこで生まれた我々はそこで生きてゆくしかないのだ。

力強さをひしひしと感じるこの1950年代の日本(写真)の宝を横目で見つつ、ついと溜息が出たのだった。



ISBN:4000236717 単行本 赤瀬川 原平 岩波書店 2007/09 ¥1,680
例によって例の如く。
きっかけは些細なこと。
問題もさほど無さそうに見えた。

けれど…知れば知るほど複雑な、事情が見えてくる、否、存在は感じられてもなかなか"見えてこない"のが問題。

名家にまつわる疑惑の自殺。
殺人?では誰が犯人か?
身内?

ファルコが挑む、勿論報酬の為に。
愛するヘレナのために、愛する娘達の為に。

…と言うわけで、いつものことではあるが、ローマの法律の本当に細かいところまで勉強させてくれるすごい推理小説である。
家庭の、貴族と庶民では違うし奴隷がどういう扱いを受けていたのかも、さり気に流して書いているけれど、そのひとことの裏にひめられた考察とか研究とかは半端ではないでしょう。

汚職で訴えられて、裁判で有罪になって、家財没収(国庫に入る)となっても、罪人である本人が家長で、自殺をすれば、没収は出来ないのだそうだ。
だから、家を守るため、家族の生活(贅沢)を守るため、自殺をすることが奨励…はされていなくても、法的に認められているという。

犯罪を捜査するに当たり、拷問、という手段もあったが、奴隷に対してはぜんぜんかまわない、合法的なことだったという。

へーほーと、感心することばかりだが、ひょうひょうと生きてきたファルコが妻と娘達の為に(愛犬ヌックスの為に?)しっかり押えるところは押さえ、やられっぱなしではなく皇帝の息子すら利用して、手に入れるもの(勿論お金)は手に入れる、その手腕に喝采する。
聖なる鵞鳥の管理職を失ったのは痛手だったよね…特にオムレツが食べられなくなったのが。

ヘレナの実家は元老院議員だが、やはり例の事件が尾を引いてそう羽振りもよろしくないようだ。
身分がどうのこうのと言っても、ローマではやはりお金持ちが元老院にもなれるし(地位向上のためにはいくら以上の財産があると証明されなければいけないのだ)要職にも就ける。
逆に言うと、元貴族でもお金がなくなればどこまでも落ちぶれてゆけるのだ。
…今の地位にぬくぬくとはしていられない厳しい世界である。
そりゃ汚職も賄賂も存在するだろうな。
どちらも現在並には。

二人の息子はファルコの元で密偵修行中だが、結構使えるようになってきた。
そして、協力的な義父に乾杯!

ISBN:4334761836 文庫 矢沢 聖子 光文社 2007/11/08 ¥760
誰かが紹介をしていて、それで興味をもった一冊。
内容は…パロディというべきか?
既存の小説を土台にしてはいるが、まったく別の小説にしたたている。
しかし、既存の小説を知っているからこその舞台効果や比較による笑いなどもあるのでやはりパロディなのか。
どっちかどうと優劣を言うのではない、勿論(私はパロディも好きだし)

内容は短編と中編(元の小説が短編だから?)で、

?山月記(中島敦)
?藪の中(芥川龍之介)
?走れメロス(太宰治)
?桜の森の満開の下(坂口安吾)
?百物語(森鴎外)

と早々たるメンバーである。
?及び?、?は未読で、?についてだけはなんとなく〜判っている気になっている。

京都の大学…とはいえ、内容を読めば京都大学だとわかるが、そこの学生達を主人公に、夫々の物語の主人公や周辺の登場人物が皆係わり合いがあるという設定で世界は展開する。

たとえば、天狗になったり(山月記)、屈折した愛情と心理を思わず「うわ〜、いやや〜これ」と思うほど追求したり(藪の中)、裏切ることこそが友情と、わかるようなわからんような信念を突き進む男たちが登場したり(走れメロス)、男の夢と女の愛のすれ違い(桜の森の満開の下)や夏の一夜の悪夢(百物語)などが描かれているのだ。

