毎度、ボースンさまからのレンタル本である。

思うのだが。

<精神的にはいささか取るに足らないお方>であるウースター氏は、本当に、心優しい男ではなかろうかと。
ジーヴスに去られ、例の如く、友人をきっかけとする騒動に巻き込まれて、なおかつ、知人(女性)を思い遣れる。
違う方向から見てみると、これほど"出来た"人間もいるまい。

もっとも、生れ落ちた境遇のせいか、人もうらやむ(?)のんびり屋のせいか、物事を深く追求しない天然○○の境地に達している性格のせいか、<精神的にはいささか取るに足らないお方>の名誉を受け入れるほかはない、というのが残念ではあるが。

でも…ストレスは、本人が思うほど、たまらないだろうなぁ、こういう人ってのは。
その辺が、とっても羨ましいよ、バーディ。

ジーヴスは、彼だからこそ、その腕前を発揮できるということを、実は充分判っているんだろうなぁ。

今回のこと(ふたりは離れ離れに…!)も、ちょっとしたお灸をすえてやる、ぐらいにしか思っていないんじゃなかろうか?
時代が下がるにしたがって雇用する者も神経を使うだろうけれど、雇用されるほうも、無駄なストレスに時間と労力を使いたくはないものだ。
転勤を嫌がるのは仕事自体が嫌なのではなく、今までの人間関係をちょいと他所へうっちゃいといて、別の場所でまた一から構築しなくてはならない、という面倒くささから来るものであろう。
(とりあえず、私はそうだ)
それが、「今の職場の人間関係は最悪!」
と成れば、転勤だってフンフンと鼻歌を歌いながらこなせるイベントとなる。
今の私がそう……かもな?(笑)

さて。
その反対に、ウッドハウスに出てくる女性たちの酷なことは目を見張る。
優しくてまともな女性はほとんどいない。
皆無に近いのではなかろうか?

自己中心的で忘恩の徒で、図々しいときたらこの上ない(笑)
この時代の、富貴な地位(やんごとない、まではいかない)の女性たちは皆こうだったのか?
それとも、ウッドハウスの罠か…?(笑)

まあそんなことで、ジーヴスから離れて孤軍奮闘するバーディに、私は今までにない励ましの視線を送りつつページを繰(喰)っているのである。

ISBN:433604774X 単行本 森村 たまき 国書刊行会 ¥2,310

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