よしきたホー!
のP・G・ウッドハウスが書く、短編読みきり集。

卵だのお豆だの御菓子だの、要は英国伝統のクラブに集うにたよーな(笑)男たちのお話に出てくる主人公たちの物語だ。

「彼についてはこんなことがね…」
「それについてはこう言う理由があってね…」

と物語を語るのがクランペット氏だ。
かくしてユークリッジ氏の、リトル・ビンゴ氏のスラップスティックが始まるのであった…

短編だからまとめるのはとっても難しいと思うのだが、あれもこれもひっ絡めてこねくり回して最後は見事に落ちを付ける。
ウッドハウスの手腕はかくや、と思わせる見事なものである。

無職でだめだめな青年でも、英国では生きてゆけるのかと感心するところだが…金持ちのおばさんとかがいれば(笑)
多分時代が違うんだろうな。

ただ、"結婚許可証"を握りしめて教会に駆け込もうとするカップル(花嫁の父は反対しているので、何とかあそれを阻止しようとする)である話には、先日読んだ"英国の駆け落ち婚"についての記述で少しは賢くなっているので良くわかった。

それほどには現代的ではないけれど、転々と温泉療養する優雅な階級であるとか、信託財産が本人の思いのままにならないこととかは未だに存在するんだろう、多分。

それにしても面白い。
あれだけどたばた走り回って(まあ走り回るのは主人公だし、"よからぬこと"をたくらむからそうなるのだが)最後のまとめはすごい。
それにどうしようもない主人公たち(賭けがやめられない、懲りない、辛抱が足りないなどなど)を最後の最後は救ってやるウッドハウスの優しさに脱帽だ。

確かに。
勧善懲悪の潔癖な堅苦しさよりも、そういう余裕があってしかるべきかもね。
すべて包み込む、ような。

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