豪華な絵を描く人だよね、本当に。
すごい。

ガレー船だけど、いい!
美しい!

海と帆船(手漕ぎ付きのガレー船だけど)があればそれでもいいや。

バルバロッサも出てくるけど、まあいいや。
ハンサムな海賊とかハンサムなマムルークとかハンサムなベネチアの官僚とか元ハンサムなパパとか出てくるし。
不惑に届いても若い男に対抗して彼女の愛を勝ち取ろうとするハンサムガイもいることだし。

なんと色とりどり。
彩色に満ち溢れた物語だろう。

中世ヨーロッパ、その中でも異色のベネチアをてんこ盛り盛り込んだ歴史浪漫。

ベネチアの貴族の令嬢が母の故郷(エジプト)に恋焦がれ、家でして密航して海賊と恋をしてまで(?)たどり着いたエジプト。
彼女を待ち受ける運命はいかに!?

おてんばの一言では済まされない令嬢・アレクサンドラ。
彼女の未来に栄光あれ…!

一番、なにより素敵だったのは、これ。
斜陽のベネチア。
1492年のコロンブスの新大陸発見や、ガマのインド航路発見など、後発組の若手新興国に背中をたたかれるぐらいならまだしも、蹴り飛ばされ踏みつけられ、老人は後からおいで、あるいは、隠居せよと最終通知を突きつけられつつ、負けていない都市国家である。

末期症状を呈しつつ、なんの、まだまだ若いもんにはまけじ!とばかり、輿を折りつつ咳き込みつつ陰謀を企む老獪なベネチアが、如何にも!という感じでよかった。

大丈夫だとも。
ポルトガルもスペインもじき老いる。
同じように年寄りとして、若い新興国の勃興を見つめることになる日も存外に近いのだから。


ISBN:4834273377 文庫 文月 今日子 ホーム社 2005/06 ¥700

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