趣味的には?山月記が好きだが、これは原作への愛がそうさせているのだろうと思う。
読んでみたいと思いつつ未読の?、なんか…怖い話なの?と思い至ってしまった。
一番笑えたのが?の走れメロスで、まあ色々事情があって京都市内を駆け回る男が主人公である。
阪急電車を使って十三を目指すだの嵐山線で嵯峨野へ行くだの人力車に乗り込む、賀茂川と高野川の合流地点(デルタ地点)でのひと騒動だの、大丸の飾り窓だの……地元民にはリアルすぎるほどに画像が迫ってくるのだ。(判らなかったのは漫画喫茶ぐらいだ)
ああ、あそこを走ってああ行って…最後はあんな格好で百万遍をねぇ………嗚呼!
これで笑わなくてどこで笑うんや?
(逆に京都の地理がわからなくては、面白さは随分減少するだろうなぁと思ってみたりもする)

おまけに、どの小説にも出てくる哲学の道近くの古いアパートや桜の森の…の下宿や桜が満開の哲学の道周辺の情景描写。
中学時代、私はその辺りに住んでいたのだからありありと、それはもうありありと判る(笑)
桜は兎も角、夏になればあの疏水の両側に植えられた木々にまんべんなく蝉が張り付きみんみんと鳴き続ける。
休日ともなれば人は多く、家の前に洗濯ものをほすのも考えてから。
冬の寒い朝はあの坂、雪でも降ろうものなら、うっすらとアイスバーンが出来て滑るのなんのって…!
そういや、あの坂は普段でも足を鍛えるいいトレーニングの場所だったから、上のノートルダム女学院のおじょうさんたちは皆足だけは立派だった。
おまけに校内では絶対静寂を強要され、廊下の立ち話すら許されていないと言う話だったから(当時は)、外に出るなり、開放されるなり、よーまー喋るの何のって!

なにもかも、なつかしい思い出ばかりである。

そんなあれやこれや。
いや〜実に愉快な作品集であった。
(全部繋がっているから"集"ではなく、一作になるのかな?)

ちなみに。
学内に隠然たる権力をもつ図書館警察長官…の登場では、どこかの小説(乃至は漫画)を彷彿とさせるものが有りました。
学生の弱み(個人情報:過去の悪事とか初恋の相手とか癖とか成績とか?)を握る悪の権力者・影の支配者……(笑)

ISBN:4396632797 単行本 森見 登美彦 祥伝社 2007/03/13 ¥1,470

ペンギンのABC

2007年11月21日 読書
友人からの見舞いの品である。
ペンギン…に限らず動物は好きだが、ペンギンは思わず映画(「皇帝ペンギン」「ハッピーフィート」)を見に行ってしまうぐらい愛着がある。

ペンギンをただ追いかけるだけではなく、啓蒙を目指していると思える本。
ほとんどが写真で、ペンギンの種類、生態、などに始まり、ペンギンのキャラクターグッズにまで話は及ぶ。
ペンギン柄のマッチと言うのはほとんどないのだそうだ。
ふ〜ん。(見つけたらとっておこう、マニアに高く売れるかも?)

海を飛ぶ鳥・ペンギン。
旭山動物園でも人気キャラクターとなった動物である。
白浜のアドベンチャーワールドではペンギン散歩も見た。

短い足に調査の為の認識票も付けられないペンギン(ホンマの話、だからフリッパーと言うあの羽の部分につけるのだそうだ)だが、あの愛らしさは目を惹かずにはいられない。

その愛らしいペンギンを…アシカの仲間・オタリアは、その巨体でもってペンギンを押しつぶし、小魚の詰った腹部だけを食い、後の部分は放り投げてかもめなどに与えてしまうという……生存競争とは言え、弱肉強食とは言え、食物連鎖とはいえ…むごい。

ISBN:4309269621 単行本(ソフトカバー) ペンギン基金 河出書房新社 2007/07/14 ¥1,890

< 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 >

 

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索