清水氏がまじめにこんなものを書いている…と最初は思った。
きっとどこかで"オチ"があるぞ、いきなり名古屋便になったりしてーと失礼・不遜なことを期待しつつ読んでいた。
御免なさいです。

病院へ行くのに一番軽い本を、と思ったので、あっちもこっちも途中なのにまた途中の本を作ってしまう。

アラビアンナイトなので、一話完結。
読みやすいのも罪である。

清水氏流に訳してある…のだろうが、私は小学生向きの「アラビアンナイト」しか読んだことがないので、比較の仕様がない。
清水氏のアラビア訪問記などもそちこちに頭を出していて、それがおもしろい。

それにしても、不幸な目に遭った主人公が「ハッピーな夢」をみることで、「将来はきっといいことがある」と感じること。
「神がそう告げている」と断言し信じ、強く生きてゆこうとすること。
なんて純真で前向きなんだろうか、とほとほと感心する。
イスラムの教えってこういうことなのかなぁ?
信じなさい。
前のみを見て歩きなさい。
この夢はおまえの未来。
生きて行きさえすれば、いつかこの夢が夢ではなくなる。
そういっているようだ。

そしてまた、まったりと濃い挿絵はアラビアンでいいかも。
ターキッシュブルーのモスクの絵は素晴らしく美しい(「タイル職人とコウノトリの話」より)ので、こういう色合いも(服を編む毛糸に)ちょっといいかも、と外した思考をしている私である。

ラストの話がフンババなのが笑えたか。
そういう落ちね。
成る程上手く纏めたなぁ。
毎年一回はイスラム圏へ"安全なパックツアー"旅行をしてきた著者。
ちょっと羨ましい、と思った。
さすが儲けている自由業はいい。

ISBN:408746203X 文庫 清水 義範 集英社 2007/08 ¥650

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