愛人(ラマン) (河出文庫) (10月27日読了)
2007年11月6日 読書 コメント (2)
この題名を知ったのは、映画になった時のこと。
でも見なかった。
仏領インドシナ…と言えば、今のベトナムのこと。
日本が丁度攻め込んで占領した頃、その前後が舞台。
現地に住む5人家族の、その中の末っ子でたった一人の娘である彼女が主人公の話。
父親が生きているときはそれなりに裕福だったようだが(写真を見る限り)父が死んで、女学校の校長をしている母親が切り盛りをするようになったときにはかなり貧しかったようすだ。
それでも、使用人はいるし、遠くの寄宿制の女学校には通っている。
そこらが、白人の白人らしいところ。
そう、彼女は生粋のフランス人。
15歳の時、彼とであった。
中国人華僑で、父親は大金持ち。
そして彼と彼女は愛し合う…だったらいいんだけど、彼女は彼の愛人になったのだった。
…出、私は恋愛小説は読まないので、「どうすっかなー」とおもったのだが、フランス人は理性的。
理屈屋で有名。
だから…というわけではないが、とうとうと語られるものがたりは大陸の川の流れのようにゆったりとだが確実に進み、あっという間に読み終えていた。
繰り返し語られるシーンの連続。
出会いのシーンも印象的だが、別れのシーンはもっと美しい。
これだったら、映画に、映像化したいかも、となんとなく思う。
というように、滔滔と文章は続く。
なれないと、ちょっと読みにくい家も知れないが、写すほうがもっと大変(笑)
そして再会のとき
と。
この辺を如何に演出するか、映像化するか、遣り甲斐も見甲斐も有るだろうなぁと思うのである。
ちなみに、フランス本国と仏領インドシナを結ぶ汽船の名前は、ダルタニアン・アラミス・ポルトスというのだそうだ。
ちょっと笑った。
ISBN:4309460925 文庫 清水 徹 河出書房新社 1992/02 ¥599
でも見なかった。
仏領インドシナ…と言えば、今のベトナムのこと。
日本が丁度攻め込んで占領した頃、その前後が舞台。
現地に住む5人家族の、その中の末っ子でたった一人の娘である彼女が主人公の話。
父親が生きているときはそれなりに裕福だったようだが(写真を見る限り)父が死んで、女学校の校長をしている母親が切り盛りをするようになったときにはかなり貧しかったようすだ。
それでも、使用人はいるし、遠くの寄宿制の女学校には通っている。
そこらが、白人の白人らしいところ。
そう、彼女は生粋のフランス人。
15歳の時、彼とであった。
中国人華僑で、父親は大金持ち。
そして彼と彼女は愛し合う…だったらいいんだけど、彼女は彼の愛人になったのだった。
…出、私は恋愛小説は読まないので、「どうすっかなー」とおもったのだが、フランス人は理性的。
理屈屋で有名。
だから…というわけではないが、とうとうと語られるものがたりは大陸の川の流れのようにゆったりとだが確実に進み、あっという間に読み終えていた。
繰り返し語られるシーンの連続。
出会いのシーンも印象的だが、別れのシーンはもっと美しい。
これだったら、映画に、映像化したいかも、となんとなく思う。
彼女もそうだった、船が最初の別れの声をあげて、懸け橋があげられ、タグボートが船を曳いて大地からひきはなしはじめたとき、彼女も泣いた。涙を見せずに泣いた、彼が中国人で、そんな種類の愛人に涙をそそいではならぬときまっていたからだ。自分の抱く苦しみを母にも下の兄にも見せずに、まるでこれが彼らのあいだでは慣れっこのことだというように何ひとつ態度に出さずに。彼の大型自動車が来ていた、その長く黒い姿のまえに白い服を着た運転手が立っていた。自動車はフランス郵船会社の駐車場からすこしはなれたところに、ぽつんと一台だけ停まっていた。それらのことが手掛りになって、彼女にはあの車だとわかった。ほとんど見えぬあの車だとわかった。ほとんど見えぬあのかたち、それが後部座席の彼だった、打ちのめされ、身動きひとつしなかった。彼女は、渡し舟の上での最初の出会いのときのように、手すりに肱をついていた。彼がじっと見つめていると、彼女は知っていた。彼女も彼をじっと見つめていた、もう見えなかったが、それでも黒塗りの自動車のかたちのほうをじっと見つめていた。それから、とうとう自動車ももう見えなくなった。港が消えた、それから大地が。
というように、滔滔と文章は続く。
なれないと、ちょっと読みにくい家も知れないが、写すほうがもっと大変(笑)
そして再会のとき
戦後何年かたったころ、(中略)、男が妻と連れてパリに来た。男は女に電話した。ぼくだよ。女は声を聞いただけでわかった。男は言った、あなたの声が聞きたかっただけでした。女は言った、あたしよ、こんにちは。男はおどおどしていた、以前のように怯えていた。男の声が突然ふるえた。そして、そのふるえとともに、突然、その声は中国訛りを取り戻していた。女が本を書き始めていたことを男は知っていた、サイゴンで会ったお母さまから聞いてね。それからまた、下のお兄様のこと、お気の毒と思いました。それから後は、男は女に何も言うことがなかった。次いで、男はそのことを女に言った。男は女に言った、以前と同じように、自分はまだあなたを愛している、あなたを愛することをやめるなんて、けっして自分にはできないだろう、死ぬまであなたを愛するだろう。
と。
この辺を如何に演出するか、映像化するか、遣り甲斐も見甲斐も有るだろうなぁと思うのである。
ちなみに、フランス本国と仏領インドシナを結ぶ汽船の名前は、ダルタニアン・アラミス・ポルトスというのだそうだ。
ちょっと笑った。
ISBN:4309460925 文庫 清水 徹 河出書房新社 1992/02 ¥599
コメント
私も映画をみた訳じゃないですけど。
華僑青年役はレオン・カーフェイだったかな。
これではどうしようもないですな(笑)
分かれのシーンとか出会いのシーンとか、なんか水面とかきらきら光ってそうで綺麗そう(なイメージ)です。フランスでの電話のシーンは声だけの演技希望だけど、それじゃあ難しいだろうか。あくまでも私の脳内シーンだけど。