再び読み始めた。
重くて暗くて、なによりも辛くて、一旦この手をはなしたら、なかなか手を付けられなかったこの本が、一度ページを繰ったら、もう目を離せなくなった。

忘れ去ったわけではないと、そういえればいいのだけど。

虐殺。
殺戮。
野性をもろ出しに。
人間の獣性を炙りだしにして。

なんでこの土地が、チェチェンが、こんなに狙われ蹂躙されるのだろうかと不思議だったが。
石油が。
石油が摂れるんだ。

誘拐し、身代金を要求し、
人々は痛めつけられた家族を、或いは家族の死体を買い戻すことにある。
毎日毎日誰かが誘拐され殴られ殺される。
虫けらのように。

人は誰も生きてはいない。
明日を信じることが生きるということならば。

奴隷はまだいい。
生きている、少なくとも命があると思われている。

チャチェンでは、人は動物以下なのだ。
ロシアは略奪する。
虐殺する。

そして、その獣性を一度解き放たれた連合軍(ロシア軍)の兵卒は、生きて戻った故郷でも、同じことをせずにはいられない。

アメリカ兵がアジアから、そして中近東から戻っても、平和なアメリカの大地で家族や友人や隣人に暴力を振るわずにはいられないように、ロシアの若者も同じ事を繰り返さずにはいられない。

嘘だと思うのなら。
見るがいい。
考えるが良い。

著者、アンナがなぜ処刑されなければいけなかったのかを。

明日を信じることもなく。
チェチェンは毎日殺されているのか。

ISBN:4140808918 単行本 三浦 みどり NHK出版 2004/08/25 ¥2,520

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