著者の作品をどさっと買った…その最期の一冊。

現実にあった保険金殺人をいちいちあげて、「いかに無理があるか」「いかにすぐばれるか」を説明する。

すなわち。
死体の声を聞けば、すべて明白だ、と。

監察医制度は、GHQの置き土産。
占領下にあった日本で、焼け出され家を持たない人々がつぎつぎと死んでゆく(寒さとか赤痢・肺炎を始めとする病気とかで)。その理由を、「餓死」でかたずけられては、アメリカの威信に関わる…というわけだ。
「まぁ、アメリカさんったら、どんな占領統治してらっしゃるの〜?」
と寒い国辺りに言われたのでは腹が据えかねるどころの話ではないのだろうな。

で、ちゃんと解剖して原因を突き止めなさい、と言うわけで監察医制度は整えられた。
これはアメリカの置き土産としてはよいものであった。

でも、経費が掛かる。
東京・福岡・名古屋・京都・大阪・神戸・福岡で定められていたはずの制度が、京都と福岡は脱落した…
これがあると無しとでは、犯罪防止という意味では大きな違いがある。
死体をまず、視る、診る、ということで、事故か犯罪化を断ずる一番の機会をなくしているのだ。

それでもね。
ばれる。
事故を装った自殺。
事故を装った殺人。

だから、割の合わないことは辞めなさいと。
そう繰り返し著者は述べているのだが。

安易に大金(保険金)がはいると、二度目三度目をくり返す。
それが人間であるのだから、一番最初に見破ってやること。
それが大事なのだ。

何冊かの本の間には重複している話もあるが(仕方がないよね)、あえて解説を避けている部分もある。
それが犯罪に繋がる、犯罪を誘発するヒントになるからだ。
本を書くのも気を使う。
「まさか、そんな」
が多い、今の社会では。

ISBN:4043400071 文庫 上野 正彦 角川書店 2004/08 ¥500

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索