ケン・フォレットといえば、「大聖堂」あるいは「針の目」などが有名で、私も何冊か読んでいる。
歴史サスペンス…かな?
どきどきはらはらしながら、事件を解明したりスパイを追いかけたり。
きな臭くなってきたヨーロッパからアメリカへと逃げだす金持ち客を乗せた「飛行艇クリッパーの客」も面白かった。

さて、このレベッカ、とは映画の「レベッカ」である。
金持ちのやもめ(英国貴族)と結婚した一般人の若い女性が、お屋敷に巣食う前妻の亡霊に悩まされるという映画。
実際に幽霊が出るわけではなく、なにかとその存在感に圧迫されるというお話だ。
亡霊を感じさせるのは、前妻・レベッカが幼い時から傍付きのメイドとしていた老メイド。
この人がハウスキーパーとして屋敷内を取り仕切るのだが、レベッカが死んで後も忠誠を遂げようとする。
つまり、後妻である若い妻をいびるのだ。
あれやこれやと…前妻と比べて。

そのレベッカの本を暗号のアイテムとしてドイツ軍はカイロ攻略を練っていた。
軍団の司令官はかの砂漠のキツネ。
ロンメル将軍である。

カイロには彼のスパイが送り込まれる。
スフィンクスというコードネームのスパイは、見かけはまったくのドイツ人であったが、その心の半分は、英国のエジプト支配を覆そうと情熱に燃える(?)アラビア人でもあった。

英国情報部のヴァンダム少佐と"スフィンクス"・ヴォルフ。
二人はカイロを舞台に情報戦に明け暮れる。
片や英国軍の動静を探り、片やそれを阻止せんとする。

カイロがドイツの手に落ちれば、英国人は奴隷となる。
今までカイロのエジプト人がそうであったように。
ヴァンダムはそれを痛いほど分かっている。

ヴォルフはドイツによるエジプトの解放を夢見る。
二つの祖国が世界に冠たる姿を夢見る。

双方の立場の男たちはすさまじい戦いを繰り広げるが、面と向って戦うわけではない。
間には、情報を取るために、それぞれの"女"が存在する。
双方がそれを利用する。

その女が鍵となり、勝者と敗者がおのずと決まってくるのだが。
女が変貌することで、男たちの戦いが大きく変わってゆく。
つまり、劣勢であり後手後手に回っていたヴァンダムが、やがて主導権を握ってゆくようになるのだ。

エル・アラメインの数日前の話だ。
歴史が示すように、ドイツはここで敗北する。
だから二人の男の死闘も、どうなったかは言わずともわかるだろう。

ただなぁ…女に頼りすぎだし(笑)女次第で歴史は動いちゃうのかやっぱりと思うし、冷静沈着で陰謀を進めていたドイツ人のヴォルフが最後のほうで加速度的に"崩壊してゆく"のが…納得いかないというか、ご都合主義では?と思う。
途中で性格変わっているよ、この人。
隠れていた本性が前に出てきた、と言うにしてはそこまでのこの人物の書き込みではそうは思えない。

結局連合軍が勝つのか~いや、勝のはわかっているけどさ~もっとこう、一方的に善悪作らなくても~もっとこう何と言うか人間ドラマというか~人格崩壊を描くなら「アラビアのロレンス」ぐらい強いものがないと~とか。
いろいろ思ってしまった(笑)

ケン・フォレットの名に期待しすぎか?

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索