総督の陰謀 〜ラミジ艦長物語14〜
ダドリ・ポープ 著
田中 清太郎 訳

カリプソ号

キュラソー島はオランダ、もとえバタビア共和国の植民地である。
つまり総督がいる。
総督ファン・ソメレンはオランダ王国時代の総督職をそのまま引き継いでいる人物である。
革命政府に従うと、表面上の変節をして。
それもこれも、この地に住まうオランダ人たちを新総督(きっとフランス人)の圧政やギロチンから守るためである…と主張する。

島には今、問題が起こっていた。
総督のやり方が生ぬるいと判断したフランス人私掠船のりが中心に、革命派(?)のオランダ人が糾合し、首都アムステルダムを攻撃しようと軍隊を集結させていたのである。

6週間前に到着しているはずの、オランダのフリゲート艦はどこへ行ったものか、未だに姿を見せない。
総督の手勢は貧弱なもので、反乱者(?)たちに太刀打ちすることは不可能である。

さて、総督はどうすればいい?

たまたま沖合に姿を現した英国のフリゲート艦・カリプソに彼は目を付けたのである。

自国の軍隊があてにならないのなら、英国の力を利用しよう、と。

でも「陰謀」(笑)
そう「陰謀」(笑)

戦闘では機略策略縦横無尽のラミジも、政治的な話になってくるとどうも苦手だ。
それでも遺漏なく話をきめ、総督の求めに応じて反乱者たちを討伐に陸上を往く。

でっかいかがり火で牛を焼き、正体がなくなるまで酒をラッパ飲みし、迫りくる英国軍に気がつかない反乱者たち…
まるで16世紀のバッカニアそのものである。

でも、牛の肉を適当にスライスして串にさして火であぶって食べる…美味しいだろうなぁ。
涎が出そうだわ(笑)
なんか状況は漫画チックだけど。

英国商船で大殺戮を繰り広げていた私掠船の船長や乗組員とも戦い、カリプソ号の気のいい奴らのシビアな一面も見せる。

しゃあしゃあと裏切って見せた総督も、ラミジが打った手にもろ手をあげて降参。
総督令嬢といい雰囲気になりながら心の中ではジアナを思い浮かべているラミジは、まぁ、健康な若者であるということでしょうか(笑)

攻撃は成功したけれど、三席将校のベーカーが戦死。
あぁ〜"身内"の中では最初の戦死者だなぁ。

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