アントニィ・バークリー 著
真野 明裕 訳
創元推理文庫
チタウィック氏殺人の瞬間に会う。
小心で注意深く、探偵マニアな犯罪研究家・アンブローズ・チタウィック氏。
人がせせこましく行きかう大混雑のピカデリー・パレス・ホテルのラウンジでふと眼をとめた男女。
品の良い田舎のレディといった、伯母さんらしい女性と、目つきの悪い油断ならない、いかにも甥っ子風の赤毛の男。
探偵癖そのままに、理由もなくじっと凝視してしまったチタウィックしであったが、わずかに目を離した後、女性がその場で死んでいるのに気がついた。
赤毛の甥っ子の姿はない。
あたかもその殺人現場を見ていたように思いだすチタウィック氏。
あの時、男は女性のカップに何かを入れなかったか?
たちまち駆けつける警察に交じって、チタウィック氏は興味津津事件に没頭する。
食べるために働かなくてもよい身。
というのはいかにもうらやましい。
だから探偵学という、時間と労力の掛かるものにも没頭することができる。
まぁ…だから、休日のありがたさもわからないんだろうが。
わずかにひねり出した時間の有効利用にかけては、時間のないものの方が巧みであるのだろうが。
同じように"伯母さん"で苦労しているのだろうか?と考えるチタウィック氏を思い、ちょっとおかしかった。
彼も厳しすぎる伯母さんに支配されているのだ。
いかにお金があろうとも、時間があろうとも…それはイヤかも。
真野 明裕 訳
創元推理文庫
チタウィック氏殺人の瞬間に会う。
小心で注意深く、探偵マニアな犯罪研究家・アンブローズ・チタウィック氏。
人がせせこましく行きかう大混雑のピカデリー・パレス・ホテルのラウンジでふと眼をとめた男女。
品の良い田舎のレディといった、伯母さんらしい女性と、目つきの悪い油断ならない、いかにも甥っ子風の赤毛の男。
探偵癖そのままに、理由もなくじっと凝視してしまったチタウィックしであったが、わずかに目を離した後、女性がその場で死んでいるのに気がついた。
赤毛の甥っ子の姿はない。
あたかもその殺人現場を見ていたように思いだすチタウィック氏。
あの時、男は女性のカップに何かを入れなかったか?
たちまち駆けつける警察に交じって、チタウィック氏は興味津津事件に没頭する。
食べるために働かなくてもよい身。
というのはいかにもうらやましい。
だから探偵学という、時間と労力の掛かるものにも没頭することができる。
まぁ…だから、休日のありがたさもわからないんだろうが。
わずかにひねり出した時間の有効利用にかけては、時間のないものの方が巧みであるのだろうが。
同じように"伯母さん"で苦労しているのだろうか?と考えるチタウィック氏を思い、ちょっとおかしかった。
彼も厳しすぎる伯母さんに支配されているのだ。
いかにお金があろうとも、時間があろうとも…それはイヤかも。
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