「死都」
とも言われる。

現地の人にとっては失礼な話である。
そりゃ怒るだろう。

だがしかし。
嘗て栄えに栄えた町だからこそ、落ち目になった時のその落差が激しい。
「死んだ」とまで言われる由縁ではなかろうか。

中世から既に貿易の町として栄えたブリュージュは北のベネティアとまで言われた町。
そういえば、どういう儲け方を栄え方をしたかよくわかるというもの。

良港。
川。

勤勉な人々。
勤勉ゆえに栄えるのだが、何故故に人々が勤勉かと問えば、しれは土地が貧しいからだ。

…なんかね、日本ですかい?

そして、栄えれば栄えるほどに明暗が分かれる。
すなわち格差と言う奴である。

これまた…日本ですか?

後年、他所に主役をもっていかれたブリュージュは、涙ぐましい努力を行なう。
待ちの紹介図に、ついうっかり川幅を大きく書いて使いやすさを強調してみたり(嘘だけど)
そういうこともまた、涙を誘うではないか。

面白かったのが、「聖血の行列」
聖遺物を掲げて行列を組むのだが、ぐるりと町を一周するというなかなか大変な行進である。
著者はそこに、"祓い"を見る。
このプロセッションは、単に年の内外をねり歩くというよりも、都市の市壁を一周することで、何よりもブリュージュという都市空間全体ないし都市共同体をキリストの聖なる血という聖遺物によって浄化し、その保護を求めるという糸が込められていたと思われる。

ばbだか、万里の長城や氾濫・決壊する川の堤に人柱を立てるというか…呪術的ではあるね、そういわれれば。

面白いけど。

ISBN:4121018486 新書 河原 温 中央公論新社 2006/05 ¥903 

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