新釈 走れメロス 他四篇
2007年11月22日 読書
誰かが紹介をしていて、それで興味をもった一冊。
内容は…パロディというべきか?
既存の小説を土台にしてはいるが、まったく別の小説にしたたている。
しかし、既存の小説を知っているからこその舞台効果や比較による笑いなどもあるのでやはりパロディなのか。
どっちかどうと優劣を言うのではない、勿論(私はパロディも好きだし)
内容は短編と中編(元の小説が短編だから?)で、
?山月記(中島敦)
?藪の中(芥川龍之介)
?走れメロス(太宰治)
?桜の森の満開の下(坂口安吾)
?百物語(森鴎外)
と早々たるメンバーである。
?及び?、?は未読で、?についてだけはなんとなく〜判っている気になっている。
京都の大学…とはいえ、内容を読めば京都大学だとわかるが、そこの学生達を主人公に、夫々の物語の主人公や周辺の登場人物が皆係わり合いがあるという設定で世界は展開する。
たとえば、天狗になったり(山月記)、屈折した愛情と心理を思わず「うわ〜、いやや〜これ」と思うほど追求したり(藪の中)、裏切ることこそが友情と、わかるようなわからんような信念を突き進む男たちが登場したり(走れメロス)、男の夢と女の愛のすれ違い(桜の森の満開の下)や夏の一夜の悪夢(百物語)などが描かれているのだ。
趣味的には?山月記が好きだが、これは原作への愛がそうさせているのだろうと思う。
読んでみたいと思いつつ未読の?、なんか…怖い話なの?と思い至ってしまった。
一番笑えたのが?の走れメロスで、まあ色々事情があって京都市内を駆け回る男が主人公である。
阪急電車を使って十三を目指すだの嵐山線で嵯峨野へ行くだの人力車に乗り込む、賀茂川と高野川の合流地点(デルタ地点)でのひと騒動だの、大丸の飾り窓だの……地元民にはリアルすぎるほどに画像が迫ってくるのだ。(判らなかったのは漫画喫茶ぐらいだ)
ああ、あそこを走ってああ行って…最後はあんな格好で百万遍をねぇ………嗚呼!
これで笑わなくてどこで笑うんや?
(逆に京都の地理がわからなくては、面白さは随分減少するだろうなぁと思ってみたりもする)
おまけに、どの小説にも出てくる哲学の道近くの古いアパートや桜の森の…の下宿や桜が満開の哲学の道周辺の情景描写。
中学時代、私はその辺りに住んでいたのだからありありと、それはもうありありと判る(笑)
桜は兎も角、夏になればあの疏水の両側に植えられた木々にまんべんなく蝉が張り付きみんみんと鳴き続ける。
休日ともなれば人は多く、家の前に洗濯ものをほすのも考えてから。
冬の寒い朝はあの坂、雪でも降ろうものなら、うっすらとアイスバーンが出来て滑るのなんのって…!
そういや、あの坂は普段でも足を鍛えるいいトレーニングの場所だったから、上のノートルダム女学院のおじょうさんたちは皆足だけは立派だった。
おまけに校内では絶対静寂を強要され、廊下の立ち話すら許されていないと言う話だったから(当時は)、外に出るなり、開放されるなり、よーまー喋るの何のって!
なにもかも、なつかしい思い出ばかりである。
そんなあれやこれや。
いや〜実に愉快な作品集であった。
(全部繋がっているから"集"ではなく、一作になるのかな?)
ちなみに。
学内に隠然たる権力をもつ図書館警察長官…の登場では、どこかの小説(乃至は漫画)を彷彿とさせるものが有りました。
学生の弱み(個人情報:過去の悪事とか初恋の相手とか癖とか成績とか?)を握る悪の権力者・影の支配者……(笑)
ISBN:4396632797 単行本 森見 登美彦 祥伝社 2007/03/13 ¥1,470
内容は…パロディというべきか?
既存の小説を土台にしてはいるが、まったく別の小説にしたたている。
しかし、既存の小説を知っているからこその舞台効果や比較による笑いなどもあるのでやはりパロディなのか。
どっちかどうと優劣を言うのではない、勿論(私はパロディも好きだし)
内容は短編と中編(元の小説が短編だから?)で、
?山月記(中島敦)
?藪の中(芥川龍之介)
?走れメロス(太宰治)
?桜の森の満開の下(坂口安吾)
?百物語(森鴎外)
と早々たるメンバーである。
?及び?、?は未読で、?についてだけはなんとなく〜判っている気になっている。
京都の大学…とはいえ、内容を読めば京都大学だとわかるが、そこの学生達を主人公に、夫々の物語の主人公や周辺の登場人物が皆係わり合いがあるという設定で世界は展開する。
たとえば、天狗になったり(山月記)、屈折した愛情と心理を思わず「うわ〜、いやや〜これ」と思うほど追求したり(藪の中)、裏切ることこそが友情と、わかるようなわからんような信念を突き進む男たちが登場したり(走れメロス)、男の夢と女の愛のすれ違い(桜の森の満開の下)や夏の一夜の悪夢(百物語)などが描かれているのだ。
趣味的には?山月記が好きだが、これは原作への愛がそうさせているのだろうと思う。
読んでみたいと思いつつ未読の?、なんか…怖い話なの?と思い至ってしまった。
一番笑えたのが?の走れメロスで、まあ色々事情があって京都市内を駆け回る男が主人公である。
阪急電車を使って十三を目指すだの嵐山線で嵯峨野へ行くだの人力車に乗り込む、賀茂川と高野川の合流地点(デルタ地点)でのひと騒動だの、大丸の飾り窓だの……地元民にはリアルすぎるほどに画像が迫ってくるのだ。(判らなかったのは漫画喫茶ぐらいだ)
ああ、あそこを走ってああ行って…最後はあんな格好で百万遍をねぇ………嗚呼!
これで笑わなくてどこで笑うんや?
(逆に京都の地理がわからなくては、面白さは随分減少するだろうなぁと思ってみたりもする)
おまけに、どの小説にも出てくる哲学の道近くの古いアパートや桜の森の…の下宿や桜が満開の哲学の道周辺の情景描写。
中学時代、私はその辺りに住んでいたのだからありありと、それはもうありありと判る(笑)
桜は兎も角、夏になればあの疏水の両側に植えられた木々にまんべんなく蝉が張り付きみんみんと鳴き続ける。
休日ともなれば人は多く、家の前に洗濯ものをほすのも考えてから。
冬の寒い朝はあの坂、雪でも降ろうものなら、うっすらとアイスバーンが出来て滑るのなんのって…!
そういや、あの坂は普段でも足を鍛えるいいトレーニングの場所だったから、上のノートルダム女学院のおじょうさんたちは皆足だけは立派だった。
おまけに校内では絶対静寂を強要され、廊下の立ち話すら許されていないと言う話だったから(当時は)、外に出るなり、開放されるなり、よーまー喋るの何のって!
なにもかも、なつかしい思い出ばかりである。
そんなあれやこれや。
いや〜実に愉快な作品集であった。
(全部繋がっているから"集"ではなく、一作になるのかな?)
ちなみに。
学内に隠然たる権力をもつ図書館警察長官…の登場では、どこかの小説(乃至は漫画)を彷彿とさせるものが有りました。
学生の弱み(個人情報:過去の悪事とか初恋の相手とか癖とか成績とか?)を握る悪の権力者・影の支配者……(笑)
ISBN:4396632797 単行本 森見 登美彦 祥伝社 2007/03/13 ¥1,470
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