映画の中のアラブとは。

莫大な石油資源を背景に、ロールスロイスを乗り回す異邦人(田舎モノ)?
抜き身の刀を持った、陰険勝つ凶悪勝つ腹黒い男たちと、男を垂らしこむヴァンプたち?

それはアメリカ映画で描かれてきたもの。

だが、本当はどうなのか?

映画に見る、"アラブ"観を過去から辿る一冊。
友人から借りて、どうかな〜と思いながら読み始めたら意外や面白い。

この本の執筆のきっかけは、例の9.11事件。
あれでアメリカはアメリカ国内のアラブを敵視し、事件後半年のうちに何らかの被害にあったアラブ系アメリカ人は数百万に登ったという。
挙句、ターバンを巻いている、というだけで、「間違って」インド人シーク教徒が殺されている。

アメリカ人は単純で、直情的で、一気に同じ方向に向いて突っ走る。そう、リーダーをもたないフラミンゴのように。

…と、笑うなかれ。

関東大震災の時、日本人がなにをやったか。
在日朝鮮人を、「騒乱のドサクサに水に毒を混ぜた」と決め付けて虐殺したのだ。
集団パニックは恐ろしい。

もっとも、このときは、社会主義者である日本人もドサクサ紛れに虐殺されるという、理性的な計画的な犯行もあったのだが。

まぁ、アメリカ人の精神を、根幹を創り上げた西部では、なにより力が一番。
地からがモノをいう。
冤罪であっても、慎重な審議があったのかどうか、つるし首など、リンチというものは、ごく日常的に行われていたというし。
冤罪のまま電気椅子で抹殺された著名な夫妻がいたという話も、つい数十年前の事件だ。

イスラム教徒はインドネシアやパキスタン・バングらデッシュなど、アジアと呼ばれる地域の方が多い。
"アラブ"と言う名でひと括りにして、過去の妄執に憑かれたまま間違った主張を繰り返すのはいい加減にやめておいたほうがよさそうだ。

ところで。
トーキー時代の映画で、既にフィルムが行方不明の映画があるというのだが。
それでも写真は残っているのだ。
宣伝用に撮ったのか?
とりあえず、違う方法で保存しておくことは大切なことだ。
重要な情報を収めたフロッピーは必ず二枚作っておくとかね。
(会社では常識)



ISBN:4022599154 単行本 村上 由見子 朝日新聞社 2007/02 ¥1,470

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