何かのテレビに著者が出ていたのをちらりとみたのがきっかけで。この本を読んでみようか、という気になったのだ。

「おひとりさま」というのは、シングルの女性のこと。
それは離婚でも死別でも未婚でも同じ。
年をとって(とらなくても)シングルでいる女性のこと。

何が不安かといえば、
?老後、要介護状態になったときのこと
?死後の後始末
大きく分ければこういうことか。
それまでの、一人で生きるということの状態、中身を軽い口調でさらけ出し、なあんだ、そんな簡単なことなのか、と再確認させてくれる。

シングルだろうと大家族だろうと、死ぬときは皆、ひとりなんである。
その、単純なことに。

だから、私は家族があるから(シングルじゃないから)関係ない、とは思わないほうが良いだろう。
誰でも死ぬときは一人…

で、現状でシングルである人は?
その意味は?
繋いでおくべき人間関係は?
そんなしゃちほこばった言い方ではない。
けれど、心構えとか、そういうことを語られると、そういえば、そうなんだよね、と納得する。

年老いて介護する側だけではなく、介護される側のこころ構えだとか。
シングルであることの楽しみや利用、どう生きてゆくか。
それらはみな、「自分の考え方」で好しも悪しも簡単に変わるのだと。

これから年を取る人にも、そこそこ(自分で自覚するほどに)年を取った人にも、どうかな?こうかんがえてみたら?と問いかける優しい本である。
それに、まだ先の在る人なら(笑)老後のいろいろ費用(この本に書かれた内容で)に備える時間もチャンスもあるというものだ。
今から準備しておこう(笑)
逆に、必ずしも年をとってから読む、という本ではない、と思う。

この本のすべてを説明することはできないが、とりあえずはその心得を。
介護される側の心得10カ条
?自分のココロとカラダの感覚に忠実かつ敏感になる
?自分にできることと、できないことの境界をわきまえる
?不必要ながまんや遠慮はしない
?なにがキモチよくて、なにがキモチ悪いかをはっきりとことばで伝える
?相手が受け入れやすい言い方を選ぶ
?喜びを表現し、相手をほめる
?なれなれしいことばづかいや、子供扱いを拒否する
?介護してくれる相手に、過剰な期待や依存をしない
?報酬は正規の料金で決済し、チップやモノをあげない
?ユーモアと感謝を忘れない

介護となると家族にも見せたくないものを見てもらうことになり、家族にも触れられたくない部分を触られることになる。
その接近度、密着度が強いからこそ、ほかの部分を離すべきであると。
介護に関しては、家事を続け人の世話をし続けてきた女性は特に、介護者に対して"申し訳ない"という遠慮の気持ちが大きい。
何をしてもらってもありがたい、というのは、その裏返しに自分がしなくてはいけないのに、という脅迫観念をもっているからだそうだ。
いままでは、自分が誰かに奉仕してきたので、奉仕してもらった立場ではないからというおかしな理由だけで。
男性に関してはその正反対。
面倒を見てもらっている寝たきりのじーさんが、ばーちゃんを杖で打ち罵り「誰の年金で食わせてもらってるとおもっているんだ!」なんて大時代的な暴言を吐いたりするらしい。(信じられん……)
今の若者、と括らなくても、私であっても「しょーがないやん」とある程度は居直れるが、それでも確かに入院したときなどは、なるべく自分でやってしまう、看護師さんの手助けは借りない、という心持なのだ。
迷惑を掛けたくない、とも思うんだけど、これってちょっと考えたほうがいいのかもしれないなぁと感じた次第。
そしてまた、おひとりさまの「死に方」をまとめたものを以下に。
その1.死んだら時間をおかずに発見されるように、密でマメなコンタクトをとる人間関係をつくっておくこと
その2.遺したら残されたひとが困るようなものは早めに処分しておくこと
その3.遺体・遺骨の処理については、残されたひとが困らない程度に、希望を伝えておくこと
その4.葬式とお墓についても、残されたひとが困らない程度に、自分の希望を伝えておくこと。「おまかせします」といわれても困るが、逆にあまりにオリジナルだったりふつうでなかったりして、それを実行するひとが困惑するような希望は遺さないこと。あくまで他人がやってくれることと知るべし
その5.以上の始末が最後までとり行える程度の費用は、謝礼とともに用意しておくこと。ひとが動く費用はタダとは考えないこと。

ここまできちんとできれば、おひとりさまで生きてゆくのに怖いものはない。

ISBN:4879546801 単行本 上野 千鶴子 法研 2007/07 ¥1,470 

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