19世紀後半のアメリカ西部。
それは乾いた土地。
インディアンと牛とバッファローと馬とカウボーイと列車強盗…。(発想貧困)

パワフルで直接的で厳しくて、生きてゆくのが目いっぱい精一杯な、皆が命を削る場所。

そんな場所にホームズが。
シャーロック・ホームズが。
いな、ホームズにあこがれホームズのようになりたいと思うカウボーイが現れたら。(しかも文盲)

ドイツ移民のグスタフとオットーのアムリングマイヤーは、モンタナにいた。
その地にある、英国貴族所有の牧場<カントルミア大牧場>通称<バー・VR>に、牧童として雇われた…んじゃなかったっけ?
というぐらい、建物の修繕だの地所の修理だのばかりさせられている。
しかもカウボーイには命の次に大切な腰のもの(拳銃)を取り上げられて。
牧場内には"立ち入り禁止地区"ばかりがあり、おかしい・不思議を口にする牧童だちであったが、そこへ事件が起こる。
ひとつ・ふたつ…。

事件が、しかも殺人事件が続けば、西部のホームズ・グスタフ・マムリングマイヤーも黙ってはいられない。
タダでさえ食指の動く舞台設定である。

語り手は弟のオットーである。
彼は一族がまだ元気だったころ、つまり洪水に飲まれて全滅する前は、一族の期待を背負って街で事務員をやるぐらい、"勉強のできる男の子"であったのだ。
つまり、他の兄弟姉妹と違って、文盲ではないということだ。

唯一残った兄・グスタフは、弟を西部に受け入れ、面倒を見、その代りに弟は兄の目となった。
つまり文字を読む。
ホームズの連載が載っていた雑誌<ハーバーズ・ウイークリー>を読んで聞かせるのは彼の役目であった。

"ホームズのやり方"を学んだグスタフが、バー・VRの事件の解明に乗り出す。
まさにその所有者たちが英国本国から視察にやってきたのはその時だった。


いろんな人種が移民していること。
忘れてしまいそうだけど、アメリカってそういう国だよね、と改めて思うこと。
そして意外…ではないけど、こんなところまで英国の植民地(?)(笑)経営の手が伸びていること。
そうかー、アメリカでの牧場経営にまで手を出していたのか~英国人がね、と思うのは、1860年代ってまだまだインディアンとの抗争も盛んで、かのカスター大佐の第7騎兵隊の全滅も、その頃だったはず。
だいたい騎兵隊というのが、南北戦争で勝利した北軍で構成されていると聞いたから、その存在自体がそれ以降って事だしね。
南北戦争のおかげで、まっさきに極東の島国の(錆びついて?)かったーい扉を無理やりこじ開けたアメリカが、その後の競争に遅れをとってしまったというぐらいだから。

意外な舞台に意外な探偵役。
こういうのもありなんだなーと楽しく読めました。
西部劇大好きな私としては、いろいろいろいろ映像が頭に"勝手に"浮かんだりして。
真相もラストの幕引きも…なんだかな、でしたが。
女は怖いわ…やはり。
いや、おやじが悪いのか、やはり。

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