「すれいやーず」とはまったく違う神坂一に有った……ので最初は随分驚いた、馴染めなかった、戸惑った。
だって、字数が多い、情景描写が多い、科白が少ない、口調が丁寧……なんだもん。

でも途中からは乗ってきた。
なるほど。こういうものも書ける人なんだな、と確かに一時期は毎年のように高額納税者リストに乗っていたような人なんだから単なる一過性の作家ではないはず。
と、思いなおす。

家中がドア。
それこそスケッチブックのなかにまで。
そのドアは、異世界への通路、すなわち入り口なのである。

で、なんでそんなものがそんなところに?
その原因は、といえば、数多のパラレルワールドがこんがらがってくっついてぐるぐるになって混乱しているからだ、と。
したがって、現実世界もどこか(かなり)おかしな状況を呈している。
たとえば"妹"という立場の人間は、みな5本の尻尾を持つリスである世界、とか。(可愛いから許す?)
それらを修正する為に修正器具"レンチ"をもってあっちのドアこっちのドアと、ドアの向こうの世界に出張していた青年がひとり。

そのドアが何故か主人公の家中に発現したというのだ。

妹がリスになったり、(リスは兎も角)○○になったり、で我慢できない主人公はせっせと世界修正のため、青年とともにドアの向こうに出かけることになったのである。
とりあえず。
現状の社会に我慢できないから。
そのレンチを使って修正を加えれば、"ちょっとづつ"まともに戻ってゆくのだ。
あくまでもちょっとづつ…だから、道はとーっても長いのだが(笑)

そして、出かける世界もすこしづつ異常をきたしている。
その異常さ加減が……あああ〜、世界によっては千差万別なんだけど、口には出せないおぞましさ、だったりして(笑)

武道の達人の小動物だとか、魔王をやっつけてしまう女の子だとか、○○にほのかな思いを抱く男子学生だとか……まあそれは異常じゃないのか?という突っ込みどころもありますが…まあいいか。大したことではなさそうだし。

思い出したのは、高千穂遥氏描くところの「クラッシャージョー」
あれは壊し屋だったけど、のべつ幕なし迷惑をかけるブッチャーではなく、不要物の始末を頼まれる始末屋さんの話だった。
舞台は宇宙だが。

あれもこれも、後始末、掃除屋さん、と言う意味では一緒かな。
そういえば、「スイーパー」とかいう漫画も有ったような……

ISBN:4044146187 文庫 神坂 一 角川書店 2007/08/31 ¥540

コメント

ボースン
ボースン
2007年12月3日22:23

とにかく「○手」が…
あれは今年一番笑いました。第二話、最初の日の日記からしてもう(笑)

いつもと少し違う文体も、論理を超えた展開を推し進めるのには効いてますよね!(慣れれば。)

翠雲
翠雲
2007年12月3日22:55

やはりさすが(腐っても?)作家さんだと思います。
この小説も面白いし〜
発想が普通じゃないというか、ぶっとんでますよね。
今後に期待!
ということで、また宜しくお願いします♪

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索