僕僕先生

2007年2月6日 読書
中国は唐の時代。
後に楊貴妃と都落ちをする羽目になる玄宗皇帝がくらいについたばかりでバリバリやる気の青年皇帝だった頃の話(らしい)

とある田舎町でのんべんだらりと親の財産で暮らす主人公・王弁。
彼は科挙に挑め、位人臣を極めろという父に反抗的で無気力で、所謂ニート生活真っ只中の青年である。
年齢は20歳を少し出たばかり。

そんな彼が"神仙マニア"の父親と取引(遊んで暮らせる)をし、一人の仙人を訪ねることと成った。
仙縁がある、と判断された彼はそのまま仙人・僕僕の弟子に。

普段は青い道服を着た少女姿。(しかも美少女らしい)
その中身は、何千年生きているかも判らない、得体の知れない仙人…。
それが僕僕。

見せ掛けの"美少女"振りに心奪われるも、実際は"白髪白髭"のじーさんかも!?と思うとあと一歩が踏み出せないベンベン…もとえ、王弁。
青春の苦悩(笑)

その技が評判となり、山を追われることに成った仙人。(市井の一個人の人気が妙に高くなると、その人物を王に立てようとするものが出たりして、王朝を脅かし、揺るがすと考える。またへんなカリスマをもった人間が登場すると、政府としては困るのである)

そして、その旅にお供する弟子・王弁。
二人はどんな旅を繰り広げるのか?

日本ファンタジーノベル大賞受賞作品、ということで目に留まり、中国が舞台と聞いてますます興味をもつ。
悩んだ挙句に購入。
意外に、真面目に、お茶らけることなく、話は進んでいる。(表紙の絵を見ると、子供向きの、子供でも読める内容なのかと、ちょっとおもったりもしたのだが)

杜氏春の故事が形をかえて出てくるが、確かに。
神仙というのは、瑣末な俗事に囚われないものである。
目の前で人が殺されようと、それが自分の身内であろうと、心囚われないものである。
…と、以前本で読んだ。
そうでないと、仙人は務まらないらしい。
………こりゃ、私にはダメだな。
そう思ったものだ。

学生時代、仙人に憧れる友人がいた。
当時はさほどではなかったものの、堅苦しい孔孟よりも、私も、老荘のほうが、好きだ、ということに最近気がついた。

蝶々になって飛んでゆきたい……

ISBN:4103030518 単行本 仁木 英之 新潮社 ¥1,470

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