イニシャル・年齢・OL・ホクロという、共通事項をもつ女が次々殺されてゆく中。
共通項があると這いえ、それだけで犯人を特定するのは意外に難しい。
東京と和歌山。
その二つの場所で繰り広げられる殺人劇。

横から便乗犯は現れるわ、そのニセモノを本物と勘違いして復讐者は現れるわ、では、本命は霧と霞の向こうに隠れてしまう。

東京で起きた事件を追いかけて、和歌山は南紀白浜までやってきた十津川警部と亀さん。
地元警察の警部に煙たがられながら、邪魔者扱いされながら推理を展開し、真犯人にたどり着こうとする。

白浜周辺は私の思い出の地でもある。
関西に生まれて住んでいれば大抵はそうだろうけど…夏休みの海水浴だの、太地の鯨だの、那智勝浦だの……それと、過疎化で大変らしい北山村。
あの村から、かつては材木が切り出されて町まで流されたその川を、材木を束ねて作った"筏"で下る。
筏下り。

滑らないようにするのは、出発地点の売店で売っている"草鞋"が一番。
3本ばかり材木を組んで作った筏の上でへっぴり腰でたったまま、腰ほどの高さに張られたロープを文字通り命綱として両手で掴んで下るのだ。
全行程で4〜5時間だったか。
美しい水が体にあたり、山中の青い色がついているんじゃないだろうかと思うような風を切って進む筏に乗っているのはは、とっても気持ちよかったが、年齢制限はあるだろうなぁ…あれは。

終点は三重県・和歌山県・奈良県の三県が交わる瀞(どろ)峡。
渓谷には、一軒だけ、ホテル(旅館)がある。
昔からある古びた旅館だが、ゆっくりと静かに過ごすには最高じゃないかな?と思える旅館であった。

そこからはジェット船に乗り換えて、海べりの町へようやく出るというわけ。

というわけで、南紀にはたくさんの思い出が詰っている。
あ、そうそう、今時は白浜アドベンチャーパークもその思い出のひとつなんだな。
パンダとか、ペンギンとか。
サファリランドの厳しい目をした猛獣達とか…

如何せん、仕事でやってくる十津川警部ちには無縁の場所かも。
かわいそうに。
ドラマだったら、無理やり用事をこじつけて、ご当地紹介をするんだろうけどねぇ(笑)
視聴者も、半分はそれが楽しみだろうから。

ISBN:4167454319 文庫 西村 京太郎 文芸春秋 2007/04 ¥540

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