とある学者が旅をした。
否、留学したってさ。
でもって、見るもの聞くもの面白げに、ふるさとの父母に書いて送った。
なんて筆まめ(笑)
そういうものを集めてみれば、楽しい旅行エッセイにもなるって事だよ、アケチクン。

時はこれ、清国って言うぐらいだから、辛亥革命前後のきなくさい中国大陸しかあるまい。
(勢い盛んなりし時の清国は鎖国だから、留学なんて考えられない…おっとぉ、その頃は日本も鎖国やんけ)(笑)
著者の留学は1906年から二年間だから、まさしくきな臭かったころあいだ。

しかし。
自分が放り込まれた、かつての文明の中心国・中国で感じる文物や人々の暮らし。
所謂文明と文化を、文明開化なった東夷がどのように感じるか。
どう思うか、を素直に書き綴っているのが新鮮で楽しい。

舗装されぬ道は、中心が馬車道で、両脇が人の道。
これはよくある話だが。
人の道と馬車道の間、に、溝がある。
深くて暗い溝が……って、晴れて乾燥しているときは、人はそこを歩けるが、ひとたび雨が来れば、泥酔が汚物を巻き込んで道を浸し、その溝に流れ込み、時々人がその溝に落ちて落命する…なんて、まさかな!と思うけど、そういうハナシが出来上がるほど、道の状態は酷かったんだろう。
道の曲がり角には汚物が。
窓の内側から汚物を捨てる人が。
……まるで、近世までのフランスはパリの都だね(笑)

最初にど〜んと立派なものを作るのは中国人の素晴らしさだが、メンテナンスをしないのが中国人の凄いところだと著者は言う。
ちょっと直すとか、不具合があったら修正するとか。
そういうことをまったくしない。
既に明治の日本人は、そのように見抜いていた。

昭和の終わりごろにかの地に赴いた女子学生たちも見抜いた。
「なんでもかんでもメイヨー(ないよー)だ。」
ちったあ、仕事しろよ!中国人!

おおらかとナマケモノは違う。

北京オリンピック……やっぱり心配だな。

そして、北京など、北清ではお菓子は不作(笑)
ただし、果物は豊富ですばらしい…と。

そうかな?
その昔、北京で出たみかんは乾燥してスカスカだったけど。
美味しいのはサンザシだ。
サンザシの飴がけ。

いかん……食べ物の話題にだけ過剰反応してしまう。

ISBN:4061597612 文庫 宇野 哲人 講談社 2006/05/11 ¥1,260

コメント

nophoto
睡蓮
2007年4月18日23:33

これね、漢文書き下し調とわりと砕けた口語体とが、章ごと?に違うのね。
よぉ〜し書くぞ!ってなると漢文調。
ちょっと気が抜けると口語体・・・
そんな風に思って読むと、けっこう面白い・・かと。

翠雲
翠雲
2007年4月18日23:58

時々漢詩を挟んでくるので油断がなりませんが、ま、ムキにならずに雰囲気を楽しんでます。
でもよく見ているなーと感心しますね。
好奇心が強くないと学者にはなれないけど…(笑)
ところでこの人、おなかは壊さなかったのかな?昔の日本人は丈夫だわ。

nophoto
睡蓮
2007年4月19日10:55

本人が体調壊したって話は書いてなかったような・・・
でも長安に行ったとき、同行していた桑原ジツゾー君は大変だったみたいよ。

翠雲
翠雲
2007年4月19日20:32

まだ北京市内をうろうろしているところです…桑原博士は大変な目に?!
早く読もうっと(笑)
私が行った時、長安は、霧と霞とスモッグでほとんどな〜んにも見えんかった……。

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