たくあん頭の信二くんは、高校入学とともにサッカーに決別し、陸上を始めた。
"格好いい走り"を見ていたいから、その友人(連)を陸上部に入れるため一緒に入部する、などという理由だったのだが、走るということ、その快感に取り付かれてゆくのは彼のほうだった。

ひょうたんからこま。
棚からぼた餅。

受け入れた高校陸上部の面々(監督含む)は狂喜する。
「これなら勝てる…かも」

インターハイ予選。
新人戦。

大会はたくさんあるけれど、その雰囲気になれるってことがあるのだろうか。

陸上は中学で、しかも途中で挫折した私だけど、苦しいことのみ多かりき(笑)の毎日の練習の成果が万全に出せる…ものではない。
それが大会だし。

でも、確かに、大地を蹴って風のように走る気分。
あれは最高だった。
そして誰よりも先に風を感じること=トップを走ること、は、とっても気分の良いことなのだ。
うん。

この小説を読んでいると、しごき一辺倒だったクラブの練習がうそのように思えて来る。
こんなに楽しくやれたはず、なのに。
…ああ、時代が違うのかな?
休憩どころか、水の一滴も飲んじゃだめ、っていわれていたからなぁ。



ISBN:4062135620 単行本 佐藤 多佳子 講談社 2006/08/26 ¥1,470 あさのあつこの『バッテリー』、森絵都の『DIVE!』と並び称される、極上の青春スポーツ小説。 主人公である新二の周りには、2人の天才がいる。サッカー選手の兄・健一と、短距離走者の親友・連だ。新二は兄への複雑な想いからサッカーを諦めるが、連の美しい走りに導かれ、スプリンターの道を歩むことになる。夢は、ひとつ。どこまで…

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索