遠い船影 〜ラミジ艦長物語16〜
ダドリ・ポープ 著
出光 宏 訳

地中海
フリゲート艦・カリプソ号

地中海を暴れまわるラミジとその一党。
「ラミジ」フランス語では「ラマージュ」、鳥のさえずりとかなんとかそういう発音になるらしいが、すっかり悪名をとどろかせているようで「あんたが!」とか「あんたにはだけは逢いたくなかった!」とかフランス商船船長からおほめの言葉をいただいたりしている。

…うるさい提督もおらず、社交辞令を強要する総督もいない。
ロンリ―ウルフで獲物をあさりまわるフリゲート艦・カリプソ。
フリゲート艦艦長として、これほどのびのびと自由気ままに遣りたい放題できる条件はないだろう。
作者も何つー舞台設定をするんだ。

前巻で占拠したフランスの信号塔。
そこから嘘っぱちの命令を送ってフランスの船団を間違った方向へ船出させ、まんまと拿捕してしまう、というのが今回のあらすじである。
まあ途中いろいろ邪魔が入ったり不測の事態が起こってスムーズにはいかない…のが冒険小説の面白さである。

それにしても、だんだん海賊じみてきたな、ラミジ。
昔読んだ時は夢中ですっ飛ばしたいから気がつかなかったが、大人の良識(笑)をもって読むと、君の行動は…。

まあ、英国貴族は海賊の子孫みたいなもんだから、しょうがないか。
以前カリブ海の話で出てきたミスター・ヨークなんぞはまさしく私掠船乗りの直系(その辺の話を書いたシリーズものが別にある)だし。

良く笑うラミジ。
我慢できずに噴き出して周りを怪訝な表情にしてしまうラミジ。
ああ、こんなに笑ったっけ?
若いなぁニコラス…と相対的に年を食った自分をしみじみ思っている。

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