再刊本、ということで、宣伝に飛びついてしまったのだった。

この題名、この本の存在を知ったのは随分昔のことだが、縁のないままに過ごしてきた。
ただ、なんというか、怖い題名だよな、とは思っていた。

復讐譚?
あだ討ちするとか?

そういう話かと思っていたのだが。

最初に出てきたのは、そんな考えを一蹴するものだった。
「愛する者よ、自ら復讐するな、ただ神の怒に任せまつれ。録して『主いい給う。復讐するは我にあり、我これを報いん』とあり」ロマ書12.19

聖書の言葉だったのだ。
では、イメージは180度変更される。

人は人に危害を当てるようなことはしてはならない。
たとえ自分が何をされたとしても。

目には目を、歯に歯を。
のハムラビ法典とは真逆の教えである。

では?
やっぱりなにか復讐されるようなことが起こったって事ですね……とは想像されるんだけどね。

昔の事件・事故の記録。
こんなことがありました。
という番組で、みたことがある。
日本列島を南から北まで(九州から北海道まで)、強盗殺人・詐欺・窃盗と罪に罪を重ねて逃げ回り、最後は幼い少女の勘によって逮捕された犯罪者の話。

その犯罪者・榎津巌を扱った小説なのであった。

榎津が、カトリック教徒(どこまで"本気の"信者なのかよくわからないが)であったこと、巌と言う名が洗礼名の"シモン"から付けられていること(シモンという人は、イエスに"わが岩(ペテロス)"と言われたらしい。だからその上に教会を建てるのだと。)など、読んでいくうち、彼のことが明らかになっているうちに、何故彼がそんなことを?といういろんな事がわかってくる……ンだろうなぁ、きっと。
今のところは彼の犯罪の、その後を追いかけるので精一杯、ひーひー言いながら後を追っている警察機構の話だけだ。

偽装自殺を早々に見破ったり、関係者をなだめすかしてうまく証言を引き出したりと、その辺の"技"は流石であるが。

小説としては、実に面白い。
重い本だが、出かけるときにも是非もって出たい、と思わせる本である。

ISBN:4902116804 単行本 佐木 隆三 弦書房 2007/03 ¥2,520 

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索