君よ知るや、南の国…のジャングルを
…知りたくはない。

ジャングルを歩けば、ずぶずぶと足は湿地に飲み込まれ、足を掬い上げてみれば、あっちにこっちに蛭が吸い付く。

いや。
蛭に吸われたことがないわけではないのだ。私はさ。

小学校の低学年の、遊び盛りのころである。

入っちゃいけない、と大人たちにきつく言われていた疏水に、友達と入って水遊び。
鮒にヤゴにタニシにとそりゃあもう取り放題!
疏水の両側には覆いかぶさるように桜の並木道が続いていて、直射日光の眩しさ・暑さから私たちの黒々とした頭を守ってくれる。
春ともなれば桜が咲く。
最高のロケーションだった。

なんで入っちゃいけないかといえば、定期的に大量の水が放出されるからである。
だが、放出前にはサイレンもなるのだ。
さっと土の壁を登って、逃げればいい。
そこでもたもたして事故にあうドン臭い子供なんて、私たちの世代にはいなかった。

だから大人たちも、そんなにきつくは叱らなかった…と思う。

おっと、蛭の話だった。
その疏水の最大の難点が、その"蛭"であった。
水から上がると足に…蛭がくっついておるのだ。
私の貴重な(私は貧血症である)血をタダ飲みするとはけしからぬやつめ。
ちっちっと、手で払って取ってたけどね。

蜂須賀の殿様が行くジャングルは蛭だけではない。
獰猛なサルとか獰猛な(?)鳥とか、出没する。

サルを攫って食べる鳥…って後に誤解だということがわかったけど、想像するだけでなんだかコワイじゃないか。
サルが攫えるなら人間の赤ん坊だって攫える。

そして、蛇。
キングコブラを筆頭に、毒蛇が。
ニシキヘビは水牛も絞め殺すという。
図解にはノブタを攫うニシキヘビの姿が……。

さすがに野生児の私でも、蛇はだめだめ!

こんな話を読んでいる折も折、ブラジルの田舎でアナコンダが…子供を攫おうとしてその祖父と戦い、負けた、というニュースが…。(すごいぞ!じーさま!)
そうそう、南米には最大の蛇・アナコンダがいるんだよなー。
マンガ「スケバン刑事」でも出ていた。
密林の奥に作られた女子刑務所の番人が、署長が趣味で飼っているというアナコンダだった…たしかボアっていうんじゃなかったっけ?
韓国出身の某歌手の名前を始めて聞いた時、私はこっちを連想して仕方がなかったものである。

芸能界に疎い私は、最初にアムラー(あむろなみえのファンを称して言う)という言葉を耳にしたとき、てっきり"(特撮ドラマの)新しい怪獣"の名前だとおもったもんなー。(該当者の皆様、ゴメンナサイ)

そもそも!
熱帯地方のジャングルだの山だのに登って自然観察と鳥の捕獲(著者の蜂須賀公は鳥が専門だ)を行うので、赤痢だのなんだのとばかばか伝染病予防の注射を打たねばならない。
その副作用で、しばらく熱が出たり具合が悪くなったりしているのだ。
そんな真似をしてまで…わたしだったら行きたくはないよ。

…学者の一念って怖いワ。

だけど、この本は貴重な写真も多くて(さすが学術探検隊!)、文章もコと細かく観察と描写がされていて、面白い。
自分が絶対行かないであろう(笑)熱帯のジャングルの話だから、快適な家で紅茶などをすすりながら読むには最高であるのだ。

コメント

nophoto
睡蓮
2007年2月17日14:41

殿様が無事目的の山に入ってジャングルを行く場面がいいんですよ。
途中で休憩するとき、地面はずぶずぶで座るわけにいかないから、
巨木に寄りかかるようにして休んだところ、その巨木が音もなく倒れ、
頭上から苔や菌類が雪のように降り注いできたって場面がね。
深海の底に居るみたいだったって。
なんだかナウシカに出てきそうな感じでしょ。

翠雲
翠雲
2007年2月17日18:02

住みたくない。行きたくない世界、というのでは同じかな。
どこまでも山を、岩に張り付くようにして登る。どこがゴールかもわからないまま…嗚呼、すごいパワーと精神力!

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