(8月30日読了)
柴田氏の作品も、ほんまに久しぶりだ。
病院のライブラリーは雑多で実に面白い。
普段なら読まないであろうものも、(暇なので)手を出してしまうのだ。

秀吉の朝鮮出兵によって、人生が狂った(?)三人の侍、というか、牢人の話。
勿論主役はエエ役である。

女にもてるし、強いし、あくまで正義で格好いい。
意外に(?)柴田氏の小説というのはこういうのが多いんだよね。
例えば「三国志」でも孔明センセはものごっつう正義の味方でもてる!(笑)

日本の牢人に命を助けられ、その後を追って日本に渡った李朝のお姫様が一人。
彼を捜して健気に生きる。
一方その彼は……自分を律しすぎる若者。
京都の吉岡道場の関係者で、ああなるほど、時代性だわね、と思わぬでもない。
宮本武蔵VS吉岡道場はもそっと後のことか。

お姫様がらみでそーしよーもない浪人仲間が一人。
最後までどーしよーもなく退場で、ちょっと可哀想かなとも思う。
あとは金に魅入られた男が一人。
堺の商人を手玉に取ったつもりで利用された。
筋金の入った商人に、にわか商人が勝てるわけがないわなぁ…。

"時"は豊臣から徳川へ遷りつつある。

結局は剣を捨て、一般の人、市井の人、職人、或いは農業に従事する人になってゆくのが幸福の道であった時代である。

徳川の天下となり、兵法者もまた平凡な人になるということ。
それが勝利という事か。

ISBN:B000J7M5S4 − 柴田 錬三郎 富士見書房 1982/07

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索