著者は台湾出身だ…からではないだろうが、なかなかに辛らつな内容である。

法律はルール、世の中の決まりを節度をもって守るのは士大夫(インテリ)だけ。
民衆にはその義務も義理もない、とういうのが中国の歴史である。
だから、只今現在になっても、国際法だとか、マナーだとか、常識だとか、スポーツマンシップだとか。
そういうものを守る気も必要性も義理も何もない。
中国人民はそう考えているから、現状がある。
それが証拠に、交通法規すら守られていないではないか。

官僚は汚職をするのが当たり前。
警察は悪事を働くのが当たり前(やくざと区別がつかないらしい)
政治家は賄賂を貰うのが当たり前。
民衆は、収奪されるのが当たり前。

だからこそ。
一つでも上の階級に昇って、悪事の限りを働いて至福を肥やすのが当たり前。
要領がいいのが勝ち。
そういうことなんだと。

シビアですな…話を差し引いて聞いておくにしても、実際にジョークとして歌い広がっているものからは察すると「ああ確かに」と思わざるを得ない。
日本で言うところの、高札。
戯れ歌。

直接にお上を批難すれば首が飛ぶから、戯れ歌に紛らせて為政者を揶揄し訴えた。
讒言ならほうっておけば75日で消えるだろう。
だが、それが真実なら社会にどっと広がってゆく。
ある農夫がタネを買ってきて畑にまいた。だが芽が出てくるのは雑草ばかり。なぜならそれはニセモノのタネだったから。
老農夫は傷心のあまり農薬を買って服毒自殺した。だが死ぬことはできなかった。なぜならそれはニセモノの農薬だったから。
老農夫が一命をとりとめたことを喜んだ家族は、酒を買ってきて祝杯を挙げた。すると一家全員が死んでしまった。なぜならそれはニセモノの酒だったから。

中国の農民の生活は、このジョークのとおりならば、夢も希望もない。
生きている甲斐もないというものだが。


ISBN:4198624607 新書 黄 文雄 徳間書店 2007/12 ¥1,000 

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